ーーーーーーー大パノラマが見えた笊ヶ岳(ざるがだけ)(2629m)南アルプスーーー
まあ〜大変な山でした!(@_@) 何ガって、そりゃ〜もう〜しんどかった〜という事が!!我ながらよ〜やるわ!(^_-)
何せ標高差2100m、しかも急登は日本アルプスの中でも屈指のもの、おまけに水場がまるっきり無いんだから正味4〜5リッターの水をボッカ、荷物だけでも約20kを担いで延々9時間かかりやっと頂上ときたもんだ。
富士山が五合目からの登山とすれば、笊は正味一合目からの登り。その勾配度も29度が延々と続くき、両手を使ってよじ登る個所も多々。
そうは言うものの悪い事ばかりではない。三日目の山頂での展望は最高だったねぇ!雲海に浮かぶ南アルプス、小笊ヶ岳を手前に富士山がドンと構えご来光を仰ぐ。何れもその眺望は天下一品!登った甲斐があったね!これを見たさに登ったもんだから\(^O^)/
大きな声では言えないが、雨だったらこれほど最悪の山はない。でも笊を征する者は、すべての山を征するかも(^_-)
日本200名山の一つに数えられ、ある意味では知る人ぞ知る有名な山である。
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概略図(画像クリックで拡大) 高度2137mから見た笊ヶ岳(画像クリックで拡大)
【山  域】南アルプス前衛
      1/25000 新倉 七面山
【山 名】 布引山(2584m) 笊ヶ岳(2629m)
【登山方法】ピストン山行で起点に戻る。テント泊
【行程】
●9月17日(金)
 JR茨木駅(21:00)=東名高速=清水IC=雨畑ダム=老平(2:30)(テント泊)
●9月18日(土)
 老平(h492m)5:50〜広河原(8:00)〜桧横手山(12:30)〜布引山(h2584m)15:20(テント泊)
●9月19日(日)
 布引山(5:20)〜(6:20)笊ヶ岳(h2629)(6:50)〜布引山(8:05)〜桧横手山(9:05)〜広河原(11:50)〜
 老平(h492)(13:20)=雨畑ビラ温泉入浴=清水IC=東名高速=JR茨木駅(21:10)
【メンバー】5名
 ・薫 ・パルプ ・あめのうお ・多聞 幸太郎 ・森の音(敬称略)

 

●9月17日(金)
JR茨木駅21:00に集合した時メンバーの一人が、その日大阪南部を襲った集中豪雨により会社で缶詰になってしまい、とうとう参加できないと連絡が入る。皆んな「え〜うそ〜・・・」の言葉。一番山に関して経験豊富でペースメーカーだけに残念であった。
しかし、今回のメンバーは私を除き全員健脚揃いで、しかも南アルプスにも精通した猛者達だからあまり動揺していなかった?(^_-)
名神・東名と高速を一台の車で運転も交代しながら真夜中の2時30分に老平につく。
既に先客一名が車で仮眠中。我々もテントや車に分散して仮眠をとる。ここの駐車場は4〜5台置けば一杯になるスペースしかない。
●9月18日(土)
老平駐車場にある
看板。後方は笊ヶ岳
仮眠もそこそこに5時50分登山届けを林道ゲート横のポストに投函いざ出発〜!広河原まで約2時間林道を歩き始める。幸い今日明日の天気が良いとか。メンバーの一人がゲート横で地元のお年寄りと顔を合わしており、そこで聞いた話。永年の経験と勘に間違いはない。心強い言葉で全員気を良くして足取りも快調。
途中「家屋」という地名になっているが、無人の民家が一軒ポツンと建っていた。よくまあ〜こんなところに人が住んでいたとは。この家屋を過ぎた頃から道が一段と険しくなり奥沢谷をへつらうように付いている。崖上からシャワーのような水が絶え間なく降りかかる所や、下を見れば断崖絶壁の場所もある。足元も狭く、もし足を滑らせたら奈落の底にと思うと緊張する。10m程の吊り橋もあり、ユサユサと揺れるから結構スリルがある。
径も沢の右側を辿ると広河原の徒渉点に着く。
徒渉の様子
広河原の徒渉

ここで徒渉するのだが、とても靴のまま飛んで渡れそうな場所がない。FYAMAや他の山行記録を読んでいたので、一応徒渉用として「わらじ」を持参すれど履き直すのも面倒だし、濡れたわらじは重くなるので素足になり徒渉した。
膝までの深さだったが冷たくて気持ちが良い。そして最後の水を補給。水といっても沢水であるが、とても奇麗でそのまま飲める。「美味い!」これこそ南アルプスの天然水だ。
ここで水4.5リッタとザックが15キロで計19.5キロの重さになった。今回荷物の重さが重要と認識していたので、パッキングする時僅か100グラムまで抑えたつもりでも結局この重さになった。45リッターのザックも外見から意外とコンパクトに見えるがズッシリした重みが気になる。事前に経験者から総量15kにするようと聞いていたが、この重さが後々大きな負担となり今後の反省点になったのだ。特にこういった山には。
さあ〜、これからが本番だ。のっけから急登に入る。ジグザグ道が続き息付く暇なく登りの連続。
桧横手まで1000m以上を一気に登るのだ。
山の神近くまで登った頃、とうとう私の足に異変が発生!最初右足フクラハギが突然攣ったのだ。「あ!痛て〜」
暫し多聞さんに靴上から右足を反り返して貰う。痛みも和らぎ、またゆっくりと登り始める。
今度は左足太股だ!もう両足同時にきたもんだから堪らない!一時冷や汗も出たがここで退却とは心底思わず、何とか気力だけはしっかりしていた。先行者から大きく離れたが無理しても無駄なので、多聞さんに水2リッターを持って頂いた。これしか方法が無かった。これでだいぶ荷物が楽になり、ソロソロ登れる体制に戻す。
先行者達も途中で待ってくれており、更に私の荷物を分散してくれたのだ。お陰で多分16k迄減ったと思う。
皆も私と同じように約20kかそれ以上の人もいるのに、感謝感謝であった。m(__)m
その後休みのピッチも小刻みにとるようにしながら登り続けるが、私が元気を取り戻した頃また別の人がバテバテ状態になる。次々に襲ってくるバテ状態は結局翌日も含めると全員発生した事になる。休みを取るとザックに仰向けになり暫し無言の時が流れる。誰も会話する元気なし!ただ静かに山の音だけが耳に入ってくる。

やっと桧横手山まで登りつめるも、今日はここでテントを張り明朝4時スタートしたらとの意見もでたが、まだ時間も1時だし後り560mをゆっくり登れば2〜3時間で着くからとの阿吽の呼吸で進む事に決定。
しかしまた急登!500mすべて急登なので恐れ入る。足と手を使いよじ登るような感じで。二本のスティックを持参したが一本しか使えず。今日一日山の展望は見えず。樹林の中を黙々と登るのみ。倒木が至る所に散在し深い緑に囲まれ青々と光放つ苔が幻想的な雰囲気を醸し出していた。
樹林地帯が切れ視界が急に広がる。ここは布引崩れのガレ場である。もう布引山に近い。残念ながらガスっており何も見えない。冷たい冷気が却って心地よい。さすが標高2500mも登れば肌寒く、雨具を取り出す。

とうとう〜着いた!\(^O^)/15時20分。
ここが布引山。標高2583m。僅かなテン場に先客が寛いでいた。長野県茅野から来た単独行である。しかも笊が二回目とか。早速二幕張り、ささやかな宴会モードに入る。重たいビールを運んでくれた人、ウイスキーやワイン、つまみ等たとえ苦しくともこれだけは忘れられんというコダワリが嬉しいねぇ〜 (^^)
夜は少し雨らしきものが降ったが、樹から落ちる滴がテントに当たり、まるで雨が降っているような錯覚に覚えた。

●9月19日(日)
5時起床で、早速朝食を摂る。昨日運んだ貴重な水を使いご飯を頂く。コーヒーも。隣のテントの廻りにコッヘルを一杯並べて雨水を採っている。後での話だが、我々がテント撤収する時、別のパーティーが登ってきて我々のフライシートに付いた雨水を手ですくうではないか。いやはや恐れ入った!いかにこの山は水が貴重か思い知らされたのだ。果たしてその人達は無事下山できたのだろうか。
笊ヶ岳まで約1時間、テントをそのままデポしてサブザックに最低の荷物を持って出発。
布引から一度200m下りまた登り返す。
左から上河内岳、聖岳(ひじり) 正面に赤石岳、
右は荒川岳
左が悪沢岳、正面に塩見岳、右が間ノ岳と北岳仙丈は塩見と間ノ岳の間に見えてます

とうとう笊の頂上に立つ。やった〜〜!!\(^O^)/2629m:6時20分
流石噂に違わず大パノラマが展開。素晴らしいの一言。雲海に浮かぶ南アルプスの全貌。後ろを見れば富士山の偉容が。昨日今日と苦労して登った甲斐があったというものだ。もう多分私の年齢(52歳)からして二度とこんな山に登る事はあるまい。今回最後のチャンスと思って登ってきただけにその感慨もひとしおであった。
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手前に小笊ヶ岳、後方は富士山
因みに笊ヶ岳は双耳峰をなしている。

おまけに素晴らしい展望を見せてくれたのだから感謝の気持ちで一杯になった。これも仲間のお陰である。途中ひっくり返った時荷物を減らしてくれたり、励ましてくれ、思い出深い山行を作ってくれた仲間に一番感謝したい。m(__)m m(__)m

山頂で記念写真などして約30分、名残惜しいが下山とする。
布引山にデポしたテントを撤収し、昨日登ってきたコースを下る。よくぞこんな急な登りを歩いたのかと思い知らされながら下る。下れども下れども一向に平坦な個所がなし。急坂の連続。膝がガクガク、踏ん張りも効かずスティックのみが頼りの綱。
一番元気だった薫さんまで、膝にきたようだ。雨に濡れたテントの重みが下りに影響したらしい。
まるで爺さんが歩いているような歩幅でヨチヨチと。(^_-)
やっと広河原に降りた時、何を一番したいといえば、沢の水を頭から被って水を飲む!誠に気持ちが良い (^^)
しかし未だ老平まで緊張感を持続する。この一番危ないのが最後の緊張感を抜いた時なので、まして危険な個所は未だ残っているのだから。

笊ヶ岳山頂
山頂での記念撮影。後方に赤石・荒川岳。
老平から少し行ったところに雨畑ビラという町営の温泉宿があった。ここで汗を流し、温泉で身体を解す。
極楽極楽の気持ち。本当に良い山だった。誰でもが簡単に行けない、しかもアプローチの長い山を満喫させてくれる魅力がタップリである。人込みの多い北アルプスに比べれば南は少ない。それはこれらの理由からと思うが、本当の山の魅力はこれだな〜。勿論北アルプスも魅力一杯だ。しかしあまりにも人が多すぎる。簡単に麓まで車で行けるからなんだろうが・・・。
そして無事JR茨木に戻り、楽しい山行が終わった。
筋肉痛が暫く続いた。「いてて〜」と言いながら楽しい山の事が思い出す。



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