「KV−21DA75」(2005/03/07〜03/21号)
{商品紹介}

        SONY 4:3 21型ブラウン管テレビ
        「KV−21DA75」

        買値    26800円(税込み)
        +送料、リサイクル料で32000円
        http://www.ecat.sony.co.jp/wega/products/index.cfm?PD=14723&KM=KV-21DA75

ごく普通のブラウン管テレビである。
地上波チューナーのみで、一応フラットブラウン管である。

何で今更こんな物を買ったかと言えば、FUNAIのテレビが
どうにも画面にノイズが入って見るに堪えなくなってきたからである。
最初はアンテナか内蔵チューナーの不調と思ったが、外部チューナー=VTRからの
映像でも同様に乱れるので映像系そのものの不調だとわかった。

まだ買って4年ほど。元が高いTVなら修理するのだが、
何せ20型で2万円を切る安物なので、新しい物を買うことにした。
(今なら20型で2万円は普通にあるが、4年前は少なかった。)
これは音声はモノラルで、ビデオ入力は前面に1端子しかない。
最近はVTRの他に防犯用レコーダーの映像も写したいので、やはり入力2系統は欲しい。
そういった事情もあった。

実は映像がおかしくなってから買い換えるまでにはだいぶ時間がかかった。
理由は、兎にも角にも忙しくて時間がなかったこともあるが、
「買い換えるならこの際液晶が良いのではないか?」という思惑もあったからである。
しかし、液晶で20型はかなり高い。
15型くらいなら何とかなりそうだったが、やはり小さい。
PCの液晶(TV用液晶に比べ安い)になんとかTV映像を入れ込む方法はないかと調べたが、
ちょうど良い物がなかった。
このTVは稼働回数は多いが1回の連続視聴時間は短い。
ニュースなどをちょっと見るだけのものであり、DVD鑑賞などには使わない。
だからあまりお金はかけたくなかった。

そうこうしているうちに状態がどんどんひどくなり、
いつ爆発するかという危惧もあったし、それ以上に、こんな物で見続けていたら
目が悪くなるのは必至だった。

ということで、やっと休日出勤しなくて済む様になったある日曜に店に行くことにした。
最近は家電品はほとんどインターネットで買うが、TVはやっぱり目で見て選ばなきゃだめなので
店に行ったのだ。日本橋まで行くと交通費もバカにならないので京都寺町である。

まずは大型店に行って20〜21型のTVの画質をざっと比べた。
候補に挙がったのはこのSONY KV−21DA75と
SHARP 21C-FA70である。他は画質で早々に落ちた。
後は価格である。寺町でTVを扱っているすべての店を回った。
(寺町は狭いのでこういうことが可能。)

SHARPとSONYで最後まで悩んだ点は画質と大きさである。
SHARPは一見発色がよいが、黒の沈みが激しい(暗い画面が真っ黒になる)。
SONYは明るい画面の発色は控えめだが暗い画面がちゃんと出ていた。
大きさは、SHARPはスピーカーが下に並ぶので幅が狭く、
SONYは横スピーカーなので幅が広い。その差8センチ。
この差はでかい。FUNAIのテレビと置き換えが出来るかどうかわからない。
値差はほとんどなし。

「画質はわずかにSONYの方が上の様である。置き場所はかろうじて何とか出来るだろう。
音は、スピーカーが横にあるのだから、SONYの方が良いであろう。」

それと、頭の中に「テレビはSONY」というイメージもあった。
SONYといえば保証期間が過ぎるととたんに故障する「SONYタイマー」が有名だが、
私も過去にものの見事にアンプ、レコードプレイヤー、カセットデッキ、
初代29型テレビがこれに引っかかった。ゆえに「SONYタイマー」は経験上事実である。
だが、プロが使うマスターモニターはSONYが多いという事実を元に、
初代TVがそうであっても2代目(DRX5)もSONYを選んでしまった経緯がある。
もう1つ、SHARPのTVに対する不安感もあった。

時間があればいったん家に帰って置き場所の幅を調べ、
さらにこの2機種の評価をインターネットで調べて購入すれば良かった。
でも、やっと取れた休みなので店に行ったので、その日のうちに決めたかった。
だから、最終的に「画質重視」で決めてしまった。
が、今にして思えばこの判断が誤りであった。

SONY専門店で購入し、配達してもらうことにした。
買値はインターネットで調べると決して安くないけど、
京都寺町では一番安かった。
まあ、これは仕方ないところ。
FUNAIのテレビは当然引き取り。
今はその際にリサイクル料が結構な額かかるが、まあしかたない(と思いこむ)。

設置当日はまたぞろ私は深夜残業なので家内と店の人にお任せ。
帰ってきたら、それらしく設置されていたので一安心した。

そして電源投入。

        ・・・なんじゃこりゃぁ!?・・・

出てきた音は、耳を疑うものであった。

        ・・・

はっきり言わなくても音は最低。
左右前面にスピーカーがあって。サラウンド機能もあると書いてあるから
音が売りなんだろうと思ったらその逆。
非常にこもった音で聞くに堪えない。
特に人の声がだめ。いや、「人の声の領域だけがだめ」。
話し声がどうにもこもるのだ。非常に聞き取りにくい(そのため音量を上げ気味になってしまう)。
周波数特性がかなりおかしい様子。

前のFUNAIの安もんでもこんなことはなかった。
周波数特性的には狭く、高音も低音も落ちてはいたが聞いていて違和感はなかった。
しかしこれは違和感ありまくりである。
人の声の周波数は、人間が音を認識する上で非常に重要な領域なのだ。

壊れているのかと思ったが、インターネットでの評価を調べるとどうもこういうものらしい。
最初からわかっていればやめたのに!
店で映像は比べられたが、そういえば音は聞こえなかった。
そんなに格別の音をこのクラスのTVに求めたりはしないので普通なりに聞こえれば良いのだが、
この悪さは別の意味で「格別」。

このTVはサラウンドを3種類、音質調整を周波数別にかなり細かく調整できるが
いずれにしても少しましになるってな程度で、根本的な解決にはならない。
ここまで凝っていてなぜこんなに音が悪い?
この製品の音声系を作った奴の耳がおかしかったんじゃないか?
ちゃんと健康診断してから作らせろ。

インターネットで以下のような調整が紹介されていたのでやってみた。
        100Hz=15 300Hz=7 1KHz=7 3KHz=7 8KHz=16
だめ。少々の調整でどうにかなる問題ではない。

ヘッドフォンで聞いた音はそこそこ良い。
(音量5以下では少しノイズが聞えるが、それ以上だと問題ない。)
ついでに言えば、サラウンドそのものも良い。ものすごく音に広がりが出る。
昔(2世代前)にうちで使ってたSONY ドラマゾーンより広がる感じ。
ゆえに、音声回路的に周波数特性はよいが、スピーカーの設置位置が悪いために
こもってしまっているのだろう(だから外部入力からの音もだめ)。
人の声の帯域以外の音のではかなり良いので、非常にもったいない。

分解はしていないので想像だが、側面から大きく音が聞えることから、
どうやら、スピーカーは前面ではなく側面にあって、内部で反射させて前面に
出すようにしているのではと思う。
このときにこもった感じになるのではと。
ただ、こもるのは本当に人の声の領域だけなので、
音楽のように人の声がない場合にはそれほど気にならない。
でも、多くの場合人の声があるのだから、それがはっきり聞えないというのは
「設計不良」といっても仕方ないだろう。

最初の設置場所ではTV左に壁、右に書類立てがあったのでそのせいで
左右に出る音がこもって聞こえるのかと思って設置場所を変えて見たが、
やはりだめだった。ゆえに設計不良と断言する。
(ひょっとして、メーカーでの検査時はスピーカーからは聞かずヘッドフォンだけでやってたとか。)

しかし、インターネットで調べるとこんなもんでも「音が良い」という人もいるので、
当たりはずれなのか、こんな音を良いと感じる人もいるのか。
たぶん後者なんだろうけど、本当に良い音というもの、いや良いというより
「まともな音」を知らないというのは、ゆゆしき状態である。
最近町中を歩いていてもまともでない音響装置でかけられている音楽が多い。
それは決して「再生には何万円上の装置を使わなければだめ」というものではない。
周波数特性の問題ではなくて、「変に加工された音はだめ」ということである。
だから、小さなラジオでも良い音のものがあれば、何十万円もしてもだめなものはある。
また、音源そのものも最近は音が悪いことがある。
アイドル系のCDなんて聞くに堪えないことがある。
たまには生の演奏を聴きに行くとか、そこまでしなくても自然の音を聞くという
事をして欲しい。

音声や画像系の製品は使うほどにそれらが変化していく。
これをエージングという。
このTVでもこの音の悪さがエージングによって良くなってくれればよいが、
と淡い期待をしているが、おそらくは構造上の欠陥なので無理だろう。
逆に、聞く側=私が慣れるかもしれないが(それはそれでいや)。
(買ってから1ヶ月以上経っても音に変化はない。聞く側は少し慣れたかも。)

実はこの機種、過去にはかなりクレームが出たらしい。
(発売開始は2003年9月21日。)
・スイッチを押しても電源が入らない
・オーバースキャン
・ホワイトスノー
・音量10以下による音声ノイズ

・「ホワイトスノー」    画面に白い点のノイズが出る
                        →ワイド切り替え、DVD等でチェック
・「オーバースキャン」  映像が上下左右で切れる
                        →通常番組のテロップ、ワイド切り替え、DVDの字幕でチェック
・「音声ノイズ」        音量10以下で異常に音声にヒスノイズ(サーという音)が入る
                        →一旦最小にして徐々に15まで上げ、スピーカーに耳を近づけた後、
                        ヘッドフォンにてチェック

うちのは2004年製 製造番号125****であったが、これらの現象は出ていない。
改善されたのであろう。

        ・・・

画質についても少し。
家でじっくり見ると、発色はかなり良いというか標準設定では濃い目の発色。
色チェックDVDで設定するとかなりきれいな色合いにはなる。
透明感もある。うちにあるKV-29DRX5に比べても良い色ではないかと思う。
同じ平面ブラウン管であってもこちらの方が後年の物=いろいろ改良されているとか、
プログレッシブ回路が入っていないというあたりがその要因かも。

内蔵チューナーはあまり性能は良くないのだろうか、ノイズが見られることがある。
(チューナー性能はやはりDRX5の方が上。)
ちょっと細かいちらつきもある様に思う。
やはり定価で2万円台でこれ以上は厳しいのか。

解像度は良くない。
DVD等で細かい文字が出るとつぶれてしまうことがある。
DVD等のワイド画面映像の時は縦に圧縮して解像度を上げる
V圧縮機能を持っているが、これが悪さしているのかも知れない。
正直なところ、字幕付き映像では見づらい。

DRC等は入ってないだろうから光線銃式ゲームが出来るかと思いやってみたがだめ。
走査線速度を変えるVM回路のせい?
VirtuaCOP2したかったんだけどなぁ。

        ・・・

結構なクレームが出ても作り続けているということは、SONY程の大企業であれば、
対策が出来たと言うことである(うちみたいな小企業の場合はクレームが出たら
交換品を送って、製品としての根本対策はせずにうやむやにする事も多い)。
クレームが小手先の対策で収束できないときは、その商品を一気に廃盤にして
新製品を出すという手が使われることもあるからだ。
最近ではDVD(&HDD)レコーダーでよく見られる手である。
(ビクターの快録LUPINが非常に多くのクレームを発生させたが、
なんと、それが収束する前に新製品を出すという手に出た。これは明らかに逃げの体制だ。
これはやっちゃいけない。これでますますビクターに対する信頼感が落ちた。
一応返品に応じている様だという情報もあるが。)

でもこの音の状態だから、これは不良とは思っていない=仕様と言うことであろう。
なら、「設計者と品質管理者の耳が不良」である。
修理せよ。以上。

        お勧め度        映像    70%
                        音声    25%
                        総合    50%

失格。久々に大失敗購入であった。
まあ、買わない方が無難であろう。特に音を重視する人は絶対だめ。
映像だけならなかなかいけるのだけど。
だから音声は外部の音声装置から出すから問題なし、という人はかまわないけど、
このクラスのTVにそこまでする人はほとんどいないんじゃないかな。

同じ21型で買うならシャープの21C-FA70を勧めようかなと思ったけど、
インターネットで調べるとこれも音が悪いとある。
店で見たときの映像は良かったが、それもだめという話もあるので、
あたりはずれがあるのかもしれない。
もはやこの価格帯の製品には「普通」の性能すら求めてはいけないのかもしれない。
安かろう悪かろうの世の中。

買った店の人は「音が悪い」と言ったら来てくれていろいろ見てくれ、
SONYにも電話して聞いてくれた。その置き場所の変更までやってくれて、
そういう意味では感謝しているけど(店で買った甲斐はある)、
SONY専門店なんだから、もう少し商品について知っておいて欲しかったとも思う。
だめだよ、これ。
(専門店では他メーカーを勧められないから、難しいのだろうけど。)

おまけ:SONY TVの調整法
http://www.asahi-net.or.jp/~ei3k-iwt/tips_tricks/sony_tv.html

・・・スペック
・映像信号の成分を検知し、シーンに合わせて画質を自動調整する「インテリジェントピクチャー」機能
・電子ビームの走査速度を変化させ、映像の輪郭を強調するVM回路
・16:9のワイド映像を美しく4:3に圧縮表示する「高密ワイドモード」(V圧縮)
・ダイナミック、ドラマ、ソフト、パーソナルの5モードから音質を選べる「お好み音質」機能
・テレビ番組からCMへ切り替わる際や、外部機器の音量レベルの差を自動調整する「入力音量安定モード」
・米SRS Labsが開発したバーチャルサラウンド技術を搭載
 内蔵スピーカーだけでシアターサウンドが楽しめる「映画サウンド」(TruSurround) モード
 ゲーム専用の「ゲームサウンド」(WOW + BBE2digital)モード

【主な仕様】
型番            KV-21DA75
サイズ          21型
映像入力        D1×1、S映像×2、コンポジット×3、AVマルチ×1
                うちではD1=DVD、S=VTR、コンポジット=防犯レコーダーという接続。
                (1台のDVD&VTR機をつないでるんだけど、映像出力は別々にあるので。)
映像出力        コンポジット×1
音声出力        イヤフォン×1
内蔵スピーカー  6.5×12cm角型×2ch
最大出力        5W×2ch
外形寸法        589×479×460mm(幅×奥行き×高さ)
重量            26.5kg
消費電力        85W
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