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県学労ニュース309号     2004/8/24発行
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04年度人事院勧告出る!
給料、ボーナスともに据え置き
     トヨタは史上空前の利益
         さて、愛知県の人事委員会は?

 人事院は8月6日、国会及び内閣に対して公務員の給与の改定を勧告した。その内容は官民給与の格差は39円しかなく給料、期末勤勉手当の改定は見送るとともに、寒冷地手当の支給地域の縮小と支給額の削減するというものであった。
6年ぶりに給与引き下げに歯止めがかかったとはいえ、寒冷地手当の大幅削減と来年度以降の給与制度大改悪を予告するものであり、今後の闘いが一層重要になってくる。

 新聞紙上をにぎわしているトヨタ自動車の好業績は果たして公務員賃金に反映されるのか。トヨタ自動車は2004年3月期には1年間の純利益が日本企業で初めて一兆円を超しており、05年3月期はこれを上回る勢いだ。4〜6月期の売上高が前年同期比10・2%増の4兆5103億円、税引き後の純利益が28・8%増の2866億円と増収増益となった。また名古屋証券取引所に上場する中部地区の企業の04年3月期決算を見ると税引き後利益は同50・6%増といずれも大幅に伸びた。また、136社中、73・5%にあたる百社が増収となり、経常増益を果たした企業も、78%の106社にのぼっている。

 愛知県人事委員会はこれらの民間企業の業績と労働者賃金をきちんと調査し、10月に予定されている勧告に反映させて欲しいものである。

 人事院の下請け機関として国と同じような勧告を出すのではなく、また国やその他外部の政治勢力に迎合することなく、県職員が責任をもって職務を遂行できるように自主的な調査、勧告を行うよう期待する。
 

 人事院勧告の概要 
 月例給 39円(0.01%) 
 ボーナス  年間4.4月(民間とおおむね均衡、改定なし) 
 寒冷地手当 
 1.北海道及び北海道と同程度の気象条件が認められる地域 
  (市町村の4割強、職員の約半数を対象から除外) 
 2.支給額を約4割引き下げ 
 3.一括支給から月額制(11月から3月まで)に 

その他の課題 
 1.特殊勤務手当の見直し 
 2.官民比較方法の見直し 
 3.独立行政法人等の給与水準 
 4.給与構造の基本的見直し 
給与構造の基本的見直しでは
 1.民間賃金の低い地域における官民の給与格差を考慮して公務員給与のベースとなる全  国共通俸給表の水準を引き下げるとしている。その上で地域に応じて調整手当に替えて  地域手当(仮称)を新設。 
 2.俸給表の級構成の再編(新設・統合)と昇給カーブのフラット化。 
 3.実績評価に基づいた昇給(査定昇給)の導入と枠外昇給の廃止。
 4.勤勉手当への実績反映を拡大するとともに、期末特別手当にも実績反映を導入。 
 5.本府省手当の新設を検討し具体化を図るとしている。 
 

給与カット裁判  7月23日に結審!
          判決は11月10日に!

 99年度から3年間にわたって財政危機を口実に職員の給与をカットしてきた愛知県を被告として争ってきた給与カット裁判が7月23日に結審し、いよいよ11月10日に判決を迎えることになった。この裁判の過程で明らかになったことを紹介しておこう。

 私たちの給与は人事委員会が官民格差を調査し、その差を勧告し、給与改定がおこなわれる。しかし3年間にわたる給与カットはこの人勧制度を無視して給与抑制条例によって一方的におこなわれた。

 県は予算編成について県当局及び県議会には広範な裁量権が与えられていると主張しているが、原告は「給与抑制には、不利益を労働者に法的に受認させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な理由はない。また、人勧制度を無視する裁量権はない」と主張した。

 第二に財政危機の見積もりがむちゃくちゃであったことである。99年度予算では当初250億円の赤字見込みが決算では91億円の赤字、00年度予算では当初190億円の赤字が決算では28億円の黒字に、01年度予算では当初140億円の赤字が決算では19億円の黒字というように過大な赤字見積もりで財政危機を演出してきた県当局の目論見が明らかになってきた。裁判所も「どうして見積もりに変化ができたのか、きちっと根拠を上げて説明しろ」と異例の釈明命令を出して説明を求めた。しかし県当局は具体的な資料をあげて説明することができず、予算とは歳出は多めに、歳入は少なめに見積もるものだと苦し紛れの主張をし、結局過大な赤字見積もりが給与カットの根拠だったということを自ら認める格好になった。

 この裁判で勝つことは、今後予想される給与カットの再開(万博、空港の借金返済による財政危機を口実にした)を阻止する大きな力になる。是非11月10日の判決に期待したい。

 

書評 「リコール小泉鈍(どん)一郎」
           マッド・アマノ著  雷韻出版 1500円
 先の参議院議員選挙の時、自民党のポスター「この国を想い、この国を創る」をパロデイで茶化した「あの米国を想い、この属国を創る」というポスターを中村敦夫氏が主宰する「みどりの会議」ホームページに載せたことに対して、自民党安部幹事長は「削除せよ」と「通告書」なるものを送った。

 作者のマッド・アマノ氏の作ったこのパロディがあまりにも当を得ていたために、なりふりかまわぬ脅迫まがいの通告書なるものを中村議員に送ってきたのであろう。

 しかし、つい先日起きた沖縄国際大学へのヘリコプター墜落事件。

 事故原因を一緒に調査しようと県警が言っても、勝手に米軍が機体の回収を行い警察は全く手を出せない。米軍の同意がなければ日本の警察は何もできない。市長や知事は米軍に対して原因究明も進んでいないのに飛行再開したことに対して抗議しているのに、小泉首相は何も言わない。この現実を見れば、これが主権国家なのかと悲しくなる。

 こんな小泉首相を徹底的にパロディで茶化し、批判しているこの本はいかに小泉が賞味期限切れであるかをおもしろおかしく、理屈もつけて解説している。

 そしてこの本を一層面白くしているのはふんだんに使われているパロディ写真である。「スパイダーマン2」をもじって小泉がスパイダーマンの衣装を着て「シッパイダーマン あと2年」「首相任期、あと二年、憲法改正、増税への道筋作りだ」「運命さえも敵なのか」という写真は中でも圧巻である。(た)

 マッド・アマノの作品は次のホームページで見ることができる。
 http://www.parody-times.com/

 

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