「MDR−NC22」(2007/07/30号)
{商品紹介}

        ノイズキャンセリングヘッドフォン
        SONY
        「MDR−NC22」

        定価 9,975円(税込み)
        買値 6,500円(税、送料込み)
        http://www.ecat.sony.co.jp/avacc/headphone/acc/index.cfm?PD=25449

        型式                    密閉ダイナミック型
        ドライバーユニット口径  13.5mm
        感度                    102dB/mW(電源ON時)
                                100dB/mW(電源OFF時)
        再生周波数帯域          8〜22,000Hz
        インピーダンス          20Ω (電源ON時)
                                8.5Ω(電源OFF時)
        最大入力                50mW
        雑音抑圧周波数帯域      50〜1,500Hz
        雑音抑圧量              12dB以上(200Hzにて)
        コード                  約1.5m OFCリッツ線
        入力プラグ              金メッキL型ステレオミニプラグ
        質量                    約39g(電池・コード込み)

周辺ノイズを消す機能を持ったヘッドフォンである。
電車等の中などで、走行音を消して音楽をよりよく聴こうという代物である。
最近結構売れているらしく、3万円以上もするような高級品から
このような普及価格の物まである。

私がこのようなヘッドフォンを買ったのはオタクラHPの雑記にもさんざん書いたが
「会社がうるさい環境だから」である。
兎にも角にもやかましいおっさんが多い。
大声で喋りながら笑う奴らが多すぎるのである。
「まるで動物園のよう」と言えば解ってもらえるだろうか。

さらに、私の扱っている製品にはファンが付いた物が多く、
この音が結構耳障りなののだ。
さらに突発性難聴になって大きな音が頭に響いて嫌なので購入を決めた。
無駄な出費だが「会社名従業員の健康まで気を使わない」
「馬鹿と喧嘩しても始まらない」ので自分の身は自分で守ることにした。

色は「白、黒、抹茶、小豆、コーヒー、ゆず、桜」・・・なんてない。
これは名古屋名物ういろうの色(なんでそんなもん覚えとんじゃい!)。
白、ピンク、黒の3色。私が買ったのはピンク。
かわいい?(^_^;)

ノイズキャンセリングの方法だが、ヘッドフォンの外側にマイクがあり、
それで受けた音の逆位相の音をヘッドフォンから発生させることでその音を打ち消す。
逆位相というのは、波の上下が逆の音。

マイクからヘッドフォンまでの距離はせいぜい5ミリから1センチ。
音がその距離を進むわずかな間に逆位相の音を計算して発生するのだから
大変高速な処理が必要であるが、最近の電子回路の高速化と
小型化がこのような物への実装を可能にしている。

もっとも全ての音を消すことは無理であり、周波数の低い=伝導速度の遅い音
だけを対象にしているのは、この理由からでもある。
人の声とか音楽の中心的周波数は300〜3000Hzといわれるので、
その半分以下の領域を対象としている。音楽の音を損ねないで低周波ノイズを
減らす狙いがキャンセル周波数から見てもわかる。
HDDの回転音などは結構甲高いので消えない。
(もっと高級な製品ならもっと広い周波数域でキャンセルできるようである。)

電子回路があるので電池が必要で、
コネクタとヘッドフォンの間にスイッチ&電池ケースがあって、
単4電池が入っている。

スイッチOFFの状態でも普通に音は聞ける。
このヘッドフォンは一般に「カナルタイプ」と呼ばれる
耳に入れ込むタイプなので、元々遮音性が高い。
したがって、OFFでも十分な遮音効果があるので、私にはそれで十分だったのかもしれない。
OFFする時にプチッ音が入ることはない。
ONにした時はプチッ音の後1秒ほど音がとぎれる。
ONにすると音がわずかに明るくなる。音量も1段階くらい上がる。

スイッチを入れるとサーっという音が聞こえる。ホワイトノイズと呼ばれるものである。
この音は結構大きめ。音楽がそこそこの音量で鳴り始めればあまり気にならなくなるが、
小音量時には結構聞こえる。静かな演奏が多いクラシックとかには向かないだろう。
同じ理由で、音楽なしにノイズキャンセル機能だけ使うには無理がある。

ノイズキャンセリングの効果ははっきり言って、音楽を聴いている状態ではわかりにくいが、
音楽をかけずに無音にして比べると、ファンの音とかが押さえられているのがよく分かる。
極低域の音がわずかに消される感じか。遠くの人の声も結構消される。
中域より上の音は消されないとのことで、キーを打つ音や紙の音などはそのまま聞こえてくる。

消すのはあくまでマイクで拾った環境ノイズだけなので、
元々の音源中に入ってくるノイズも消せない。
先のホワイトノイズもそうだが、PCで聞いてるとPC由来のノイズ(CDの回転に伴う電気的ノイズ音とか)
も入ってくるが、こういうのは消されない。
マイクだけでなくこういう音も消せると音質向上したのに。
(マイクの音にラインの音をミキシングしてノイズ消し処理するモードがあればいいと思うのだが。)

音質は、PCでの音楽を聴くぐらいには十分。
これよりちょっと前に買った耳にはめるタイプ(入れ込むタイプではない)の
audio-technicaのATH-C602(定価¥2500/買値¥1130)

        型式                    ダイナミック型
        ドライバー              φ15mm ネオジウムマグネット
        出力音圧レベル          104dB/mW
        再生周波数帯域          14 〜24,000Hz
        最大許容入力            40mW
        インピーダンス          16Ω
        質量(コード含まず)     5g
        プラグ                  L型φ3.5ミニ金メッキステレオ
        コード長                1.2m/OFC/U型
        発売日                 2004年12月15日

よりも上。
NC22は元々遮音性が高いので、外音に妨げられずに音が聞こえる分細かい音まで聞こえる。
個人的には嫌いな音の傾向ではない。
ちょっと低音が強いかな、という程度(ON時)。

エージングには1時間以上かかる。最初は音の出がちょっと悪いが、
そのうち細かい音まで聞こえるようになってくる。
ATH-C602でもそんな感じだった。
10時間を超える位からさらに良くなってC602を超える。

MONITORスイッチを押すと音楽が切れて周りの音が聞こえるようになる。
生の音がそのまま聞きたいときはこれを使う。
この状態ではキャンセリング機能を切るだけでなく、
マイクで拾った音をヘッドフォンへ流しているようである。
元々物理的に遮音性の高いヘッドフォンなので、こうしないと外の音が聞こえないからだ。
ケーブルに触れると音が伝わってくるのはこの手のヘッドフォンでは仕方ないところ。
でもスイッチ部があるのでどうしてもケーブルに触れやすいので困ったもんである。
なお、スイッチがOFFの状態の時はこのMONITORスイッチも効かない。

ケーブルの長さは1.5mとあるが、実際には間にスイッチケースがあるので
75+75cm位と考えた方がよい。
ヘッドフォンステレオで使う場合なら、プレイヤーも近くにあるだろうからこの配分で良いかもしれないが、
PCで使う場合には、もう少しプラグからボックスまでの間が長い方が良かった。
スイッチボックスはクリップで胸ポケットなどに挟めるようになっているが、
先に書いたとおり触れると音が伝わってくるので挟んでおきにくい。
席を立つときにいちいち外すのも面倒だし。

重量がC602に比べ約7倍もあるが、これも殆ど電池ボックスの重さであり、
それさえ固定しておけば耳に重さを感じることはない。

イヤーパッドは大・中・小の3種類から選択可能。
私は標準の中ではちょっと大きかった(長時間はめてるとちょっと痛い)のだが、
かといって小にすると小さすぎてだめだった。だから今は中で我慢してる。
困ったもんだ。

後もう1つ問題は、ヘッドフォンを外したときにスイッチを切り忘れることがよくあること。
電池がなくなってしまう(アルカリ電池で約50時間保つそうだけど)。
一応POWERのLEDは付いているのだが、机の上に置いていると見えない。
スイッチのON/OFF表記も薄いので、
私はスイッチの上にマジックで大きく「OFF」と書いてわかりやすくしている。
見た目より実用性の方が重要である。
耳から外すまたは無音時に一定時間で自動的に電源が切れるようになってるといいのだが。
こういう繰り返し使う用途の電池なら、サンヨーのエネループに単4モデルがあるので
よろしかろうと思う(私も買った)。

携帯用袋が付いているので持ち運びに便利。
普通のヘッドフォンは机の中に入れっぱなしだけど、これは取られたら嫌なので
毎日持ち帰りしてる。家でも使うことがあるかもしれないからね。

電池の持ちは余り良くない。というか、50時間と書いてあるが、
POWERのLEDはそれよりもずっと早く消えた状態になった。
消えていてもしばらくは動くようだ。
完全に電池が切れるとONの状態では音が出なくなるので解る。
まあ、キャンセリング機能OFFでも物理的音遮蔽効果の高い構造なので、
本当に必要なときだけONするようにすればもっと保つのだと思う。

        お勧め度        89%

他のノイズキャンセリングヘッドフォンを聞いたことがないので何とも言えないが、
この値段にしては良く出来ているのではないかと。
欲を言えば、ホワイトノイズがもう少し小さければ良かった。
とりあえず、今は仕事に欠かせない状況である。

そういえば、PCのプレイヤー側にこういう機能があっても良いと思う。
最近のPCにはマイクを内蔵した物も多いし、
マシンパワーも十分あるし、電源を気にする必要も(余り)ないし、
PCはその物自体が雑音源を持っているから、それらの音も消し去ってくれるようなソフト。
どっかが作ってくれんだろうか。今のCPUパワーなら出来るだろうに。

全ての外音を消すモードも持った物も聞いてみたい。
くそうるさいおっさんの声を根こそぎ消せるような。
あっいや、「おっさんを消す」という意味ではない。
それはそれで(以下検閲により削除)。
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