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県学労ニュース289号     2003/9/11発行
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劣悪な人事院勧告に追随しないよう
         愛知県人事委員会に申し入れ
 

 2003年9月3日、人事委員会との話し合いを持ちました。

 まず民間給与準拠の人事委員会勧告の実情を尋ねた。

組合:昨年の人事委員会勧告が国の人事院勧告より大きなマイナス勧告となった理由は?
人事委:県職員の給与が国より高かったことが原因だ。

組合:民間給与実態調査方法は
人事委:平成15年4月の給与額と、平成14年5月から15年4月の間に支払われた特別給を調査している。調査方法は、県下2255事業所から無作為で325事業所を抽出して調査している。抽出方法は本支店の別、規模別で、人事院が無作為抽出した事業所を名古屋市と愛知県、人事院中部が分担して調査することになっている。県内の分布としては、名古屋市内約200箇所程度、残りが県下全域からという具合。調査項目については毎年人事院から指示された項目を調べている(項目を増やすと煩雑になるので、少ない人数では独自調査は困難)。

組合:なぜ調査対象事業所が多い国よりも名古屋市や愛知県の人事委員会勧告が遅いのか。
人事委:手書きで集められた調査票はいったんすべて人事院に送られ、処理されたデータと元データが人事院から戻ってくるシステムになっているため、国の人事院の方がデターを早く入手できるので、勧告が早くなる。国に準拠するというより、愛知県は民間準拠のほうに比重を置いていると思っている。

 こうした説明を受け、次の 申し入れを行った。
 愛知県内の民間給与水準は昨年を下回るということはない。引き下げ勧告をしないこと。
昨年引き下げ勧告をしたが、3月の期末手当で調整というカタチで遡り減額をしたが、不利益不訴求の原則から考えても、誤った方法である。今回の国の勧告が減額勧告であったので、たとえ愛知県人事委員会の勧告がマイナスになろうとも遡り減額措置をとらないこと。

 自宅居住者の住居手当について、平成8年度改定(8000円)以後、12年度に報告では民間を下回っていたにもかかわらず、給与勧告全体のバランスから据え置かれた。その上、昨年の勧告の調整分として300円減の7700円となってしまった。しかし、これを廃止することは調査結果と矛盾する(3年の間で激変しているとは思えない)ので、自宅居住者の住居手当を残すこと。
_交通機関利用者の通勤手当額を6ヶ月定期券の額で認定し、特定な時期に一括して払うという新たな国の方法は、定期券紛失や通勤方法や通勤経路の変更があったときなど煩雑な処理が残るので導入しないこと。

 以上申し入れた。

学習合宿、半数以上が西三河地区
もういいかげんにやめたら
 県学労は今年も行政文書開示請求により、夏休み中に学習合宿を行った学校を調査した。 昨年に比べ2校減って28校で学習合宿が行われたが、半数以上の14校が西三河地区に集中している。

 そのうち岡崎東、豊田北、豊田高校では複数の学年で行われている。今年学習合宿をやめた学校は守山、日進西、一宮南、岡崎北、豊田東、一色高校(3年生のみ)の6校であるが、反対に津島、岡崎西、衣台、吉良、豊田(2年生)では今年から学習合宿を始めている。

 日程的には4日間がほとんどである。参加率は東郷高校の88%と知立東高校の86%が異常に突出しており、参加に何らかの強制があるのではないかと思われる。

 学習合宿の目的は相変わらず集団的長時間学習によって自ら学ぶ習慣をつけるという名目を掲げているが、高校3年にもなって今さら学習習慣の確立もないもんだ。目的は大学入試に向けた受験対策であるのだから。 高等学校がどうして予備校まがいの学習合宿をやらなければならないのか。今の高校には大学受験への付き添いに顕著に見られるように過保護の体質がみられる。それがあたかも生徒のことを思えばこそであり、そして親たちの要求があるからやっていると言われるが、本当に生徒のためになっているのであろうか。

 少しだけレベルの高い大学に入ることがそれほど重要なことだろうか。代わりにもっと大事なものを失っているように思えるのだが。県学労が調査を始めてから学習合宿を行っている学校、参加生徒数は年々低下しており、学習合宿に頼らなくてもやっていけることを証明している。今年度実施した学校も見直しをしてみてはどうだろうか。
(学習合宿を行った学校の一覧表は県学労のホームページに掲載してあります)

遙かな道を、チョン・スヨン  鄭 秀永著  自費出版 1,200円

 この本は私が年金差別撤廃の運動で関わっている無年金障害者の語ったものを聞き書きのグループの人々がまとめ上げた自伝である。

 重度障害者を見ると、どうしても「かわいそ うに」などと外見上の姿に同情してしまうが、彼らのたくましさを想像できないだろう。

 作者の鄭 秀永氏は小児麻痺でほとんど全身が緊張している。彼を見れば、一人では何もできないことがわかる。しかし彼はその条件を悲観しない。そこからチャレンジがあることを身をもって証明していってしまうたくましさを持っている。
以前、東浦町にある「ひかりのさと のぞみの家」に入所するまでの人生を語った「鄭の日記」を発表しているが、それは生きていくことの苦しさを強調していて涙を誘われるものだった。

 しかし、こんどの手記は在日韓国人で無年金障害者である2重のハンディーキャップを持った「鄭秀永」という人物が「のぞみの家」を始め、生活の場面を障害者側から本音で語っているところが、読むものにとても新鮮な発見をさせてくれる本である。障害者はいつでも庇護されている存在ではなく、健常者と同じように社会参加を果たせるんだということを知ってもらえるのではないかと思う。

 1冊1200円でを県学労で斡旋(送料サービス)するので、ぜひ読んでもらいたい。(わ)

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