****************
県学労ニュース323号     2005/4/26発行
****************

4月転任者の通勤手当支給誤り続出
そもそも6カ月定期券で認定することが招いた
システムの欠陥だ! 
 6カ月定期券による認定がはじまって、初めての異動が今年の4月異動であった。

 6カ月定期券による認定が支給期の4月には高額に上ることから、慎重に認定をし、データ入力したつもりであった。しかし、これまでには考えられなかった支給誤りが生まれてしまった。

 そのミスとは、4月転勤者のうち、交通機関利用から交通用具利用者になった場合、その逆の交通用具利用者から交通機関利用になった場合、また併用者であった者が併用者でなくなった場合に通勤手当の誤払いが発生した。
 
 4月にはいると最初の処理の段階でデータが更新され転入者の氏名コード番号が入る。当然全ての情報が正しく更新されているものと考えて処理をする。

 ところが、たとえば、前所属で交通用具を利用していた者(通勤距離3qとする)が新所属で交通機関利用に変わった場合だ。

 該当職員コードをクリックすると通勤手当の現情報が表示されているはずである。そこで、第1画面左側の4月交通機関6カ月の更新欄に6カ月定期券額を入力する。そして、制度導入の折、「イメージ画面を確認すれば支給される正当額が出ますので、必ず確認して下さい。」との説明があったので、イメージ画面を出して正しいことを確認して送信したはずであった。

 しかしなぜか、前所属で支給されていた通勤用具の通勤手当額がデータとして残ったため、結果は4月支給額で2400円過払いとなってしまった。

 交通機関利用者が交通用具に変わった者の方がさらに厳しかった。遠距離通勤だった者は五月で数十万円の返納が生じて、多額の控除金がある職員は五月給料での相殺処理で福祉貯金が引き落とせないということも考えられる。

 教職員課に問い合わせたところ、原因はデータ受信してから処理しなかったのでデータが読み込まれていないためだという。そんなことは4月にはいって最初の処理段階でデータ更新するのだから、連絡文に一言加えておけば起きなかったことだ。

 昨年までは一画面で処理でき、こんな間違いは起きなかった。今回の変更で、第二画面(交通機関)で六カ月、三カ月、一カ月、一カ月相当額画面が第一画面の通勤手当額に反映せず、別々のデータとなっていることも、イメージ画面で確かめれば、間違いないと強調された説明でコンピュータを信じ切ったことも間違いの原因と言える。

 こうしたミスが複数の所属で起きているところから考えて、システム的な欠陥だと言える。

 六ヶ月定期券認定、4月10月一括という不合理な通勤手当制度が生んだひずみだろうが、所属の給与担当者が通常の処理をして間違えるようなシステムは早く直してもらわなければ困る。早急な改善を求める。

 

3月分介護休暇の給与減額4月給料からなぜ引けぬ? 

 これからの高齢化社会、どの職員にも起こりうる介護。介護休暇、看護欠勤として制度的にも保障されてきている。そして、何校かですでに休暇等をとられる職員があると聞く。

 しかし、それに当たる給与担当者はほとんど初めての体験になる。

 まず介護休暇等の制度を条例などで調べ、給与条例で給与についての取り決めを確認する。

 そしてその給料の取扱いについては、給与条例第27条1項で勤務しなかった時間分は減額をするように定めていることを確認する。
 そして、その3項には「減額すべき給与額は、その減額すべき給与額をその月の翌月以降の給与から差し引く。」とも定めていることから、翌月に減額データを入力することを知る。

 ところが、3月分の減額は四月給与から差し引かず、現金払込書に現金を添えて払い込めといわれる。
 日頃条例を守れと指導している教育委員会は、ここでは条例を守らず、より不安な処理を事務職員にさせようとするのはいかがなものか。

 県予算は単年度決算だから、前年度予算で支出された報酬を翌年度給与で調整できないというような回答が返ってきそうだが、それこそコンピュータ処理が進んだ今日、機械上の処理でどうにでもなる。
 こういうことこそ改善してもらいところである。
 

  書評
 サスペンス
ボランティア・スピリット  永井するみ著    光文社571円

 ある市民センターで開かれている外国人のための日本語教室。 50歳以上でリストラされた元管理職だった山崎と1対1の日本語学習をしていたナディームのところに刑事が尋ねてきた。

 彼が働いている金属加工工場の社長宅でボヤがあり、放火の疑いがあり、彼に嫌疑がかかっているのだ。事情聴取のため警察署に連行されていってしまった。

 次の日に山崎の探偵が始まる。まず、ナディームの妻に当日の彼の行動を聞く。

 ボヤの起きた日曜日は外国人との結婚を快く思っていない両親に会うため実家に戻っていた。

夜7時半頃戻ってきたとき、ナディームはカレーを作っていたという。放火があったのは6時頃、夕食のためスーパーに買い物に行ったことを示すレシートに「16:38」の印字があった。カレーを作っていたとしたら、あまりにも慌てすぎではないか。

 次に工場に行って彼の上司に仕事ぶりについて尋ねる。雨樋の加工工程の最後に手で歪みを直す仕事をマメができてつぶれては血ににじんでも頑張った結果、加工全般の管理を上司の下で仕切る仕事に昇進したという。社長の評判も良かった。動機に薄い。
 そして、最後にナディームを目撃したと証言した社長宅の隣の老女に証言の内容を聞いた。

 話を聞いてみると、ナディームがいつも履いている靴とジャンバー姿を見たから間違いない、生け垣の隙間から特徴のあるスニーカを見て確認したという。顔を見ていないことが判明した。 犯人は上司だった。

 社長に自分の息子を雇うよう頼んだが断られ、経費削減のために給料の安い外国人労働者を採用する方針だと聞かされ、怒りをまじめな働きぶりを見せるナディームにぶつけ、外国人は何をするかわからないと思わせ、工場から外国人を排除しようとしたのだ。

 最近増えている外国人労働者に対し、犯罪が起こるとすぐに外国人労働者だという風潮があるが、犯罪発生率は外国人の方が低い。外国人の関係した事件をマスコミでよく取り上げるので「外国人が来たから、犯罪が増えた。だから、外国人を追い出そう。」と排外主義をあおる風潮に警鐘を鳴らしている。

 また、ボランティアによる日本語教室を舞台に様々な問題を短編風につなげていて、国際交流やボランティアが献身的善意だと思わせる意識の裏の日常的な偽善までも取り上げた作品である。(わ)
 

県学労ニュースのトップページへ戻る| 県学労のトップページへ戻る