タイトル 忠臣蔵(櫻花の巻、菊花の巻)
放映年 1959年
配給 東映
松田定次監督の、オールスター忠臣蔵。櫻花の巻、菊花の巻合わせて182分の超大作。錦之助@内匠頭が儚げで美しい。千恵蔵、右太衛門の両御大が演じる城引き渡しの場面や、スターの競演が見物

出演:片岡千恵蔵、市川右太衛門、中村錦之助、大川橋蔵、月形龍之介、進藤英太郎ほか

木久蔵さんの物まねを実感した、千恵蔵御大の大石内蔵助。息苦しくなるような(笑)台詞まわしも重々しい

 時代劇の小部屋、約一年ぶりの更新は東映時代劇映画三連発。ただ今、仕事で往年のスターさんたちを描いているので、いろいろと時代劇映画を観ているのだ。描きまくってボツになった絵もあるし(笑・千恵蔵さんは笑えないくらい描いたもん)なので、せっかくなのでどんと行ってみる
 本作は大好きな作品で、DVDも購入した。師走になると必ず観てしまう定番の作品。やっぱ、日本人は忠臣蔵でしょ。それと、これまた大好きなオールスター映画。東映のお馴染の役者さんたちがこれでもかと登場する。やっぱ、楽しいよね、オールスター映画は!善も悪もオールスター、ビバ!オールスター(笑)
 本作は、なんといっても美しくって、どことなく脆そうな浅野内匠頭@錦ちゃんが奇麗。この同じ人が後年「てめえら人間じゃねえ」と啖呵を切るとはとても思えない上品さ。錦ちゃんはほんと、幾通りもの顔があって、ほとほと感嘆する。家臣と田村家の廊下での別れの場面など、ほろほろと泣けてくるくらい切ない。切ないといえば、大友さん演じる安兵衛と妻の別れもいい。にこにこと笑いながら「あの世ではいい夫になる」という大友さんの台詞にぐっときてしまった。(妻役の千原しのぶさんがこれまたいい)。進藤さん@吉良はやらし〜感じの吉良(笑)この男から賀津雄ちゃんが生まれたとは思えない(爆・それにしても内匠頭が錦ちゃんで、ライバルの上杉が賀津雄ちゃんって…絶妙の取り合わせ)。橋蔵さんの金衛門は美麗だし、主税役の北大路さんは初々しい。また、いつもは悪役の加賀国男さんや薄田研二さん、山形勲さんも赤穂浪士。いい味を出していた。吉田忠左衛門役は大河内デンジャラス…ではなく大河内傳次郎さん。彼の名は、昔、セイヤングの天才秀才バカのコーナーで【大河内デンジャラス】というペンネームの人がおり、それ以来、どうしても大河内デンジャラスになってしまうのだ。って、まったくの余談だけど(爆)
 兎にも角にも、当時としては破格の製作費をかけた超大作、ぎゅうぎゅうに濃い、東映時代劇エッセンスが込められている本作を、未見ならばぜひご覧あれ。できたら、東宝、大映のオールスター映画と見比べるとなお楽しい。それぞれの映画会社の個性が、ものすごく出ているから、楽しいぞ。(2007.2.3)