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県学労ニュース251号     2002/2/5発行
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中部新国際空港は必要か?
  県債の償還金で県財政は火の車
    将来の借金を減らすために今すぐ中止を!

 愛知県は2005年の万博にあわせて常滑沖の海面を埋め立てて中部新国際空港を作っている。バブルがはじけた後の景気刺激策として国の要請を受けて愛知県も大量の県債を発行して公共事業を行ってきた。にもかかわらず景気は回復するどころか、ますます後退し、県税収入が大きく落ち込むこととなった。
 一方大量に発行した県債の償還時期が到来し、毎年の予算の中から10%以上の公債費を支出しなければならなくなった。愛知万博、中部新国際空港計画が決まったのはこういう時期だ。バブル最盛期に持ち上がった計画が皮肉にもバブル後の借金地獄の時期に決定されたのだ。
 中部国際空港は現在の名古屋空港が21世紀初頭には能力の限界に達するとして計画されたものである。しかし、それは過大な需要見込みだった。航空機の年間離着陸回数は成田、関西空港の12万回、福岡空港の10万回を下回る7万5千回。これは新千歳空港や伊丹空港よりも少ない。旅客数でも中部国際空港は年間旅客数を2千万人と試算しているが、1999年の名古屋空港の旅客数は1060万人であった。いかに過大な需要見込みかは明らかだ。そしてこの過大な見込みが今後空港の収益を悪化させ、関空の二の舞となり、愛知県は多大な借金を抱えることになる。
 中部国際空港と同じように海面を埋め立て24時間空港として作られた関西空港は開港から7年が経つが、毎年200億円をこえる赤字をだし続け、累積赤字は1500億円を超えた。開港5年で単年度黒字という目標どころか有利子の借金だけでも4兆円以上で、その利払いだけでも年間400億円を払っている。採算をとるために設定した世界一高い着陸料は外国航空会社の撤退を招いてしまった。
 つい先日も日本エアシステムが4月から関空発着の国際線全便(週20便)を廃止し、成田空港の増便分に当てると発表した。成田空港の2本目の滑走路が開業し、羽田空港の沖合いへの拡張工事の完成などにより、航空各社は成田や羽田へシフトしている。そのような時期に中部国際空港を作って果たして需要があるだろうか。
 また、中部国際空港は愛知万博の開催1週間前の開港を目標にしているが、幡豆の土砂採取問題や漁業補償の遅れ等によりかなり無理な工期で工事をすすめている。今、関空では地盤沈下が大きな問題になっているが、中部国際空港でも同様な問題がおこる危険性は十分にあると考えねばならない。
 このようなリスクの大きな計画は今となっては税金の無駄使い以外の何ものでもなく、今からでも中止すべきだ。
 来年度予算にも空港関連の予算がたくさん盛り込まれる一方で職員を減らし、県民サービスの低下をもたらそうとしている神田県政。県民の暮らしを守る県政ではなく、大手ゼネコンの利益を守る神田県政の姿勢を厳しく追及しなければならない。
 

UFJ銀行むちゃ混雑の船出

  UFJ銀行にかわって初めての給料日、1月16日に窓口の混乱で少々は待たされる覚悟はどの事務職員にもあっただろうが、銀行窓口で待たされること2時間などというとんでもなく待たされた事務職員もあった。
 ある支店の実態を報告しよう。
 それまでは2営業日前に支店に現金受領分と振込分を一覧表にして連絡していた。当日は一般客と並んで番号札を取って待ったが、せいぜい30分ほどで受領できた。だから、学校から乗ってきたタクシーを銀行の前で待たせていてもせいぜい2千円前後で済んでいた。
ところが、3営業日前までに現金受領額の金種報告を本店で一括受け付けすることが決まってから、給料日の窓口業務が遅れだした。
 いままで30分で片付いていた給料の受領が1時間ほどになり、タクシー代は4千円を超えた。当然一般の客も怒り出し、手続きを止めて出て行くことになる。慌てた銀行は翌月の給料日、県職員給与を別窓口にした。処理を早くしたわけではない。一般客が30分以上待たないで済むように県職員を隅に追いやったに過ぎない。
 待ち時間はやはり1時間あまり。
タクシーを帰し、現金を受領してから再度公衆電話でタクシーを呼ぶという借上げ料自衛策を取った。これで借上げ料は2千円前後になったが、銀行内で現金をかばんの中に入れて数十分も待たねばならず、現金を奪われる危険性は高まった。
 そしてUFJ銀行にかわって最初の給料日、銀行の開く前から並んだ学校でも1時間以上、9時10分ごろに銀行に到着した学校などは2時間以上も待たされる羽目になった。1時間としてもそこに50人ほどの県職員はいた。その間県の機関の業務は停滞し、賃金が浪費されたことになる。
 これは一例である。
 公金を振り込むのに通知書だけでは受けつけず、客に伝票を書かせて行員の作業をさせたあげく、私たちには3営業日前に金種を連絡させておきながら少しもサービスが向上しない、いや、低下するUFU銀行をなぜ指定金融機関として優遇するのか。各地方機関(教育機関を含む)が指定銀行を選択できるようにしたらどうだろうか。サービスも向上すると思うのだが。

あなたのプライバシーが危ない

 99年に改正された住民基本台帳法に基づき、今年から「住民基本台帳ネットワーク」(以下「住基ネット」という)がスタートしようとしている。このシステムは現在各市町村が持っている住民基本台帳を電子化し、国民一人一人に11桁の番号をつけ、それを一つのネットワークにするというものである。
 今、いろんな所で個人のデータが収集されており、しばしばその漏洩事件が新聞紙面を賑わせているが、今回の「住基ネット」はあらゆる個人情報がこの番号をもとに集積され、その規模は比較にならないほど大きくなる。そのデータの国家による利用を考えると、まさに目に見えないネットワークにより個人のプライバシーが管理されることになる。
 いつ、どこで何を買ったか、図書館でどんな本を借りたか、レンタルビデオ店でどんなビデオを借りたか、どんな医者にどんな病気でかかったか、税金の納税状況、固定資産の状況、家族構成や収入などの情報が一つのコードをもとに引き出せるようになる。もちろん一般の人にはできないが、国がその権力で引き出す可能性は否定できない。
 このような危険な動きに対して東京都杉並区では「住民基本台帳の個人情報保護に関する条例」を作り、データの漏洩、不適正な利用により区民の基本的人権が侵されるおそれがあるときは国に対して「調査」や「報告」を求めるとともに区長に「必要な措置」を講じる権限を与えた。
 また、昨年9月には「改正住民基本台帳法を考える国民会議」や「国民共通番号制に反対する会」が設立されて、「住基ネット」の施行延期や廃止を求めて活動している。
 全国どこでも住民票がとれるなどという「便利さ」と引き替えにプライバシーを全て売り渡すことがどんな結果をもたらすか考えてみよう。(た)

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