「スーパーDVDレンズクリーナー XL-Z1」(2005/08/01〜08/08号)
 {一応商品紹介}

        レンズクリーナー

        「スーパーDVDレンズクリーナー XL-Z1」
        定価 3500円(税込み、送料別)
        売価 3000円(税込み、送料別)

        「CDレンズクリーナー XL-7700」
        売価 1900円(税込み、送料別)

        (株)ラウダ
        http://www.lauda.co.jp/

DVD(VideoとAudio)対応、およびCD用のレンズクリーナーである。
レンズクリーナーは各社から多数出ているが、これの大きな特徴は、
「非接触式」であること。

普通のクリーナーは、クリーニング液を付ける・付けないで湿式・乾式に分かれるが、
いずれにせよ刷毛でレンズを拭く。
これに対し、非接触式はディスク回転によって発生する空気の流れよって
レンズ上に溜まったほこりを飛ばすものである。

非接触式はレンズに触れないためレンズを痛める可能性がない、というのが
売り文句である。詳しくはここ↓に能書きがある。
http://www.lauda.co.jp/pro-lenssuper.htm

DVD用は逸品館で、CD用はラウダ社のホームページから直販で買った。
実はCDプレイヤー用は旧モデルで安売りされていたのだ。
現行モデルと旧モデルの違いは単にパッケージの違いだけらしいので
お買い得であった。

うちにはDVDプレイヤーが3+1台+PS2、CDプレイヤーが2台ある。
(PCに付いているドライブやDreamCastは除く。)
一番良く使うのはDVDではRD-X4EXであり、CDではCH7700である。
が、買っていきなり問題が発生した。

実は東芝純正ドライブのRD-4EXではこれが「使えない」。
メーカーのホームページには「安心な全メーカー、全機種対応方式」と書いてあるにもかかわらず、
うちではディスクとして全く認識されない。
新品代替えもしてもらったが、それでもだめだったので逸品館経由でメーカーに問い合わせたが、
メーカーが手配したX4では動いたと言う。
ということは、本体およびドライブのファームの組み合わせによる問題かもしれない。
うちのは本体がZP23および24(両方で試した)、ドライブが1313バージョンである。
RD-XS30やソニーのDVDプレイヤーでは問題なく使えたので、
X4だけの問題には違いないのだが、同様の組み合わせの人は要注意。
なお、X4でもドライブをLGのものに換装すると使えるようになった。
ということは、東芝ドライブのファームウエアの問題と言うことである。

使用可能を確認
        DVD用                   CD用
        RD-XS30(東芝)         CH7700(CEC)
        DVP-NS715P(SONY)       RD-X4EX
        HR-DK1(Victor)         CD-RW700(TASCAM)
        RD-X4EX(ZP24+LGドライブ)
        RD-XD71(東芝)

使用不可
        DVD用
        RD-X4EX(ZP23/24+1313ドライブ)

DVD用はCDには使えないので、それ用を後日購入。
X4でもこちらは使えた。
(そう言えばこの時初めて知ったが、X4はCD再生中もTV映像が出ている。)

DVDプレイヤーでCD用のクリーナーを使って意味があるのかについて説明しておこう。

市販のDVDドライブはすべてCDも読めるようになっているはずである。
製品としてDVD専用機になっている物があるかもしれないが、
それはCDを読む機能を殺しているだけであって、
ドライブの性能としては必ず両方が読めるはずである。

ところが、本当はDVDとCDでは読み取りの光学特性が異なるため、
基本的には2つのレーザー、2つのレンズが必要である。

事実、古いDVDドライブはDVD用波長650nmの赤色半導体レーザーと
CD用780nmの赤外半導体レーザーとそれぞれに適したレンズを持っており、
メディアによってこれを切り替えていた。
ドライブを分解してピックアップ部分を見るとよくわかる。

PanasonicLF-D100はDVDとCDで2ヘッド(分解して確認)。
日立DVD-RAMドライブGF-1000も同様(http://www.hitachi.co.jp/dvd-ram/tech/tech_6.html)
SONY PSXはPS2用とDVD用で2ヘッド持っている。
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2003/1215/psx4.htm

ところが最近は技術の進歩により、両レーザーを1チップに納め、
また、レンズも両方で共通に利用できるものができている。
見た目上1ピックアップに見えるし、事実レンズは1つしかない。
ゆえに、比較的最近作られたドライブではレンズクリーナーとしてはDVD用でもCD用でも
問題ないわけである。

ということは理論的には、古いドライブの場合はそれぞれ用を別に掛ける必要がある。
ところがここにもうまい方法があった。

最近のDVD/CDクリーナーはクリーニング中も映像や音が出る。
ということは、DVD/CDメディアとして正常に認識できるということだが、
昔のDVDクリーナーは映像や音は出ない上に、正常に認識されない。
でもクリーニングは出来る。
これはどういう理屈かといえば、ドライブが入れられたメディアをDVDとして読もうとして
だめで、次にヘッドを切り替えてCDとして読もうとしてだめで、最後にあきらめるのであるが、
この間に両方のヘッドのクリーニングできるのである。

例えば、後述する松下製の湿式クリーナーは、メディアの最内周に刷毛がある。
ここはメディア識別時に必ずアクセスされ、また識別時にはすべてのレンズを
切り替えるため、結果全レンズがクリーニングされることになる。
このディスクは最終的には読めないディスクとして判断される。
ゆえに、このタイプではクリーナーは1つでよい。

逆に言えば、古いドライブに映像や音が出る=認識可能なクリーニングディスクを使う場合は、
DVD/CD両方のレンズをクリーニングするには、両方のクリーナーが必要となる
ということである。
DVDドライブだからと言ってDVD用だけではCD側はクリーニングされないのだ。
(まあCDを読むことがなければ問題ないが。)
逆に、DVDドライブにCD用のレンズクリーナーを使っても
DVD側のレンズはクリーニングされない。CD用があるから大丈夫という
ということではないのだ。

音や絵が出るタイプは通常のメディアとして認識させるため、
最内周は普通で、真ん中くらいの位置にに刷毛や穴がある。
クリーニング時にはその部分にヘッドを動かす必要がある。
未確認ではあるが、刷毛や穴のある部分は当然読み取れないので、
その付近は「不良位置」として排除させ、
その周りを読めるようにして、通過時にヘッドを掃除するのだと思う。

ちなみに、最近のDVDとCDで共用化されたレンズはたいていCD側の特性に負担を掛けているようだ。
http://konicaminolta.jp/about/research/technology_report/2005/pdf/treatise_006.pdf
となると、専用レンズの方が光学特性が良い=音や映像が良くなるような気がする。
DVDプレイヤーでCDを聞くとたいがい音が悪いと言われるが、
単にCD部分が手抜きされていると言うことだけでなく、
読み取り精度が専用機に比べ落ちているからではないかと思ったりする。

さて、肝心のクリーニングの効果だが、これについては少々技術的なことを述べてから
書くことにしよう。本当にクリーナーは必要なのだろうか。

        ・・・

一応基本的なところを説明しておくと、DVDもCDもディスク上に記録されている情報は
レーザー光線で読み取られる。その光を絞るためにレンズが存在するのだが、
ここに汚れが付き、クリーナーはこれを取るためにある。

一口にレンズの汚れと言っても、正確には2種類ある。
「ほこり」と「べっとり汚れ」である。
「ほこり」は言うまでもなくほこりであり、レンズ上に乗っているだけのものである。
先に紹介のSIDの削れた破片というかかすもこれに当てはまる。
肉眼でその形状が見える大きさのものと言ってもよいかもしれない。
ただし、静電気で吸着している場合もある。
「べっとり汚れ」は、排気ガスや悪臭の煙であり、その形状が肉眼で見えないのはもちろん、
べっとりこびりつくことになる。

ノートPC用の薄型ドライブのようなオープン型でない通常のドライブでは
そもそも「ほこり」は入りにくい。デスクトップPCに組み込むようなドライブでは
高耐塵埃構造を持っている物も多い。
トレイにはほこりは溜まることがあっても、レンズ上に乗ることは少ない。
CD/DVDの板に付いているほこりがレンズ上に落ちるような気がするかもしれないが、
それらのほこりは板自体に静電気で吸着しているので取れにくいのだ。
ゆえに、そもそもレンズに付くほこりは多くない。

一方「汚れ」については環境に依ることが多く、空気が汚いところではすぐつきやすく、
そうでない場所では短期的には付きにくい。
排気ガスや悪臭の煙がその原因物質である。

レンズクリーナーには大きく分けて3種類ある。
接触式としてクリーニング液を刷毛に付ける「湿式」、付けない「乾式」、
それに「非接触式」である。
湿式としては松下(Panasonic)製のLF-K123LCJ1などがあり、
乾式は各社いろいろ、非接触式は今回買った物がある。

接触式は物理的に刷毛で「ほこり」や「べっとり汚れ」を取ろうとする。

事実、湿式では「べっとり汚れ」に関してはかなり取れる。
ひどい場所ではクリーニングすると刷毛が真っ黒になる場合もあり、
(特に、ディーゼル車の出入りの多い場所や道路沿いではその傾向が高い)
こういう場合にはクリーニングでドライブが復活することも多々ある。
ただ、完全には取りきれないので徐々に劣化するし(特に汚れの付いたクリーナーを使い続けると
かえって汚れを残す結果となりかねない)、
こういう汚れのひどい環境ではメディア側にも汚れが付着していることも多いので、
そちらもきれいにする必要がある場合もある。
これはさんざんやったので間違いない。

悪臭を放つ人間のいない一般家庭なら、1年程度ではクリーニングをしても
刷毛が汚れてくるようなことはほとんど無いと思われる。
さすがに3年もするとそこそこ汚れが付いてくるが。
ほこりは、クリーニング液に吸い付くよう感じで一応取れてくる。

非接触式は、ディスクの回転によって発生する渦巻き気流によってほこりを吹き飛ばすらしい。
飛ばしたほこりがどこに行くかと言えば、ディスクの上に吸着されるか、ドライブ内に溜まるかである。
吸着されるものは後で拭き取ればいいが、ドライブ内に入ったら最後、取れない。
まあ、量は微々たるものであろうが。
「汚れ」もある程度は吹き飛ばせるかもしれないが、煙の微粒子が
気流程度でどれだけ飛ばせるかは不明である。
というか、実体験から言えば非接触式はべっとり系汚れに対しては殆ど効果なしなので、
それを掛けてもドライブエラーが消えない。
こういうときは、一度湿式を試すべきである。

この気流式では対象となるレンズの周りに対してもある程度は
効果が予測されるので、隣のレンズもきれいになるかもしれない。

乾式クリーナーはほこりを刷毛で取るだけある。
ただ、ほこりは多くの場合静電気を帯びているので、それが再びレンズにくっつく可能性も高い。
一応静電気防止刷毛を使っている物が多いので取れるのかもしれないが、
逆にほこりそのものは刷毛にも付かないような気もする。
また「汚れ」は取るどころかむしろ押しつけることになるのでよろしくない。

まとめると、ほこりに関しては非接触式>湿式>乾式で良好な効果が考えられ、
べっとり汚れでは湿式≫非接触式≫乾式が有効となる。

ほこりの中には硬度の高い物質も多く含まれている(レコード針がすり減りは、
ほこり中に含まれる硬度の高い物質、例えば石英片などが擦れることにより起る)ので、
それを付けた間レンズを触ると、レンズに傷を付ける可能性がある。
ゆえに、刷毛式は余り好ましくない。
非接触式の方がましだとは言えるが、だからといって空気で飛ばしたところで
そのときに傷を付ける可能性が全くないわけではない。

湿式では汚れは取れるが完全ではないので、徐々に汚れがレンズ周りに蓄積される。
まして汚れたクリーナーを使い続ければなおさらである。
実際ドライブを分解してレンズを見たことがあるが、
ガラスを濡れぞうきんで拭いた後のような感じといえばわかるか、
ああいった「拭いた跡」がはっきり残っていた。
こうなると、余り頻繁にクリーニングするのはよろしくないとも言える。
(うっすらと汚れが付いたままの方がかえって良いかもしれない。)

結局、乾式では汚れはほぼ取れない。むしろ刷毛で押しつけてしまったり
傷を付ける可能性がある。非接触式は傷は付けにくいが汚れは取れない。
湿式はほこりが取れにくい上に汚れを溜める可能性もある。

そもそも、レンズ上に乗るほこりは少ないので、ほこり取りにクリーニングする意味は
あまりない。どれほどの効果があるかきわめて疑問である。
逸品館では「効果は絶大」とあるが、これに関してははなはだ疑わしい。
思いこみが大きい可能性が高い。
ただ、「DVD用がCD用より効果が高かった」という報告に関しては、
DVDの方が波長が短くほこりや傷に弱いこと、およびディスクの回転速度が高いことを考慮すると
妥当であると言える。

ドライブによっては「市販のクリーナーは使うな」と書いてある場合もある。
その場合も非接触式は問題は起こさないだろうが、クリーニング効果があるかどうかは
不明だし、そもそも非接触式は使えない場合もある。
まあ少なくとも、接触式よりかは問題を起こす可能性がない分「まし」とは言える。

        お勧め度        60%

DVD-RAMドライブを、おそらく仕事上日本で一番たくさんクリーニングしてきた経験から言えば、
ドライブクリーナーとしてそれなりの効果を実体験しているのは湿式のみと言える。
このZ1もとても効果があるとは言えない。

汚れがあまりないと思われる環境なら、レンズクリーニングはそもそも必要ないのかもしれない。
いい音で長く聞きたいなら、そもそも良い空気の中で聞く必要があるということだ。
悪臭を放つなんぞ、もってのほかなのである。

そういう意味ではクリーニングディスクより、空気清浄機の方がよほど効果がある様な気がする。
→といいたかったけど、空気清浄機をよほどドライブの近くに置くなら解らないが、
同じ部屋の中に置くくらいでは効果があるとは思えなかった。

まあ、このクリーニングディスクも高い物ではないので、
気休めに買っておく位はしても良いかもしれないが。
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