- 一昨年のサスペンス編に続く第二弾。前回よりわかりやすくなった分、カタルシスは小さくなっていたかもしれない。その大きな部分は、前回の真役、つみきみほと、今回の真役、大石継太の差であるような気がする。
物語は前回とほとんど同じ。その同じ物語を、恋愛という切り口によって、再構築したようだ。相違点は、前回、唐突にあらわれた少年のお葬式のシーンの背景となる、仲間外れにされてしまった少年の話が、今回はより具体的に描き出されている所、長老の前の黒田家の争いのシーンが加わった所などである。また、今回新たに、真の恋人として、渡辺真起子演ずる藤井みどり役が登場しており、感情に素直になれない女性を演じて新鮮だった。
最初、劇場に入ると、舞台を斜めに覆う、大きな赤い長方形の板と、真ん中下手よりの大きな柱が目に焼き付く。かなり大胆な舞台美術である。開演して、暗闇の中舞台奥の光の差し込む入り口から松重さんが入ってきて柱にもたれ、次に上手から金久美子が登場するシーンはなかなか格好良く、物語にすんなりと入り込むことができた。このあたりの手際良さは非常に心地好い。
(恋愛編) (サスペンス編)
黒田家父 /黒田龍造 ‥‥河野洋一郎
黒田家長男 /黒田健太郎‥‥松重 豊 松重 豊
黒田家次男 /黒田秀二 ‥‥小日向文世 巻上公一?
黒田家三男 /黒田 真 ‥‥大石継太 つみきみほ
黒田家使用人/阿部公平 ‥‥田口トモロヲ 吹越 満?
健太郎の恋人/長谷川英子‥‥西山水木 渡辺信子
健太郎の恋人/二宮冴子 ‥‥金久美子 金久美子
真の恋人 /藤井みどり‥‥渡辺真起子
桜井大造 (刑事)
片桐はいり(婦警)