フリーマンの随想

その91. 日本の祝日は多すぎる?


祝日を増やすよりも、有給休暇を誰もが気兼ねなく取れるようにしよう

(Apr. 28, 2019)



 2019年4月27日から5月6日まで、いよいよ前代未聞の 「 10日連続の連休 」 が始まりました。 大騒ぎしてばかりはいられない、大小さまざまの支障も起きているようです。 それに、 10連休だからと言って休んでなどいられず、普段より却って忙しくなるという職業の方たちも多いことでしょう。



 ところで、日本では、有給休暇を、主に自分 ( や家族 ) が病気になった時に取る人が多く、趣味や旅行など自分の楽しみのために休暇を取ることを何となく遠慮するという風土が、多くの職場では、 いまだに多かれ少なかれ残っているのではないでしょうか。

 ましてや病気でもないのに10日も20日も続けて長期休暇を取る事など、今の日本の普通の職場では不可能に近いと言えるでしょう。 その一方、多くの人がせっかくの有給休暇を毎年沢山残したり流したりしてしまうので、 日本人の休暇取得率、取得日数は世界最低 という事になっています。

 それを救うためかどうか、日本では政府が近年、あとからあとから祝日を増やし、「 働きすぎ 」 だと言われている国民を何とか休ませようとするので、 日本の祝日の数は今や世界一 となってしまいました。 例えば米国のそれ ( 州により職場により多少違いますが ) などに比べると2倍近くとなっています。 そして、こういう祝日、特に連休には日本全国が一斉に大混雑するのです。  全国一斉の祝日を増やすのではなく、日本中どの職場でも 「 上長も部下も皆が、気兼ねなく、交互に長期の有給休暇を取れる 」 ような状況を作ることをこそ、推進すべきではないでしょうか。

 一方、国民の方も、「 上長、同僚、部下が一生懸命働いているのに自分だけが長期間休むのはどうも・・・ 」 と思ったり、「 祝日なら職場の全員が休むので、自分も安心して休めるのだが・・・ 」 と考えたりする人が多いのですが、 そういう 「 皆と同じでないと ( 一緒でないと ) 自分だけが違うのは何となく不安だ 」 という 「 日本独特の考え方、感じ方 」 から一日も早く脱却することが肝要だと私は思います。  そうなってゆけば、道路、交通機関、観光地などの混雑も年間平均化されて、皆がゆっくりと、楽しく、そして安く休暇を楽しめることでしょう。

 私は8年間の米国駐在時代、当初の猛烈に多忙だった2年ほどの創業期が過ぎて以降は、毎年一回10日から2週間ほど続けて休んで、妻と欧州やカナダなどに旅行しました。 またそれ以外にも年に数回、 3〜4日続けて休んでは米国内各地への短い旅行を楽しみました。 社長の私がそれをしないと、米人の幹部たちも長い休暇を取りにくいらしかったからです ( この辺は米人も結構ウェットでした )。  当時の幾つもの充実した長い休暇の旅の楽しい思い出は、あの頃から20年以上経った今でも、私たち夫婦の宝物となっています。

 然し、もし私が当時日本で働いていたら、10日も続けて休んで海外旅行に行くなどと言い出したら、それは恐らく 「 狂気の沙汰 」 でした。  有給休暇を殆ど使わずに、私は一年中働き続けていたことでしょう。 私の上司であった本社の社長もまた、殆ど休まずに一年中働き続けていましたから。 然し不思議と言うかなんというか、 海外駐在の日本人幹部たちがたまに長期休暇を取ることだけは、この同じ本社の社長が 「 当然の事だ 」 と認めていて、申請すると即座にOKをくれました。 「 郷に入っては郷に従え 」 という事でしょうか。

 私は日本でも、これからは上長も部下も、長期休暇を交互に気兼ねなく取れるように、一日も早くなって欲しいと願っています。 会社が祝日の休みでなくても、誰もが気兼ねなく心安らかに、 交互に休めることが大切なのです。 外人の幹部社員が増えてゆくとか、今後の社会の変化に伴い、近い将来そうなってゆく可能性はあります。

 私自身の体験では 「 自分が長期間休んでいたら、その間に大事な仕事が停滞したり、周囲に迷惑を掛けたりするのではないか 」 などという心配は全くの杞憂でした。  私は 「 常時不可欠の存在 」 などではなかったのでした! これは日本人・米人の部下たちがしっかりした人達だったからでしょう。 ましてや当時と違って現在は、 世界中どこにいても、緊急な必要が起きたら、スマホで自分の職場と容易に情報を交流できる時代なのです。

 もう、お分かりの事と思いますが、この日本の現状を改革する唯一の方法は、「 その組織の一番上に立つ人が、率先して毎年長期の休暇を取って、ゆっくり休んで見せること 」 です。  その姿を見ない限り、日本では、部下の人たちの多くは、長期休暇を申請しようなどとはしないでしょう。 そのためには、「 トップが1週間不在なくらいではビクともしない組織 」 であることが、 まず求められます。 そしてそれが定着し、皆が有給休暇を100%取得するようになったら、国の祝祭日を半分くらいに減らすのです! 春分の日や海の日なんて外国人に何故日本中が休むのか、私には説明できません。


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