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県学労ニュース321号   2005/3/23発行
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絵に描いた餅にならぬよう!
     教職員の子育て応援プログラム

 国の「次世代育成支援対策推進法(15年7月に成立)」を受けて、教育委員会の「教職員の子育て応援プログラム(案)」が示された。
 これは平成17年度から21年度までの行動計画を定めたものである。

 内容としては、まず妊娠、出産後の女性教職員の保護制度の周知、職場での健康や安全への配慮義務がうたわれ、ついで育児休業および部分休業制度の周知、また円滑な職場復帰ができるよう職員のサポート、育児休業等に伴う臨時的任用職員の確保など、ここまでは現行制度がフォローできる内容である。

1、保育園送迎等を行う部分休業や育児時間を申請している職員の業務分担を配慮してサポート。

2、子どもの出生時における父親となる男性職員の特別休暇及び年次休暇を出産予定日の前後2週間に5日以上取るように勧告する(21年度までに取得率70%めざす。)

3、校内託児施設の設置を検討。

4、小学校就学までの子を養育する職員の深夜勤務や時間外勤務の制限(もともと教育職員には法律上これらの勤務を命ぜられないと思うが)を周知させる。

5、長期休業中や定期考査期間中に定時退校日を設定し、定時退校を促進する。時間外勤務縮減にむけ、時間外勤務の多い教職員の勤務内容を精査し、原因の究明とその解消に向けてヒヤリングを実施する。

6、年次休暇の取得促進を働きかける。また、勤続10年など区切りの年のリフレッシュ休暇や誕生日、結婚記念日等個人の記念日、健康増進のための休暇、地域活動などボランティアのための休暇、レクリエーション休暇など連続取得促進、子の学校行事、PTA行事など家庭のための休暇などの取得等休暇を取りやすくする職場づくりをすることにより、職員の年休取得を年平均14日に増加させる。
7、子の看護等にかかる休暇制度を周知し、校務分掌の相互支援体制を明確にする。

8、子育ての状況に応じて人事上の配慮をする(以前、教育委員会と人事について交渉したおり、「子育てが大事なら、一度仕事を辞められて、子育てが終了したらまた働くようにしたらどうか。仕事に個人的な事情を持ち込まれてもこまる。女性の場合は少しは配慮しているが、男性の場合は考慮しません。」と答えられていた頃から考えると大きな前進だ)。

9、新採研修や管理職研修において、職員が家庭責任を分担しながら仕事にも能力を十分発揮できるよう固定的な性別役割分担意識の是正に努める。

10、教職員課や総合教育センターに相談体制を整備し、子育てのための休暇が取得しにくい環境やセクシャル・ハラスメントに関する苦情・相談に対応する(継続実施)。

 私たちはこの行動計画を評価するが、時間外労働が平然と行われている現状の職場では絵に描いた餅だ。教育委員会は時間外勤務縮減に向けて事業の精査を行い、過度の業務を押しつけないよう努め、実施にあたっては各校に業務の見直しを強く働きかけてもらいたい。


人事院が検討?
公務員給与5%引下げ
        その財源で本省手当新設
読売2005/3/15

 読売新聞が3月15日に報じたところでは、官民の給与格差が2004年4月に支給分で北海道・東北ブロックで民間給与より4.77%高かったとして、基本給をこの最大格差に合わせて一律引き下げる方針という。逆に最大で東京では民間給与より3.72%低いので、引き下げで官民格差が民間より低くなる都市部では「地域手当」を新設して調整する方針という。

 そして、この削減で生み出した財源を使って、長時間の超過勤務が慢性化している本省職員の人材を確保するため8%を上限とする「本省手当」を新設することを今年の人事院勧告に盛り込み、2006年度からの実施を目指すことを3月14日に固めたと報じた。(新聞報道はこちらをメインにしていたが)

 しかし、人事院勧告制度の趣旨からして考えてみればおかしなことで、人事院勧告というのは、官民較差を毎年4月現在で調査をして、適正となるように勧告してきたのではなかったか。 (私たちは給与を減額する勧告はあってはならないものと2002年度の勧告について問題としているが、)その都度官民格差は解消されたと考える構図になっているのではないか。

 それをまず全体を5%削減してしまおうという方針を決めてかかっていること自体、制度をないがしろにするものではないのか。

36協定交渉報告

 3月14日、教職員課の最終提案ということで提示されたものは、現業・非現業の区別なく一本で締結せよという私たちの意見を聞き入れられませんでした。しかし、締結相手が非現業の者であっても労働基準監督署が受理すれば現業職員の協定は有効だということは確認できた。

 再度、知事部局では現業・非現業が一緒に締結していないかどうか、労働基準監督署が受け付けないかどうか聞いてほしいと要望した。

 そして、それぞれの学校で今年中の適当な時期に、全校で仮協定を締結し、問題点を探るとともに、2006年度から本協定を施行するという。

 本協定は3月21日から4月20日までの間の適当な時期に締結し、教職員課を通して人事委員会、労働基準監督署に一括で提出する。施行日は4月1日から5月1日までの間の日とする。

 県学労は時間外労働をさせる必要のある具体的事由を細かく記すべきで、安易に収入事務、旅費事務などとおおざっぱに書くことは許されないとしてきたが、教育委員会の最終案では「旅費事務」や「収入事務」などおおざっぱなものが例示されることになった。ただ、より詳しくすることができる職場では詳しく規定してもらって結構だという。

 また、私たちは県立学校においては割振りで対応できるとして休日勤務の規定をはずすよう求めていたが、案としては休日勤務について触れるが、留意事項の中で、「割振り基準どおりの週休日の日数が確保される職場については、協定を締結する必要がない。」と記載しているので、必要のない職場では休日勤務について締結しないこともできる。 各職場で週40時間態勢を守るために休日勤務の規定を決めないようにしよう。

 この交渉のあと、3月中に全県の事務長を集めている事務長会議で大筋を説明し、4月に校長会でも説明していくというスケジュールになっていると説明を受けた。

 仮協定に向けた動きはそのあとに始まってくる。再度教育委員会と本協定に向けた話し合いを持つので、各学校で仮協定を結ぶに当たって問題となった事項を県学労に連絡してもらいたい。

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