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県学労ニュース325号     2005/6/7発行
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ふりまわすな!
    総合文書システム

 5月24日総合文書主任を集めて研修会があった。

 平成16年度に書誌登録してあるにもかかわらず文書のないもの、文書があるにもかかわらず書誌登録していないものを調べて整理しておくことが指示され、決裁や供覧未処理の文書がある所属は早急に処理するようにと注意があったという。
 
 ここまではシステムをスムーズに運用しようとする当局の気持ちが理解できないことはない。しかし、そこで電子決裁比率が低いからと、それぞれの所属の具体的なパーセントを示して、もっと電子決裁を増やすようにと催促するのはいかがなものか。

 「まだ総合文書システムになじめないでいる所属も多い中で、矢継ぎ早に電子決裁の比率を上げよと形ばかりを追求しているのは間違いである。電子決裁で管理職の決裁能力が低下していることは県から来る文書を見ても、しばしば間違いがあることからも明らかである。それを防止するために、各所属では電子決裁で起案した文書をプリントアウトして紙資料と一緒に回しているというのが実態である。誰が膨大な文書を(しかも画面に入りきらずにスクロールしなければ見られない文書もある)パソコンの画面上で熟読して決裁できるだろうか?

 過去の文書を探すときにも、紙ファイルなら簡単に2、3年分を見ることができるのに、システムではいちいち検索しなければならず、しかも3年分の書類を並べてみることはできず、結局プリントアウトしてしまうことになる。ペーパーレスをうたい文句にしていた電子決裁であるが実態は紙の無駄遣いを招いただけである。

 それだけではない。県立学校では庶務関係の文書は総合文書システムで処理し、教務部に属する書類は従前の文書処理で良しとしている煩雑な文書管理システムを行なっている。そのため双方にまたがる文書については2重の管理が必要になっており、煩雑さを免れ得ない。どちらかに統一すべきである。

 そもそも文書管理システムが知事部局とは大きく違っていた県立学校を総合文書システムで同じように扱おうとすることが間違っているのではないか。

 慌てない!

 まず、県立学校の全ての文書が総合文書システムに載せられるように、教務部の文書を整理して県立学校の文書管理システムを統一した後、職員のシステムへの習熟加減を見た上でシステムの拡大を図るべきだろう。本庁のスケジュール優先で、県立学校の各職場を混乱させるような指示を矢継ぎ早に出すことをやめてもらいたい。
 


 

目に悪い旅費システム
    30分で100回以上
       画面切替えに耐えられるか

 3年ぶりに旅費を担当することになり、初めて新しい旅費システムを使うことになった。

 最初は以前のように旅行伺いを旅行命令簿に書き写す作業がなくなっただけでもずいぶんと楽になったなあと喜んでいたが、5月分旅費を入力していて、これは大変な作業だと思い知らされることになった。

 4月は出張も少なく、まだそれほど感じなかったが、5月は遠足があり、ほとんどの職員が万博会場へ出張したこともあり、入力件数は一気に増えた。しかも万博会場へは交通機関で行くために、いちいち乗り換え案内で経路を入力しなければならない。画面の複写ができるというが、乗り換え案内のデータはクリアされてしまうので、何度も「藤が丘」「万博会場」「万博八草」を入力しなければならなかった。
 しかも、精算旅費の旅行命令登録画面には結構たくさんの入力項目があり、入力するごとに画面が一瞬紫色一色に変わり、すぐに入力結果を反映した画面に変わる。

 30分以上もこの入力作業をしていると100回以上目の前の画面が変わることになる。

 ワードやエクセルなどの入力作業は画面全体が消えたり、現れたりすることはないし、画面を次々に変えることもないので眼の疲れはそれほどでもない(あくまで旅費入力との比較であり、長時間入力作業をすれば疲労が蓄積されるのはいうまでもない。)。しかし、旅費システムの画面を入力ミスがないように、緊張して凝視しながら入力していると眼の疲れは尋常ではない。

 項目の入力ごとに、画面が切り替わる(交通機関から全経路自家用車を選んだり、往復欄にチェックを入れたり、出発地や帰着地を公署から自宅に変えたとき)という欠陥は何とかしてほしいものである。それでなくても乗り換え案内で画面が次々に変わるのだから。

 旅行命令書を見ながら、例えばエクセルで作った請求書を作るという作業の方がずっと簡単で楽ではないだろうか。運賃や駅名も簡単に複写できるし。全県一律の大きなシステムを作るより、様式だけ指定してオフラインで請求書を作った方がずっと効率的である。旅費システムが導入されるきっかけとなったのは、日当の廃止と実際の旅行経路、旅行方法と旅費計算上の経路、旅行方法との食い違いをなくし、実費主義にするということであった。旅費条例改正のために旅費システム導入が必要だったわけではない。この旅費システムの開発、運営費を考えると財政危機の愛知県が導入すべきではなかった。もっとシンプルな旅費制度に再度変えるべきではないだろうか。
 


 書評  神 曲      桜井亜美著   幻冬舎 480円

 バーチャルと現実の垣根がなくなるとどうなるのか。

 先日起きた少女監禁事件。現実と虚構の世界の区別ができなくなった未成熟な男性によって引き起こされた事件ではあったが、果たして特異な事件と言えるだろうか。

 確かにコンピュータの進歩はめざましく、飛行機の操縦や自動車の運転技術などのシュミレーションなどではバーチャル世界を作り出すことは有意義な作業であった。しかし、ゲームの中で戦闘を繰り返すバーチャル体験はリセットすれば初期設定に戻れるという体験を、現実社会にも当てはめて、取り返しのきかない犯罪へと導いているのではないだろうか。

 事務員として勤めていた予備校を35歳で辞め、その夜通りすがりの通行人を3人殺し、そのまま車で海に飛び込んで死んだ父。嵐は、「殺人鬼の子ども」といじめられて心を閉ざした。そうした父を持つ彼を採用する企業はなく、最後に採用通知が残った国家公務員となった。勤務は内閣官房直属の情報統括室。研究開発されたコンピュータを駆使したAR(バーチャル)捜査システムを使う捜査員になった。嵐は、偶然とおりかかったアニマルクリニックで蝙蝠をもらい、その飼育方法の相談に通ううち、獣医である美虹を愛するようになる。彼女もまたトラウマに悩まされていた。やがて心を開きだした彼女が脳腫瘍で死んだ。彼女なしでは生きていけない彼は、ARシステムへの非合法侵入をはかり、AR内で彼女のデータを改変しはじめた。犯罪捜査のために開発されたシステムである。歴史の改変は許されない。非合法侵入を知った開発者の恒河澪子はどうするのか?。(わ)

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