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県学労ニュース328号
2005/7/19発行
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地方公務員の賃金水準切り下げねらう財務省
総務省と同じように、5月24日財務省は「地方公務員給与の主な問題点」を発表した。
財務省のねらいは、地方公務員給与を下げることによって、国が地方に配分する「地方交付税」総額の抑制を図ることである。
まず、地方公務員の給与は、その地方の民間給与を上回っていると指摘している。しかし、毎年各自治体の人事委員会の勧告では官民格差はほとんど無いものとなっているので、実態が反映されていないというのは無理がある。
財務省が示した給与比較の表では企業規模100人以上の男性労働者の(加重)平均によって得られた給与額と、公務員は人事委員会勧告で示された職員給与を指数化した給与額が比較されているが、人事委員会勧告のように、職種、役職段階、学歴、年齢等を同じくする者を比較(ラスパイレス)して、その結果算出されたものではない。
そうした点からも、「民間給与を上回っている」と批判したいがための比較であることがわかる。
次の批判が、「同種の国家公務員に比べて高い」というもので、技術職公務員が国家公務員行政職(二)と比較して22.5%も給与が高いという指摘である。 これは、官僚制によって上位級合格者をエリート化して昇給スピードを速める反面、現業職を政策形成過程からは遠いのでおとしめる意図を持った差別賃金体制であるからで、地方自治体の職員のとらえ方とはおのずと違ってきて当然である。
三つ目の指摘は「地方における過大な上位級職員の比率」というものである。
国家公務員上位級の者が定年を待つ前に天下り先に転職するレールがあるのと違って、地方公務員は定年退職までその職にいることが多いという違いだろう。単純な比較は物事の本質を見誤る。
地方自治体では、職務に対応する級よりも上位の級に格付けする「わたり」が行われ、職務級原則に反し、給与制度を乱しているとしている。
労働者側からすれば、役職名をやたら作ればよいとは思えないが、給与は生活給である。今まで年功序列賃金体系の下で給与格差を少なくすることがより良好な職場環境を作ってきたので、これを崩す必要はない。
いま、愛知県でも成果主義を導入しようとしているが、職員間で疑心暗鬼や、評価に対する不満などが噴出するか、評価者に対するおもねりが増えるだけでしかない。職場環境を崩すなと言いたい。
最後に、「特殊勤務手当」などの不適切な手当等の指摘があるが、これは一理あるかも知れない。時代の移り変わりの中で、通常勤務と大きく隔たっていた労働環境が改善されたのに、手当だけは既得権として残っているものもあるだろう。常時見直しが必要かも知れない。
これらを改めれば、地方公務員給与の1.4兆円が削減でき、投資的経費に充当できるとしている。交付税削減先に有りがみえみえ。
旅費システムのイライラ
旅費を担当するようになって、イライラする回数が増えた。
そのひとつにセッションタイムアウトがある。旅費をパソコンに入力している途中で電話がかかってきたり、お客さんや生徒が来てその応対をして、席に戻って入力作業を続けようとするとセッションタイムアウトの表示が出ていて、入力中のデータは消え、いったん旅費システムを終了してまたログインし直さなければならない。
ずっとパソコンの前で入力作業だけをしているのであればいいが、学校の事務室ではそんなわけにはいかない。セッションタイムアウトにならないようにするか、せめて時間を長くするべきだ。
もうひとつ、宿泊を伴う旅費を入力した後、宿泊料や泊数の間違いに気づいて訂正しようとする場合、宿泊費以降の運賃を全部クリアしていかないと宿泊料を訂正できない。そして宿泊料を訂正した後、その後の鉄道やその他の項目を改めて入力しなければならない。もっと簡単に宿泊料を訂正できるようにならないのか。
メールの出力漏れは誰のせい?
一人1台パソコンが導入され、所属メールをみんなが見られるようになったのはいいが、メールを出力している途中で電話や、来客があったり、生徒への応対をしていて席に戻り、ついうっかり次のメールに移って、前のメールを出力し忘れたり、誰かがメールを開いて見ただけで出力してなかったりという間違いがよく起こるようになった。
締切を過ぎても回答がないという電話がかかってきて初めてメールの未出力に気づくことがある。
財務メールは出力するとその回数が表示されるので、こういうことは起こらない。ノーツメールも出力回数の表示ができるように改善すべきだ。
何でもかんでもパソコンで処理するようになってきているが、パソコンでやれば間違いがなくなるというものではない。せめて、人のミスを誘発するようなシステムはやめてほしい。
自閉症のチョウオンに何とか健常者に負けない長所を伸ばしてやろうとランニングで頑張らせる。養護学校の時、10kmマラソンで健常者に混じって三位の成績を取る。母親はチョウオンに走ることが好きかと尋ね、好きだとの答えを引き出しては安心し、おまえの足はすばらしい足だといつもほめる。
そんな母親のチョウオン一辺倒の生活に父親が別居し始め、弟は心を閉ざしていく。時々願い事をする弟の声に母親は気づかない。
フルマラソンで三時間を切る走りをすれば世間から評価されると考えた母親キョンスクは、罰としてボランティアを命じられて偶然に養護学校に来ていたかつて名ランナーだったチョンウクにコーチを依頼する。
初めはグランドを何周も走らせ、自分はベンチで寝てしまっていたり、サウナに連れて行ったりして母親の期待を裏切っていたチョンウクだが、徐々にチョウオンのひたむきさに、真剣にマラソンのコーチをはじめていく。
しかし、チョウオンが走ることが好きなのは、母親の思いに答えようとするだけなのではないかと疑うようにもなる。
やがて母親と言い争いになってチョンウクはコーチを解任される。
母親とのトレーニングでチョウオンはフルマラソンを走ることができるのか。
韓国では580万人もの人々がこの映画を見て涙した。
私はこの映画で、チョウオンを演じたチョン・スンウが韓国映画のアカデミー賞に当たる大鍾賞主演男優賞を受けたのは当然だと思うけれど、チョウオンを必死に育てようとした母親の心の動きを淡々と、しかし深く印象づける演技をしたキム・ミスクの演技を見てもらいたいと思う。
北朝鮮拉致被害者蓮池薫さんが翻訳して出版した「走れ、ヒョンジン!」が原作である。
7月22日までで終わってしまう映画館が多いのでお早めに。 (わ)
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