「SENNHEISER HD580」(本誌未公開新ネタ)
{商品紹介}

    ヘッドフォン
    SENNHEISER HD580(Precision)
    定価    ¥50000(くらい)
    買値    ¥25000(別)

アイルランドのゼンハウザーという会社のヘッドフォン。
(ドイツとも聞くんだけど、取説にはアイルランドという記述がある。
工場がアイルランド?)

ヘッドフォンなんて、年間通じてそれほど使う方ではなかった。
使うのは、夜に一人でテレビを見る時とか、ゲームをする時くらいであった。
その目的は言うまでもなく音を外部に出さないでおくことだが、
逆にこういった時にしか使わなかった理由は、「ヘッドフォンで聴くと疲れる」
ことにあった。

疲れる理由は2つで、1つは圧迫感が強く耳が痛くなること、
もう1つは音的にも聞いていて疲れてくるからである。

そんなことで、まさか新しいヘッドフォンを買うなんて思ってなかったが、
いつもオーディオ製品を買う逸品館で安売りしていて、
なおかつインターネットで調べたの評判がかなり高かったので、
他の小物を買うついでに、ついふらふらと買ってしまった。
ヘッドフォン買うのはこれが最後と思って。

この手の物を視聴もしないで買うのはある意味無謀である。
インターネットで調べた評価がいくら高くても、音の好みは人それぞれなので
自分には合わないかもしれない。
今ままで使っていたオーディオテクニカのATH-PRO6も買うときに結構聞き比べて
買ったのだ。それであっても実際に使っていると不満が出てくる。
それを全く視聴なしとは。

しかし、それは全くの杞憂であった。
実際にHD580から出てきた音は「買って良かった」と思わせるものであったし、
装着感も非常に良かった。
決して安いものではないが、その価値は十分にあるといえる。

実はこれの上位機種HD600(定価¥69000くらい)は、
ダイナミック型=他から給電せず音が出せるタイプでは最高峰と言われている。
HD580はその廉価版という位置づけだが、音的にはほとんど変わらないらしい。

形は耳からかぶせるタイプで、密閉型に似ているが、
実は側面はメッシュで音は筒抜け。これが音の抜けの良さの理由だが、
逆に、外の音も聞えると言うことで、うるさい環境では使いにくい。
(音漏れはあるにはあるが、通常聞く音量ではそんなに大したことはない。)

この音の傾向は、PRO6と比べると大きな違いがある。
PRO6もそこそこいい音だと思っていたが、
HD580と比べるとその差は歴然である。
PRO6は何か音にのびがなく、細かい音も聞えていない。
今までこれで装置から音がどれくらい出ているか確認していたが、
装置が悪いのではなく、ヘッドフォンが悪くて聞えてなかったのだ。

HD580は音がのびのびしており、こもらない。音の感じはスピーカーで
聞いているのと同じ。このこもらないのが開放型の特徴か。
感じはスピーカーに似ているとはいえ、聞える音はそれとは全くというほど
情報量が違う。CDにここまでの音が入っているのかと驚くほどで、
細かい音まで実に良く聞き取れるし、低音から高音まではっきりする。
TVですら、その音の情報量に驚くくらいだ。

逆に言えば、スピーカーから出てくる音もここまでにはできるはずであり、
これが1つの目標となる。
実際これを使うことで、今は、スピーカの音もかなり良い線まで来た。
(うちの装置であっても、CDからアンプまではかなりの情報が来ていることが
わかった。CD側のヘッドフォン出力はちゃちすぎてだめなのもわかったが。)

装着感は至極よろしい。
耳が完全に覆われる=耳たぶを押さえないので窮屈感や痛みがない。
最初は少し締め付けがきついように感じるが、これも少し手で広げて
型を付けてやれば解消される。

形状としては大きいが、その割には軽いので、長時間装着してもほとんど疲れない
(PRO6は結構重い)。

耳を覆う部分=顔に当たる部分は肌触りの良い生地で、この点でも長時間
装着が楽である。おそらく夏場汗をかいても蒸れないだろう。
PRO6は人工皮革のような生地であったが、夏場は蒸れていやになったものだ。

ケーブルは左右から分かれて出ているが、引っ張られる力が均等で良い。
(PRO6は片側だけなので、よくずれた)。
コードはストレートで3mと十分長い(PRO6はカールコード1.5mであった。
カールコードは伸ばすと引っ張られるのであまり良くない)。
このコードはヘッドフォン部分でコネクタになっており、交換が可能なそうだ。
コネクタと聞けば抜けそうな気がするが、実際には少々の力で引いても抜けない。
(うちでは抜けないのでそのままにしてある。)

コネクタはミニが標準で、アダプタで標準となる。
PRO6も同じだが、こちらの方がしっかりしている。
アダプタが秀逸である。ただし、他機種への転用は出来ない。

HD580はインピーダンスが300Ωと高いので、普通のヘッドフォンに比べ
同じボリューム位置なら音量が下がると聞いていたが、実際にはほとんど変わらない。
気を付ければほんのわずかに下がったか?という程度。
少なくとも100V機器では問題ないであろう。
いわゆるポータブル機器ではこれは問題かもしれないが。

音量を大きくするとわずかに共振して音がこもったような感じになることがある。
筐体のプラスチックが共鳴しているのかもしれない。
まあ、めったにないので大きな問題ではなかろう。

ヘッドフォンもスピーカーと同様に使ってしばらくしてから(この期間を
エージング期間という)本来の音を出すというが、HD580は
買ってすぐでも十分にいい音が出ている。
もちろんしばらく使っているうちにどんどん情報量が増えているような気がする。
これからが楽しみである。

    お勧め度    90%

ヘッドフォンで音楽をよく聴く人にはもってこい。
いや、ヘッドフォンではあまり聞かない人でも、基準の音を知っておくためには
必須といっても良いかもしれない。価格だけの価値は十分ある。

このヘッドフォンでも細かい音が聞えないなら、CDからアンプまでの問題である。
聞えているなら、アンプからスピーカーの間の問題である。
(うちの場合は後者。)

実は、国内の定価は、地元価格の倍以上(3倍以上?)であるらしい。
ゼネラル通称という会社が輸入しているようだが、
ぼったくりだと一部では言われている。
一応日本語取説は入っているとはいえ、他は箱から何から外国語である。
25000円だから買ったけど、定価ならたぶん買わない。
(今でも¥37000位で売っているところが多いようだが。)

なお、HD580はもう廃盤機種らしいので、在庫のみであろう。
この価格も在庫処分価格と思われる。
早めに確保しておいて良かった。
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