県学労ニュース236号     2001/6/12発行

周年行事は質素に!
岡崎商業高校で100周年行事に5000万円の募金計画

 少し落ち着いてきたと思っていた周年事業。ところが、組合員が今年異動した岡崎商業高校で来年が100周年らしく(この通算する発想も戦前の教育の反省の上に戦後の民主主義教育があるならば、でてこないと思うのだが)、先日の職員会議で周年事業実行委員会の発足に向けて職員及び同窓会役員の役割分担が発表された。

  そこでまず驚かされたのが、表題にもある5千万円の寄付を集める計画である。この不況の時期になぜこれほどの多額の寄付を集めようと企画したのか、常識を疑ってしまう。

 多額の寄付を目標にした場合、集める当人である職員や同窓会役員の負担は計り知れない。また、学校に出入りする業者は大口を期待される。逆にいえば、学校は見返りを期待されることになる。そうしたことを避けるために、学校長に対して「事務職員に会計をさせないよう」要求し、約束してもらった。

  そして次に疑問に思ったのが、前庭整備にそのうちの1500万円を想定したことであった。

  うえの写真を見てもらいたい。わたしが勤務していた25年前には玄関前のロータリー周辺の植え込みはなく、ロータリーには棕櫚ではない植物が植わっていたように思う。この間に周年事業があって、前庭の整備は一応済んでいると思われる。そこにまた手を入れようというわけである。それも1500万円もかけて築庭を校門の左右に配置する計画だ。自動車の駐車場スペースがなくて、校舎のあちらこちらに分散して駐車しているのに、狭い校舎前を更に狭くするという。

  公共事業と一緒で、事業の目玉がないといけないと必要でもないものに多額の費用を浪費する。これでいいのだろうか。10年前に周年事業の見直しを提言したが、いまだ姿勢は変わっていない。最終的に教育委員会に寄付の受け入れがされることになるのだから、具申があったときに教育委員会として、毅然として不必要なものは受け入れない態度を示すべきだろう。教育委員会の対応にも注目したい。

               

鍵のかかった大学を見るために九州(佐賀市)まで出張?

 県学労では、昨年、県外の大学入試にまで教員がついていった超「過保護」な進路指導を行い、県費の無駄使いをした5校(豊田西高校、刈谷北高校、岡崎高校、一宮高校、西春高校)に対して今年1月から3月の大学への出張について行政文書開示請求をした。

 開示された文書によると、相変わらず出張件数が多いのは豊田西高校。県外へ4名、県内の大学へ9名が出張している。京都、山梨については1泊2日で2月24日から出かけている。その他の出張もすべて国公立入試の前期日程の試験日(2月25日)である。

 確か、先の監査の際、センター試験では日曜日に出張させると週休日の変更をしなければならず、進路指導等の業務が重なる時期に3年生を担当する教員の週休日の振り替えを行うことは学校運営上困難であるとして、出張命令をだすことは適切でないとの判断をしたと言っていたはずである。2月25日は日曜日である。13名もの職員を日曜日に大学入試の指導、激励のために出張させるのは明らかに自己矛盾である。

 また大学はたくさんあるのに、どうして特定の大学入試にだけ激励、応援に行くのであろうか?

 ちなみに出張した大学は次の9大学である。京都大学、山梨県立大学、山梨医科大学、静岡大学、岐阜大学、名古屋大学、愛知県立大学、名古屋工業大学、愛知教育大学。 これらの大学を受験する者には教員が現地で指導、激励しなければならない特別な事情でもあるのだろうか。

 昨年豊田西高校を始め5校を訪問し、どうして18歳にもなり、大学へ行こうという生徒に教員がついていき、現地で指導、激励しなければならないのかと問いただしたところ、多くの学校では生徒を思う親心だと言っていた。親もついてこない(それが当然なのだが)大学入試に高校の教員がついていくというのはどう見てもおかしい。 いくら心配だといっても、大学入試会場まで出張して指導や激励をしなければならないほどに人間として未発達な生徒にしてしまったというなら、日頃の教師の指導が問題である。投入された予算が青年期の人間形成に役立っていないということだから、高等学校としてやらなければならない事をちゃんとやっているか、監査委員会はもっと突っ込んだ監査をするべきである。

 監査委員会が現状を追認し、そのことによってまるでお墨付きをもらったかのように受験競争が激化し、ひ弱な高校生が作られていったとしたら、その責任の一端は監査委員会にあると言わざるを得ない。

 とは言え、少しは異常さに気づいたのか、今年の大学入試指導、激励のための出張は昨年に比べて大きく減ってきている。豊田西高校では昨年国公立の入試には前期17名、後期5名、合否確認に12名が大学へ出張したが、今年は前期13名だけに減っている。刈谷北高校では、昨年15人もの職員が大学入試に付き添っていたが今年は0である。一宮高校でも昨年大学入試に13名、合否確認に2名が出張したが、今年はそれぞれ1名ずつである。西春高校でも昨年大学入試に10名、合否確認13名が出張したが、今年は大学入試に2名、合否確認に4名と確実に減っている。

 ところが、西春高校では「大学見学等」という県外出張が平然と行われていて驚いた。昨年も西春高校は愛媛大学と秋田大学に出張させており、校長が言うには「百聞は一見に如かずと」いうことで、教員を出張させているそうだ。だが、生徒が見に行ってこそ言えるのであって、教員が見てきて生徒に伝えるのであれば、百聞の中の一つにすぎない。

 さらに今年の佐賀県への出張の復命記事は次のようになっている。 「佐賀大学の見学と佐賀県立博物館見学 守衛の方に学内の様子を聞き、学生部へ行く。施錠されていたので図書館、学生会館等を見学する。図書館はよく整備され、各種図書、辞書等よく集められていた。入り口のインターネットは学生が番号を入れると無料で利用できる。学生会館は理容室、食堂を完備し、十分な施設である。校舎はやや古い感じもあるが、理工学部八号館はほぼ完成して、立派なものである。佐賀の街自体が小さいので、JR佐賀駅から大学までもバスで25分程度で、何をするにも都合はよい。佐賀県立博物館では、佐賀の風土、歴史の展示を見て米作について学ぶ、大英博物館へ出品した陶芸の展示も見た。(併設された美術館にて)」。

 これでは誰が見ても不必要な、予算消化のための出張である。でも愛知県の監査委員にかかれば立派な出張になることだろうから、監査請求して彼らの良識を測ってみたい。
 今回の大学出張の一覧表は県学労ホームページに掲載してあるので是非見てほしい。
                                             

   
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