「HD−56MH700」(2007/04/23〜06/18号)
{商品紹介}

        デジタル放送対応 リアプロジェクションTV
        
        BIG SCREEN EXE
        「HD−56MH700」
        http://www.jvc-victor.co.jp/tv/projection/hd-56mh700/index.html

        ビクター
        定価    840000円(税込み)
        買値    395000円(税、送料込み)

        ・・・どうして買う気になったか・・・

以前紹介のデジタル放送対応レコーダー「RD-XD71」の導入により
地上波の画質が格段に良くなった。
地上波デジタルは綺麗、BSハイビジョンはもっと綺麗である。
しかし、デジタル放送は基本的に16:9を前提としているようで、
4:3のテレビでは横が切れたり一回り小さく表示されてしまう。

こうなると、もっと大画面で見たいという欲求が急速に高まってきた。

でもプラズマや液晶は消費電力(詳細は後述)などの問題があって買う気にならないし、
しかも2007年暮れにはSEDというもっと綺麗な新方式の物が出るはずである。
(これを書いた時点では、まだ特許問題は出てなかった。)

しかし
・そこまで待つ(待てる)のか
・新方式には技術的課題がある場合があり、すぐには買わない方が良い
ということで、今の時点で一番良い物を買うことにした。
さらに、
・Pianoプロジェクタのランプの寿命がもうすぐ来る=3万ほどの出費がかかってしまう
という事情もあった。
これを他人に言わせると「自分勝手な理論武装」というそうな(^_^;)。

大画面&薄型TVではプラズマと液晶が有名である。
それらの価格は以前に比べ急速に下がっているとはいえ、40型以上ではまだ高い。

日本ではプラズマ/液晶が大画面の代名詞だが、実は北米や中国では
第3の方式;リアプロジェクション方式(以下リアプロ)も結構売れているらしい(「売れていた」と書くべきか)。
その心は、「インチあたりの単価が格段に安い」ことにある。
プラズマは50型まで、液晶は32型までは値段が下がってきているが、その上はまだ高い。
画面サイズと価格で考えると選択肢は「リアプロ方式」しかなかった。

このような投影タイプをプロジェクション式と呼ぶが、
最近PCを使ったプレゼンテーションとかに使われるプロジェクターは
スクリーンに対して前から投影するので「フロントプロジェクター」と呼ばれる。
以前紹介したプロジェクターPianoもそうである。
これに対してリアプロは、透過スクリーンに後ろから映像を投影する。
透過スクリーンをわかりやすく言えば障子のようなものである。
これに後ろから投影するから「リア」である。

プロジェクターは液晶やプラズマとは違い、見ている画面上で映像を作るのではなく、
一旦非常に小さな場所に絵を作成してそれを投影する。
「小さな場所」から投影するので別名「マイクロディスプレイ(MD)方式」ともいう。
業界はこのMD方式というのを統一名称にしたようである。
この「小さな場所」についてはメーカーによっていろいろな方式があるが、それについては後述する。

実は日本でもかなり以前からリアプロは売られており、
駅などにある、古い大画面はおおよそリアプロ方式であるが、
画面が暗いという致命的欠陥があり、日本では売れなかったと聞く。
私も以前の画質なら、いくら安くても買わなかっただろう。
しかし、ここ最近のフロントプロジェクターの進歩がリアプロにも波及し、
長足で進歩した。

うちではPianoで60インチを実現していたので、やはりそれ以下の大きさにはしたくない。
また、今回の大画面TV購入を持ってPianoは引退させる気である。
(当然29型TVも引退。)
なぜなら、プロジェクターを使うときには部屋を暗くしてスクリーンをかける必要があって
面倒だからだ。しかも、締め切るので夏場はエアコン入れても暑い。
そういった手間を省いて楽に大画面で見られることが重要なのである。

ということで、リアプロ方式の物が全て揃っているヨドバシ梅田店に行くことにした。
デジタル一眼レフD50の紹介時にも書いたが、
ここの展示は非常に理にかなっており、比較がしやすい。
テレビでも液晶、プラズマ、リアプロ各方式、各メーカー、各サイズが
揃えられていて比較が非常にしやすい。
ただ1つ、写されているソ−スがもっと高画質&統一されているともっと良かったのだが。

実は日本でリアプロを「それなりに力を入れて」作っているメーカーは少ない。
ビクター、SONY、エプソンの3社だけである。
それも以前は北米向けが中心で、日本で本格的に売り始めたのはここ2〜3年のことである。
(SONYは結構昔から国内で売っていたが、売れていると聞いたことはない。)
折しもSONYはフルハイビジョン対応の新型機を発売し始めたばかりだったが、
新製品だけに高く、また色合いがビクターの方が良かった。
(その後SONYは一気に実売値が下がったけど。)

エプソンはこれより前に一度梅田のショールームでじっくり見せてもらったことがあった。
実に美しかったのだが、スピーカーが横に付いているので幅がありすぎて65型は絶対に入らない、
55型はビクターに比べちょっと高い、それに後で説明するが「透過液晶方式は寿命が短い」
という問題により却下した。
ただし、フルハイビジョンリアプロの美しさを認識したのはこのエプソンの機種なので、
その功績は大であったと書いておく。

ビクターのMH700には大きさとして70、61、56、52型の4種類があるが、
70は大き過ぎるし価格もどんと上がるのでだめ、
52は最新型ではあるがちょいと「小さいと思う」という感じであった。
今のテレビが29型、プロジェクターのスクリーンが4:3の60インチ、
16:9で表示すると1割減って54インチ位なのでやはり61か56が候補となったが、
最終的には56型にした。

理由は
・56型の方が4万円ほど安く、目標としていた40万を切っていた
・小さい分ピントがびしっと合っている感じがする
 (プロジェクション式は、要するに「投影」なので大きくすればするほど粗も見えやすくなる。)
と、後もう1つあるのだが、それは後述する。

他メーカーや上記メーカーでも「フル」でないハイビジョン機はかなり安い。
10万は軽く下がる。
でも今買うからには将来を見越してフルハイビジョンは必須と思っていたので候補に入れなかった。
(「フルハイビジョン」についても後述。)

実際に見ての調査は主に梅田のヨドバシで、値段調査は日本橋のヤマダ電機、上新1番館でも行った。
最初は日本橋まで行く気はなかったのだが、ヤマダ電機が梅田<->日本橋間に無料送迎バスを運行しており、
行ったときにたまたますぐ来たから乗ってみた。
(梅田の乗り場はヨドバシのちょっと向こう側。)

ヤマダ電機には初めて行ったが、日本橋の電機や本筋からは少し離れているのでわかりにくい。
店は広くて品数もヨドバシほどではないにせよそこそこ豊富だが、展示仕方はヨドバシに軍配が上がる。
それにしても店員が異常に多い事よ。売値はそこそこ安いし、あれで人件費まかなえるのか?
(某団体系だから、ひょっとして無償奉仕?殆どがメーカーからの出向という噂もあるが。)

値段はヤマダで55万、上新では68万という提示で(ヨドバシは聞いてないけどインターネット価格は
上新と同じくらい)、やはりインターネット店での価格には遠く及ばなかった。
+10万〜20万ではさすがにねぇ。上新は対応が良かったので値段さえ合えばと思ったのだが。
最終的に買ったのは「日本テレホンショッピング」という所。
素早い対応でなかなか良かった、と書いておこう。

        ・・・大きさ&重さ&消費電力・・・

●画面サイズ    56V型 / 横124.0 × 縦69.8 × 対角142.3cm
●外形寸法      幅131.8cm×高さ96.7cm×奥行43.4cm
●質量          43.0kg
●消費電力      217W(リモコン待機時:0.5W)

製品本体は上記通りで見るからに大きいが、
前のブラウン管TV KV−29DRX5が

●外形寸法      幅74.6×高さ56.9×奥行52.6cm
●重量          54.9Kg
●消費電力      230W(リモコン待機時:0.4W)

だったから、約4倍の画面面積でも奥行きが小さく・軽く・消費電力も少なく、
重量もこのサイズにしては非常に軽いと思う。

ただし、箱入り状態では「147.0×108.5×58.0cm 」で55Kgとなる。
家に入れる際は箱に入れたままになると思うので、これが入るかどうかをチェックしなければならない。
(マンションなどで階段やエレベーターを使う場合は特に注意。)

ちなみに、ビクターの製品で近い大きさのプラズマ/液晶は

プラズマ
PD-50DH50
●画面サイズ    50V型:幅110.7cm×高さ62.2cm×対角127.0cm
●外形寸法      幅135.0cm×高さ83.6cm×奥行11.0cm
●質量          本体50kg
●消費電力      450W(リモコン待機時:0.8W)

液晶
LT-46LH800
●画面サイズ    46V 型:幅101.9cm ×高さ57.3cm ×対角116.9cm
●外形寸法      幅112.6cm ×高さ 77.5cm ×奥行12.0cm
●質量          37.6kg
●消費電力      295W (リモコン待機時0.2W)

という感じだから、リアプロ方式がいかに省エネか解る(プラズマは倍以上ある!)。
奥行きサイズはともかく、重量も大差ない。

液晶やプラズマに比べるとリアプロは奥行きがあるように思えるが、
その高さからすると少し前のめりに感じるほどなのだから、
少し奥行きがあった方がかえって安定すると言うもの。
液晶やプラズマでは絶対に転倒防止対策が必要だと思う。

液晶が意外に電気食いなのに驚く人が居るかもしれないが、
液晶表示板そのものは動作原理から言ってさほど電力は食わないはずなのだが
(液晶そのものは理論的には電圧だけで制御可能だから。
太陽電池で動く電卓や時計を見れば理解できると思う)、
バックライトや制御回路が食っていると思われる。

プラズマは基本原理が蛍光灯なのでやはり電気食いである。
これくらいになると電子レンジを動かし続けているようなもんで、
少なくとも私にはこの消費電力だけでも「買う気にならない」。
(プラズマを買う人はこの消費電力が気にならんのだろうか。消費電力なんて気にしてない?)

本当は61型のが欲しかった。
しかし、外形寸法とうちの階段の寸法を測り比べると、わずかな差で入らないことが解った。
知っている人は知っているが、うちは京町家の構造で押し入れの中に狭くて急な階段がある。
大きな物でも玄関までは入るが、この階段を超えることが至難の業なのである。

今回買った店では玄関までは無料配送だが、設置までとなると18900円もかかると言われた。
最初京都に住んでいる友人に頼んだが断られたので
どうするかいろいろ考えていると「便利屋」というものを思い出した。
(最初「何でも屋」で調べるがないので検索してみると、「便利屋」という分類であることが解った。)
インターネットおよびタウンページで調べると京都にも結構あるが、
どこにすればいいのか解らないので、インターネットにもサイトがあり、
そこに書いている文言が良かった「Benry」(http://www.benry.com/)という所にした。
私1人+他1人で良いと思っていたが、一応2名来てもらった。
結果から言えばこれが正解で、2人では運び上げられなかった。

箱に入れたままの移動は絶対に無理。
本体だけにするとスクリーンの破損が怖いので「出来ない」という返事であったが、
上げなければ使えないので「私が補償するのでやってくれ」と言って、
本体、特にスクリーン周りを慎重に保護して移動を開始した。
何度も向きを変え、そのために部屋の中の扉を外したり手すりを外したりいろいろしながら何とか階段部へ入れ、
そこからは上1人が引き上げ、下2人が押し上げるという体制で、
結局大方1時間はかかったろうか。
2階まで上がってしまえば、後はテレビ台の上に載せるのは楽々であったが、
とにかく1階から2階への移動が大変であった。
これで派遣料は6300円(税込み)だから、安いと言えよう。
(出張費2000円、人件費2000円*2人。品物移動作業時は1品1件と数えられる。)
Benryの感想を書いておけば、丁寧な対応で非常に好印象であった。
今後も何かあれば使いたいと思う。

それにしても本当にぎりぎりだったので、61型を買ってたら絶対に階段からの移動は無理
=クレーンで窓から入れるからもっと高くなっていたのは必至。
階段の幅だけでなく、現在のホームシアターの装置およびスピーカーの設置状況からしても、
幅として取れるのは56でぎりぎりであった。
Piano用スクリーンは60インチタイプなので61型でも入るかと思っていたが、
Pianoは4:3で60インチ≒16:9では54インチ程度になるのだ。
この点でも56型はぎりぎりだったわけである。
(事実、スピーカーとの間はもう10センチも空いてない。)
これ以上にするときは搬送方法だけでなく、ラックも含め非常に大規模な変更が必要となっていたわけで、
56型にしておいて良かった。

なお、ビクターに事前に問い合わせたところ、搬入時も光学系保護のため筐体を傾けない方がよいとの事であったが、
うちでは階段で45度以上前方向も横方向も傾けたが異常は発生していない。
だからといって長時間その状態で保持したり、
なおのこと過剰な振動や衝撃を与えるのはよろしくないのは言うまでもない。

前にも書いたとおり大きさの割に軽いので、一旦設置してしまえば向きの変更位は楽に出来る。
ただ、とにかくスクリーンには触ってはいけない。
透過スクリーンはやわなのだ(柔らかいという意味ではないが、ブラウン管のガラスのように頑丈でもない)。
子供がいてスクリーンを触れてしまう様な環境では絶対に設置できないだろう。
うちでももう少し前なら絶対に無理だったと思う。
スクリーンは筐体の中で、下を除いて上左右はサイズぎりぎりまであるので、
周りを触るつもりでスクリーンに触れてしまうことがあるので注意。

思いの外筐体がでかく、なおのこと筐体は周りが黒で見た目一回り小さく見えるので、
注意していないとぶつかってしまうことが(本当に)多い。これも要注意である。
ではあるが、この色のおかげで、圧迫感はあまりない。
デザインは画面ぎりぎりのフレームの下部にスピーカー、
前面には電源ボタンと小さなランプ3個(通常点灯するのは1つ)しかないという至ってシンプルなもの。
個人的には気に入っている。

スクリーン後部はすぐ斜めに落ちているので物を置くことは出来ない。
まあ、スクリーンを変形させないためにもその方がよいが。
うちではTV前にとある小物を置いているが、何であるかは
趣味がばれるので秘密(^_^;)。

箱の処分は当然自分で行う必要がある。
箱も取っておきたかったが、分解できるとはいえかなり大きいので置いてはおけなかった。
カッターで細かく裁断、緩衝材(発泡スチロール)も細かく砕いて棄てた。
これだけでもかなりのゴミが出る。
京都市は2006年10月からゴミ収集が有料になったが、その前に出せて良かった。
余談で、DRX5の箱もでかかったがこれはまだ新潟にあって、
車のチャイルドシートの入れ物になっている。

今回の購入に際しては、テレビ台は前の物をそのまま流用している。
29インチのテレビが載ってちょうどの台なので、56インチには当然小さい。
足の部分が左右8センチずつほど台からはみ出ている状態であるが、
何せ軽いのでそのこと自体は多分問題とはならないだろう。
ただ、MH700は重心が前寄りにあるようで、前面を台の前に合わせると
かなり不安定になるため少し後ろにずらし、下に耐震ゴムを噛ませてある。
本体後ろには転倒防止のワイヤーを通す部分があるので、
本当は後ろの壁との間にワイヤーを渡すべきであろうと思う。
ただこれ、ちょっと下過ぎる気がする。もう少し上にないと転倒防止にならんような気が。

純正のテレビ台が高さ約40センチであるのに対し、このテレビ台は50センチあるので若干高い。
まあこの高さで椅子に座って画面の中心がちょうど視線の高さに来るくらいなので
特に問題には思ってないが、後で書く画面のてかりはこの高さゆえんかもしれない。
将来的には台を買い換えたい気もするが、何せ10万円近くもするので当面無理である。

本体の後ろ側に投影用ランプとその放熱口もあるため後ろ側を壁にくっつけて設置してはいけない。
メーカーのホームページにある設置例では壁にくっつけている例があるが、
あれはしてはいけない例である(取説に何センチ開けろとちゃんと書いてあるのに)。
この放熱口から出てくる熱量はかなりあるので、放熱には要注意である。
ファンも付いているが、音を出しての視聴中ならファン音はほぼ聞こえない。
夜間等静かな状態で、微量音/無音時に少し聞こえる程度である。

寒い季節には、ランプからの熱による筐体の膨張できしみ音が出ることがある。
しばらくして暖まってくると出なくなるが、「大丈夫か?」と、ちょっと気になる。

ランプの寿命についてはカタログにもどこにも書かれていないが、
ヤマダ電機の店員は3000時間程度と言っていた。
他のリアプロ機では1万〜8000時間と書いてあるので、ビクターだけがこんな極端に短いことはない
と思うので実際にはもっと保つのだろう。
ちなみにPianoプロジェクターは1000時間なので3倍(以上)長いことになるが、
これは、リアプロは光学系が筐体内部だけ=短いのでランプを高出力にしなくて済むからだそうだ。
プロジェクターは何メートルも後ろから映すのだからそれだけの光量が要るが、
リアプロはせいぜい1m未満だからである。
交換ランプは定価では15000円(税別)。

3000時間と言うことは、1日平均3時間視聴として1000日、約3年という計算になる。
うちの場合、土日は下手すると12時間くらい見ているが、平日は1時間も見ていない日が多いので
ちょうどだろう。
3年に1回15000円かかるのは高いと思われるかもしれないが、
液晶やプラズマと比べ消費電力が少ないので、その差で元は取れるから決して高くはない。
手間はかかるが、交換自体は簡単に出来る構造になっている。

チャンネル設定などの初期設定はXD71とほぼ同じ。
でも、こちらの方が簡単。
CH設定は自動で行われるが、なぜかXD71より長い時間がかかるので、
余裕を持って行う必要がある。

        ・・・画質・・・

画質は「非常に綺麗」の一言に尽きる。

これは画素数がフルハイビジョンスペックである
        1920(水平) × 1080(垂直)
だけあることにもよるが、それだけなら同じ画素数を持つ液晶やプラズマでも
同じになりそうだが、実際に見比べると画素数以上の美しさの差がある。

おそらく、何も言わずにこれを見せたら「液晶/プラズマどっち?」と聞かれるだろう。
液晶やプラズマには見え方に特徴があって、知ってる人なら見ただけでどちらかはっきり解るが、
リアプロはわかりにくい。それほど綺麗で自然な絵が出ている。

逆に、解像度が「フル」でないハイビジョンの
        1280(水平) × 720(垂直)
より多い、というだけから来るものではない。
店頭で見比べたくらいではこの2つの解像度の差はよほど近づいてみない限り顕著には解らない。
あえて言うなら、斜めの線のなめらかさが違いでわかる程度。
だから「720ので十分」という人もいるようだけど、
この差は慣れるとはっきりわかりようになる。
今ならほぼ確実にどちらか言い当てられると思う。それだけ差ははっきりある。
720なら10万以上安くなるが、やはりフルハイビジョンにするべきである。

綺麗さは色や階調の再現性などに依るところが大きい。
以前、友人が液晶テレビを買うというので日本橋に付いて行ったことがあり、
列んでいる各社の色/階調具合をじっくり見たことがあったが、
        東芝>ビクター>三菱>>>他
という感じで、この3社は僅差で(好みの問題のレベル。三菱は赤が艶っぽい)、
他は色が「嘘」(見た目には綺麗だが本物の色じゃない)だとか、
階調が足りなくてのっぺりするとかの問題があった。
特にPanasonicやSHARPはひどい。
今回は東芝ではないが、東芝はリアプロを作ってないから仕方ない。

昔のリアプロはとにかく暗いのが問題だったが、MH700は非常に明るい。
昔の機種は四隅が暗くなるとのもあったようだが、そういう現象も全く見られない。
画質はダイナミック/スタンダード/シネマ/ゲームの4種類があるが、
ダイナミックでは明るすぎて目にきついくらい(店頭でのデモ用?)、
スタンダードでもまだ明るく、シネマでちょうどくらいである。

発色は素直で嘘色が少ない。液晶で見たビクターの色作りの傾向はリアプロでも同じようだ。
特に後述の動作原理からも解るが、光の3原色;赤、青、緑の発色は素晴らしいと言える。
(輝度を上げすぎるとちょっときつく感じるかもしれない。)
基本的に発色の傾向は映画館のそれに近く、目に優しく感じる。
(映画館もプロジェクション式だから。)

ビクターは元画像を作るための素子、最初に書いた「小さな場所」として
「D-ILA」という独自開発素子を使っている。
光をプリズムで赤、青、緑に分光し、それぞれを担当するD-ILA上で作画し、
それをまた合成して投影する。

D-ILAの詳細は下記HPにあるが、
http://plusd.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0407/23/news081.html
http://www.jvc.co.jp/company/technology/engineer/dila1/index.html
(後者にはD-ILA以外の技術紹介もあるので一読をお勧めする。)
簡単に言えば、液晶の下に鏡を置いて、液晶をコントロールすることで鏡からの反射光を
通したり遮ったりする方式である。
SONYのSXRDもほぼ同じ。
これに対しエプソンは反射ではなくずばり液晶板に光を通す透過型。
上記3方式はいずれも光の3原色であるRGBに分けて映像を作成し、
それをプリズムで合成して表示する。

以前紹介のPianoはDLPという素子だったが、これは素子上に小さな鏡が形成されており、
その角度を変化させることで光の反射角度を変化させて制御する。
DLPも原理的には3原色に分けて処理できるが、映画館用の高級機を除き、
家庭用のDLPはカラーフィルター(色セロファン)を回し、
時分割で切り替えて光を透過させて色を合成している
(DLPの製造元メーカーが「家庭向け機器ではそうしなさい」と言っているらしい)。
これは人間の目にある残像を使った合成法とも言える。
ただ、それは人側の目の能力によって左右されるため、
動きが激しかったり、ノイズが多い画面では「カラーブレーキング」という現象;
色がずれて見えたりすることがある。

MH700では3原色を合成してから投影するため、正味1ドット毎に本来の色で発色する。
TVを初め、プラズマ、液晶、SEDもパネル上でRGB別々に点灯させており、
見る側が出てくる光を目の上で合成して見ている感じである。
画面を虫眼鏡で見るとその様子がよく分かる。
(50型くらいのプラズマになると、肉眼でも十分解る。)
リアプロは表示前に合成しているのどれだけ拡大してもそのようには見えない。
ゆえに、輪郭に偽色が出たりするということが原理的に発生しない。
このような1ドットで全ての色を発色する方式は目に優しいという研究もあるようだ。
実際にプラズマを近くで見ると目にちかちかするが、リアプロでは近づいてもそういう感じは全くない。

D-ILAは素材的には液晶ではあるが、液晶テレビと違い非常に小さな素子で高速応答するので、
液晶テレビにあるぬめっとした画像の遅れ感(動画像ボケ)は全くない。

ブラウン管やプラズマは1/60秒に1枚の映像を表示するが、
実は映像があると見えるのは人間の目に残像があるからで、
それがないと映像は一部しか見えない。
これは、ブラウン管に映る画像を1/60秒以上のシャッター速度で写真に撮ると
一部しか映らないことからも解る。
ブラウン管が1〜3本の電子線ビームで映像を作ることが出来るのはこれ故だ。
プラズマも発光は一瞬である。
液晶は次の画像が出来るまでの間は前の画像はそのまま表示されているので、
目にはぼけたように見えるのである。

D-ILAやSXRDの利点は開口率が高いこと。
開口率とは、簡単に言えば面の中で実際に光の制御に使える部分の面積の比率であるが、
D-ILAでは80〜90%もある。このため光のロスが少なく画面が明るくなる。
これが透過型だと50〜60%まで下がるので、同じ明るさを出すにはより強い光源が必要となり、
また液晶部分での光の損失が多いためそれが熱となって液晶に溜まりその寿命を短くする。
最新型のD6やD7は違うが、エプソンのD5と呼ばれる世代までの透過液晶は有機素材を使っていたため
熱に弱く、下手すりゃ数年で劣化すると言われた。
D-ILAも液晶だが無機素材だし、反射型では効率が良いのか寿命はかなり長いらしい。

開口率が高いということは画素間の間隔も狭いということで、実際画面上のドットは
50センチも離れると完全に見えなくなる。20センチくらいにまで近づいてやっと見えるという感じ。
同じく開口率が高いと言われるDLPよりもさらに良好である。
この点では液晶やプラズマは全く相手にならない。
(フルハイビジョンのプラズマは特にはっきり見える。1m離れると見えなくなるが。)

明るい〜暗いの階調表現は「もう少し頑張って欲しい」というのが正直なところ。
マッハバンドという、輝度境界が過剰にはっきりする現象がよく見える。
これは、階調表現力が足りないときに見えてしまうもので、
人間の目は階調の変化点を過敏に見つけやすいという特徴を持つゆえに発生する。
逆に言えば、これが見える機器は階調表現力が優秀ではないと言える。
MH700では特に色が徐々に変わるような映像、例えば夕焼けや海の水中から上空を見上げたとき等にマッハバンドが見えやすい。
アニメでも実写でも起こるので、元映像側の問題ではない。
(もちろん静止画で顕著に見えるが、動画でも出る。)

マッハバンドはRGB各8ビット(2の8乗*3色)以上表現できれば出ないとされているはずなので、
MH700は8ビット分の階調表現が出来ていないと思われる。

うちのPCには10ビットパネルの液晶を付けているが、同じ画像をPCとMH700で見比べると、
PCの液晶では見えないがMH700でははっきり見える。
ただし、これはPCの画面のプロパティーの「画面の色」を32ビットにしたときとの比較で、
16ビットにすればMH700と同じようにマッハバンドが盛大に出る。

MH700に搭載されているD-ILA素子はデジタル制御である。
それは「光の反射量をアナログ的に変化させるのではなく、反射あり・なしだけで制御する」という意味である。
反射するしないだけでは色を出す出さないは制御出来ても、階調=濃淡はどうやって作るのか。
これはデジタル積分で実現される。
ある一定時間内において反射させている時間を変化させることで濃淡を作るのである。
テレビの画像という物は、1/60秒または1/30秒に1枚作られるので、その間にこれを行う。
ただこのデジタル積分方式で表せる階調には限界があるので、階調表現には弱さがある。
パイオニアの最新プラズマである「KURO」でもマッハバンドは見える。
デジタル積分方式の宿命的問題なのかもしれない。

MH700のマッハバンドの問題は、このデバイスとしての表現能力の限界と思われる。
内部画像処理回路(ジェネッサ)の処理ビット数の問題かもしれない。
ドット単位の発色は優秀なだけにこの点は非常に残念である。

マッハバンドの発生は輝度を上げてやれば若干良くなるが、
下手すると白側が飛ぶので慎重に調整する必要がある。
(基本的には白が飛ばないぎりぎりまで上げる。)

また、暗部での粘りもあまりない。暗部がすぐに真っ黒になってしまう。
もう少し頑張って欲しいがPianoよりかは頑張っているのでまあまあである。
数値上のコントラスト比は5000:1である。
Pianoでは暗部にノイズが乗ることが多かったが、MH700にもその傾向がある。
暗い部分にざわめきノイズが入る。
特にアニメのように暗部がはっきり下手で塗られるような画面で目立つ。
自然の景色のような場合には目立たない。

DLPやプラズマもこの方式なので同様。
ブラウン管TVやSEDはアナログで濃淡が調整できる(はず)なので階調表現では有利である。
液晶もアナログ制御だが、その制御に限界があるので、やはり階調表現は苦手である。
(画面がベタになりやすいのはそのためと思う。)

先に書いたDLPにあったカラーブレーキングは、原理的にも発生しない。
見えないときは全く見えないが作品によっては目立つこともあるこの現象、
Pianoでは気になっていたのだが、これがないのはうれしい。

標準状態でもかなり綺麗だが、画質調整機能も豊富で、
特にシネマモードではかなり細かく設定できる。
(いじるとどう変わるのか解らない項目もある。)

ところが1つ問題があって、その設定が上記4つの画質モード毎+テレビ放送にしか記録できない。
入力端子別ではないので、同じモードでもテレビと外部入力、しかも端子別に色が違ってしまう。
普通こういう物はモード別の他に端子別にも覚えるべきだろうし、DRX5はまさにそうなっていた。
いくつかの設定を覚え込ませるメモリー機能もない(RDシリーズですらあるのに)。
この点、ビクターの画質調整はせっかくの調整機能が豊富なのに生かし切れないという、
片手落ち状態と言わざるを得ない。大きな欠点の1つである。
(入力端子毎にモードを変えるという手もあるが、連動させられないので面倒。)

しかたないのでうちではMH700のシアターモードにRDを割り付けRD側で画質調整、
スタンダードモードに対してDVDプレイヤーとしてこれはMH側で調整した。
RDの画質調整機能は余り細かいところまで追い込めないので、
本当はDVD視聴で一番良く使うX4に合わせて調整しても良いとは思っているのだが。
(この記事を書いた時点ではRD-A300は買っていない。)

画像の表示位置調整が出来るが、↑↓のみ。
DVDは画面に対してわずかに小さめに表示される(場合がある)のだが、そういうときに調整する。
左右の調整が出来ないが実用上問題はない。
また、TV放映は常に全画面になっているので関係ない。

入力端子別画質は、つないでいる機器が違うので一概には言えないが、
アナログ系はコンポーネントが一番綺麗で次いでD端子だが、S端子も意外に綺麗である。
コンポーネントとD端子は信号の理屈的には基本的に同じだと思うのだが、
MH700はどうもD端子の映像がきれいでないような気がする。
コンポーネントやD4端子では1125i/750pという解像度まで受け付けるが、
450i位までしか受け付けないはずのS端子でもかなり綺麗に見えるのは
解像度変換処理が優秀だからであろう。
むしろ、細かいところが抜けて少々絵が甘い目になる分優しく見える。
人の目には、何が何でも細かく見えればいいと言うものではないらしい。

一番綺麗なのは、やはりデジタル転送であるHDMI端子である。
これで接続するためにDVDプレイヤーを買い換えた(Pioneer DV-696AV-S)のだが、
色合い、階調表現共に一番良かった。
特にS端子との差は歴然である。

DV-696AV-Sでは自前で解像度アップ処理がかけられ、HDMIで1920*1080で出力することも可能である。
おおよそ、プレイヤー側でやる方が綺麗であるが、一部の映像ではMH700側でやった方が綺麗に見える。
(プレイヤーは720*480pで出力させ、MH700側で拡大処理をさせる。)
やはり表示デバイスの特性を知っている方が良くなる場合があると言うことであろうか。

なお、HDMIへの切換時には接続認証が入るため数秒の待ちが入る。
この間画面が黒/音声が切れるが気にしないように。

今回の調整でRDシリーズの色の良さの順位がはっきりわかった。
X4>XD71>XS30である。前2つはプログレッシブで出力できるのでまず解像度で
大きな差があるが、X4とXD71ではXD71の方がブロックノイズがかなり目立つし色合いが浅い。
もっとも、X4はコンポーネント、XS71はD端子接続なのでその差はあるかもしれない。

前のDVDプレイヤーDVP-NS715PとXS30のS端子接続における色合いなどは良い勝負であった。
ただ、NS715Pは輝度揺れをおこしやすような気がする。
NS715Pのコンポーネント出力をDRX5に入れてMH700のSの映像と比べると
色合いや階調表現性はDRX5の方が格段に上である。画質を調整しても差は殆ど縮まらなかった。
これがSとコンポーネントの差なのであろう。

全体で見ると、色合い・階調共に
HDMI接続のDV-696AV>DRX5へコンポーネント接続のDV-696AV>S接続のDVP-715P
という感じである。

地上波デジタルの一部やBSハイビジョンの画像はソースとして
1920×1080または1280×720の画素数があり一番綺麗に見えるのは当然であるが、
DVDも720×480程度だが大画面の中のそのサイズだけで表示されるわけではなく拡大処理がかけられ、
それも単純拡大ではなくいろいろとやっているようでかなり綺麗。
斜めの線を見ても段々になることはなく綺麗につながる。
動きが速い画面でたまに段が見えるがそれは仕方のないところ。

とにかく、拡大されているのが丸わかりで粗が見えすぎて困ると言うことは殆どない。
むしろ、ハイビジョンでもMPEG2の圧縮ノイズが見えてしまう。
ここまでの大画面になると、もはやハイビジョンの解像度ですら物足りないという
世界になってしまうのである。

RD-X4EXでの録画なら、4.0Mbpsまで=解像度が720*480(Full-D1)までなら
拡大による映像の破綻はほぼ見られない。
さすがにそれより下の352*480 (Half-D1) にするときついものがあるが
それでも「あぁ、拡大されているな」と思う程度。
この処理に関して言えば、エプソン機よりMH700の方がずっと綺麗に思える。

29型では問題なかったが、やはり大画面に耐えられる画質にするには録画もそれなりの
ビットレートにする必要があるということである。
そんなことも含め、早く次世代DVD録画機が早く欲しい。

カタログには「新ジェネッサ」という回路があって綺麗だと書いてある。
特に「グラデーション部のブロックノイズを低減」としてMPEG特有のブロックノイズが
低減されていると書いてあるが、これについては低減されていると思う画面もあれば
「どこが低減されてる?」と思う画面もある。
ブロックノイズがある程度以上にひどくなるとさすがに処理できなくなるようだ。

逆に言えば、見えるときは圧縮ノイズがどこに出ているかまではっきり見えるので、
映像を作った者の技量というか意図まで分かってしまう。
DVD等で使われる画像圧縮方式MPEG2では、一定時間あたりのデータの総量に上限があるため、
細かい画面だと圧縮データ量が増えるため、どこかに圧縮ノイズが出やすい。
それをどこに出すかも、DVD作成者の腕の見せ所なのだが
(見えにくい所やどうでもいい場所にノイズを出すようにする)、
それが非常によく分かったりするのだ。
一番感心したのは「涼宮ハルヒの憂鬱」というアニメのオープニングだが、
実にうまく作ってある。

ただ、
・ナチュラルシネマを「入り」にすると横線が見えることがある。
  アニメの画面が縦方向に移動するときによく分かる。
・アニメで、焦点が微妙にずれている画面が誇張される
・ノイズまで拡大されるので、とくに暗部に見られるようなちらつきノイズが過剰に汚く見えることがある
という欠点もある。

横線問題はナチュラルシネマを「切り」にすれば出なくなる、アニメにはこの処理は合わないようである。
(まあ「シネマ」って書いてあるんだから仕方ないのかも。)

焦点ずれは、カメラのピンぼけ画像をと同じように「ぼけて見える」現象である。
アニメはセル画という物をカメラで撮影したものをつなげてゆくが、
このときに焦点ずれがあるとそれが過剰に見えてしまい、ボケボケになってしまう。
TVではあまり目立たななっかのにMH700で目立ってしまう主因は
画面が大きい故であるが、何かの高画質化処理が逆効果になっているのかもしれない。
(DRX5でもボケは解る。)
画質の項目をどういじっても殆ど改善されない(シャープネスをきつくすると若干良くなる)。
それほど多くはないが、アニメによっては数秒間そういう画像が続くことがある。
なお、DVDプレイヤー側の処理で画像をソフトにしてノイズを目立たなくする処理をかけていても
この現象が出やすいようなので、プレイヤー側のノイズ処理関係処理は切っておくもしくは弱くしておいた方が良さそうである。

ノイズ拡大は、作品で言えば「トム・ヤム・クン」がかなりひどく、
特に象の顔面がノイズだらけになってかなりに見にくい。
TVで録画したアニメの中にも、録画解像度を上げていても汚く見える作品がある。
各種高画質化回路も、苦手とする映像があるようだ。

DRX5に搭載されていた高画質化回路DRC-MFと比較すると、斜め線の処理などは
新ジェネッサの方が格段に上だが、粗の隠し方はDRCの方がうまかったような気もする。
まあ画面の大きさが違うので単純比較は出来ないが。

・・・2008/06/25追記・・・

HDMI端子からの映像ははっきりくっきりだが、ビデオ入力からの映像も、
文字などはさすがに解像度がもろに出るが、映像そのものはなかなかどうしてきれいだ。
レーザーディスクなど解像度を気にしない機器なら、ビデオ端子やS端子も有効に使うべきかもしれない。

        ・・・

ちなみにPianoプロジェクターは848*600で、DVDに対しては拡大処理は入らない。
その分かえって粗が目立たない。
まあ、全体的にちょっとぼけ気味だったからでもあるが(どうやってもピントがビシッとは合わない)。

古いリアプロでは周辺(上下の四隅)が暗くなることがあったようだが、
MH700ではそういう現象は認められない。
4:3の画像で四隅が暗い画像が時々あるが、これはMH700のせいではなく、
その画像そのもののがそう撮影されているようである。
要するにその画像を撮ったときのレンズの特性がはっきり見えてしまうわけである。
撮影者にとっては怖いモニターといえるのかもしれない。

投影であるがゆえの宿命として、画面左右がわずかに傾いている。
RDのタイムバーなど水平線を引くとわかる。
うちの機体の場合は左右端で5ミリほどの差がある。
また、上下も長さに差があり、台形になっている。
枠付きの画像が表示されると解る。
これも上下で5ミリほどであろうか(上が短い)。
固定画素の液晶やプラズマではあり得ない現象だが、投影物なのでどうしても
出てしまうらしい。5ミリ程度は正常な範囲なのだそうだ。
56インチの横幅120センチ=1200ミリに対し5ミリ、
縦幅70センチ=700ミリに対して5ミリ程度なので、通常の視聴には全く問題ない。
特に水平方向は、線などの基準がないと肉眼ではまず解らない。
垂直方向は気が付くかもしれないが、元々テレビ放送信号は
画面の外側まで映像信号が入っていて(フレーム外信号)、これが見える見えないの世界だから
問題ない。
傾きがあってもひずみはないので、横スクロールする画面も綺麗である。

ちなみにDRX5でも画面の右が傾いている。これは平面ブラウン管は
そもそも少し無理があるため、画面にひずみがあるからと思われる。
私にはむしろこちらの方が気にかかる。
横スクロール画面で画面がひずむからである。

チューナーの画質もかなり良い。
XD71と比べ、一目で解るほどの差で綺麗に見える。
もっともXD71からの映像は接続端子の関係でフルハイビジョン解像度にならないという分は
差し引かねばならないが、色合いなどを見ても内蔵チューナーの方がだいぶ上だと思う。

リアプロ方式の隠れた利点に「静電気・電磁波が殆ど出ない」こともあげておこう。
ブラウン管は電子ビーム放射で発光するので電磁波はもちろん静電気もかなり出るのは周知の通り。
だから画面にほこりが付きやすいし、近づくと静電気で高速に動いているほこりが眼球に当たって目によろしくない。
プラズマは微少蛍光灯の集まりなので、その発光時に赤外線領域も含む電磁波が出る。
その赤外線でリモコンが誤動作することもあるらしい(カタログに書いてある)。
遠赤外線ではないので暖かく感じたりはしないようだが、人体(特に目)に悪い影響があると聞いたこともある。
液晶も結構電磁波は出てる。制御回路が真裏にあるからだ。
SEDは理屈上ブラウン管と同じだから電磁波はある程度出るだろう。
リアプロは画像を作っている部分は非常に小さく(MH700ではわずか0.7インチのD-ILA素子)、
さらにそこからスクリーンまではかなり離れており、その間は単なる光だけなので電磁波が殆ど出ない。
電磁波を気にする向きには最適なTVと言えよう。
(家にある簡易測定装置でも検知できなかった。
正確に言えば可視光も電磁波だが、ここで問題にしているのは有害な電磁波である。)
静電気も殆ど発生していないようだ。これは、TVなら必ず付いた画面へのほこり付きが皆無だから解る。

電磁波・静電気がないことに加え、その発色の優しさから見ても目の疲れは少ない。
(ただし、色合いや明るさの調整をちゃんとすればの話。)

ただ、このリアプロにも弱点はある。
それは視野角が比較的狭いことと、光の加減によってスクリーンが「てかって」しまうことである。

最近の液晶では真横に近い角度から見ても絵が見えるが、リアプロは、
特に上下に対しての視野角が狭く、ほぼ真正面でないと色がくすみ暗くなる。
フロントプロジェクターやテレビでは寝転がってもみることが出来たが、
それが出来なくなったのはちょいとつらい。
(全く見えないわけではない。)

MH700ではスクリーンに強い無反射処理をしていないせいか外光が明るいと反射して見えにくくなる。
また、画面中央というか視線の真ん前に当たる部分がてかって見えてしまう。
外光は薄いカーテンをするくらいで防げるが、てかりは解決できてない。

うちでのてかりの1つの原因は後ろの壁であった。
視聴位置の後ろ、私の背中方向にふすまがあるのだが、これが白色である。
この色がスクリーンに映っている。これは対策し、少し改善された。
しかしまだてかりがある。部屋を真っ暗にするとかなり押さえられるので
どこかの光が映っているのだと思うが、対処できてない。

また、スクリーン自体も内部から出てくる光を若干乱反射するようでぎらついて見えることがある。
映像によって気になったりならなかったりするが、見えるときはちょっとまぶしく感じる。
立ったり座ったりして視線を変えても余り変化がないので、
このスクリーンの特性もあるようだ。

てかりを少しでも低減するには、スクリーンを人に向かってほぼ完全な垂直というか真正面に平ら、
もしくは若干下を向くように設置する。
ちょっとでも上向きに角度が付くとてかりが目立つようだ。

エプソン機ではこのような写り込みは感じなかったので、優秀なスクリーンだったのだろう。
エプソンショールームが光加減を一番綺麗に見えるように調整されているのかもしれないが、
ぱっと見の美しさはエプソン>ビクターである。
ただ、エプソンは輝くような美しさ(ちょっと嘘っぽい)なのに対し、
ビクターは原色主義(だから華やかさは足りない)という感じである。
(ソニーの新型も写り込みが少ないらしい。店ではそこまで気づけなかった。)

兎にも角にも、今までブラウン管またはプロジェクターで見ていた映像も
これで見るとかなり違って見えるというのが事実である。
DRX5も最初見たときは綺麗だと思ったが、さらに綺麗に見える。
こんなところにこんな表現がされていたのかと気付いたり、
意外に画質が良いな・悪いなと気付いたりと
映像の見方が変わってしまうほど。
良くも悪くも全てが明らかになるTVだと言えよう。

そうそう、プラズマでは同じ画像をずっと映していると焼き付いてしまうという現象が発生するそうだが、
液晶では発生しにくい(全くしないわけではない)。
事実として、10分くらい一時停止画面で止めていても残像は全くない。
プラズマでもPCに接続できるモデルはあるが、静止画が多いPCをつなぐのは余り良いことではない。
そういう制約はプロジェクタ方式には基本的には存在しない。
(ランプ寿命を考えれば余り長時間は良くなかろうが。)

焼き付きはブラウン管でも発生し、昔「XEVIOUS」というゲームがはやった頃、
ゲームセンターでその文字が焼き付いたモニターがたくさんあったので「XEVIOUS現象」と呼ばれた。
とまあ、そんなことを知っているのは30才後半以上の人だけだろうが。

ゲームといえば、MH700でゲームをするとなかなか迫力があるが、
DreamCastやPlayStantion2をS接続したときにはちょっとぼけたように映る。
しかし、WiiをD端子で接続したときにはその解像度にもかかわらず、全くぼけたような感じがなく美しい。
Wiiの解像度はPS3やXbox360より低いと言われるが、これだけ見えれば全く問題ない。
大画面でのWiiは至極快適である。

なお、確証があるわけではないが、何となく画面が2フレーム分位遅れているような気もする。
画像処理のために遅延が起こっているのではなかろうか。
私のするゲームではそれほど気になる物はないが、1フレームで勝敗が決まるようなシューティングゲームでは
問題があるかもしれない。

        ・・・HP掲載時追記・・・

パイオニアの最新プラズマ「KURO」を見たので、その比較を軽く書いておく。
        発色            MH700>KURO
        ちらつき        MH700≫KURO
        目への優しさ    MH700>KURO
        黒側の粘り      KURO>MH700
        画面のてかり    KURO>MH700(多い)
        入力端子数      KURO>MH700
        調整機能        KURO>MH700
        消費電力        MH700≫KURO(大)
ということで、特に画面に関しては、プラズマの最新機種と比べても
それほど遜色はない。KUROは60インチで定価99万円もすることを思えば、
実売でその1/3の機種がためを貼るのだから、優秀であるといえよう。

        ・・・音質・・・

音質もかなり良い。
もともとホームシアターの一部として購入を考えたので、音はAVアンプと外部スピーカーから
聞けばいいと思っていたが、本体のスピーカーも、10センチ口径のワンウエイのはずだが、
予想以上に良い音だ。
もちろんGB-1の方が良いのではあるが、若干音が軽い嫌いはあるが、TV内蔵のスピーカーとしては秀逸な方だろう。
バスブーストという機能で低音を強調できるが、これを「切り」にするとちょっと低音が弱いので
「弱め」にして一方で低音を-1にするくらいでちょうど良くなる。
ただし、ソースによってはそれでも低音がきついことがあるのでそのときはバスブーストを切る。

音の良さは筐体がでかい分スピーカーおよびそのキャビネットに余裕があるからか、
ユニットの良さか。
スピーカーユニットはビクター独自のオブリコーンという物である。
当然2CHだけだが、ステレオHのちょっとしたドラマやアニメならこれで十分だ。
DRX5は余り音が良くなかっただけに、余計にそう思う。

音の広がりも良い。TVのかなり外側から鳴っているように聞こえる。
これらはゲーム機をつないでも、今までとは違って細かい音まで聞こえることでよく分かる。

αサウンドという機能もあり、上記HP上にも取説にも詳しい説明がないのだが、
「サラウンド回路の要である左右差信号(L-R間接音)にα波周波数でゆらぎを与え(LFO変調いう)、
さらに抜け落ちやすい中音域の音楽信号を自然に補正することにより、聞くだけでリラックスできるような自然で
心地よい音づくりを目指した」ということらしい。
人がリラックスしているときはαはという脳波を出すらしいが、これを模したものらしい。
これをONにすると音がすかすかになる感じがする。
よってうちでは使っていない。

別に「サウンド効果」という機能もあり、音質を変更できる。
音質設定にはユーザーメモリーがある。
音質にあって画質にないというのはどういう事?だとは思うのだけど。
(パラメーターが多くて記録する領域が足りなかったのだとか。)

ヘッドフォンで聞く音も優秀である。
TVのヘッドフォン端子の多くはおまけ程度でノイズが聞こえることが多いが(DRX5でもそうだった)、
MH700はノイズが皆無である。その理由は、もちろん設計が良いこともあろうが、
筐体内に大ノイズ源がないことも要因であろう。

高電圧で電子線を放出するブラウン管はもちろん、微少蛍光灯の集まりのプラズマや
電子回路の集合体の液晶はそれ自身が大ノイズ源である。
特にプラズマは中を覗くとわかるが、かなりのノイズ対策がなされている。
でも、根本的にノイズが出にくい物と、出てるのを押さえ込むのとでは大きな差がある。
この点ではリアプロは原理的に音質が良くなる構造であるといえる。
それは、自身で聞く音の良さにもなるし、周りの音響機器に与える影響も少ないので、
総合的にいい音になる可能性がある。

事実、MH700を置いてからフロントスピーカー(GB-1M)から聞こえる音がかなり良くなった。
細かい音までよく聞こえる。音量も上がったように聞こえる(前よりボリュームを上げないで済んでいる)。
PS7400で従来より-5くらい低くて同じ。
上記ノイズの少なさもあろうし、もう1つ、
画面の真横にスピーカーが立っているのだが、スクリーンはスピーカーよりずっと上まである。
これにより、スピーカーから出た音がスクリーンで反射して前に出てくるから聞こえやすくなったということもあろう。
29型TVのときはスピーカーの上の方が画面の上に位置していたので、
音がTVの裏側に入り消えていたと。

ブラウン管TVでは防磁型でないスピーカーを近づけると色がおかしくなるという現象が発生したが、
リアプロではそんなことはない。これは液晶もプラズマも同じ。
外部のスピーカーを買う場合、防磁型にしておいた方が誤ってブラウン管に近づけても問題ないから
それに越したことはないが、無理にそうする必要もなくなったわけである。
うちでもセンタースピーカーが防磁でなかったのでTVから少し離して設置していたが、
これを期にちょっとだけ近づけた。近づけたというよりスピーカースタンドを作り直して
高くしたという方が正解だが。
もっとも、機器の操作の都合上は離しておいた方が良いのだが。

        ・・・操作性&機能・・・

リモコンでの操作性は悪くない。
XD71の操作性が煩雑なのに対し、さすがにテレビに特化してあるので使いやすい。
特に地上波アナログ/デジタル/BS/CSの切り替えが独立ボタンになっていてしやすい。
また、それぞれ最後に見ていたCHを覚えているのも良い点だ。
このボタンは自照式である。押してしばらくの間光っている。

残念なのは外部入力切り替えがHDMI以外一発で出来ないこと。
(HDMIだけは独立切換スイッチがある。)
うちではHDMI以外も3つつないでいるし、それぞれよく見るので
一発切り替えが是非にも欲しかったところである。
→と書いてたけど、裏技を発見した。入力切換キーを押してから1〜4のキーを押すと
それぞれに対応した入力に切り替わる(HDMIは専用キーがあるので切り替わらない)。
これは非常に便利で、覚えてからは切換が楽になった。ちゃんと取説に書いててくれなきゃ。
(書いてあったのかな?)

さらに、外部入力切り替えボタンの真上に同じ形で電源ボタンがあるため、
切り替えを押すつもりで電源ボタンを押してしまうことが時々ある。
詳しくは後述するが、MH700は一度電源を切ると再度投入できるまでに時間がかかるため、
「OFFには確認を求める」か、電源スイッチだけ全く別の一に別の形で配置するか
して欲しかったところである。
仕方ないので、うちでは電源スイッチの上にカバーを付けて、すぐには押せないようにしている。
(別にある学習リモコンは電源スイッチが全く別位置にあるので、
それで操作するときはこういう問題はない。)
XD71でも同様の問題があったが、特に電源入り切りに時間がかかる機器では
もう少し電源スイッチを押しにくい位置にするなどの考慮をして欲しいものだ。
(側面に自動復帰式スライドスイッチで付けたらいいと思うのだが。それか2ボタン同時押しにするか。
リモコンの左右にスイッチ付けてその同時押し=リモコンを握ると電源ON/OFFっていいんじゃないか?)

デジタル放送ではチャンネル切り替え操作から実際に切り替わるまでの時間差はやはりある。
操作から切り替わりに1〜5秒くらいかかるか。
これはXD71でもそうだが、デジタル放送の宿命とも言えよう。
だから、アナログ時のようにとにかく切り替えて見てみるより、
番組表を表示させて良さそうな物を選んでそこへ飛ぶ、とした方が良さそうだ。
(アナログ放送は1秒くらいで切り替わる。)

ということで、番組表機能がある。
番組表自体はG-Guideという所から取られている。
これは無料サービスだが、代わりに広告が入る。
XD71やX4でも番組表があったが東芝独自のサービスで広告は入らなかった。
大画面なので広告で少々取られても番組表は広く、それほど気になるものではない。
それでも短い時間の番組は文字が見えないので、カーソルを合わせて拡大表示させる必要がある。
表自体は見やすいとは言えないが、使えないというほどでもない。
ただ、番組表は1週間分表示できるが±12時間毎の送り・戻ししかできないので、
一気に何日分のが見たいというのが出来ない。日にち指定が出来るようにするなど、この辺は要改善であろう。

なお、G-Gudeはデジタル放送の特定CHから取得されているが、
このCHがまれに変わることがあるようである。
画面上に出ている広告に紛れて「変更」が表示されていた。
MH700では手動で初期設定メニューで変更する必要がある。
番組表が正常に表示されないときは、それを調べてみると良いかもしれない。

2画面表示という機能がある。リモコンに下部に蓋で隠されたスイッチ群があり、
ここにボタンがある。
画面を左右に分けて別々の表示ができる。
ただし表示できる内容には条件があり、基本的に左側は全入力が表示可能だが、
右側は内蔵チューナー/アナログ系入力のみという感じである。
左にデジタル放送、右にアナログ地上波を表示することも可能。
XD71では子画面表示機能がなくなったのでその代わりにもなる。
ただ、左右の表示の制約に引っかかってしまい表示されないことがよくあるので、
左右を一発で入れ替える機能が欲しかった。

2画面にすれば当然それぞれは小さくなるが、何せ元が56インチなので半分にしても28インチ、
前のテレビとほぼ同じ大きさがあるのでそれなりに使い出はある。
うちでは、DVDを見ている途中で「子供のトイレ」なので停めなければならなくなったとき、
2画面にして、1つをDVDの一時停止画面、1つをTVを見るってな使い方をしている。
または、DVDレコーダーのダビング作業をしながらTVを見るとか。

ただし、2画面にするとそれぞれの解像度はかなり落ちる。
圧縮表示しているのだからこれは仕方なかろう。

予約機能は、視聴および録画の予約が出来る機能である。
デジタル放送では、放送波の中に時計信号があるためユーザーがいちいち合わせなくても正確な時刻になっている。
これを使い、番組表から予約を設定しておくと、その時間に電源をONしてくれたり
外部機器を制御して録画をしてくれるのである。

どうやって外部機器を制御するのかというと、リモコンの送信機部分だけを独立したような物が付属しており、
これを録画機器の前に置いて、(仮想)リモコンで操作する。
操作と言ってもレコーダーの番組予約に入れるという複雑なものではなく、
電源を入れて録画に入れる、終わったら停止して電源を切るだけである。
(これを連動モードと呼ぶ。)
リモコンコードはテレビ側で設定する。RD-XS30は東芝Bであった(本体のリモコン設定がDR1コードの場合)。

ただし、受け側の外部入力切換まではやってくれないので、あらかじめ設定しておくか、
それか受け側でも別途外部入力を対象とした録画設定を入れる必要がある。
RDではL3に入力があると自動的に電源が入ってそこから録画する自動録画機能があるが、
いかんせん、MH700は電源が入っていると、設定画面など一部の例外を除き、
常に映像出力が出ているので使えない(ずっと録画状態のままになる)。
予約した録画時間内だけ映像出力するという設定が出来れば良かったのだが。
今は、TVの電源を入れる可能性のない時間帯の録画に関しては「非連動モード」で録画予約を入れ、
RDをL3自動入力モードにして録画するようにしている。

また、RDシリーズは立ち上がりが遅いのでうまくいくか心配だったが、
それは予約時間の何分前にONにするという設定が可能なので問題ない。
録画画質はXD71でいうところのVR録画(解像度がアナログ放送と同じ+音声はステレオまで)である。
XD71はアナログ:デジタルではW録出来たがデジタル同士は出来なかった。
これにより、かなり面倒だが一応デジタルでもW録体制が出来たと言える。

なお、この録画予約中はTV本体のモニターは点かない。
内蔵チューナーの電源だけが入る。
従って「勝手にテレビが点いている!」ということはないのでご安心を。

X4もあるのになぜXS30を使っているかというと、
単にTVに近い場所にあるというだけである。
X4は離れているので、映像出力のケーブルが届かないのだ。
画質上はX4の方が上なのだが、まあ仕方ない。

XS30で録画した場合も、元の放送にコピーワンスがかかっているとコピーは出来ない。
XS30はちょっと古い機種ではあるが、この辺りはその当時から対応されていた、ということである。
(外れればいろいろと使い出があったのに・・・ごにょごにょ。)

        ・・・端子・・・

カタログを見ると入力端子は
●ビデオ入力            4系統4端子
●S映像                 3系統3端子
●D4入力                1系統1端子
●コンポーネント        1系統1端子(Y/Pb,Cb/Pr,Cr)
●RGB入力               D-sub15ピン
●HDMI                  2系統2端子
●i.LINK                2系統2端子
と豊富にあるように見える。ところがどっこいこれははっきり言って「嘘」である。
HDMIとi.LINKを除き、他の入力端子は実は4系統しかない。
入力1   ビデオ  S D4
入力2   ビデオ  S コンポーネント
入力3   ビデオ S RGB
入力4   ビデオ S
となっており、それぞれ右側の物が優先となっている。しかも優先順位は切り替え出来ない。
例えば、入力1にSとD4で接続してもD4しか映らないわけである。
このことは、音声入力が4つしかないことから気が付いた。

うちのホームシアターセットには多くの映像出力装置がある。
RD-XS30、RD-X4EX、RD-XD71、DV-NS715P、それにAVアンプのPS7400も設定画面を出す。
さらに、時にはゲーム機をつなぐこともある。
となると、入力端子が足りない。
端子数が多いと思って買ったのに、だまされた。
DRX5はビデオ5系統(内前面1)にD端子*2、コンポーネントが独立していたのに比べると
ずいぶんと減ったことになる。
画質的には全てD端子またはコンポーネントでつなぎたかったが、画質の優先順位から、
XS30とNS715PはS端子での接続になってしまった。
S接続では解像度が上がらないし、色合いも余り良くないので残念である。

結局、AVアンプからの映像はX4EXの外部入力に入れることで間接的に見るようにした。
ゲーム機はAVアンプにある映像&音声入力(AUX1)を使う。
この方式を使えば、事実上RD3機種にそれぞれ3つの外部入力がある(背面2つ、前面1つ)
のでまだ映像機器が接続できそうだが、常時接続ならまだしも一時接続は前面以外は無理。
それに、映像見るだけのためにレコーダーの電源を入れるのも面倒。
将来的には入力切り替え機を買う必要があるかもしれない。
AVアンプにもコンポーネント/S/ビデオ入力&切り替えがあるが、これも諸般の事情で使いにくい。

結局DVDプレイヤーはHDMI端子付きの物に買い換えたのは前述の通りである。
ということで、現在はS端子が1つ空いているが、AVアンプまで届くSケーブルがないので
相変わらずこの接続のままである。
(そこには時々ゲーム機がつながっている。)

入力端子には選択制ではあるが名前が設定できるようになっている。
「HDR」「DVR1」「DVR2」「VTR」とかだ。
自由設定できれば良かったが、まあこれだけでも入力1よりかはわかりやすい。

外部入力に関する不具合について2つ書いておこう。

画面表示を外部入力にした状態で電源を切ったとき、
次回起動時に画面上に外部入力の表示が出たままになり、
また画面自体はちゃんと表示されているのに「無信号なので電源を切る」と表示されることがある。
信号認識を間違うことがあるようだ。
D端子でRD(XD71とX4で確認)を接続して、立ち上がりと同時くらいにMH700の画面が
表示されるようにすると発生する。
一度テレビ放送に変更して再度選択したら直るが、ちょっと面倒。

この件については一応ビクターに問い合わせをし、うちに来て現象も見てもらったが、
それまでほぼ確実に再現してたのが再現率が落ちたので、
とりあえず「先にMH700を起動してから、後でRDを起動する」やり方で回避していくこととなった。

それにしても、ビクターの対応はインターネットでの受付と言い電話と言い、
そして実際に来たサービスマンと言い非常に応対が良い。これは特筆すべきことである。
サービスマンさんに至っては後日また連絡をもらい、
「現在の調子はどうか」「ちゃんと工場には伝えたので待って欲しいが、再現が難しいので
解決できるどうかは解らないので、当面回避策で行って欲しい」「また何かあったら連絡して欲しい」
との丁寧な電話ももらった。
私が過去に買ったビクター製品には一部「あれ」なものもあったが、
これだけでも安心して買える/使えると言うものだ。

もう1つ、これはHDMI接続DVDを買ってから気づいたことだが、
HDMI接続にしたときに画面がおかしくなることが何度かあった。
画面がずれるのだ、の上半分が下に、下半分が上に来るたり、左右が同様になったりいろいろ。
入力切換をやり直せば直るが、先の無信号判定と言い、
MH700は入力信号切換系にちょっとした問題があるように思える。
(こちらは見てもらってない。)

RGBはパソコンのアナログモニターアウトから接続するものだが、
解像度に制約があって、最大でも1024*768までしか表示されない(らしい)。
せっかく1920×1080の解像度を持っているのにもったいない。
まだ使った事がないので、どの程度に見えるものかは不明。

その他の端子としてはアンテナを除いて
●モニター出力兼用録画出力端子  1系統1端子
●オーディオ出力端子            1系統1端子
●光デジタル音声出力端子        1系統1端子
●ヘッドホン端子(ミニプラグ)  1系統1端子
●LAN端子(10BASE-T/100BASE-T) 1系統1端子
●電話回線端子                  1系統1端子
●センターチャンネル入力端子    1系統1端子
がある。

モニター出力端子は、デジタル放送を現行地上波アナログレベルまで解像度を下げて出力するもので、
先にも書いたとおり、デジタルチューナーを持たない録画機器で録画させるための物である。
音声出力も対で存在する。
このため、MH700には録画予約機能とリモコン信号を出す小物も付属している。
うちではXS30で録画できるように接続してあった。
(RD-A300導入以降は廃止。)

光デジタル出力は、デジタル放送の信号をデジタル出力するためのもの。
うちではAVアンプにつないである。
デジタル放送の音声はCDなどのPCM、DVDなどのドルビーデジタルやDTSとは異なり
AACという方式である。古いAVアンプの中にはそれに対応していない機種もあるので
(うちの今のAVアンプPS7400はAAC対応だが、前のSR4200は非対応であった)、
その場合設定でPCMで出力するとしておく必要がある。
デジタル放送では5.1CH放送があるので有効なのだが、
如何せんデジタル放送以外、地上波アナログや外部映像入力からの信号を
デジタル変換して出すわけではないので、そういう映像を見るときは
AVアンプ側で別途音声を受けさせなければならない。それが次のオーディオ出力である。

音声の出力はもう1系統アナログのがある。こちらはデジタル放送もアナログ放送も
2chに変換して出ている。
DRX5では出力がモニター出力の1系統しかなかったので
AVアンプとXS30の両方に入れるため2又ケーブルを入れていたのだが、
これが不要になった。これもAVアンプへ入れてある。

LANはインターネット;松下が構築しているTナビというネットへの接続用。
RDのように番組表を取ったり予約をLAN経由で出来たりする物ではない。
番組で出てきたものを購入できたり、地図検索、乗り継ぎ検索など、
結構いろいろなことが出来る。きれいで、予想よりサービスも充実しているが、
いかんせんちょっと反応が遅いし入力しにくい。PCでやる方がよほど楽。
このサービス、2007年2月からは「acTVila」(アクトビラ)というものに吸収された。
だいぶ操作性が上がっているような気はするが、遅さはあまり変わらない。
もう少し速いと良いのだが。

電話回線はXD71でも書いたが、双方向機能で使うもの。
うちでは電話ジャックが遠いし使う気がないのでつないでない。
なお、光電話にすると使えなくなる可能性があるらしいので、
変更するときには確認が必要である。

センターチャンネル入力は、TV内蔵のスピーカーをセンタースピーカーとして使うための端子である。
うちではセンタースピーカーを置いているので使ってないが、
先にも書いたとおり内蔵スピーカーも結構良い音なので
これを使う手もあろう。

なお、入力端子4とヘッドフォン端子だけはスクリーン右側面にあり、
他は背面右側にある。

当然B-CASカードの口もある。
B-CASカードは機体毎に登録が必要なので、これも登録。
NHK-BSの警告消しもカード別に必要である(もちろんまとめて申請できるが)。

        ・・・その他・・・

画面に時々「メイルが届きました」と表示されることがある。
LANをつないでない状態でも出るので一体どこからだ?と思ったら、
本体プログラムの更新前後や予約をキャンセルしたときに作られる。
メイルの表示はホームメニューボタンを押してインフォメーションから行うが、
結構面倒なので、一発表示ボタンを付けてもらうか、
これくらいのことならメイル形式ではなく画面表示で十分なのでは?と思う。

デジタル放送対応機器は、XD71もそうだが、本体プログラムの更新を
放送波を受信するだけで行うことが出来る。
放送波の中の一部を使いプログラムを送ることが出来るのだ。
こうすることで、いちいちCD−Rを作って読み込ませるという手間がいらないだけでなく、
更新の失敗や「更新しないでほっておかれる」という状態が減る。
MH700、XD71それぞれ数回の更新があった。
XD71は番組表取得周りのバグ修正&IE7対応が中心であったが、MH700ではどこが変わったか解らない
(そもそもユーザーがファームウエアのバージョンを知る方法すらない。
ちなみに、本体後ろに「サービス」と書かれたSDカードスロットがあり、
そこにファーム入りSD読み込みカードを挿すと
自動的にファームアップデートモードになり、ここでファームのバージョンが表示される。
もっとも、これをやれるのはサービスマンだけであるが)。

電源を切ると、音が消えて画面が上から徐々に消えていく。
ちょうど幕が下がるような感じで、見ていて結構面白い。
この徐々に消えている間に再度電源ボタンを押すとON状態に戻る。
誤って電源ボタンを押したと思ったら、すぐ押し直せばよい。
(RDにもこの機能があればいいのに。起動遅いから。)
電源を切ってもしばらくはランプを冷やすためにファンが回り続けている。
また、一旦電源を切ると1分30秒は再ON投入できないので、
余りこまめにON/OFFすべきではない。
ランプの寿命のことはあるが、消費電力も少ないのでかまわないだろう。

暑い夏場はランプに負荷がかかるのではないかと気にしたが、
2007年の酷暑中、少なくとも40℃までの室温なら問題なかった。
(うちの家は夏場は室温が37℃を超えることがざらにある。)

電源を入れても約1分間は画像がまともに出てこない。
画像が出てきても最初はだいぶ暗めで、その後徐々に本来(設定)の明るさになる。
うちでは前のブラウン管もそんな感じだったし、Pianoはもっと長くかかっていたので
気にならないが、いらちな人には向かないかもしれない。
なお、熱の問題からか「24時間連続で見てはいけない」という注意書きがある。
まあ、そんなに連続で点けておくのは他の意味でも良くないと思うが。

TV前面には青色の電源LEDがあるが、控えめな発色なので部屋を真っ暗にしても目立たない。
Pianoでは上面にあるLEDが結構明るくて真っ暗な部屋の中では目立ってしまって困ったが、
これではそんなことはない。
部屋を暗くして映画館気分で見るのもおつである。

        お勧め度        85%

決して安い買い物ではないが、他の同等サイズ薄型テレビやフロントプロジェクターと比べるとむしろ安い。
美しさ等を考えれば価格なりの価値は十分ある。
少なくとも、50インチ以上なら液晶やプラズマよりこちらをお勧めしておく。

そういえば、うちに来た機械の製造日は2005年内だった。製造番号も非常に若い。
この機械の発売日が2005年11月だったはずだから、ひょっとすると初回生産分かもしれない。
上新では1台も売れてないと言っていたが、世間的にも余り売れてない証明といえようか。

良い機械なんだけど、日本人はよく宣伝されている物=良い物と思いこむ傾向が強いから、
こういう隠れた逸品が売れないんだよなぁ。
宣伝の多いAQUOSやVIERAが売れてるようだけど、どちらも画質はとても良いとは思わんのだが。
数が出ればもっと価格も下がるし改良もされていくんだけど。
もったいない。

何かビクターは北米でもリアプロで苦戦しているようなので、
ひょっとするとこの機種もなくなってしまうかもしれない。
そうなると、大画面は高い液晶やプラズマだけになってしまうので、
欲しいと思う人は今のうちに買っておく必要があるかもしれない。
(SONYも思いの外リアプロが伸びてないらしい。)
・・・等と書いている内に松下がビクター株を売却するとの報道が。
そうなると、一層不採算部門からの撤退が考えられるので、
買うなら早い目である。

この購入により、プロジェクターと同じ大きさの画面が気軽に見られるようになって至極快適である。
ブラウン管TVは当然引退、Pianoプロジェクターとスクリーンも外された。
これで部屋がすっきりした。

Pianoプロジェクターの時は大画面ではあったが固定設置していないので毎回スクリーンにちゃんと映るように調整が必要で、
これがちょうど椅子の一直前になるため足を動かせない状態になって苦しかった。
また、以前やった落下事故でスクリーンが曲がっていたので、
特に横スクロールする画面において揺らぎが発生して見づらかった。
どういう問題なく気楽に大画面で見ることが出来るのは本当に良いものだ。

見る番組の傾向も変わった。以前はアニメ中心で一部映画という感じだったが、
今は紀行ものや自然ものを見ている時間も長い。
特に自然関係はきれいに見えると感動が全く違う。
XD71でも紹介したCSのep055は1日中無料でハイビジョンで放送していたので
おすすめだったが、残念ながら2007/3/31に終了してしまった。
今は「24時間生放送」という非常に無駄なTVショッピングチャンネルになってしまった。
子供もここで放映されている海の中の映像が大好きだったので残念。
(XD71ではハイビジョン画質で保存録画できないので残せていない。)

いろいろ見ていると、最近の放送は再放送を除き結構ハイビジョンが多い。
紀行や自然物に多いのはもちろん、ニュースやアニメにも一部(半数以上)ある。
ハイビジョンではなくても16:9になっている番組が過半数を超えている。
DRX5を買ったときはまだアニメがほぼ全て4:3だったのであえて16:9ではなく4:3を買ったが、
今はもうその心配はほとんどない。
一方でコマーシャルはまだ4:3の旧解像度の物も多い。このあたりは制作コストの問題からなのかもしれない。
さすがにハイビジョン関係商品のコマーシャルなどはハイビジョン作成されているが。
それらもアナログ放送終了までにはすべてハイビジョンに変わるのだろう。

欠点は先にも書いたとおり
・画面にてかりがある(これさえ解決できればお勧め度は90%を超える)
・入力端子が少ない(これも増えれば95%)
・画質調整が入力端子別でないしユーザーメモリーもない(これが出来れば98%)
である。
どれも致命的とは言わないが、この価格ならもう少し何とかして欲しいという気もせんではない。
特にてかりと画質調整。

あと、
・どでかいので搬入できない場合がある
ということも十分考えておかなければならない。

・粗まで見えすぎる
というのは欠点だかどうだか。

とにかく、綺麗な映像を見ると心も落ち着いてくる。
鬱の症状緩和にも役立つと言うものだ(論理武装2)。

実は私が買ってから3週間で9000円も下がった。
移送費丸ごと浮いた計算である。
その後しばらくは下がらなかったが、松下がVictorの株を売る売らないの話が出た頃から急激に下がったようで、
今は31万円くらいにまでなっているようである。ここまで下がるとちょっと損したかなと思わんでもないが、
欲しい物は欲しいときに買うのが一番、その分長く楽しめたから良いのである。
SONYの新型も50インチの方もあっという間に40万を切った。
PCもそうだが、この手の物は欲しいときが買い時なのでこれで良いのである
(と納得するしかない)。
2007年9月現在では10万円くらい下がっている。置き場所さえあればもう1台買いたいくらいの価格の下がり方である。

とにかく大画面が欲しい人は、フルハイビジョンでないタイプを買うという手もあろう。
最初に書いたとおり10万は軽く下がるから、本当に安い。
ただし、フルでないタイプは各社もう製造中止しつつあるので、
買うなら早い目にである。
ひょっとするともう少ししたらこの機種も30万を切るかもしれない。
そしたらもう1台買おうかな。超お買い得だぞ。

そして東芝とキャノンが作っているSED(会社としてはキャノンに買収されたけど)。
別にあきらめたわけではない。
最近は特許がらみで怪しくなってきたが、2008年内に量産開始できれば、
第2世代が出るのは2010年となるだろう。
地上波アナログが終わるのが2011年だから、その後、デジタル専用機になった第3世代以降機を買う、
という予定である。初代機はかなり高そうだし。
それまでの最低5年間はこのMH700を使うのである。
→と書いていたら、「再度延期」の発表が。
これで2008年度中量産も危うくなった。このまま幻の機種になる可能性すらある。
ということで、10年くらいはMH700を使う事になりそうである。
量産中止になる前に換えのランプを買っておこう。

めでたしめでたし。
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