「ゲームドクター」(2006/09/04号)
{商品紹介}

        「ゲームドクター」

        ランドポート

        定価    4500円(税込み)
        買値    4500円(税・送料込み)

        http://www.landport.co.jp/drseries/lineup/

傷が付いて読めなくなったCDやDVDを読めるように復旧するという装置。
だいぶ前からあったのだが、2005年11月末に新しいタイプが発売され、
しかも値段がだいぶ下がった(半値)ので買ってみた。

同社から「スキップドクター」という製品も発売されているが、
それとの違いは、8cmCD対応用アダプタが付いているかどうかだけ。
うちには8cmCDはほとんど存在しないし、あっても修復する必要はないから
不要だったのだけど、Amazonではゲームドクターだけの扱いしかなく、
送料を考えるとこれでも変らない(Amazonは1500円以上で送料無料だから)のでこれにした。

今回買ったのは手動式であるが、電動タイプも+3000円ほどである。

基本的な原理は、ディスクの表面に付いた傷を、保護層と共に削り取ってしまうという、
ある意味豪快なやり方である。CDやDVDは記録層の表面に保護層があるが、
これはそこそこ厚みがあるので少しくらいなら削っても大丈夫というわけだ。
(HD DVDも保護層がDVDと同じなので使えるはずだが、BlueRayは極めて薄いので使ってはいけない。)
もっとも、その保護層に対してあまりに深い傷は削りきれないのでこの装置を使っても
だめと言うことでもある。

修復は、
・ディスクに付属のスプレーをまんべんなく掛ける
・機械に入れて、ディスクが2周くらい回る位の間ハンドルを回し続ける
・取りだして、付属のドライクロス(水色の布)で削りかすを含む水分を拭き取る
・付属のフェルト(白)で磨き上げる
という手順を取る。

ディスクを入れる部分は最初ちょっと堅めなので、押し込む感じにする。
ディスクは機械に対して垂直に入れることになるが、
スプレーを掛けると水滴がたれるので、下に紙など敷いておいた方が良い。

ハンドルは結構堅い。ハンドルを回すとディスクに対して内周から外周方向=
円周に対して垂直方向に5ミリ幅ぐらいずつ薄く削っていくので、
たかが2周と言えどもハンドルを回す回数は多く、かつこれがかなり堅いので結構な労力となる。
(ホームページには1分間回すと書いてあるが、取説には「2周」とある。
1分で2周は、よほど早く回さないと無理だと思う。)

本体がちゃちなので持ちにくく、しかも底部分が抜けやすいのでやりにくい。
はっきり言って構造には大いに問題がある。
一瞬「電動の方が良かったか」と思うことしかりである。

この「2周」を数えるのも実は難しく、ハンドルを回している間「普通の状態で」見えるのは信号面。
と言うことは、何周回したかが容易には解らない。
1周目は削れているかどうかで解るのだけど、2周目以降が判別できないので、
わざわざレーベル面をのぞき込むようにしなければ解らない。
削れ具合を見るには信号面が見えた方が良いのかもしれないけど、
ここは要改良点だと思う。

作業した後のディスクを見てびっくり。「傷だらけ」。
元の傷はなくなっていたが、削り方向に盛大に傷が付いてる。
最初見たときは「失敗した!?」と思ったくらい。
「少し研磨跡が残る」とあったが、少しどころではない。誰でも見て解るくらいに残る。
フェルトで磨くとさらに傷が増える気もするので、削った後は拭く&磨くより
水洗いした方が良い。このときは水あかが残らないように浄水が良いと思う。

拭くとき・磨くときは必ず垂直方向で。これは取説に書いてないがCDクリーニングの常識。
なおスプレーはけちらずかけた方が良い。少ないと傷が多い。

CDは傷にそこそこ強い構造を持つが、それも円周方向に付くとだめ。
でも垂直方向だとあまり支障はないそうだ。
ここ↓では傷だらけのCDの作業前後でのエラーレートの差を比べているが、
http://www.localmailorder.com/angel/0310-0403/angel-0310-0403.html
格段に下がっているようではある。
(ここで使っているのは旧機種。)

1回で傷が消えない場合は数回行っても良いと書いてある。
深い傷に対しては、前処理として別売の研磨パッドで削っておくという
方法もあるようではある(2個で1900円くらい)。

「約50枚のディスクの修復が可能」とあるが、これはスプレー量と研磨材の耐久能力であって、
本体そのものが使えなくなるわけではないので、それらを交換すればよい。
別売で2100円である。
がしかし、そんなに多くの枚数傷つけるのは扱い自体がめちゃくちゃな証拠だから、
先に心構えそのものを変えた方が良い。

で、実際の結果。

私がこれを買ったのは、当然傷が付いたCDやDVDがあったからである。
「せせらぎ」というCDと「クレヨンしんちゃん アッパレ戦国大合戦」である。
前者は、途中から先に進まなくなるほど大きな傷があり、
後者は、見終わって取り出すときに落としてしまい大きな傷を付けた
(再生が出来るかどうかは確認してない)。

「せせらぎ」の傷は見えなくなり、かつ進まなくなる現象も発生しなくなった。
その他の部分にも音の異常はない。ただ、回転音が非常に大きくなった。
でもこれはPCのドライブでの話。
ステレオのCDプレイヤーCH7700では、逆に認識すら出来なくなった。
今までは、認識はしたし、その傷の部分に来るまでは正常に再生できたのにもかかわらずだ。
PCドライブはオーディオドライブに比べ読み取り能力が高い。
それで救われた感じか。

それではあまりに何なので、ダメ元で再度繰り返し削ってみることにした。
削り跡が出来るだけ少なくなるまで、合計10周くらいしただろうか。
そこまでやるとやっとCH7700でも認識、最後まで再生できた。
この際もフェルトでの研磨はしていない。回して削り、後は浄水で流しただけ。
これが一番きれいになる。フェルトでの研磨は不要だ。

「戦国」の傷は2回やっても消えなかったので、よほど深いと見える。
これもPCドライブでは再生には問題なく、画像のノイズや音声の異常はない。
うちのDVDプレイヤー、というかレコーダーのRD-X4EXはもともとPCドライブだからか、
こちらも問題なし。

この通り、およそ取説に書いてある回数では復旧出来ない。
付属のスプレーは50枚分と書いたが、実際には数回分を1枚に使うことになるので、
せいぜいその半分から1/3であろう。

        お勧め度        65%

一応2枚は復活できたので、ちゃんと使えることは確かである。

説明書通りのやり方で全てのドライブで正常に読め、またディスクもぴかぴかになるのなら、
読めはするが多少傷があるディスクに対しても行おうかと思ったが、これでは無理。
まして、手あか程度では掛けるにあたわず。と言うところで、微妙なお勧め度合い。

当然「クリーニング代わりに使う」というのは出来ない。
インターネットで調べるとそのような記述を見かけるが、
それは絶対無理、というか「したくない」。
たぶんメーカーの言い分をそのまま載せているだけなのだろうが、
メーカーもメーカーなら、それをそのまま載せる店も店である。

CD系なら復旧後に別のディスク(CD-R)にコピーして、というやり方も出来ようが、
DVDではそうも行かないので覚悟がいる。

読めないディスクがたくさんある人には有効だけど、そうでない人には果たしてどうか。
買い直した方が安い場合もある。
まあ、買い直し可能なら買い直し、もう売ってない物をダメ元でも復活させたいときの
最終手段として使うべきであろう。
いずれにせよこれはあくまで緊急用であって、そもそも傷を付けないことが肝心である。

本当は「戦国」を傷つけたときに、DVDの再購入が3800円なら
後々のことを考えればこれを買った方が良いかもと思っていた。
結局それは再購入したのだが、そうこうしているうちにこれも値段もずばっと下がったので
冬ボケナスで買ってしまった。
当座の用としては無駄ではあるが、将来のための投資と言うところか。

業務用にはもっとすごいのもあるようだが、25万くらいして個人では買えない。
(買っても元が取れない。)
たくさん、二度と買えないディスクを持っているような人は、
復旧用として持っておくのもいいのかもしれない。
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