フリーマンの随想

その79. 7回目のイタリア


*その4.熔岩*

( June 25, 2008 )



 シチリアには活火山が3つありますが、その内2つはシチリアのすぐ北のイオニア海に浮かぶエオリア諸島のヴォルカーノ島とストロンボリ島ですから、シチリア本島内にはエトナ山 ( 3326m:下の写真。頂上から噴煙が出ている ) しかありません。ここから流れ出した熔岩は熔けると流動性の高い玄武岩の系統なので、玄の字が表す通り真黒です。


 東海岸の町タオルミーナの少し南にジャルディーニ・ナクソス ( Giardini Naxos ) という町がありますが、ここは紀元前734年、ギリシャのエウボイア島からやってきた人々が、湾の先端にシチリア島で初めての植民都市を築いた所です。 この町の岬も真っ黒な溶岩の塊だらけです。


 シチリア島の西部地域では教会などの建材として石灰岩が使われることが多いように思いましたが、石灰岩は軽くて加工しやすい一方、柔らかくてすぐに傷つき摩耗します。 これに対し熔岩は加工しにくいが極めて硬いので、エトナ山周辺の東部の町では、建築材料のほか、道路の舗装材にも黒い熔岩がふんだんに使われていました。 ただ、熔岩で舗装した道路は、私の足には硬過ぎたようで、連日歩き過ぎた私の膝は痛くなって腫れてしまいました。

 黒っぽい熔岩と白っぽい石灰岩の両者を巧みに混用すれば、下のの左の写真にあるような白黒の模様をつけた建物も作れます。 エトナ山中腹のランダッツォ ( Randazzo ) の町では、地味ですが美しい教会建築をたくさん見ました。 そのすべてが四角いブロック状に切り出した熔岩を積み上げて造られています。 黒い熔岩は長い年月の間に次第に色が薄くなり灰色になって行きます。 ですから、いろいろな溶岩を選ぶことにより、右の写真の教会のように、微妙に黒〜灰色の変化をつけたりすることもできます。

   



シチリアの他の土地についても、順次掲載します

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