写真の化学

光に反応する物質にはどのようなものがありますか?

 初めて光の像を現像し定着に成功したのはフランスのダゲール(1787〜1851年)です。それはダゲレオタイプと呼ばれ、銀メッキした銅板をヨウ素蒸気で処理して感光板としました。カメラで写したあと、水銀蒸気で現像し、高濃度の食塩水で定着するというものでした。撮影には晴天の日でも20〜30分必要であったと言われています。その後、この技術にさまざまな改良が加えられ、今日の写真にいたっています。

 今日の写真にはハロゲン化銀が使われています。フイルムや印画紙にはAgBrのゼラチン溶液の乳剤が塗ってあります。この乳剤はAgNO3の溶液をKBrを含んだゼラチン溶液に加えて作られています。今、このフイルムに光があたるとAg+がAgとなります。光の作用でAgが還元されます。このとき、フイルムにはほとんど像は見えません。しかし光の当たったところに潜像が出来ています。潜像は現像液で処理すると、還元反応が進行し、像が現れてきます。像が得られた時点で現像液から引き上げます。次にフイルムに残っている未反応のAgBrを取り除くために、定着液で処理します。以上の操作で像が固定されます。写真は化学反応を巧みに利用してます。

 その他、光に反応する物質にはトリスオキサラト鉄(V)酸カリウムがあります。これを用いたのが青写真です。これはトリスオキサラト鉄(V)酸カリウムが光で分解しFe3+がFe2+になる反応を利用したものです。Fe2+はヘキサシアノ鉄(V)カリウムと反応して青色の沈殿のを生じるので、光の当たったところが青くなり像が得られるわけです。

 身近なところでは、皮膚の日焼けなども光で感光したことになります。



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