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県学労ニュース319号   2005/2/22発行
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36協定について
      県学労はこう考える

 1月20日に2回目の36協定問題をめぐる交渉を行い、県教委の新たな提示については県学労ニュース317号でお知らせしたが、この第二次提示の内容について県学労は次のように考える。

 まず第一に、1回目の提示では現業、非現業を分けていなかったが、2回目の提示では分けて協定を締結するとなっている。多くの県立学校では現業職は用務員しかおらず、しかも嘱託用務員が増えている中で、協約締結の当事者が1人しかいない。このような状態で36協定を結ばせるというのは非現実的である。現業、非現業を合わせた形で一つの協定を結ぶという知事部局の方法と同じでよい。

 第二に、時間外勤務を命じることができる仕事の項目を明確にし、限定しなければならない。

 労基法では時間外労働をさせる必要のある具体的事由、業務の種類、労働者の数、1日について延長することができる時間、1日を超える一定の期間について延長することができる時間を定めなければならないことになっている。

 時間外労働をさせる必要のある具体的事由を安易に収入事務、旅費事務などとおおざっぱに書くことは許されない。

 年度末、年度始めの授業料減免事務とか、年度末、年度始めの給与、報酬支給事務などのようにできるだけ事由は細かく書くことが必要である。
 通常業務で慢性的に時間外勤務があるという状態は異常であり、それは適正な人員配置や仕事配分の見直しなどで解消しなければならない。時間外勤務は週40時間労働という大原則を超えて働かせるわけだから、極力抑えられなければならない。

 第三に、休日勤務については県教委の作成した「36協定実施要領の留意事項」にもあるように割振り基準どおり週休日の日数が確保される職場については、協定を締結する必要はない。
 
 つまり、ここでいう休日とは文字通りの休日と週休日が含まれており、振替えを行う場合はここでいう休日勤務には当たらない。一般的に、県立学校では週休日に勤務して振替がとれないという状況はないのでこの項目については締結しなくてもよい。

 第四に、平成16年に改正された「特別の事情が生じた場合の時間外勤務」についても、協定で定めた時間(限度時間という。県教委案では1日5時間、1月35時間、1年210時間)内でできる場合には締結の必要はない。また締結する場合にもその業務は臨時的なものに限られ、限度時間内に行う業務はできない。

 第五に家庭生活に及ぼす影響への考慮として、留意事項では「時間外勤務又は休日勤務を命ずる場合には、介護や育児等職員の家庭生活に及ぼす影響についても十分配慮するとともに、職員の意向を尊重するものとする」としているが、育児・介護休業法の規定によれば小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者がその子を養育するために請求した場合、及び要介護状態にある対象家族を介護する労働者がその対象家族を介護するために請求した場合においては、事業主は制限時間(1月24時間、1年150時間)を超えて労働時間を延長してはならず、このことを明記すべきである。

 36協定締結を機に時間外勤務について見直し、労働者が長年の苦しい闘いの結果勝ち取った週40時間労働を形骸化させず、さらにドイツで実施されている週35時間労働を目指して時短の闘いをすすめよう。

来年度予算案発表
年々ふくらむ借金、返す目途はあるのか?
 
 県は2月16日、平成17年度予算案を発表した。

 空港、万博関連の支出が終了し、県税収入も五・九%増と大きく伸びる見込みであるが、県の借金は一向に減らず、17年度も二四九二億円の県債(全収入に占める割合は一一・六%)が発行される。県債残高は年々増えており、17年度は三兆七七〇一億円(平成2年度の三・六七倍)と前年よりも四一四億円も増えている。17年度の県債償還費は二三一七億円(全支出に占める割合は一○・八%)であるが、今後一切新規の県債を発行しないとして16年以上かかることになる。県債の借入額よりも償還額の方が多くならなければ県債残高は減らず、借金が雪だるま式に増えていくばかりである。しかし、この借金を解消し財政健全化を目指す長期計画さえないという無計画さは県職員だけでなく県民の生活を脅かすものである。

人事異動内示
    今年は早いぞ!
 
 今年は万博関連で知事部局の人事異動が例年より一週間ほど早くなるらしい(3月8日前後)。学校事務職員も同時期の内示となる予定です。
 しかし、内示はあくまで内示です。不満があれば県学労にお知らせください。そして校長にも申し出てください。
連絡先 TEL&FAX
(052)723-2374(田口)、または (0564)52-7154(渡辺)まで。
メール
xx6t-tgc@asahi-net.or.jp

「永遠の仔」
      天童荒太 著  幻冬社文庫 全5冊
 
 愛媛県にある双海病院児童精神科病棟に入院していた3人の子どもたちの病院時代と17年後再会した3人が殺人事件に巻き込まれていく。この二つの時期が交互に書かれている。

 有沢梁平は親から虐待を受け、体中にたばこを押しつけられたやけどの跡があることからジラフと呼ばれ、勝田生一郎は母親に1万円とパンを与えられ何日間も放置され押入の中で生活していたことからモウルと呼ばれていた。そして双海病院の二人の前に現れたのが同じ六年生の久坂優希だった。彼女と二人の少年はだんだんと親しくなり、台風が接近する中、病院を抜け出した優希を捜しに二人も病院を抜け出し、大きな木の根本にある穴の中にいる優希を見つける。そして嵐の中で一夜を3人で過ごし、それぞれの体験を話したことによって3人の結びつきは強くなった。

 17年後、優希は看護師になって人一倍よく働き、献身的に仕事をし、入院患者達からも頼られている。有沢梁平は刑事になっており、犯罪者を憎むあまり、行き過ぎることもある。勝田生一郎は勝田笙一郎と名前を変えて企業相手の弁護士をやっていた。

 そしてこの3人が再会したあと、幼児虐待をしていた母親が殺される事件が続く。一体誰が犯人なのか。そして18年前の3人が共有するある事件の真相は。

 推理小説の謎解きというおもしろさよりも、親による児童虐待を受けた子どもが、再び自分の子どもを虐待するようになる虐待の連鎖、虐待されても子どもは親の愛情を求めているせつなさ、親も子どもを愛しているにもかかわらず虐待してしまうというどうしようもなさなど、児童虐待が親子双方の側から分析されている。

 第53回日本推理作家協会賞受賞作品で、二○○○年四月からテレビドラマとして放映された。

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