「書籍紹介1996」
(1996/02/16号)
        「別冊宝島230
         愛と哀しみのコンピューター企業」

        宝島社
        ¥1100

コンピューター業界内のいろいろと危ない話を書いてあります。
某SKの話などは、私もいただけになかなかうなずけるものがあります。
まあ、実際にはこれよりひどいですけど。(さすがに100%事実は
書けなかったか?)

「コンピューター」と言うと一部の「オジサン」たちは何でも出来る
魔法の箱のように思っていて、それを扱っている企業は勿論コンピューターを
使いこなしている先進の会社、というイメージがあるかも知れないけど、
実際にはコンピューターほどどろ臭い世界はないし、そういう会社ほど
社内の情報化が遅れている、というのも事実なんだけどね。
なまじコンピューターのすべてを知っているがために、それを信用できない
=だって、自分達なような者が作っているシステムが信用できますかいな、
ってな感じ。

まあ、昔は違ったんだけどね。コンピューターがお金になるとわかり、
そこにあちこちの業種から参入してくるようになってきておかしくなって
きたんだけど。

この本を読んで、一度業界のことを知るのも、これから先コンピューターと
うまくつきあう上で良いことだと思うよ。

        お勧め度        50%

ただし、この業界に進むことを考えている人には100%。
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(1996/07/24号)
        「アインシュタインの発想 相対性理論とは何か」

        小野健一
        講談社現代新書
        ¥650

アインシュタインの唱えた「特殊相対性理論」と「一般相対性理論」を
わかりやすく、数式を使わずに解説しようと「試みた」本である。

その試みはある程度成功しているとも言えるが、いかんせん数式を使わない
と言うことにこだわったために、かえってわかりづらく成っているのでは
ないかと思う。また図が少ないというか、わかりにくい図だけなのもいけない。

特殊相対性理論というのは、その特異的現象で言うと光速に近い速度における
時間の遅延(その速度で動いている物の中での時間の経過は、静止している物
の時間に比べ流れが遅い)があるが、この本の中ではそのあたりは解説出来ている。
その現象が光速に限らず、普通の速度においても理論上はあるのだということ、
逆に、移動物体では長さが縮むという(ローレンツ変換)あたりの話はよく分かる。
ただし、前提条件に間違いというか説明不足があるので(私には間違いに思えた)、
ちょっと理不尽なところがある。このあたりも図が非常に少ないことの弊害に思える。

質量とエネルギーは同じであるとか、長さと時間は同じであるといういったあたりの
話は易しく解説すれば一般の人にもおもしろい話であろうから、
この本よりもっと砕けた解説書があれば良いのにと思われた。

この本はそう思わせるという目的においては成功しているが、残念ながら
解説そのものはやはり難解で、誰でも読んで解るということはない。
専門用語がいきなり出てくることもあるし。(それでも非常に少ないとは思う。)

「4次元」というとSF的に聞こえるが、現実に存在する空間であり、
数式的にとらえることも可能なのだというあたりや、「光の速度は超えられない」のは
「当然」ではなく、今知っている自然法則を成り立たせるために必要な「前提」である
ということ。(ということは、自然法則の枠組みを変えることを覚悟すれば
光の速度を超える現象を見つけられるかもしれない、ということ。)
そういった話は「科学」に興味を持つ者にはおもしろいであろう。

        お勧め度        30%
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