【縦走大会の記録 94】

   94年参加された犬くん、めぐさんの記録です。



[前日]
日頃の睡眠不足のせいか昼の1時に起きました。
 このままでは、夜寝られなくなると思い、明舞ゴルフセンターへ行き150
発ほど打ち放し、程よい疲れを覚えれば...、結局一睡もできませんでした。

[当日:〜須磨浦公園]
  朝5:10、社宅で原君に会い霞ケ丘駅に向かう山田君はすでにホームにい
るかと思ったら、いませんでした。電車がきても彼は来ません。予定通り5:
25の電車に乗り、塩屋で米田君が乗ってきました。彼も眠れなかったようで、
とてもハイでした。あの冷静な米田君が早くも切れかかっています。

[須磨浦公園(スタート地点)〜菊水山]
 須磨浦公園スタート地点は、縦走大会参加者でいっぱいでまるで深夜の初詣
のようでした。5:45、鉢伏山を目指し登っていくと眼下に街の明かりが綺
麗に見えます。いきなり息切れしている人がいて、ダースベーダーのようにク
ーコーしています。
 7:00栂尾山で早速渋滞です。350段の狭い階段をほぼ同じ時間に約2
000人が通過するので仕方ありません。渋滞は、須磨アルプスでもありまし
た。
 8:45妙法寺、9:26高取山、10:11鵯越と順調に通過し、最初の
難関である菊水山を目指します。ここでも、渋滞しましたのでローペースで登
る形となり割りと楽に頂上に着きました。
 11:15、頂上で軽く食事を取ることにして、パンをかじっていると何と
山田君が登ってきました。10分遅れです話によると、我々が電車に乗った時
間に起きたということですから、超人的なスピードで登ってきたとしか思えま
せん。山田君の合流記念写真を取った後、次の鍋蓋山を目指します 。

[菊水山〜摩邪山]
 私と女房は、坂を下るのが苦手なため、少しづつ米田、原、山田の集団から
離されていきます。12:26、鍋蓋山頂上に着きます。ここで少し休憩をし
ようと思っていたのですが米田君と原君は、休まず次を目指します。山田君は、
到着時刻をメモしている様子でした。このスキをついて、私と女房は米田原君
の後につきますなるべく彼らについていこうと結構な速さで歩きます。しかし、
次第に離され前の米田原君は見えなくなりました。不思議なことに後ろの山田
君もいません。
 12:50、チェックポイントである大龍寺に到着。ここでのタイムリミッ
トが13:40。私の縦走計画では、ここでのが一番のネックでした。米田君
のリードのおかげで50分も余裕をもって到着できたので、これはいけるかな
(完走できるかな)と思いました。
 印を貰っていると、間もなく山田君が到着。3人で市ケ原の櫻茶屋へ行くと、
既に米田原組は出発の準備に入っているようでした。我々は、これから昼食で
す。とても二人のペースについて行けないと思い、二人に先に行って貰いまし
た。

 11:35、昼食を終えて三人で第二の難関である摩邪山を目指します。歩
き始めて5分後、「渡辺さん、先に行って下さい」山田君が膝の痛みを訴えま
した。菊水山を下山する時に傷めたのでしょうか。かなり痛そうです。私と女
房は、先に行くことにしました。山田君、あの後どうなったのですか。

 14:48、摩邪山頂上に到着。予定では、15:30に着くことになって
いました。余裕です。風が強く、汗で濡れた衣服に当たると寒くてかないませ
ん。余裕をかまして、30分休憩を取ります。下着を取替え、セーターをきま
す。山田君が心配です。

[摩邪山〜凌雲台]
 山頂から少し下りると、摩邪ロッジのところでホットレモンのサービスがあ
りました。とても寒かっただけに嬉しかったです。たぶんなんの変哲も無いホ
トレモンだとは思いますが、こんな美味しいものが世の中にあったのかと思え
ました。アゴニー坂を下り車道を歩き、第三のチェックポイントのゴルフ場を
目指します 。
 16:35、チェックポイントで印を貰います。タイムリミットが17:0
0ですので、まだ余裕がありますが、大分貯金が減りました。凌雲台(十国展
望台のあるところ)に行く途中、先週米田君に教えてもらった缶ジュースが\1
30で買える最後の自動販売機(この先\150)のところで15分休憩。

 17:00過ぎで、ヘッドライトを点けないと歩けない暗さになります。ヘ
ッドライトを点灯し凌雲台から再び山道に入ったとたん、大きな野性のイノシ
シに出会いました。昨年12月夜も掬星台でイノシシ家族に出会いました。こ
の辺は、多いみたいですね。

[凌雲台〜東六甲縦走路分岐点]
 山道を抜け、車道をしばらく歩きます。先週米田君と行ったときは、車道は
ほとんど通らず山道を行ったのですが、山道を行く人がほとんどいなく、又暗
くてよく分からなかったので、今回は車道を通ることにしました。長いことコ
ンクリートの車道を歩いたせいか足の裏にマメができました。一歩一歩、かす
かな痛みを感じます。
 18:15、第四のチェックポイントの東六甲縦走路分岐点に到着。着くな
り、エアーサロンパスをシューシューしている人がたくさんいます。ここでの
タイムリミットは、18:30。
 宝塚のゴールでのタイムリミットは、22:40。あと、4時間25分ある
わけです。もう、超スーパー楽勝です。先週の下見でも3時間で行けたわけだ
し、ギックリ腰でも起こさない限りいけます。

[東六甲縦走路分岐点〜宝塚ゴール]
 東六甲縦走路分岐点から山道に入ったとたん、渋滞です。渋滞で立って待っ
ていると、足の疲れと痛みがジーンと沸いてきます。まだ歩いているほうがま
しです。ここからは、ほとんど下り坂。我々の苦手な下りです。下りは、不注
意に降りると膝を傷め、一度傷めるともう続行不可能になるし、ここからでは
帰ることもできませんですから、一歩一歩膝に負担が掛からないように用心深
く筋肉を使って降ります。道の悪い長い下りです。足の裏のマメもスクスクと
育っていき、一歩毎に激痛を感じます。マメをかばうために、普段使わない筋
肉を使います。また、膝の保護でその回りの筋肉を使います。いろんな筋肉を
使っていると、今度は腰が痛くなってきます。そうです。
 私の弱点です。腰をかばう為に背中の筋肉を使います。もう、わけが分かり
ません。
 途中、座りこんで膝をさすっている人が何人もいます。ゴール前9km地点で
「、もう、絶対歩けません。摩邪山であんなに言っているのにどうして連れて
きたんですか」とリーダーの人を責めている女の人もいました。リーダーの男
も、ここまで、くれば十分だと慰めているが、ヘリコプターでも来るわけない
し、あと9kmは絶対歩かなくてはならないのにどうするんかしら。

 19:50、大平山で20分休憩して食事を取る。塩尾寺へ向けて、また山
道を下る足のマメと下半身の筋肉全てが痛い。一方、女房は私が、「足、痛く
ない?」と聞くとほとんど、普通の表情で痛いと言って軽い足取りでどんどん
先に行ってしまうありさまである。体力があるか、すでに切れているかのどち
らかである。
 21:30、塩尾寺に着く。ゴールまで、あと3km。タイムリミットまで1
時間10分。もう、余裕も余裕タバコを吹かして余裕をかましていると、女房
が「今、赤いゼッケンの人が来たけど赤鬼じゃない?」と言う"赤鬼"とは、各
チェックポイントの最終時刻に到達するような速さで歩いている赤いゼッケン
を付けた係員のことで、"赤鬼"より遅れると失格になってしまう。私は、まで
かなり時間があるということもあって、「んなわけないだろー」と言っていた
ら誰かが、「赤鬼さーん、一緒にカメラに入って下さーい」なんて言っている
じゃないですか。ゲッあわてて、塩尾寺を後にしました。

 きついコンクリートの坂を下ってゴールを目指します。ゴールの方向を示す
矢印のところで、旦那に荷物を全部持たせて、お尻を振り振りさせながら歩い
ていた若妻がVサインを旦那のカメラに突き出していました。足も腰も限界に
達しました。22:15、やっと念願のゴール感動です。この感動は、筆舌に
尽くせません。とにかく、きつかった。


[後日]
私 :「山田、あの後大丈夫だった?」
山田:「22:00前に、無事ゴールしました。」
私 :「ゲッ。」
(どこで、抜かされたんだろう?.....) ということで、皆めでたく、完走しました。


{登場人物}
・渡辺=犬君=筆者
・女房= めぐ      
・山田=会社の同僚  
・原  =会社の同僚
 以上4人は山の素人
・米田=会社の同僚 独身。多少、山の経験あり。


元のページにかえる