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県学労ニュース285号     2003/6/25発行
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履歴カードの写真提出を拒否しよう!

 端末のノーツメールで20日(金)午後、こんなメールが届いてきたのをご存じですか。
 
平成15年6月20日
 各県立学校長殿
                                 教育委員会総務課長
   職員の顔写真の整備について(依頼)

 このことについて、事務処理上必要がありますので、下記により提出してください。
 なお、顔写真をデジタルデータで整備していくため、別紙要領に従いデジタルカメラで撮影を行ってください。
 デジタルカメラは、できるだけ各学校で対応していただきますようお願いします。

1 対象職員
  事務長、主任主査、主査、専門員、主任、主事、技師、調理員、用務員
  (平成15年5月1日現在在籍する正規職員とし、再任用職員は除く)

2 提出方法
  MO又はフロッピーディスク
  (併置校においては全課程を、校舎のある学校においては校舎分をまとめて提出してください。)
  なお、シール等により所属名と人数を明記してください。
  提出に使用した媒体は後日返却します。

3 提出期限
  平成15年8月1日(金)

4 提出先
  教育委員会総務課人事・行政グループ

5 その他
  (1)被写体の大きさ、ファイル名などに仕様については厳守してください。
  (2)何らかの事情で撮影できなかった者については、理由を添付して提出してください。
 
特に注意する事項
1 被写体は中央に、下限は胸ポケットとすること。
2 ファイル名は「職員番号(氏名).jpg」とすること。
3 職員章以外(特にEXPOバッチ)は着用しないこと。
4 写真1枚あたり100KB以下とすること。

担当 人事・行政グループ(長瀬)
電話  052−954−6759

 顔写真を用意せよというのは、他人に容姿を見せたくないと思う人間にとって、個人の尊厳を踏みにじる不愉快きわまりない文書です。
 そもそも、今回の履歴情報システムは職員の経歴をカードから電子情報に変更したものであり、人事行政にしか利用しない者であるはずです。

 県立学校でいえば、千人ほどの職員の顔写真を判定材料にして異動・昇任人事をしているはずはありません。必要なのは、その職員の職歴、給与履歴、研修履歴や勤務公署の異動歴、親族との同一職場への異動がないようにする配慮するための情報ぐらいでしょう。どこに写真を必要とする理由があるでしょうか。

 また、デジタル媒体に記憶させる写真の内容にまで細かく指示しており、その意図している利用方法が見えてきません。

 写真を集めよというのは職務命令できるかわからないが、顔写真を提供するかどうかは個人の判断によるわけで、「私は拒否する。」と言う者に捕まえておいて撮影するということはできないでしょう。

 肖像権は個人の尊厳を守るための崇高な人権です。

 私たちのこの感覚が正常な感覚ではないでしょうか。あなたも私たちと一緒に提出拒否しましょう。そして、写真収集が無意味なものであったことを知らしめましょう。
 
 

26日抗議書手渡す!

 県学労は、履歴カードの写真提出を、重大な人権侵害に当たるとして総務課に対して下記の抗議文を手渡すとともに、強く抗議しました。
 
 

抗   議   文
                         2003年6月26日
 愛知県教育委員会総務課長 殿

                       愛知県立学校事務職員労働組合
                           執行委員長 田口龍司

 平成15年6月20日付けで貴職より「職員の顔写真の整備について」という依頼文書が各県立学校長宛に出されたが、今まで各個人ごとの写真は採用時に提出しており、その後提出していないが、そのことによって事務処理上不都合はなかったにもかかわらず、今回事務処理上どのような必要性が生じたのか。
また顔写真収集の目的及び使用方法が明らかにされておらず、愛知県個人情報保護条例第7条に規定する個人情報の収集の制限に違反している。このような依頼を安易に行ったことに強く抗議するとともに、早急に撤回するよう要求する。
 

 愛知県個人情報保護条例でも
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(個人情報の収集の制限)
第七条 実施機関は、個人情報を収集するときは、あらかじめ個人情報を取り扱う事務の目的を明確にし、その目的を達成するために必要な範囲内で収集しなければならない。
2 実施機関は、個人情報を収集するときは、適法かつ公正な手段により収集しなければならない。
3 実施機関は、個人情報を収集するときは、本人から収集しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
一 法令又は条例の規定に基づくとき。
二 本人の同意があるとき。
三 出版等により公にされているとき。
四 他の実施機関から個人情報の提供を受けるとき。
五 個人の生命、身体又は財産を保護するため、緊急かつやむを得ないと認められるとき。
六 愛知県個人情報保護審議会(以下この章及び次章において「審議会」という。)の意見を聴いた上で、相当な理由があると実施機関が認めたとき。
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と目的もなく収集することを戒めており、顔写真を見て人事行政をするわけでもなく(顔写真を見て、「この顔は気に食わんな。」とか、「この人きれいじゃん」などと品定めしながら異動人事をやられていたら、たまりません。そうなれば、まさに人権侵害の極みといえましょう)、不必要な指示であると言えます。

 肖像権は憲法で保障された「人格権」の一部です。本人の承諾がなければ収集できません。

 ですから今回の写真収集は愛知県個人情報保護条例第七条二項(本人の同意があるとき。)の任意提出のはずです。

 しかし、みんなが拒否するとこまるものだから、写真提出をしない者はその理由をつけて報告させようとしているのです。 怖がる必要はありません。写真を提出するかどうかは個人の意志によるのです。みなで提出を拒否して撤回させましょう。

 断っておきますが、私たちはすべての写真を拒否しているわけではありません。

 銀行や地方自治体などで見受けられる身分証明に添付される顔写真は、たとえば県民のプライバシーにアクセスする権限を与えられている証明であったり、県民である外部の者に対する自己証明になるので、必要な場合は添付することも否定しません。

 けれど、今回の顔写真の提出依頼は、単にシステム上顔写真の項を作ったので、集めたいとする開発者の思いつきでしかないと思います。

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