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ハヤカワ文庫SFの歴史 History of Hayakawa Bunko SF


Ⅵ期(九五年八月~〇〇年七月)1110番~1319番まで



 刊行点数はゆるやかに減っている。青背率は七割に迫り、白背は《ローダン》と《宇宙大作戦》関連を除けば四点のみの刊行に止まった。従来ならば白背から出ていたミリタリーSFのシリーズが、青背から続々と刊行され始めたことがこの時期の特色である。《海外SFノヴェルズ》からの再刊は増えているが、もともとが大御所と映画化関連作品中心のラインナップであるため、見るべき作品は少ない。
 刊行点数順では、四点がクラーク、ヴォネガット、ジーター、ベア、ソウヤーの五人。クラークは、映画で使用されなかったエピソードを集めた『失われた宇宙の旅2001』などが刊行され、ヴォネガットは『ガラパゴスの箱舟』『青ひげ』などが再刊された。ソウヤーは、『さよならダイノサウルス』★『ターミナル・エクスペリメント』『スタープレックス』『フレームシフト』★と全て異なる題材(順に恐竜絶滅、魂の実在、宇宙冒険、ヒトゲノム)を扱った作品が刊行され、その器用さを印象づけた。ベアは、近未来の地球(『女王天使』『斜線都市』)、火星の独立闘争(『火星転移』)、月での死体蘇生(『凍月(いてづき)』)と、舞台や題材こそ異なるが《ナノテク/量子理論》に含まれる代表作が全て刊行された。ジーターは、ホラー風味の『ダーク・シーカー』や映画『ブレードランナー』の続編が刊行された。
 この時期の主要作としては、名のみ高かったディレイニー『アインシュタイン交点』(九六年/原著六七年)が伊藤典夫によってついに翻訳されたことがまず挙げられる。大御所では、久しぶりの《ハイニッシュ・ユニヴァース》を含むル・グィンの短編集『内海の漁師』、ティプトリーの短編集『星ぼしの荒野から』がそれぞれ刊行された。他には、ラッカー『ハッカーと蟻』『時空ドーナツ』、ラファティ『つぎの岩につづく』☆、バクスターによるウエルズ『タイム・マシン』の公式な続編『タイム・シップ』★、イアン・マクドナルドのデビュー作『火星夜想曲』☆、レズニック『キリンヤガ』★などが主なところ。九九年に今を時めくイーガンが、創元『宇宙消失』☆(八月)と本文庫『順列都市』(十月)の連続刊行で衝撃的なデビューを果たしたことも記すべき事件であろう。
 シリーズものは、青背でファインタック《銀河の荒鷲シーフォート》、ウェーバー《紅の勇者オナー・ハリントン》、アサロ《スコーリア戦史》が新たにスタートした。スミス《人類補完機構》は、短編集『第八一Q戦争』が刊行された。九八年に《ローダン》をほぼ単独で訳してきた松谷健二が亡くなり、以降は複数の訳者での刊行となっている。
(文中の★印は星雲賞受賞作、☆印は「SFが読みたい!」ベストSF第1位を示す)
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