フリーマンの随想

その80. 万年筆

保管方法につき妙案 !

( Aug. 10, 2008 )


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 万年筆は、米国勤務時代は毎日のように使っていました。それは決済書類の承認の際や他社に書状を出す場合、日本と違って印鑑ではなくサインが必要なためです。 やはりボールペンよりはずっと重みがある感じがしたし、気分も良かったから万年筆でサインを行っていました。 少ない日で数回、誕生月の従業員にお祝いのカードを送る日などは150回くらいサインをしていました。 それでも手がくたびれない持ちやすさも大切な要素でした。

 その当時ほどは使わないけれど、今でも大切な書状は和紙の上等な便せんに太字の万年筆で書くことにしています。 万年筆は現在は3本使っていて、太字用が22年前にロンドンで買ったモンブランの逸品 マイスターシュテュックの146、中字用は25年前頃の貰い物のラミーの中級品ですがめっぽう書きやすい品、細字用が15年前にアトランタの百貨店で年末大セールでしたがそれでも当時5万円くらいで買ったウォーターマン。

 モンブランは手動のインク吸入型、他の二つは専用カートリッジですが、毎日使っていた当時と違い、月に1回くらいしか使わないようになった今、何が困ったかというと、ペン先のインクがすぐに乾いてしまう事でした。 キャップを外していきなり書き始めることが出来ないのです。 ひどい場合には、まだ使いかけでインクが少し残っていたはずのカートリッジが乾いて空っぽになっているのです。

 最近、これを解決する妙案を発明 ? したのでご紹介したいと思います。 この面白くもない短文は、同じ悩みを持つ人たちにこの発明をぜひ知って頂きたいと考え、敢えて書いているわけです。 それは、万年筆を写真のようにポリエチレンの小さなジップロックの袋に入れた状態でてペン皿などに寝かせておくという方法です。 こうして置けば室内が乾燥している冬でも、暑い夏でも、キャップをとったらすぐに気持ちよく書き始められます。 ペン先のインクの水分が一部蒸発して最初のうち文字の色が非常に濃く、書いているうちに次第に普通になって行くなどという問題も解消します。 1年間実施し有効性を実証できたので、ここにご紹介します。


 実は今春モンブランとウォーターマンをオーバーホールに出したのですが、インクの吸入が悪くなり日本の代理店経由ドイツに送ってペン軸すべてを更新したモンブランは¥15,000かかり、一方、ペン先の書き心地をアルファベット用から日本語用に細かく調整 (*1) してもらったウォータ*マンは 「 永久保証 《 だという事で、米国で買った品なのに日本の代理店は送料も含め全く金を取りませんでした。 だからどちらがどうという事はないのですが、3本とも今後一生の伴侶であり続けることでしょう。

*1: 最新の極細ボールペンやシャープペンシル、水性のボールペンなどを使い、眺めていると 技術 を感じます。 一方、上質の万年筆を使い、眺めていると 職人芸 を感じます。 昔は技術の高さに興味と関心がありましたが、歳のせいか最近はむしろ職人芸の高さに興味と関心が移ってきました。 最新型の多機能クォーツデジタルウォッチと高級な機械式腕時計との対比においても同じことが言えます。 書き心地の微妙な調整のための万年筆のペン先の再加工などは、職人芸の極致の一つと言えます。

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