ロ シ ア ・ ア ニ メ 映 画 祭 2 0 0 0
--- Russian Animation Film Festival 2000 ---

主催 ロシア・アニメ映画祭2000実行委員会
共催 財団法人東京国際映像文化振興会(第13回東京国際映画祭組織委員会)
後援 日本アニメーション協会
株)ムゼオ・ダルテ・ジブリ
(株)キネマ旬報社
国際シネマ・ライブラリー
協力 ロシア国立映画保存所(ゴスフィルモフォンド)
モスクワ中央映画博物館
タルーサ・ロシア・アニメーション映画祭
エイゼンシュテイン・シネクラブ(日本)
東京都写真美術館
助成 国際交流基金
財団法人セゾン文化財団
会期 11月4日(土)〜5日(日)、14日(火)〜18日(土)
チケット 前売 1000円/当日 1200円
会場 東京都写真美術館ホール
問合せ先 ロシア・アニメ映画祭2000実行委員会事務局[キネマ旬報社内 青木・篠原]
TEL03-3815-7131 FAX 03-3815-7140


●解説

  世界のアニメーション映画史に確固とした足跡を残すロシア・ソビエト・アニメーション映画。戦後日本のアニメ作家に衝撃的な影響をあたえ、世界的な日本アニメに不可欠な因子となった作品群や、現代世界アニメの頂点に立つユーリー・ノルシュテイン作品など、その全貌がようやく完璧な質のニュープリントフィルムによって姿をあらわします。  帝政時代から2000年まで、ロシア・ソビエト・アニメーションの全容がレトロスペクティヴの形で上映される(長編3本、短編33本)のは世界でも初めてです。創成期から戦前・戦中までの作品と1990年代の新作はすべて殆どが日本未公開、また一時ネガ消失と言われた1947年作品「イワンのこうま」(旧邦題「せむしのこうま」)も、完全なオリジナル・ネガから復元されました。映画ファン、とりわけアニメーション・ファンに至福のチャンスが到来します。


●上映作品

 Aプログラム スタレーヴィチの人形アニメ(3作品 合計30分)

(1)「カメラマンの復讐」
Месть кинематографического оператора
The Cameraman's Revenge
1912年ハンジョンコフ作品、B/W、スタンダード、サイレント、10分
監督・脚本・美術・撮影:ヴワディスワフ・スタレーヴィチ
■カブトムシの夫はトンボ嬢とホテルへしけこみ、妻は愛人を家に連れこむ。
それを覗くキリギリスのカメラマン……。虫たちが不倫を繰り広げるロシア最
初期の人形アニメ。

(2)「アリとキリギリス」
Стрекоза и Муравей
The Grasshopper and the Ant
1913年ハンジョンコフ作品、B/W、スタンダード、サイレント、5分
監督・脚本・美術・撮影:ヴワディスワフ・スタレーヴィチ
■夏のあいだ遊んで暮らすキリギリスと、せっせと働くアリが登場する、おな
じみイソップ寓話。虫と車が大好きなスタレーヴィチの精巧な人形の動きがさ
える帝政時代の秀作。

(3)「ベルギーの百合」
Лилия Бельгии
The Lily of Belgium
1915年スコベレフ委員会軍事映画部作品、B/W、スタンダード、サイレント、1
5分  日本未公開
監督:ヴワディスワフ・スタレーヴィチ  脚本:B・マルトフ
■おじいさんが孫娘に語る、ベルギーの苦難と再生をモチーフにした寓意。ユ
リと虫たちが共存する平和な世界が、領土拡大をもくろむカミキリムシの戦争
に巻き込まれる。
Bプログラム ソビエト・アニメの誕生(5作品 計85分)
(4)「惑星間革命」
Межпланетная революция
The Interplanetary Revolution
1924年国立映画技術学校作品、B/W、スタンダード、サイレント、10分
監督・脚本:ゼノン・コミッサレンコ、ユーリー・メルクーロフ、ニコライ・
ホダターエフ
■革命が進む地球で居場所を失ったブルジョワたちは、火星へ逃げ出す。彼ら
を追ったコミンテルン革命軍は、ついに火星でも革命を達成する。ソ連最初の
“SF”アニメ。

(5)「ソビエトのおもちゃ」
Советские игрушки
Soviet Toys
1924年ゴスキノ映画宣伝部作品、B/W、スタンダード、サイレント、14分  日
本未公開
監督:ジガ・ヴェルトフ
■食欲、性欲を満たしたブルジョワは、心を満たそうとするが、教会の神父た
ちがけんかを始め……。〈映画眼〉のドキュメンタリスト、ヴェルトフによる
ソ連初のアニメ映画。

(6)「スケート」
Каток
Skate
1927年メジラブポム=ルーシ作品、B/W、スタンダード、サイレント、9分  日
本未公開
監督:ユーリー・ジェリャーブシスキー  脚本:N・D・バルトラム  美術:ダ
ニール・チェルケス、イワン・イワノフ=ワノー
■大人たちが休日を楽しんでいるスケート場。そこへ少年がもぐりこんで、ス
ケート場は大騒ぎ。スケートのスピード感と楽しさが伝わってくる、ソ連アニ
メ初期の秀作。

(7)「中国っ子の冒険」
Приключения китайчат
The Adventures of Chinese Kids
1928年メジラブポム=ルーシ作品、B/W、スタンダード、サイレント、28分  
日本未公開
監督・人形制作:M・V・ベンデルスカヤ、S・A・ベンデルスキー  脚本:V・S
・レヴェントン
■上海の貧しい苦力(クーリー)の家に生まれた兄妹が、貧しい者が自由にな
れる国を求めて旅に出る。記録映像も交えながら、中国革命への期待をにじま
せるプロパガンダ作品。

(8)「郵便」
Почта
The Post
1929年ソフキノ・レニングラード工場作品、B/W、スタンダード、サイレント、
24分  日本未公開
監督:ミハイル・ツェハノフスキー  脚本:サムイル・マルシャーク、ミハイ
ル・ツェハノフスキー
■同じ市内へ出したはずの郵便が、あて先の人物を追っかけて世界を一周する。
児童文学者マルシャークの詩とツェハノフスキーの映像が心地よいリズムを生
み出す秀作。
Cプログラム ソビエト・アニメの発展(1)(5作品 計72分)
(9)「習慣のとりこ」
Властелин быта
The Ruler of Lifestyle
1932年ソユーズキノ・モスクワ工場作品、B/W、スタンダード、トーキー、16
分  日本未公開
監督:アレクサンドル・プトゥシコ  撮影:ニコライ・レンコフ  脚本:アレ
クサンドル・プトゥシコ、ニコライ・レンコフ  美術:アレクサンドル・プト
ゥシコ、ニコライ・レンコフ、サラ・モキリ、Yu・ドゥパンジン  作詞:V・
グラノフ  作曲:S・リャウゾフ  歌:N・M・ブラヴィン
■雑然とした部屋で怠惰な生活を送る男が、新築のアパートに引っ越す。果た
して男の生活は変わるのか。特撮映 画の雄プトゥシコがトーキー時代の幕開
けを告げる喜劇アニメ。

(10)「スイカ泥棒」
Вор
The Thief
1934年モスクワ映画コンビナート芸術アニメ工場作品、B/W、スタンダード、
トーキー、10分  日本未公開
監督・美術:アレクサンドル・イワノーフ、パンテレイモン・サゾーノフ  脚
本:ベラ・バラージュ  作曲:レフ・シヴァルツ  音声:ニコライ・ヴォイノ
フ
■コルホーズのスイカ泥棒退治にかけつけるワーシャと“友だち”の活躍。映
画における音の役割を考察した理論 家バラージュも参加し、音声トラックを
手書きで作った実験作品。

(11)「オルゴール」
Органчик
The Musical Box
1934年モスクワ映画コンビナート芸術アニメ工場作品、B/W、スタンダード、
トーキー、21分  日本未公開
監督:ニコライ・ホダターエフ  脚本:A・ガヤモフ、ニコライ・ホダターエ
フ  原作:ニコライ・サルティコフ=シチェドリン  撮影:N・エマノフ  作画
:G・エチェイストフ、ニコライ・ホダターエフ、ダニール・チェルケス  音
楽:D・ロバチェフ
■「最悪ではないが最低の皇帝」が愚者の町の新市長に選んだのは、誰よりも
声の通る将軍だった。オルゴールのメカを仕込まれた将軍が町を破滅させるま
でを描く諷刺アニメ。

(12)「皇帝ドゥランダイ」
Царь Дурандай
Czar Durandai
1934年メジラブポムフィルム・アニメ工場作品、B/W、スタンダード、トーキ
ー、21分日本未公開
監督:イワン・イワノフ=ワノー、ワレンチナ・ブルムベルグ、ジナイーダ・
ブルムベルグ  脚本:アレクサンドル・クルス  音楽:アナトーリー・アレク
サンドロフ  美術:V・ポクロフスキー、レオニード・アマリリク、A・ベリャ
コフ、V・ラズルスキー、K・マルイシェフ、A・ネステロフ  音声デザイン:S
・ベンデルスキー
■“恐怖”の皇帝ドゥランダイが“美人”女帝テチョーハを嫁にするべく、力
持ちの鍛冶屋シーラの助けを借りながら3つの難題に挑戦する。皮肉をたっぷ
り盛り込んだおとぎ話。

(13)「バザール」
Базар
Bazaar
1936年レンキノ作品(未完)、B/W、スタンダード、トーキー、4分
監督:ミハイル・ツェハノフスキー  美術:ミハイル・ツェハノフスキー、ヴ
ェラ・ツェハノフスカヤ  音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ
■ショスタコーヴィチの音楽にのって怪しげな物売りが次つぎに登場、さわが
しく猥雑なバザールの光景が展開する。グロテスクな絵と音楽の迫力は、他の
追随を許さない。
Dプログラム 日本初公開長編(1作品 計78分)
(13)「新ガリヴァー」
Новый Гулливер
The New Gulliver
1936年モスクワ映画工場作品、B/W、スタンダード、トーキー、78分日本未公
開
監督:アレクサンドル・プトゥシコ  原作:ジョナサン・スウィフト『ガリヴ
ァー旅行記』  脚本:グリゴーリー・ロシャリ、アレクサンドル・プトゥシコ
  音楽:レフ・シヴァルツ  撮影監督:ニコライ・レンコフ  人形美術:サラ
・モキリ
■キャンプで『ガリヴァー旅行記』を賞品にもらったペーチャは、リリパット
国に迷い込む。1500体の人形を駆使したアニメと実写との合成で当時のソ連特
撮の高水準を示す。
Eプログラム ソビエト・アニメの発展(2)(4作品 計60分)
(15)「にぎやかな航海」
Шумное плавание
The Noisy Voyage
1937年連邦動画撮影所作品、B/W、スタンダード、トーキー、13分 日本未公
開
監督:ウラジーミル・ステーエフ  共同監督:レオニード・アマリリク  脚本
:ニコライ・アドゥエフ  音楽:A・ツファスマン、A・カミン  撮影監督:D
・カレトヌイ
■ネズミの水夫たちがけんかしても、嵐が船でこわれても、カエルの音楽に合
わせてみんなが協力すれば、すべて解決する。ディズニー風アニメが奨励され
た時代の音楽アニメ。

(16)「イワシコとバーバ・ヤガー」
Ивашко и Баба Яга
Ivashko and Baba-Yaga
1938年連邦動画撮影所作品、B/W、スタンダード、トーキー、11分日本未公開
監督・脚本:ワレンチナ・ブルムベルク、ジナイーダ・ブルムベルク 音楽:
アナトーリー・アレクサンドロフ 撮影:K・クルイロワ
■湖にひとりで遊びに出かけたイワシコは、人食いの魔法使いヤガーばあさん
につかまってしまう。ふたりのかけ引きが始まる。ロシア民話を題材にしたブ
ルムベルグ姉妹の佳作。

(17)「おろかな子ネズミ」
Сказка о глупом мышенке
The Tale of the Silly Little Mouse
1940年レンフィルム作品、カラー、スタンダード、トーキー、15分日本未公開
監督:ミハイル・ツェハノフスキー  脚本:サムイル・マルシャーク、ミハイ
ル・ツェハノフスキー  音楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ  撮影:V・
シュミャキン
■みんなが眠る夜になっても、子ネズミは眠れない。困った母ネズミは、子ネ
ズミを眠らせようと、いろんな動物に子守唄をたのむ。独特の発色が美しいカ
ラー模索時代の作品。

(18)「船乗りシンドバッド」
Синдбад мореход
Sindbad the Sailor
1944年連邦動画撮影所作品、B/W、スタンダード、トーキー、21分日本未公開
監督:ワレンチナ・ブルムベルグ、ジナイーダ・ブルムベルグ  芸術指導:ア
レクサンドル・プトゥシコ  脚本:O・エルベルグ、N・ペレスヴェトフ、ブル
ムベルグ姉妹  音楽:N・ボゴスラフスキー、Yu・ニコリスキー  美術:レオ
ニード・アマリリク  撮影:N・ソコロフ  声の出演:レフ・スヴェルドリン
(シンドバッド)
■願い事をかなえてくれる壺を手に入れるためセレンディブ(セイロン島)ま
で航海する、おなじみシンドバッドの冒険。戦時中の作品とは思えない、のび
やかさが心地よい。
F 戦後の2大長編(1)(1作品 計60分)
クリックで拡大(提供:キネマ旬報社)
(19)「イワンのこうま」(旧邦題「せむしの仔馬」)(右図)
Конёк-Горбунок
Konyok-Gorbunok
1947年連邦動画撮影所作品、カラー、スタンダード、トーキー、60分1949年日
本公開
監督:イワン・イワノフ=ワノー  原作:ピョートル・エルショフ『せむしの
こうま』  脚本:エヴゲーニー・ポメシチコフ、ニコライ・ロシコフ  撮影:
ニコライ・ヴォイノフ  美術監督:L・ミリチン  音楽:A・オランスキー
■農民の三人兄弟の末っ子イワンが、こうまに助けで皇帝の難題を解決してい
く。公開当時、日本のアニメファンを驚愕させた虹色に輝く馬や火の鳥が、今
スクリーンに蘇る。
G 戦後の2大長編(2)(1作品 計65分)
クリックで拡大(提供:キネマ旬報社)
(20)「雪の女王」(右図)
Снежная королёва
The Snow Queen
1957年連邦動画撮影所作品、カラー、スタンダード、トーキー、65分
監督:レフ・アタマーノフ  原作:ハンス・クリスティアン・アンデルセン
『雪の女王』 脚本:ゲオルギー・グレブネル、レフ・アタマーノフ、ニコラ
イ・エルドマン  詩:ニコライ・ザボロツキー  歌詞:M・スヴェトロフ  作
曲:A・アイヴァジヤン
■雪の女王に心を凍らされた少年カイを助けるため、少女ゲルダがさまざまな
苦難を乗り越えながら氷の宮殿を目指す。高畑勲、宮崎駿らに決定的影響を与
えたともいわれる長編アニメ。
H ユーリー・ノルシュテイン作品集(6作品 計83分)
(21)「25日、最初の日」
25-е ― первый день
25 October, the First Day
1968年連邦動画撮影所作品、カラー、スタンダード、トーキー、10分
監督:ユーリー・ノルシュテイン、A・チューリン  撮影:V・サルハノフ  音
楽:ドミトリー・ショスタコーヴィチ  
■ロシア十月革命の最初の日(旧暦1917年10月25日)を描いたノルシュテイン
の監督デビュー作。革命直後のポスターや絵画から作られた画面が、ロシア革
命の熱気を伝える。

(22)「ケルジェネツの戦い」
Сеча при Керженце
The Battle of Kerzhenets
1971年連邦動画撮影所作品、カラー、シネマスコープ、トーキー、10分
監督:イワン・イワノフ=ワノー、ユーリー・ノルシュテイン  脚本:イワン
・イワノフ=ワノー  美術監督:M・ソコロワ、A・チューリン  撮影:V・サル
ハノフ  音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ  
■リムスキー=コルサコフのオペラ『消えた町キーテジの物語』に着想を得て、
中世ロシアの聖像画(イコン)や細密画を自在に動かしながら、中世ロシアの
戦争と平和を描く。

(23)「キツネとウサギ」
Лиса и Заяц
The Fox and the Hare
1973年連邦動画撮影所作品、カラー、スタンダード、トーキー、12分
監督:ユーリー・ノルシュテイン  原作:ウラジーミル・ダーリ(ロシア民話)
  美術監督:フランチェスカ・ヤルブソワ  作曲:M・メーエロヴィチ  撮影
:T・ブニモヴィチ  ナレーション:ヴィクトル・ホフリャコフ
■春が来て氷の豪邸がとけてしまったキツネが、ウサギの小屋をのっとった。
森のなかまは小屋を取り戻そうとする。民衆版画(ルボーク)風の素朴な絵柄
がかわいいロシア民話。

(24)「アオサギとツル」
Цапля и Журавль
The Heron and the Crane
1974年連邦動画撮影所作品、カラー、スタンダード、トーキー、11分
監督:ユーリー・ノルシュテイン  脚本:R・カチャノフ、ユーリー・ノルシ
ュテイン  原作:ウラジーミル・ダーリ(ロシア民話)  美術監督:フランチ
ェスカ・ヤルブソワ  撮影:A・ジュコフスキー  作曲:M・メーエロヴィチナ
レーション:インノケンチイ・スモクトゥノフスキー
■惹かれ合いつつも、顔を合わせるとなぜか口論になってしまい、たがいの住
みかを行きつ戻りつしつづける不器用なふたり。ロシア民話からチェーホフ的
空間が展開する秀作。

(25)「霧のなかのハリネズミ」
Ёжик в тумане
The Hedgehog in the Fog
1975年連邦動画撮影所作品、カラー、スタンダード、トーキー、10分
監督:ユーリー・ノルシュテイン  脚本:セルゲイ・コズロフ  美術監督:フ
ランチェスカ・ヤルブソワ  撮影:A・ジュコフスキー  作曲:M・メーエロヴ
ィチ  声の出演:ナレーション(アレクセイ・バターロフ)、子グマ(ヴャチ
ェスラフ・ネヴィンヌイ)、ハリネズミ(マリヤ・ヴィノグラードワ)
■なかよしの子グマからお茶に招かれたハリネズミ。おみやげを抱えて家を出
ると、そこには深い霧がたちこめていた。観る者も思わず霧のなかの探検にひ
きこまれる傑作。

(26)「話の話」
Сказка сказок
Tale of Tales
1979年連邦動画撮影所作品、カラー、スタンダード、トーキー、30分
監督:ユーリー・ノルシュテイン  脚本:リュドミラ・ペトルシェフスカヤ、
ユーリー・ノルシュテイン  美術監督:フランチェスカ・ヤルブソワ  撮影:
イーゴリ・スキダン=ボシン  子オオカミの声:アレクサンドル・カリャーギ
ン  作曲:M・メーエロヴィチ  挿入曲:J・S・バッハ、W・A・モーツァルト
■都会にのみこまれつつある森のなか、子オオカミが廃屋の記憶の世界をさま
よう。戦争と平和、詩人の創造などをめぐる省察を映像詩でつづったノルシュ
テイン・アニメの極点。
I ロシア・アニメの90年代〜タルーサ・ロシア・アニメーション・フェスティバル・コレクション (10作品 計91分)
(27)「アトラクション」
Attraction(※原題英語)
1995年シャール作品、カラー、スタンダード、トーキー、3分  日本未公開
監督・脚本・デザイン:アレクセイ・ジョーミン  監修:フョードル・ヒトル
ーク、エドゥアルド・ナザーロフ  撮影:セルゲイ・フレーブニコフ、ドミト
リー・ジューコフ  音声:ウラジーミル・オリョル  編集:ナデージダ・トレ
シチョワ  製作:アレクサンドル・ゲラーシモフ
■赤旗を掲げつつ、ふきすさぶ吹雪にも負けず前進するイヌの登山隊。頂上を
目指す彼らに、はたして行き着くところはあるのか。ソ連崩壊とロシアの混乱
を戯画化した小品。

(28)「ニュールカの風呂」
Нюркина баня
Niurka's Bathhouse
1995年シャール/ロスコムキノ・ウラル撮影所作品、カラー、スタンダード、
トーキー、10分  日本未公開
監督:オクサーナ・チェルカーソワ  脚本:ナデージダ・コジュシャナヤ  美
術監督:アンドレイ・ゾロトゥーヒン 撮影:V・キレーエフ、セルゲイ・レシ
ェトニコフ  歌唱:O・セルゲーエワ  製作:アレクサンドル・ゲラーシモフ
■湖のほとりのサウナ風呂へやって来た3人の男。勢いよく湯気をあげ、冷た
い水に飛び込み、葉のついた白樺の枝でたたき合う。魂が抜け出るほど気持ち
いいサウナの楽しみ。

(29)「おばあちゃん」
Бабушка
Grandmother
1996年ロスコムキノ・スヴェルドロフスク撮影所/シャール作品、カラー、ス
タンダード、トーキー、10分  日本未公開
監督・美術監督:アンドレイ・ゾロトゥーヒン  脚本:ナデージダ・コジュシ
ャナヤ  音楽:オレグ・カラヴァイチュク  撮影:ゾーヤ・キレーエワ
■アパートのバルコニーから落ちて入院した少年。退院しても、離婚した母の
ことが気になって憂鬱は晴れない。おばあちゃんとの交流のなかで少年は生き
る希望を見出していく。

(30)「水の精」
Русалка
The Mermaid
1996年ダゴ/シャール/パノラマ作品、カラー、スタンダード、トーキー、10
分  日本未公開
監督・美術:アレクサンドル・ペトロフ  脚本:マリーナ・ヴィシュネヴェツ
カヤ、アレクサンドル・ペトロフ  撮影:ウラジーミル・ゴリコフ  音楽・歌
:エヴゲーニヤ・スモリャニノワ  製作:アレクサンドル・ゲラーシモフ、ド
ミトリー・ユルコフ  
■年老いた修道士とその弟子の若者が川辺に住んでいた。ある日、若者が助け
た美女は水の精だった……。「老人と海」でアカデミー短編アニメ賞を受賞し
たペトロフ監督の秀作。

(31)「私は海辺で暮らしていた」
Раньше я жил у моря
I Was Living by the Sea
1997年パイロット作品、カラー、スタンダード、トーキー、10分  日本未公開
監督・美術:スヴャトスラフ・ウシャコフ  脚本:スラーワ・ウシャコフ  音
楽:アレクサンドル・ピシチコフ  撮影:イーゴリ・アポローノフ  音声:ス
ラーワ・タラソフ  芸術指導:フョードル・ヒトルーク  製作:イーゴリ・ゲ
ラシヴィリ
■長い航海に出た船長の父を海辺の家で待つ母と姉と「私」。何かが壊れたあ
る日、汽車の贈り物をもって男が現れる。静かな音楽にのせて、たんたんと語
られる家族崩壊の物語。

(32)「ピンク・ドール」
Розовая кукла
Pink Doll
1997年スヴェルドロフスク撮影所作品、カラー、スタンダード、トーキー、10
分  日本未公開
監督・美術監督:ワレンチン・オルシワング  脚本:ナデージダ・コジュシャ
ナヤ  撮影:S・レシェトニコフ、V・スミン  音楽:D・ボリソフ  音声:N・
シェスタコワ
■帰ってきたママのおみやげはピンクの人形。ママはすぐに週末のデートに出
かけてしまう。ママがデートを楽しむあいだ、残された子どもをおもちゃたち
の悪夢がおそう。

(33)「夜が来た」
Ночь пришла
The Night Has Come
1998年シャール/マスターフィルム作品、カラー、スタンダード、トーキー、
6分  日本未公開
監督・美術:スヴェトラーナ・フィリッポワ  脚本:スヴェトラーナ・フィリ
ッポワ、マラート・マガンベトフ  撮影:V・プルドニコフ、セルゲイ・フレ
ーブニコフ、ドミトリー・ジューコフ  音声:アレクサンドル・ザクルジェフ
スキー  オカリナ演奏:V・ツァレフスキー  製作:アレクサンドル・ゲラー
シモフ、V・マヤソフ
■夜がやってきた。子どもは部屋でベッドに入るが、いろんな音が聞こえてき
て、想像はどんどんふくらんでいく。カザフスタン出身の女性監督フィリッポ
ワのデビュー作。

(34)「むかし、青い海のほとりで」
Однажды у синего моря
Once upon a Time by the Blue Sea
1999年スヴェルドロフスク撮影所作品、カラー、スタンダード、トーキー、6
分  日本未公開
監督・脚本:アレクセイ・ハリティディ  美術:E・ヤゴヴィチナ、N・コノノ
ワ  撮影:V・スミン  音楽:S・シデリニコフ  音声:N・シェスタコワ  製
作:アレクサンドル・ゲラーシモフ、V・ヒジニャコワ
■海に潜って海底の古代遺跡を発掘する男、その留守に浮気する妻、それを覗
き見する海辺の女の三角関係。ある日、妻が去ったのを見た女は、男のもとへ
かけつけるが……。

(35)「秋の訪れ」
Наступила осень
The Autumn Has Come
1999年ゴスキノ/高等脚本家監督コース/シャール作品、B/W、スタンダード、
トーキー、8分  日本未公開
監督:カテリーナ・ソコロワ  原作:A・ビトフ & R・ガブリアッゼ『仕事好
きのプーシキン』  撮影:ニコライ・マコフスキー  音声:ウラジーミル・オ
リョル  歌:タマーラ・スムィスロワ  編集:ナデージダ・トレシチョワ  製
作:アンドレイ・フルジャノフスキー、アレクサンドル・ゲラーシモフ、イオ
シフ・ボヤルスキー
■1999年に生誕200周年を迎えたロシア最大の詩人プーシキン。風の吹きすさ
ぶ秋の一日、
犬とたわむれ、川にはまり、かかしと一緒に野原に立つ。ソコロワ監督の卒業
制作。

(36)「乳母」
Лукоморье. Няня
The Creek. Nanny.
2000年ゴスキノ/マスターフィルム作品、カラー、スタンダード、トーキー、
18分  日本未公開
監督:セルゲイ・セリョーギン  脚本:ウラジーミル・ゴロワノフ  美術監督
:ソフィヤ・クラフツォワ  撮影監督:ゾーヤ・キレーエワ、カブル・ラスロ
フ  音楽:イーゴリ・ナザルク  音声:ウラジーミル・オリョル、イリヤ・コ
チェルジュク  声の出演:ナターリヤ・クラチコフスカヤ、ドミトリー・ヤチ
ェフスキー、ウラジーミル・オリョル  歌:ラリーサ・カンダロワ  編集:ナ
デージダ・トレシチョワ  製作:ヴャチェスラフ・マヤソフ、アレクサンドル
・ゲラーシモフ
■乳母の語る民話を聞きながら、子供時代のプーシキンは兵隊や人魚や動物た
ちが登場する物語の世界に遊ぶ。乳母との心温まる交流の実話を下敷きにした、
ほのぼのした作品。

●上映タイムテーブル

 2000年11月
4日(土) 11:00〜12:31 14:00〜16:17 17:00〜18:15/18:30〜19:53
I(91分) C+G(137分) シンポジウム+H
5日(日) 11:00〜12:48 14:00〜15:25 17:00〜18:15/18:30〜20:30
A+D(108分) B(85分) シンポジウム+E+F
14日(火) 11:00〜12:31 13:30〜15:47 16:30〜17:55 19:00〜20:48
I(91分) C+G(137分) H(83分) A+D(108分)
15日(水) 19:00〜20:25 
B(85分) 
16日(木) 11:00〜13:00 14:00〜15:31 16:00〜18:17 19:00〜20:23
E+F(120分) I(91分) C+G(137分) H(83分)
17日(金) 11:00〜12:48 14:00〜15:25 16:00〜18:00 19:00〜20:31
A+D(108分) B(85分) E+F(120分) I(91分)
18日(土) 11:00〜13:17 14:00〜15:23 16:00〜17:48 19:00〜21:00
C+G(137分) H(83分) A+D(108分) E+F(120分)
  *開場時間はそれぞれ上映開始時間の15分前になります

 ●各プログラムの上映作品
スタレーヴィチの人形アニメ(30分) 「カメラマンの復讐」「アリとキリギリス」「ベルギーの百合」
ソビエト・アニメの誕生(85分) 「惑星間戦争」「ソビエトのおもちゃ」「スケート」「中国っ子の冒険」「郵便」 
ソビエト・アニメの発展(1)(72分) 「習慣のとりこ」「スイカ泥棒」「オルゴール」「皇帝ドゥランダイ」「バザール」
日本初公開長編(78分) 「新ガリヴァー」
ソビエト・アニメの発展(2)(60分) 「にぎやかな航海」「イワシコとバーバ・ヤガー」「おろかな子ネズミ」「船乗りシンドバッド」
戦後の2大長編(1)(60分) 「イワンのこうま」
戦後の2大長編(2)(65分) 「雪の女王」
ユーリー・ノルシュテイン作品集(83分) 「25日、最後の日」「ケルジェネツの戦い」「キツネとウサギ」「アオサギとツル」「霧のなかのハリネズミ」「話の話」
ロシア・アニメの90年代(91分) 「アトラクション」「ニュールカの風呂」「おばあちゃん」「水の精」「私は海辺で暮らしていた」「ピンク・ドール」「夜が来た」「むかし、青い海のほとりで」「秋の訪れ」「乳母」


来日ゲストプロフィール

  ロシア・アニメ映画祭2000の実行にあたり、以下の3人の関係者が来日。11月4日、5日にはシンポジウムを開催致します。


記念シンポジウム

*シンポジウムはその後の映画上映と併せて1プログラムとなります


料金

 全席自由席(定員190席)・入替制 1回券(日時指定なし) 前売=1000円 当日=1200円  *前売券はチケットぴあ、東京都写真美術館にて10月11日より発売

会場

 東京都写真美術館ホール 〒153-0062 東京都三田区三田1-13-3 東京都写真美術館1F JR恵比寿駅下車 恵比寿ガーデンプレイス横


映画祭のちらし

 それぞれクリックで拡大