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県学労ニュース258号     2002/5/21発行
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生徒の自立を阻むセンター試験での激励出張
                         12校中10校からの回答は触れず
 県学労は今年1月の大学入試センター試験に多くの職員を出張させた県立高校12校に対して公開質問状を出していたが、その回答が10校から送られてきた。(答えづらいのか、岡崎北高校、横須賀高校からは回答がない。)
 全体として質問に対して的確な回答はなく、問題をはぐらかす内容のものであったのは残念である。いくらセンター試験激励出張の正当性を力説しようとも、ますます理由のない過保護であることが浮き彫りになるばかりである。
 各質問項目ごとに見ていくと、1番の「センター試験は学校行事なのか」という質問に対して各校とも学校行事とは言えないが、「学校全体で取り組む」とか「進路指導上重要なもの」としている。学校行事でもないのにこんなに多くの職員を出張させるのはやりすぎである。3番の「学校としてセンター試験の出欠を確認する必要性」については、「事後対応を早期に行うため」とか、「遅刻した生徒の動揺を鎮めるための指導を行う」などと言っている学校が2校あるが、多くの学校は回答していない。
 4番の「試験会場での生徒の健康状態のチェックはどのように行っているか、また学校がそのようなことをやる必要性」についての質問に対しては、やはり回答無しの学校が5校もあり、回答した学校も「急病の生徒への迅速な対応・措置が生徒の不安と緊張をやわらげている」とか「体調不良の生徒に対し、適切な助言を迅速に行うため」と答えているが、過保護の極みと言うほかない。18歳にもなった生徒が体調不良になった時に備えて出張するというが、必要であれば保護者が同伴して対処する。体調不良の時はどうすれば良いかは事前指導で十分。わざわざ出張する必要性はない。
 5番の「大学入試センター受験会場に教員が出張しなければならない理由」については「受験生の激励や指導」がその理由である。中学生が高校受験にくる時以上の教員(名古屋市内では一人も来ない学校ほとんどである)がセンター試験会場に押し掛ける必要性があるのろうか。「センター試験の会場において、試験を直前に控えた生徒に対して、日ごろ身近に生徒と接触し、信頼閑係を築いてきた担任等が直接指導・激励することにより、平常心を取り戻し、落ち着いた気持ちで受験できます。事実、会場で担任の顔を見て駆け寄り握手する生徒、緊張感がほぐれ顔がほころぶ生徒の姿があちらこちらで見られます。」(一宮西)、「生徒は不安と緊張感の中、受験に臨む。当該教員にとっては3年間苦楽を共にしてきた生徒たちであり、激励の声をかけ、日頃の学習の成果が発揮されるようにと、個々の生徒に応じた指導をしている。」(津島)、「大学入試センター試験当日、試験会場において、生徒の登校ごとに各担任がそれぞれ分担して出席を確認し、指導・助言を行った。やはり受験本番という特別な雰囲気の中で、不安な顔付きの生徒や消極的な様子をみせた生徒達もいたが、担任団に激励されて笑顔をみせながら受験場に向かって行った。」(蒲郡東)等と回答してるが、高校教育の目的は大学受験ではないということを解っているのだろうか。6番の「すべての大学入試会場に出張しているのか」との質問に対しては、5校が回答無し、回答のあった5
校についてはセンター試験以外には行っていないという。無回答の学校の中には過去に東京や京都まで出張している学校があり、そのために回答できなかったと理解すべきであろう。
 7番の「生徒はセンター試験に一人でいける程に自立心が確立していないのか」との質問に対しては、どこの学校も回答を避け、日頃の教育で自立心の確立に努めていると答えている学校がいくつかあった。自立心が確立していると言うと、職員が大挙してセンター試験会場に行く必要性がなくなるし、確立していないと言えば3年間高校教育で何をやっていたと言われるし、きっと答えられなかったのであろう。県学労はこれら12校の高校生は一人でセンター試験に行ける程度の自立心は十分にあり、教員が大挙して激励・指導に行く必要性はないとみている。
 8番の「センター試験会場の下見に教員が生徒を引率していかなければならない理由」については、知立東が復命書に生徒を引率して下見に行ったと記載してあったために設定したものであったが実際には生徒は個々に会場に出かけ、現地に職員が待機し、直前の相談や事故に備えたということである。生徒が行く所はどこでも事故がおこる可能性はあり、いちいち教員がついて回るわけにはいかないであろうに。旭野高校も同様な理由で試験前日に職員を出張させている。
  9番の学校として下見に行った学校はなかった。
 また、一宮高校、豊田西高校は昨年この問題で監査を受けたのでそこに書いてあると言い、今年のセンター試験会場への出張に関して質問に一切答えていない。生徒可愛さのため、あれこれと手を出し、世話を焼きたい気持ちは解るが、大人への第1歩とも言える大学入試センター試験に生徒一人一人が自分の力で(学力だけではない)臨むことを教えることこそが本当に生徒のためになる教育ではないか。いい加減で教育ママ的指導は止めて、センター試験当日も学校で生徒の奮闘を祈るくらいにしたらどうだろうか。
(10校の回答は県学労ホームページに全文掲載したので、御覧ください。)

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