絶景・前穂高〜奥穂高の秋
河童橋から前穂の主峰を望む(拡大写真あり)
上高地に入ると、梓川の清流に沿って吊り橋が見えてくる。ここがお馴染みの河童橋である。その前からドンと眼前に迫ってくる大迫力の山、それが前穂高の山容なのだ。
荒々しい岩肌とその高度感。誰しも一度はこの地に踏み入れた事のある人にとっては強烈な印象を残さずして帰る人はないだろう。そしてまた何時かこの地に戻ってきたいと思うのも不思議でもなんでもない。それ程上高地の持つ魅力を増幅させる山々がここに揃っているからだ。

日本の3000m級の高山がズラリと並ぶ。こんな山に登れれば最高だろうな〜、しかし登れるだろうか。少なからずも山登りに興味を抱く人には、絵のような光景に自分の姿を刻み付けてみたいと思わずにはいられないだろう。
が、ご用心!少なくともハイキング程度で登れると思ったら大間違い。

決して舐めてかかった訳ではないと思うが、無理な日程や体力に応じたコース設定をしない為が原因と思われる筋肉疲労の一瞬の躓きによる転倒が元で滑落事後が結構多いのである。それでも毎年秋の紅葉時期は大勢の人が訪れる。何故なのか、それは余りにも美しすぎる程の景色を堪能出来るからだ。

今回、私達(明神21の仲間)は念入りな打合せとコース設定に時間を費やした。事故の多くは奥穂から前穂への下りで発生している。過去私も学生時代、悲しむべき経験をした事がある。だから敢えて北アルプスきっての急登と云われている重太郎新道を登り、例え躓いても登りだから心配ない。しかも初日岳沢テン場でゆっくり休養し、二日目で一気に前穂、奥穂、涸沢まで行く。そして三日目にパノラマコースで上高地に下るという計画を練った。

このお陰でベストコンディションで臨まれ、しかも好天にも恵まれ、これ以上申し分ない程の縦走と紅葉を堪能する事が出来ました。同行して頂いた郭公さん、どうも有難う御座いますm(__)m
30年振りにワンゲル部の友への供養もできたし、ナナカマド、ダケカンバに彩られた紅葉の穂高を撮る事ができました。

【山  域】上高地・槍・穂高
【日時】平成13年10月6日(土)〜8日(月) 快晴。気温20℃
【行程】5日夜千里中央集合=名神高速=東海北陸自動車道
  =平湯温泉駐車場=上高地行きバス---上高地8:10
  第一日目(6日)上高地8:45〜岳沢キャンプ地12:00
  第二日目(7日)岳沢キャンプ地〜紀美子平〜前穂高山頂
     ピストン〜奥穂高〜涸沢キャンプ地
  第三日目(8日)涸沢キャンプ地〜パノラマ新道〜上高地 
     〜平湯〜東海北陸道〜西名阪〜大阪帰宅
【メンバー】郭公さん(明神21の仲間)、森の音

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第1日目(10月6日) 上高地から岳沢キャンプ地
平湯温泉と安房トンネルとの分岐。後方に笠ヶ岳
連休の渋滞を避ける為、前日夜の金曜日から出発し途中車で仮眠の後、平湯温泉駐車場に7時頃着く。今回初めて東海北陸自動車道を使う。高山経由平湯コースで、安房トンネル開通で上高地に一層近くなったのだ。今までの中央道と長野自動車道を走って沢渡に行く時間と比べれば大幅に短縮し、高速料金も安い(吹田〜飛騨清見IC¥6150)。こりゃ〜安くて便利になったものだ。我々の山行に同行しないが、上高地で気侭に周辺の山を散策したいと希望され同乗したDOPPOさんの三人が運転を交替しながらワイワイ雑談しながら何時の間にか平湯に着く。少し時間も早いので1時間程車で仮眠。
平湯温泉からバスに乗り換え(¥1050)上高地に入る。紅葉も最後の週かもしれないし、連休なので大勢の人でゴッタ返していた。早速登山届を出し、それでも未だ我々三人はのんびりしていた。共に今日の行程は時間タップリあり急ぐ事はなし。
AM8:45、ここで我々とDOPPOさんとの最終日の待ち合せ場所と時間を決める。明神館で11時〜12時とする。

前穂高をバックに記念撮影。右側のDOPPOさん
とここでお別れ。後日明神館で待ち合せ。
お馴染みの河童橋に近づくにつれワクワクする気持ちで一杯になってくる。その頭上高く聳える峰にこれからアタックするのだ。
前穂高をバックに三人の記念写真を撮って貰う。橋を渡り梓川に沿って遊歩道を登っていく。透き通るような清流が山から流れ梓川に流れ込む。上高地の喧騒ももう聞こえない。ただ静かな樹林の中を歩く。
やがて前穂高登山口と書かれた標識でDOPPOさんとお別れ。彼は徳沢園にベースキャンプを張り、膝が悪いのであまり無理が出来ないが蝶ヶ岳に行ければ行きたいと。
郭公さんと予定の山行が始まった。二人なのでお互いのペースはとり易い。前日睡眠不足なのでやはりペースが上がらない。
真下に上高地が見える。画像クリックで拡大
でも今日は岳沢ヒュッテまでなので急ぐ事もなし。ここのコースは実に静かで良い。しかも高度を上げれば箱庭のような上高地の眺めが足下にあり、焼岳も見える、霞沢岳も見える。岳沢ヒュッテまで続く樹林のアプローチは決して辛くもなく楽しい限りだ。こんな素晴らしい気分は、同じ縦走でも涸沢経由なれば望むべくもないと思う。人の渋滞にゾロゾロ繋がって歩かされるだろう。こんな別天地を歩けば歩くほど今回のコース設定が良かったと印象を強くした。
岳沢ヒュッテ。他に画像あり
何故、こんなコースが脚光浴びないのだろうかと不思議に思われるかも知れない。答えは簡単、これは穂高連峰のみならず北アルプスきっての急登と云われる重太郎新道を登るもので、穂高の他の登山道と同様に険しい岩場が続き、一般コースとしてはハイレベルであるからだ。しかも、一気に奥穂小屋まで行くには少々厳しすぎる。だから岳沢で一泊する余裕がないと出来ない。それが敬遠される所以だろう。

テント場からの夕景。他に画像添付
深々とした森はやがて明るい潅木帯に変わり、岳沢の広大なガレ場の左側に沿っていく。やがて行く手に岳沢ヒュッテが見えてくる。紅葉したダケカンバやナナカマドが見られ、ヒュッテのテラスから見える上高地は勿論、霞沢岳、焼岳、乗鞍岳が見渡せ、背景には前穂、西穂の荒々しく尖がった峰々とカールが圧巻である。
ここで昼食を摂りその後キャンプ地に移動。水はヒュッテで1L=100円で購入。
昼食後の夕方までテントでひと寝入り。誠に至福の極みであった。夕焼けの景色も実に素晴らしかった。テントから顔を出せば何時でもその絶景が見られる。明日は快晴だろう。空の色が群青色に変わり月も洸々と輝いている。夕食後また寝た。昨日までの睡眠不足を補うかのように・・・zzzzz(ー_ー)



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