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県学労ニュース277号     2003/3/4発行
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平成15年度愛知県予算発表 
福祉や社会生活基盤整備を削ってさらに万博・空港建設に傾倒
 

 2月20日、平成15年度予算案が発表された。

 トヨタの史上最高の収益に支えられ、14年度予算では1兆59億円という県税収入を上げたが、15年度予算では9,520億円と539億円も減少する見込みだという。

 しかし、歳出は万博、中部国際空港という大型プロジェクトをかかえ、5,347億円というかつてない程の大量の県債を発行して乗り切ろうとしている。 空港関連予算で259億円(他に企業庁の中部国際空港関連埋立事業で280億円)、万博関連で466億円もの支出が見込まれている。

 つい最近ハウステンボスの経営が破綻したが、今、テーマパークは東京ディズニーリゾート以外はどこも破綻の危機に陥っている。そんな時に半年間で1,500万人もの人を集めようというのである。01年度の東京ディズニーリゾート(ディズニーシーが開業した年)でさえ年 間で2,204万人、二番目に集客力のあるユニバーサルスタジオ・ジャパンでも2001年の開業の年でさえ1年間で1,102万人だというのに。

 目を引く企画がない愛知万博が赤字になるのは必至である。儲けるのは関連道路や鉄道、会場建設にかかわる大手ゼネコンばかりで、県民は多額の借金を背負わされることになる。

 県債残高(いわゆる借金)は県民一人当たりにすると、14年度は48万円だったのが15年度は51万円と3万円も増える。そして今後も減る見通しはなく、ひたすら借金が増え続けて行くであろう。

 予算案発表の五日後、県は「財政中期試算」を発表し、平成21年度までの収支見通しを明らかにしたがずっと赤字である。 今の時期にこのような赤字宣伝を県自らがするということは、県民や職員にサービスや給料を下げるぞという脅しであろう。 大手ゼネコンには活力と元気 を、そして県民や職員には我慢と耐乏を、これが愛知県の姿勢である。

 次に教育費予算を見てみると、他県では始めている三十人学級は今年も愛知県は見送りである。高等学校整備費では耐震改修費は増えているものの、一般の整備費は17パーセントも減らしており、県立高校の老朽化はひどく、場当たり的な補修ですませ、放置していればあばら屋と化すのは時間の問題であろう。 こんなボロボロ校舎にインターネットや校内LAN、パソコン整備を行うために4億2000万円も使うというが、まず校舎を何とかして欲しいものである。

 金はないけどメリハリのある予算配分をと言っていた神田知事。確かにゼネコン、情報機器関連産業には惜しげもなく金をばらまいている。しかし、おんぼろ校舎の改修や三十人学級実現のためには金を出さないというのが彼のメリハリのようである。

センター試験激励に公務性はない! 
       調査校(6校)では旅行命令せず!

 西春高校、五条高校、一宮興道高校、豊田西高校、岡崎北高校、半田東高校に対して「1月18日、19日に行われた大学入試センター試験会場への旅行命令書及び私費会計でこれに準ずるもの」の行政文書開示請求を行った。

 旅行命令書のある学校はなく、五条高校以外は全て旅行依頼書が公開された。五条高校は該当する文書がないという。

 試験会場の名工大ではなく正確には鶴舞公園に来ていたので、県学労の開示請求書の書き方がまずくて開示されなかったのか、それとも教員達が自主的に、ボランティアで生徒の応援に来ていたのであろうか。

 昨年まで、「センター試験を受験しないことは、多くの大学に対する受験機会を失うことになり、事故や病気等による欠席への対応も迅速に行う必要がある。従って、出欠の確認は重要である。また、遅刻した場合に、センター試験の重要性から、生徒は激しい動揺が予想されるので、適切な行動がとれるよう指導が必要である。また、第3学年の大半の生徒が受験しており、直前指導として教科指導も含め、諸注意をすることは大きな意味がある。」として土曜日にも日曜日にも旅行命令を出し、延べ二
五名の職員を出張させていた五条高校であったが、やはりセンター試験の激励に公務性がないという県学労の主張に従ったということだろう。

 他の5校についても、やはり旅行命令を出すのはおかしいと気づいたのだろう。センター試験激励に公務性がないという県学労の主張は、一昨年の住民監査請求では認められなかったが、学校自らが賢明な判断をするようになったことを評価したい。
 

「書籍紹介」アホでマヌケなアメリカ白人 マイケル・ムーア著 松田和也訳
                           柏書房 1,600円

 アメリカの独善的なイラク攻撃を前に、いま世界中で話題になっているこの本。店頭にもたくさん並び始めた。

 著者は、本の紹介では「風刺と笑いの精神にあふれる反骨のジャーナリスト兼映画監督兼TVプロデューサー」であるという。1954年ミシガン州で生まれ、地元GM工場の大量解雇を題材にしたドキュメンタリー(ロジャー&ミー)で映画監督デビューし、2002年に発表した「ボウリング・フォー・コロンバイン」でカンヌ映画祭特別賞を受賞したという。

 わたしは何かの本で、彼の映画が世界、特にヨーロッパで評判になってるという話題を聞き一度観たいものだと思っていたところこの本の出版を聞き、すぐ購入してみた。

 まず、ブッシュは本当にアメリカ人の総意で選ばれた大統領ではなく、作為によって投票結果をねじ曲げられた結果、誕生した大統領で、彼の言葉で「にせもの『大統領』」ということになる。あの民主党の元副大統領ゴア氏とのフロリダ州での得票数争いのことだ。

 はじめブラックユーモアがうけて、世界の人々に読まれているのだろうと思っていたが、彼があげた理由をジョークのつもりで読み進んでいくうち、彼の言っていることは『本当の』ことではないだろうかと思えてしまった。

 なんでジョージ・ブッシュがイラク戦争をやりたがるのか、読めば解る。なるほどそうか。世界平和などというスローガンはお題目にすぎず、その裏でブッシュ一家の黒い欲望が……。
 


 

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