「レーザーセッター アドバンスト」(2005/07/18号)
{商品紹介}

        「レーザーセッター アドバンス」

        逸品館
        三脚なし ¥15700(税込み)

日本橋は逸品館の売っている、スピーカー設定用の道具。

簡単に書けばレーザーポインターとそれを固定する台と的と鏡、
水平儀、距離を測る糸のセットである。
三脚付きのセットもあるが4000円ほど高くなる。
カメラの三脚を持っている人はそれを使えばよい。
ただし、スピーカーと同じ高さを作り出せる物でなければならないが。
うちは三脚としてDVカメラ用と天体望遠鏡ETX−70AT用のがあるので
三脚なしを買った。

正直なところ、これ位の物にこんな値段を出す気がせず、
自分でレーザ−ポインターを買ってやっていたが、
使い勝手が悪く設定も今ひとつ追い込めなかった。
そこで市販品を買ってみることにした。

はやり製品の物は良くできている。
苦労するよりさっさと買っておけば良かったと思った。
これがあってもスピーカーのセッティングは根気の要る作業には違いないが、
かなり楽になる。

もっとも、工作が得意な人なら自作は不可能ではないとは思う。
ただし、最近はレーザーポインターが以前ほど容易には買えなくなっているので、
その辺を考えてもこれを買った方が楽だろう。
(法律の変更で、目に影響を与える可能性のあるレーザーポインターの販売が
許可制になったからだったと思う。)

それはそうと効果のほどであるが、これはばっちりである。
音がぐっと広がる。

角度は、スピーカーに貼り付けた鏡に向かってレーザーを発射し、
それがレーザーの出口にぴったり戻るようになればばっちりである。
距離は、その状態で伸びにくい位置をスピーカーまで伸ばして距離を測り、
それを他方のスピーカーでも同様の角度と距離にすればよい。
角度は簡単だが、距離の方はなかなか一発では決まらない。
付いている糸が伸びが少ない物らしいとはいえ、やはり伸びがあるし、
所詮手で糸を押さえて左右の距離合わせをするのでずれるのだ。
だから、本当は最終的に微調整が必要である(およそ1cm以内)。

レーザーセッターは基本的には左右のスピーカーが
同じ高さで水平に置かれていることを前提としているので、
この前提が崩れると、いくらそれを使って水平距離と向きを正確に合わせても
効果は半減する。また、スピーカーが垂直でない場合も効果が落ちる。

うちの場合はスピーカーが畳の上にある関係、垂直を保つことが難しく、
水平方向角度と高さも左右で微妙に異なっていた。
ある時土台下に詰め物をしてこれを出来るだけ合わせたら
音が大幅に良くなった。

調整時の注意は、調整中に三脚が動かないようにすること。
糸を引っ張るときに動きやすい。
うちではその足の突っ張りの上にジルコンサンドの袋を置いて、
さらに後ろ側から椅子で固定するようにして
出来るだけ動かないようにしている。
また、毎回合わせるたびに位置が変わらないように、床(というか畳の上)に
印を付けてある。

実は設定を始める前に重要なことがある。それは三脚自体の水平を保つことである。
それは雲台(カメラを載せる部分)上部でのそれではなく、脚上部でのそれである。
少し高級な三脚なら、三脚の脚上部に水平器が付いている。
これで水平をとるように脚の長さを調整するのである。
レーザーセッターでは三脚の雲台を振ることで左右のスピーカーに向けるわけだが、
これが出来ていないと雲台を回すだけでその水平がずれてしまう。
こうなるとレーザーが的に戻ってこなくなる。
これように三脚を買うなら、水平器が付いているものを買った方が良さそうである。
ただし、視聴位置の床の水平度によることもあるので三脚だけの問題であるとは言えないが。
三脚の使い方についてはここ http://www.slik.com/dendou.html に詳しい。
水平の取り方についての項もある。

レーザーセッターは距離と角度という点については比較的容易に行えるが、
水平、垂直に関しては別途調整が必要だということを忘れてはいけない。

このセッティングをするのには当然試聴位置を決めてそこを基準に行うのだが、
じゃあそこ場所にいなければいい音で聞けないのかと言えばそうではない。
1カ所でばっりち合わせておけばそれ以外の場所で聞いても音が良くなっているのが分かる。
こういう調整をしなければ、部屋の中のどこに置いてもいい音のポイントがなかったのが、
1カ所でもあればその音が部屋全体の音を支配するのであろう。
「試聴位置は一定でないからこんな調整は無駄だ」とか「厳密な調整をしても
頭を揺らしたらだめなのでは」と思う人がいるようだが、
そうではないのである。

レーザーセッターで合わせた後は、もしスピーカーの間にテレビがあれば
その位置を前後するとさらに音が良くなるポイントがある。
スピーカーのセッティングがミリ単位だが、こちらは数センチ単位で動かしても大丈夫。
本来スピーカーの間に音を反射するテレビのような物は置かないべきらしいが、
ホームシアターではそうも言ってられない。
逆に、それによる音の反射をうまく使えるような位置にしてしまうのだ。

あと、スピーカー後ろの壁も基本は全面反射防止して一部に反射板を入れるのがいいらしいが、
反射板は高いので、スピーカー真後ろのスピーカーと同じ幅+αくらいだけを
反射できるようにしておくと良いように思う。
(全面無反射にすると前に音が出てこない。)

        お勧め度        90%

今ではこれなしにスピーカーのセッティングは考えられないほど重宝している。
値段が少々高いこととこれ一発ではないことでこの点数。

まあスピーカーのセッティングなんて、そうしょっちゅういじるもんではないので
個人個人で持つべきかどうかは微妙なところ。
友人と一緒に買えるならそれが一番では。
うちは畳み部屋で不安定な上に子供が飛び跳ねるので、しょっちゅう合わせ直さないと
ずれるので必須なのだが。

世の中にはレーザーを出してそこまでの距離を測れる機械もある(産業用機器である)。
それを使えば、レーザーセッターでもちょっと面倒な距離合わせも
感ではなく数値で見て合わせ込みが出来る。
問題はその装置が比較的高い(5万はしたはず)ことと、レーザーを発射口に戻すような反射物(と方向)に対しても
距離測定が出来るかどうかは不明という点である。

        ・・・思いつき・・・

レーザーセッターでは先に角度を合わせてから後で距離を合わせるけど、
よく考えたら、先に距離を合わせた方が楽かもしれない。

(1)三脚の雲台の中心のねじに糸を巻き付け、それで部屋の中に円を描く。
   これで等距離の位置がどこであるかが分かるので、その上にスピーカーを置けばよい。
   どうしてもフロント、センター、サラウンドで距離を変えなければならないときは、
   一番長いものから30センチ刻みで半径を減らして同心円を描いてその上に置くようにし、
   アンプ側の距離設定で調整する。
(2)その円上でレーザーセッターで角度を微調整する。

ってな感じ。問題はどうやって「円を描く」かだろうけど。
どこに書いても1時間くらいで消えるペンって無いかな?
(洋裁で使うチャコペンには2日くらいから消えるペンがあるけど。)
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