長方形(矩形)断面の等流計算

Manningの公式

開水路の等流計算には、次のマニングの公式がよく用いられる。

      (式−1) 

               (式−2)       (式−3)      (式−4)

   (式−5)   又は、   (式−6)

ここで、各記号は次のことを示しています。
     Q:流量
     V:平均流速
     n:粗度係数(水路壁面、底面の粗さを示す値で、水路の材質や状態により異なる。)
     S:潤辺(水路断面において、水が周囲の壁や底と接する長さ。)下の図の---の長さ。
     A:水路における流水の断面積
     R:径深(水理学的平均水深とも言う。 流積を潤辺で割ったもの)
     I:動水勾配 h/L (h:エネルギー損失   L:水路延長)
      但し、等流では、動水勾配=水面勾配=水路床勾配であるので、計算には水路床勾配を用いることが多い。
     b:水路幅
     h:水深  

Let's try!

課題 1 長方形(矩形)断面水路の流速と流量を求めてみよう。

計算の手順

 手順1  計算に必要な、水路の断面形状のデーターと勾配のデーターを整理する。
       水路の幅と高さ、水路底面の勾配(縦断図から、高さ():長さ(l)の比を求める。) を求める。
 手順2  水路の材質や表面の凹凸、水路内の草など植生の状況などから、設計基準などの表を参考に粗度係数を求める。 
 手順3  データーがそろったところで、まず、流水の面積(流積)を求める。→(式−2)
 手順4  潤辺を求めよう。潤辺は、上の断面図の赤線部分となる。 →(式−3) 
 手順5  水路の勾配を求よう。予め手順1で勾配が直接与えられているときは、その値を用いる。
       水路勾配 I=h/l または、設計で与えられた勾配を求める。
       (注意 設計で勾配が例えば1:200のように与えられた場合は、
       h:l=1:200の意味なので、勾配I=1/200=0.005と計算する。)
 手順6  面積(流積)と潤辺から径深(R)を求める。→(式−4)
 手順7  手順1〜5までで求めた値を使って、式−5または式ー6から、流速(V)を求める。
 手順8  求めた流速に面積をかけて、式−1から流量(Q)を求める。
               

データーを入力して、計算をクリック
勾配は、小数の形で入力。

データの項目 単位
水路の幅
水深
水路の勾配
粗度係数

計算結果

項目 単位
流積 u
潤辺の長さ
径深
平均流速 m/s
流量 /s
フルード数

課題 2 必要な流量を流すために設定しなければならない水路の勾配を求めてみる。

計算の手順

 手順1  計算に必要な、水路の断面形状のデーターと勾配のデーターを整理する。
       水路の幅と高さ、法面の勾配、設計で流す流量を求める。
 手順2  水路の材質や表面の凹凸、水路内の草など植生の状況などから、設計基準などの表を参考に粗度係数を求める。 
 手順3  データーがそろったところで、まず、流水の面積(流積)を求める。→(式−2)
 手順4  潤辺を求めよう。潤辺は、上の断面図の赤線部分となる。 →(式−4)
 手順5  面積(流積)と潤辺から径深(R)を求める。→(式−3)
 手順6  勾配を求めるため、式−1及び式−5を勾配I について整理する。
          
         したがって、一番左の式と一番右の式を整理して
         から  が求められる。

 手順7  求めたIの値を使って、式−5または式−6から、流速(V)も求めてみる。
 

データーを入力して、計算をクリック。

データの項目 単位
水路の底幅
水深
粗度係数
流量 3/s

計算結果

項目 単位
流積 u
潤辺の長さ
径深
平均流速 m/s
水路の勾配 3/s
フルード数

注意 水路の勾配は普通 [1;m]または[m分の1]の形で表されるので、m=1/I から mを求める。


課題 3 長方形(矩形)断面水路の等流水深を求める。

この問題を解くためには、方程式の数値解法の知識を必要とする。

Manningの公式を用いると台形水路の水深を求める流量公式は、次のような高次方程式になる

 を変形して   (式−3−1)

ここで、面積(A)と径深(R)をHの関数で表すと、

     

これを(式−3−1)に代入しと表現すると
 
             を両辺にかけて整理すると、

           (式-3−2)

となる。

この方程式を解くため、ここでは数値解法として代表的な「ニュートン・ラフソン法」を用いて答えを導いている。

   ニュートン・ラフソンの公式は、 となる。 (式-3−3)

   ここで、   (式−3−4) となる。

  ニュートン・ラフソンの公式に(式-3−2)・(式−3−4)を適用して、初期値(χ0)を適当に仮定して、χを求める。
 このχをχ0として次のχを求め、χ0とχの差が無視できるほど小さくなるまで計算を繰り返す。

 例題
 計算条件 流量 5m/s  水路幅 4m  水路勾配 1/1000  粗度係数 0.015

 試算結果は、つぎのとおり6回の試算で H=0.841m に収束した。

計算回数
4.0000 187.9708 86.3290 1.8226
1.8226 38.3836 49.4590 1.0466
1.0466 6.2434 32.8561 0.8565
0.8565 0.4363 28.2121 0.8411
0.8411 0.0030 27.8197 0.8410
0.8410 0.0000 27.8170 0.8410


データーを入力して、計算をクリック。

データの項目  値 単位
流量 /s
水路の幅
水路の勾配
粗度係数


計算結果
項目 単位
水深
流積 u
潤辺の長さ
径深
平均流速 m/s
フルード数

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