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県学労ニュース298号     2004/1/27発行
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便利にならない総合文書管理システム
   誰でもわかるマニュアルを!
 4月1日から総合文書管理システムの導入が予定され、現在試行が行われているが、順調にすすんでいるだろうか。
 このシステムは文書の収受、起案、決裁、施行及び保存を電子で行うというもの。システムの導入により、現在ノーツで行っている公文メールが廃止され、所属メールも県庁からの文書は総合文書管理システムを利用することになる。
 果たして学校事務職員にとってこのシステムは便利なものとなるだろうか。いくつかの問題が懸念される。

 まず第一に、文書受付、起案、施行、保存が電子化されるというが、庶務部宛に紙で来た文書はシステムに登録しなければならず、教務部宛のこのシステムで受領した文書は、文書を打ち出して従来通りの処理をし、紙で来た文書は従来通りの処理をする。紙か電子文書か、宛先が庶務部か教務部かによって処理パターンが異なり、戸惑ってしまうだろう。

 第二に、システムを利用して収 受から施行までを行うものは、紙に打ち出さず、ノートパソコンで書類を読み、チェックしなければならない(ペーパーレスもこのシステムの導入目的の一つなのだから)。限られた大きさの画面の中で文書を読むというのはかなり大変である。果たして可能だろうか。

 第三に操作の煩雑さである。文書を収受した後、文書一覧で供覧文書を読み、各担当者か事務長が「担当指定」ボタンを押して収受担当者を指定する。その後「収受実行」ボタンを押して収受票入力画面に必要事項を入力していく。そして供覧者を設定し、収受票の内容を確認して「収受・供覧」ボタンを押して収受が完了する。起案についても、題名、文書種別、伺い文、あて名、発信名、紙資料の有無、ファイル(簿冊)番号、文書番号、処理期限、起案日、添付書類がある場合は添付書類の選択、決裁ルートの設定と多くの入力がすんでやっと起案が完了する。

 承認者は文書一覧から処理可能を表示させ内容をチェックし必要があれば「修正」ボタンを押して内容を修正する。修正した場合は「修正登録」ボタンを押した後、「承認」ボタンを押す。文書は次の承認者または決裁者のところへ送られる。

 決裁者も承認者と同様の処理をし、最後に「決裁」ボタンを押すと起案者のところに文書が戻ってくる。

 起案者はコメント等を確認し、「施行」ボタンを押し文書があて名のところに送られる。

 今までは紙で決裁文書を持っていくと、すぐに見て次の決裁者に回していたが、これからは決裁者がパソコンで文書管理システムにアクセスし、処理可能文書を見ない限り承認や決裁が行われない。パソコンだけで仕事をしているわけではないので、いつもパソコンが立ち上がっていてすぐに処理できるというわけではない。決裁は今よりも間違いなく時間がかかるようになるだろう。2月に各学校2名の操作研修が予定されているが、試行で出てきた問題点をぶつけ、少しでも手間のかからないシステムにするよう要求していきたい。

10月以降の通勤手当認定について(県学労からの提案)

 交通機関利用者の通勤手当を6ヶ月を限度として最長期間の定期券を基礎にして算出するという人事委員会勧告が昨年10月に出され、当局は組合の反対にもかかわらず10月実施に向けて準備をすすめている。
国が「職員の給与に関する法律(第12条第2項第1号)」で、交通機関利用者の通勤手当を6ヶ月を限度として最長期間(「支給単位期間」という)の運賃等相当額の通勤手当を(同条第6項)支給単位期間の最初の月に支給するという改正をした。さらに同条第9項では新たに返納についての規定を加えた。

 それを受け、人事院規則改正で、国家公務員については6ヶ月を限度として最長期間の定期券の価額(人事院規則第8条第1項第1号)とした。また、住居や通勤方法等の変更に伴い通勤手当額に変更が生じた場合、事実発生月の末日に払い戻しをしたものとして得られる額を返納するとしている(規則第19条の2第2項第1号)。また、返納が生じた場合、給料の支給義務者が同じ場合はその職員の給与から差し引くことができるとしている(同第5項)。
これらのことを考えると、国家公務員の場合は異動時期がそれぞれ異なるので、職員それぞれ支給月が異なることになる。属人処理したほうが便利だろうとも考えられるが、年度を超える返納処理の発生も予想され、事務処理の煩雑さが予想される。

 愛知県職員の場合異動時期が基本的に4月に限られているので、4月、10月に支給月を基本的には固定したほうがベターではないだろうか。

 住居の異動や通勤方法の変更で通勤手当額が変わる場合、すでに認定している通勤手当額は、事実発生月の末日で定期券の払い戻しがされるものとして計算し、返納する。そして新しく認定した通勤手当を事実発生日の翌月から支給するというのが国の考えだが、妥当であろう。ただ払戻手数料をどうするかは明確ではない。また、払い戻しが年度を越えた場合、何年度予算の組み入れるのかの疑問も残っている。

もし支給月を4月、10月に固定した場合、住居の異動や通勤方法の変更によって生じる通勤手当額の変更(追給・返納)をどうするかという問題が国とは違う方法をとる必要が出てくる。解決方法としては、残余の月数は別の方法(5月からとすれば、5、6,7月で3ヶ月定期券、8,9月は1ヶ月定期券の額としてその支給単位期間の最初の月で通勤手当を支給する)を考えてもいいのではないだろうか。

期限付職員は常勤職員に準じるが、臨時的任用職員は任用期間が短期間であり、辞令が断続的に出る等の事情を勘案し、今までどおり1ヶ月定期の額で毎月支給するのが適当であろう。

また、現在行われている1ヶ月定期と回数券の比較は事務が繁雑であり、該当者も少ないので短時間再任用職員および嘱託員以外は廃止することとする。

このように考えたらどうだろうか。
私たちからの提案である。

書評 アメリカの不正義
       天木直人著 展望社刊 1600円
 先日名古屋の書店に行ったらこんな本があった。

 駐レバノン特命全権大使の告発本である。イラク戦争が始まるときの大使を勤めていた人がどんな告発をしているのかと興味を持った。

 中身のほとんどはレバノンの置かれた立場(シリヤが軍隊を常駐させ、実効支配していること)を在任中に起きた事件を元に語っている。そこに中東地域の複雑な政治情勢が明らかにされており、そうした理解の上で小泉首相にアメリカ追従ではない、日本の外交努力によって戦争回避する方策を求めるべきだと意見具申し、戦争が始まってからもアメリカ追従でない国連を軸に復興支援活動に 中心的役割を果たすべきだと意見具申した。

 返ってきた答えはレバノン大使の解任と大学教授への斡旋という形での辞職勧告であった。

 彼は斡旋を断り、そうした一部始終を公表することで自分の考えを通すことにしたという。 (わ)

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