教育の情報化の現状とポスト2005年の課題:日経パソコン20050822号「座談会」のまとめ 【背景】 e-japan戦略では、「教育の情報化」が柱の一つに掲げられ、2005年度までに、すべての小中高等学校が各学級の授業においてコンピュータを利活用できる環境を整備することを目標に、教育用コンピュータや構内LANの整備、教員研修の充実などが図られてきた。 (2005年8月に文部科学省が発表した教育用コンピュータ1台当たりの児童・生徒数は、小学校は10.1人、中学校で7.1人) だが、2005年度を迎えた今、普通教室のコンピュータ整備や校内LANの整備などのインフラ面を見ても、目標達成の道半ばというのが現状である。さらに、一般教科での利活用など解決すべき課題も少なくない。●学校事務(校務・教務)の情報化の推進、●一般教科での活用とIT環境の整備、●教員のITスキルを高める研修のあり方、●情報モラル教育問題、等。 1.学校事務の情報化に必要な校務・教務システムの整備 ● 学校事務(校務・教務)の情報化の推進: e-japan戦略では、「教育の情報化」が柱の一つに掲げられているが 現状→授業を重点に置いたインフラ整備が先行し、学校事務の情報化まで十分に手が回っていない。 例)都道府県立高校では一人一台のパソコン環境が配備され始めていますが、小中学校の教員にはほとんど配備されていないのが現状。 改善案→教職員が学校事務で日常的にITを活用するためには、パソコンの配備はもちろん、校務、教務を支援する情報システムが重要で、これにより、学校の情報化の進展が期待される。 今後→授業と学校事務を両輪に授業以外のデータ管理や地域とのコミュニケーションなど、学校全体の情報化の観点から情報化を推進していくことが課題となる。 問題点→学校事務の情報化の遅れは電子自治体のような政策を打ち出していないこと 例)児童・生徒が転校する際の指導要録原本の送付について、電子化の標準仕様を策定するなど、法制面の整備を含め、国の施策として学校事務の情報化を推進していくことが重要。 実施例:(まだ、ごく少数) つくば市例:市内の全小中学校と教育委員会が高速イントラネットで結ばれ、事務文書のやり取りを効率化している。また、各小中学校の教員が共用するグループウエアにより、他校の状況を知って情報交換ができる。 2.一般教科での活用とIT環境の整備に欠かせない魅力ある授業: ●e-japan戦略では、2005年度までに各普通教室に2台のコンピュータ整備や校内LANの整備 現状→地域の格差があり、目標達成が難しいという自治体も少なくない。とくに普通教室でのIT利活用が遅れている。 例)各自治体とも財政状況が厳しさを増す中、IT予算を確保する上で、教育分野も聖域ではない。 改善案→ITを利活用して魅力ある授業を行うことがいかに価値があるかを、国が示す必要がある。 今後→ITでいい授業ができる。学力が伸びることを国が示し、自治体が積極的な財政措置が行えるようにする。研修を通してIT活用の利点を伝えていく情報化推進リーダの養成に取り組み。さらに普及活動を工夫、活発化していく必要がある。 実施例: つくば市例:ITの効果が理解されるよう、広報で市民に知らせたり、教育委員会が市議会に報告するなど、魅力ある街づくりの一環として学校のIT環境の整備を推進 3.校内LANの整備で、普通教室のIT活用を促進 ●一般教科での活用を促進するためには、普通教室のコンピュータや校内LANの整備を先に促進する必要がある。 現状→各地の小中学校ではコンピュータ室の整備が概ね完了していますが、十分に活用されていない。 2005年3月末時点で普通教室のパソコン整備率は2割程度。 例)ITを活用する授業に関しては経験が少ないため、アイデアが浮かんでこない。校内LANについても、単に整備するだけでなく、いかに活用するかのモデルプランを教員に提示する必要がある。 最近の活用事例)普通教室で、パソコンとプロジェクタを活用した事例は多いが、コンピュータ室を活用した事例は少ない。 問題点→普通教室のコンピュータは整備しても、プロジェクタや電子ボードの台数が少ない、ソフトウエアが足りないなど、総合的にITを活用できる環境整備が遅れている。 改善案→総合的にITを活用できる環境を整備する。 実施例: つくば市例:IT活用に対する保護者の意識も高く、小中学生を対象に家庭や公共施設のパソコンを使って問題を解くe-ラーニングを行っている。 4.標準的な実践モデルを提示し、教員のスキルを高める研修 ●IT活用法を提示するなど、教員のITスキルを高めるための方策が課題: 現状→コンピュータの操作技術習得を中心とした研修から校務や授業で役立つことをねらいにテキストを構成するなど研修内容の拡充を図ってきた。さらに、問題解決型研修の導入により、先生方は実際の活用方法や課題を理解できるようになった。 例) 問題点→ITの技術革新に合わせて毎年、新たな研修内容になると、ついていけない教員も少なくない。 改善案→標準モデルにより、教員が安心して授業でITを活用できる環境を確立。 今後→標準的な教材とネットワークを活用して学力を向上させる実践モデルがそろそろ必要。 国と自治体が教員のスキルを高める仕組みを作っていく。 5.真正面から取り組む必要がある情報モラル教育 ●教育の情報化を推進する上で、情報モラルの問題は避けて通れない 現状→情報モラルは漠然としていて体系化していないので、先生方は、子供たちに何を、どう指導していけばよいのか戸惑っているため、発達段階や実態に応じた指導のモデルづくりが課題。 例)問題があるからITを活用しないでは本末転倒。携帯電話を子供にもたせるかどうかの保護者からの質問 問題点→家庭教育を含めた道徳的部分。情報セキュリティなどの技術的な部分で、これまで情報モラル教育に真正面から取り組んでこなかった。 改善案→教員が情報モラル教育を行うための継続的な研修。手段としてe-ラーニングの仕組みがあれば教員はもっと効率的にスキルアップを図ることができる。                                            以上