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県学労ニュース320号   2005/3/8発行
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許せない!愛知行革大綱2005

    県民サービスの低下と職員の削減合理化の宣言でしかない

 2月21日、「あいち行革大綱2005」が発表された。
 
 基本政策である「第三次行革大綱」の実施期間中である17年度からさらに期間を22年まで延ばして、行革を断行するという計画だ。

 文書では「第三次行革」が前倒し実施できたので、時代にあった新たな行革を推進するとしているが、基本政策としての大綱が計画期間に2度も変更されるというのは、長期計画の破綻を意味するものだ。

 その大きな要因は万博開催、中部国際空港の開港であり、さらに財政破綻を加速させている。そのため、県民へのサービス低下、職員の削減合理化でそれを乗り切ろうとするものだ。

 今後見込まれる財政状況の悪化理由に、今回団塊の世代の退職期を迎えることをあげているが、「第三次行革大綱」を発表した平成10年からわかっていたことであるのに、なぜ今回強調したのか。
 
 増え続ける県債の理由を、県税収入の落ち込みと行政水準の維持を揚げているが、本当は平成4年度以降2度の国の景気浮揚策(経済対策?)にのり、箱物を作り、多額の県債を発行して借金を作ったからだ。そして返済期間を繰り延べる借り換え債の発行によって、返済を後ろへ回すために歳出に占める公債費(県債の返済)が増えているのだ。

 今回の大綱を見ると、(知事部局と教育の事務部門の職員について、事務事業の整理合理化、組織・機構の見直しなどにより、定数の削減に取り組む。【078】)平成17年度から22年度の間に1500人以上の削減という数値目標を掲げて人員削減に走ることにしている。ここでは、平成18年度「総務事務センター」を設置【118】して、本庁、地方機関、県立学校の各所属で行っている給与や旅費など定型的内部管理業務の集中化をはかることが具体的に掲げられているが、具体的には県立学校では教員本人に入力させるということか。現実には、県費で支出する旅費と私費で支出する旅費があり、教員が自ら処理できる時間的余裕と能力があると考えているのだろうか。人員を減らされた上、入力作業が残ったなどというのではかなわない。

 また、団塊の世代の職員の退職を正規職員の補充で賄うのではなく、調整可能な不安定な身分である任期付職員や任期付短時間勤務職員の採用【098】を増やし、再任用で安上がりな労働力確保【100】を目論んでいる。

 また、給与を恣意的に左右することもできる給与連動型の人事評価制度の導入(【090】給与構造の見直しに取り組む)も目論んでいる。

 このような労働条件の改悪が、一方的に、労使交渉を飛び越えて発表されることに不快感を覚える。早急に労使交渉を求める。

いつまでたっても赤字が減らないのは誰のせい?
 財 政 中 期 試 算 の 怪

 昨年出された財政中期試算によると予算不足が二一年度まで続き二二年度で初めて黒字になる予定である。ところが平成一五年度に出された財政中期試算では平成二〇年度には黒字になる予定であった。新しい財政中期試算が出るたびに黒字化する年度がどんどん先送りされていく。この財政中期試算なるものは本当に信頼に足るものであろうか。

 たった1年でこんなに数字が変わるものであろうか。どうも恣意的に作り出されているもののような気がしてならない。

 一五年度の試算では一七年度の県債の発行は一九六〇億円だったのが、一六年度の試算では二八〇〇億と八四〇億円も増えている。また行革効果額は一五年度の試算では一七年度九五億もあったのに、一六年度の試算では半分以下の四〇億になっている。
 税収は一五年の見込みよりも増え、人件費は減っているというのに借金を増やしている。財政再建を本気で考えているとはとても思えない。

 万博、空港関連で膨大な借金をしたが、そのツケがこれから重くのしかかってくる。一体こんな財政状況にした責任者は誰なのか。しかるべき責任を取るべきではないか。

 

書評 「ボロボロになった覇権国家アメリカ」
                      北野幸伯著 風雲舎1,500円+税

 世界の国々は何を行動の指針としているのか。経済的利益の追求と安全の確保である。アメリカのイラク戦争もそうである。大量破壊兵器があるからとか、独裁国家だからとかいって、国連決議もないのに一方的にイラクへ攻め込んだアメリカ。侵略戦争としか言いようのない戦争である。しかし、今世界最大の軍事力をもつアメリカに対抗できる国はない。アメリカの軍事費は来年五〇兆円を超え、世界の軍事費の四〇パーセントを占める。こんな国に闘いを挑む馬鹿な国はない。

 アメリカは理由があって戦争をするのではない。戦争をしたいから理由を探すのである。イラクの次はイラン。中東全域を支配下に置き、石油を確保したいというのが目的である。かつて覇権国家であったアメリカは「経済力」、「軍事力」ともにダントツであったが、今アメリカは経済はガタガタ。財政赤字、貿易赤字は史上最悪の状態である。基軸通貨であるドルの地位も揺らぎ始めている。

 だがアメリカ経済は破綻していない。それは日本がアメリカの国債を買っていることとドルが基軸通貨であるという二つの理由からである。どちらかの理由がなくなればアメリカは覇権国家の地位から転落することになる。日本がアメリカ国債を買わなくなることはないので、基軸通貨がユーロになる可能性の方が高い。

 アメリカ一極支配体制である現在の世界の状況を幕末の日本にたとえ、EUを「譜代大名」と呼び、EUの中にもドイツ、フランスを中心とする反米譜代大名、英国、東欧を中心とする親米譜代大名がある。中国、ロシアはアメリカ幕府の潜在的敵なので「外様大名」、国際テロリスト達は倒幕の過激志士としている。

 著者の予想では、アメリカはテロ支援、核開発を理由にイラン、サウジアラビアを侵略し、イスラエルも参戦し中東大戦争となる。しかし完全勝利することはできず現在のイラクのような状況が続く。アメリカは中東に傀儡政権を打ち立てたあと、中国を攻める。口実は何でもいい。台湾独立の動きを支援し、中国を挑発すればいい。その時には日本も必ず戦争に巻き込まれる。アメリカ幕府の天領日本はどうすべきか。生き残れる道はあるのか。(た)

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