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県学労ニュース250号     2002/1/22発行
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人事異動は希望と承認が原則だ
          「人事異動方針」に異議あり
 1月7日付で平成14年度の人事異動方針が通知されてきた。問題なのは「人事異動方針の取扱い」である。その5項目に「課長補佐級以下の職員の異動については、次のとおりジョブローテーションを実施するものとする。」として下の表が示された。

人事異動方針の取扱い
5 課長補佐級以下の職員の異動については、次のとおりジョブローテーションを実施するものとする。

 採用10年目までの職員について
1、本庁と地方機関を経験すること。2、最低1回の部局間異動3、最低3ヶ所の所属異動4、内部管理部門と事業部門を経験することとしている。また10年目以降、主査級に昇任していない者には未経験分野への異動を行うとしているし、主査級及び補佐級でもほぼ10年までの職員の条件と同じような基準が示された。
 これでいけば現在県立学校に勤務する多くの職員が学校を離れることになる。学校一筋に働いてきたベテラン事務職員ほど大きな動揺があったのではないだろうか。
 そこで総務課に真意をただした。
 総務課の回答は、今回の「人事異動方針の取扱い」の添付は、知事部局で取り扱い基準が示されたのに、県立学校の職員に知らせないと文句が出るので添付させてもらった。全ての職員を未経験分野に異動させるものではない。今までの経験が生かせないようではかえって逆効果になるので、希望のない職員を他部局に異動させることはないという。
 県学労は、異動は「希望と承諾」が大原則であり、他部局への異動を希望する者には希望がかなうように努め、希望しない者については一方的に配転することのないよう申し入れた。

財政状況試算公表  
      何を狙っているのか?
 県は平成14年度の予算編成中であるにもかかわらず、各部局から出てきた要望を積み上げただけの数字で平成14年度財政状況試算を作成し、マスコミにリークし、来年度も1900億円もの財政不足が生じると大々的に宣伝した。その狙いは何なのか。
 つい先日、来年度は一般職員の給与カットをしないという発表をしたばかりなのに、早くも再来年度は給与カットを覚悟しろよというような脅迫的な意味を持つ今回の報道は許されないものだ。ただ単に各部局から出てきた要望を積み上げれば、好景気で税収が良いときならばいざ知らず、今のように県税収入が落ち込んでいるときには歳出が歳入を上回るのは当然だ。これから事業を精査し、節約できるところは節約し、収支を合わせて予算を組むのが手順なのに、1900億円もの歳入不足と騒ぎ立て、再び職員の給与や福祉関係の予算をカットしようという意図が丸見えだ。
 人件費についてみるならば、11年度に県が発表した財政中期試算によると14年度の人件費見込みは8450億円だったが、相次ぐ期末手当の削減で14年度財政状況試算では7900億円と550億円も少なくなっている。
 一方増えているのは投資的経費で11年度の中期試算では3650億円としていたのに、14年度には万博、空港関連の公共投資が大きく増大し、3800億円にも達している。
 財政危機でお金がないと言いながら、新たな借金をし、赤字必至の万博を行い、第二の関空になると言われている中部新空港を作り、そのための関連道路を作ったり、やはりどう見ても赤字路線になる東部丘陵線を作ったりで、従来の国や地方自治体が借金をして公共投資をすれば景気が回復するという路線をひたすら突っ走る。国でさえその誤りに気づき、予算規模を縮小しているというのに、愛知県は更に放漫経営を続け、県民に多大な借金を押しつけようとしている。
 学校の問題にしても、授業料の減免基準を改悪する一方で、国のIT革命騒ぎに乗せられ、全校にLANを導入し、インターネットが全ての教室からできるようにするという事業が財政不足にも関わらず進められているが、インターネットで教育が変わるというのは全くの幻想だ。販売にかげりの出てきたコンピュータ産業を支えるという役割を担っているのかもしれないが、教育現場ではインターネットなしでは授業ができないということはない。
 そもそもインターネットで何をするのかが明確ではなく、導入してから教育現場で考えよというお粗末さ。インターネットの導入で教員は子供たちと接する時間をコンピュータにとられて、一番被害を受けるのは子供たちだ。しかもそのために膨大なお金を使っているのだから。 メリハリのある予算とよく知事が言っているが、もっと無駄な事業を見直した方が良いのではないか。
※平成11年度の中期試算は愛知県のホームページに出ている。11年度の試算と14年度の試算を並ベて見てください。

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書評   「プラハの春(上下)」  春江一也著 集英社文庫  各六八六円
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 ベルリンの壁が崩れ、ソ連が崩壊していったのは劇的であった。しかし変革は突然にやってくるのではない。歴史の必然があることをこの本は教えてくれた。
  一九五六年ハンガリー動乱でソ連軍は民主化を踏みにじった。十二年経過したチェコの民主化にも軍隊を動員して表面上押さえ込んだが、逆にそれがソ連内の改革路線を促進することに繋がったとも考えられないか。
  一九六八年、プラハに駐在した大使館員の作者が自己の体験をもとに歴史の転換期に起こった「プラハの春」運動をドイツ人カテリーナと日本大使館員亮介との出会いと別れを主軸に描いた長編小説。
  出だしの流れではなんとなくハッピーエンドで結ばれるような予測を与えたが、予測を越えたところに結末はあった。歴史の転換期とはこんなものかというぐらいドラマスティックな展開に息を飲んで一気に読み切ってしまった。
  どんなに暗く逆戻りの道に見えても、時代は着実に進んでいるのだと確信できるだろう。(わ)

<<お礼>>  冬季カンパをありがとう。四五五〇〇円いただきました

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