「Yoshii9」(2001/07/09〜08/03号)
{商品紹介}

        「アンプ+スピーカーセット
                Yoshii9」

        TimeDomain
        日本製

        定価/買値       ¥300000(税別)
        http://www.timedomain.co.jp/

いきなり出てきた怪しい製品である。

物は、スピーカーと専用アンプである。
(アンプ部にはYA9という独立した型番がある。)
スピーカーケーブルも最初から付いている。
形はAWMと全く違いCDやラジオ、カセットも付いてないけど、
アンプ付きスピーカーと言う意味では近い存在である。

なぜこんな物をいきなり買ったかである。

実は、冬のボーナスではアンプの買い換えを考えていた。
そのためいろいろとインターネット等で下調べをしていたのだが、
その時にたまたまこの名前を知ったのである。

ホームページには理論的なことがいろいろ書いてあり、
それが気に入ったので、近所でも試聴が出来るようだったので
行くことにしたのである。

いろいろとCDをかけさせてもらい基本的な質の良さは解ったのだが、
最終的に購入決定させたのは、AWMを買った時にもらったCDの中にある、
音楽と言うよりある生録の音である。
それはジェット機の飛び立つ時の音。

AWMのCDであるが、実はAWMでは余りジェット機らしい音はしなかった。
他のスピーカーではなおさらであるが、
このYoshii9はあっさりと鳴らしきった。
これはすごいことである。初めてジャンボジェットが飛んでいく音が出たのである。
私もその音はそう何度も直に聞いたわけではないが、間違いない。

        ・・・

このセットの良さ、それは何と言っても音の表現力が違うと言うことである。
CDや各種音源に含まれている音を全て鳴らしきる、というのがコンセプトらしいが、
それは嘘ではない。

音の発生のタイミングに関して考慮したスピーカー+アンプということで、
確かに音の切れはよく、今まで聞いたことのない音が出ている。
他の音にかき消されていた細かい音が聞こえる。
音の広がりも素晴らしいものがある。
装置は一見ちゃちだが、全て考慮の末の結果だそうだ。

特に効果があるのは生楽器系のものである。
まさにそこで演奏しているようにも聞こえる。
ハープのCDが、今まではどう聞いてもハープではなく長く聞けなかったが、
初めてハープらしく聞こえる。胴を叩いて音を出しているところまで
聞こえた位。

逆に電子楽器中心の物は、そのうすっぺらさがはっきりするので駄目。
そう、このセットにかかれば、元の演奏や録音の善し悪しが
はっきり解りすぎてしまい、かえって聞けなくなる場合もある。
(以前紹介のクライズラー&カンパニーが全く駄目だった。)

ソースだけでなく機器の性能も如実に出るらしいが、
私のテストでは、CDプレイヤーでは、高級な装置より安物の方が良い音に
聞こえている。これはおかしい。

        ・・・

さてこのスピーカー、形状もユニークである。
棒状かつ上を向いているので指向性がなく、
従来のスピーカーではその設定に苦労した、
距離と角度の内、後者を全く考慮しなくて良くなる。

角度の考慮が必要ないと言うことは、どの方向から聞いても大丈夫とも言える。
音像定位などを気にしなければ、360度どの方向から聞いても
音に破綻はなく、音の広がりを感じる。

スピーカーを上向きにすると音が良くなると言うのは、普通のスピーカーを
上置きにしても解る。特に、椅子を設置しその後方から上に向けて
音を出すと椅子に座っている状態で非常に良い音に包まれる。
これは実験結果であるが、出来るなら試してみると良い。

しかし、逆に音像定位は少々散漫である。
ピンポイント的に音が定まるということはない。
本来ライブ演奏などではそうであろうが、意図的に定位を狙った録音ではその効果が出ない。

アンプは12W+12Wと出力は大きくないものの、そうとは感じさせない音量に聞こえる。
ボリュームの10段階のうち、2まで上げればもう一般家庭では鳴らせないほどの音量で、
うちでは1までも上げられない。
もっとも、2以上上げると急に音がひずみ始める(しかもひどい)ので実使用できない。

おそらく、等配分のボリュームではなく、急激に音量を上げるタイプであろう。
(小音量では音のバランスが崩れるのは、装置の問題ではなく、
人間の耳の特性によるものである。ラウドネスという回路があると
小音量時の音のバランスを改善してくれるが、このアンプでは音質劣化を
避けるため、そういうものは入れてない。)

        ・・・

しかしこれ、買ってから解ったのだが、大きな欠点がある。
小音量に弱いと周波数領域が狭いと言うことである。

このスピーカーは1つで全領域をカバーする、フルレンジと言う構成を取っている。
理論的には、音を周波数的に分解してそこの領域にあった専用スピーカーの
組み合わせで鳴らすより、変な回路が入らない分音が素直になるらしいが、
1つのスピーカーではやはり鳴らしきれる周波数領域に(物理的に)限界がある。

Yoshii9のスピーカーは直径8cmなので、中域を得意とするサイズである。
実際に鳴らしてみると、サイズの割りには低音は良く出ているようだが、
高音は駄目である。特に小音量では全く駄目で、AMラジオ並みにも聞こえる。
ある程度音量を上げると聞こえるようになるがやはり弱い。
低域も同様である。

以前紹介のCLT−1と組み合わせるとかなり改善されるのだが、
いかんせん、このスピーカーの形が特殊なため、CLT−1を並べて置くのが難しい。

もちろん、中域に関しては文句の付けようがない。
ギター、ピアノの中域、バイオリン等は抜群。

どうも、これ1本で全てを鳴らしきると言うより、
高域/低域に強いスピーカーを併用する方がよさそうである。
「音が濁って嫌」と言う人はいるだろうが、私みたいに周波数特性が
(カタログスペックではなく実際に聞いた上で)気になる人には
こうするしか仕方ない。

        ・・・

結論的には、従来のスピーカーと完全置き換えは難しく、
聴く音楽によって使い分けるのが良い。

AWMでは高音は弱かったが中低音は文句がなかった。
また、小音量でも破綻がなかったのだが、そういう意味ではAWMより
使いにくいと言える。

その他の欠点。

設置に置いて角度的に考慮が必要ないと書いたが、実は高さ方向の角度には
注意が必要である。スピーカーの上面に対して水平又は少し下の位置から
聞く分には良いのだが、スピーカーが見えるほど上から、もしくはかなり下から聞くと
音がおかしくなる。上から聞くと周波数的にもっと狭く感じ、
下から聞くと音像が天井に定位してしまう。
聞く時は椅子の高さなどに注意が必要と言うことである。

スピーカーケーブルが2mと短く、しかも生えだしなので交換が出来ない。
延長は注文で出来るのだが、+1mが¥300は良いとして、
本体注文時であっても技術料¥4200も取られるのがいけない。

うちの環境では通常はもっと長く必要なのだが、そうでなくても高いのに
これ以上追加料金が必要なのは嫌なのでしかたなくそのままにしている。
当然置き場には苦労している。

さらに、このケーブルは非常細くに柔らかい。
そのため折れたり切ってしまいそうになる。
音質を考えた上で選択された線らしが、取り扱いが難しいのは確かである。
今はケーブル保護のために日曜大工屋などにある
プラスチック製の巻く筒(名称は不明)を巻いている。

あと、スピーカー本体はかなり倒れやすい。
子供が幾度となく倒してしまっている。
スピーカーの上にはネットとスピーカーを押さえる枠が付いているが、これらを外した方が音質が良くなる。
しかし、枠を外すと転倒時にスピーカーユニットが外れてしまう。
それで断線するまでには至らないが、スピーカー周りにはめてあるゲル状のダンパー材
が変形してしまうので音質に影響があるかもしれない。
(購入時ほどの音がしなくなったのはそのせいかもしれない。)

そもそも転倒によって本体に傷が付く。
かなり上質の塗装(ひょっとしたら金属の直もしれないが)でそれがはげたことはないし
多くの擦り傷と思っているものはこすれば取れるのだが、やはり少しは残る。
今は天井からひもを吊してスピーカーに巻き付けて転倒防止としている。
子供のいる部屋では注意が必要である。

いつも押し倒されているのでその下敷きになったことはないが、
重量がかなりあるので下敷きになると危ない。
地震の多い地域の人も同様の対策が必要だろう。

        ・・・

アンプは非常に小さい物(だから何とか隙間に置けている)なのだが、
そのために電源を内部に持っていない。
専用ACアダプターをつなぐのだが、これがまた本体よりでかい。
それは良いとして、このACアダプターが「うなる」。

コンセントを入れているだけで、アンプのスイッチを入れていなくてもうなる。
演奏中に気になることはないが、静かな部屋でははっきり聞こえる。
特に夜寝る時などは聞こえすぎて気になる。
家にある他のACアダプターではこういった音が出たことがないし、
あんまり気になるので交換をお願いしたが、送られてきた物も同じ位の音がしたので
こういうものらしい。

最近の普通のACアダプターはスイッチング電源であり、
内部に震動源となる部分はないが、このアダプターはトランスなのだろう。
音質を考えれば確かにトランスの方が有利だが、ちょっと困ったもんである。

仕方ないので、アダプターを(放熱を妨げないように)
防音シートで包み、さらに台所用のパッキン付き容器に入れた。
これで多少音が緩和されたが全く聞こえなくなったわけではない。

その他、電源投入時に「ボコッ」という音がなるとか、
無音時にスピーカーに耳を近づけると盛大に残留ノイズが聞こえるというのは
高音質追求のため「仕様」らしいので不良ではない。

        お勧め度        65%

度合いが低いのは、値段の高さと周波数&音量の問題からである。
それに目をつむって、音の再現力と設置のしやすさなどを
考えるともっと評価は上がる。
聞くものがその周波数領域に収まる、生楽器物であるなどの場合は
90%以上付けても良い。

この会社曰く、「オーディオは安くなくてはいけない」ということらしいが、
実質1ch入力のアンプとスピーカーだけでこの値段は安くない。

間違い無く言えるのは「オーディオマニアには受けない」ということである。
私はマニアではないと思っているが、その私でさえ気になる部分がありすぎた。
形や数値にこだわるマニアには絶対に受け入れられないと思う。

さて、これの購入にともない、AWMは売却した。
決してAWMの音が悪かったからではないが、
今回のこの購入に置いて予算が余りに足りなかったからである。
ちなみに値段は16万。1年で−10万以上だから、破格の放出ではある。
まあ、いざとなったら借りられるところに対してではあるのだが。
気に入ってもらえたので良かった。

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結局のうちのシステム                            2000年 12月25日現在
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アンプ1ONKYOIntegra A701XD
+セレクターmasproDSW42E
CDCEC/AIRBOWCH7700 Super2
+ケーブルSpace&TimePRISUM22/0.6m
カセットA&DGX-Z7100
チューナーONKYOIntegra TX445XG
+アンテナmasproFM3
MDSONYMDS-JE700
レコードDENONDP-37F
+カードリッジaudio-technicaAT33ML/OCC
スピーカー1DALIRoyalMenuetII
+ケーブルSpace&TimeKLARA/8N<復活
+スパイクエレクトロコンパニエ ECS3<復活
補助ツイーターAIRBOWCLT-1
+ケーブルSpace&TimeKLARA/8N<変更
+スパイク自作黒檀+MysticWhite<変更
アンプ2TimeDomainYA9<追加
スピーカー2TimeDomainYoshii9<追加
+ケーブル自作(アンプ1←アンプ2間)<追加
ヘッドフォンaudio-technicaATH-PRO6
LaserDiscPioneerCLD-R7G
ビデオVictorHR-VX1
TVSONYKV-29DRX5
+BSアンテナ DXアンテナDSA353K
MIDI音源RolandSC-88
SC-155
シーケンサーSHARPX68030
X68000 CompactXVI
電源改良熱電子工業TVスッキリー(5台)<追加(YA9用)
インシュレーター 自作黒檀+MysticWhite
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そう言えば、今回Yoshii9が来るまでの間TVスッキリーを
安いテレビに入れておいたのであるが、これがまた偉い画像の変わりようで。
高いテレビより安いテレビの方が効果が解りやすいようだ。
ということで、もう1台買ってしまった(これで6台)。
まとめて買えば送料が節約できたのに!

        ・・・おわり・・・
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