県学労ニュース235号     2001/5/22発行

大学入試センター試験激励旅費監査、棄却
監査委員は受験競争を甘く見ていないか

 5月22日愛知県監査委員会は、入試センター試験会場へ多くの教員を出張させ、毎年ヒートアップして大学受験競争を煽ってきた元凶である2校に対するわたしたちの訴えに対して、請求を認めず棄却という決定を下した。旅行命令は校長の裁量だというのが理由である。
 詳しくは「愛知県広報(第1772別冊1号)」を読んでもらいたい。
 名古屋地裁への提訴は見送るが、この紙面で、監査委員が事実認定した部分について反論し、今後多くの高校が改められることを望む。
  まず驚くべき受験者数について、確かに当初受験を希望した生徒の数としてはありうる数であるが、指定校推薦を受けた者、私学の単願受験者の数を除けば、この数字に疑義があり、精査したと思えない。
 つぎに、従事した用務の内容。 豊田西の教員は8時半に集合し、一宮高校の教員は8時に集合したのち、生徒の点呼したことを認めるとしても、9時半に会場へ誘導して入室完了を確認したとある点は疑問である。
 会場内に受験生以外の入場を認めているだろうかという点、他校の生徒が個人個人で試験会場に入室するのに、2校の生徒は教員に引率されて行動したというのか。
  次に、これらの業務が終了した段階で用務が完了し、速やかに勤務校に戻らねばならないにもかかわらず、一宮高校の教員は戻っていない点にも問題はある。
 また、業務が正当なものだと認定するのであれば、翌日の業務も公務性があるわけだから公費出張させるべきと勧告すべきだった。PTAなどが同額の旅費を支給しているからそれで足りるとしているのは論理矛盾である。
  これだけみても、監査委員は既成事実を追認するために理由を考えたにすぎず、公教育としての平等性の確保や、生徒の人間としての成長段階を考慮して、学校がとりうるべき行動として正しいのかどうかの判断を回避している。
 また、前年調査で全県では673名が出張し、130万円もの旅費を浪費している点は、内部的には所属長の裁量権に任されている経費であるから良いということか。
 現在、市民から食料費の無駄や報償費の支出について批判がある。これらも内部的には所属長の裁量権に属する経費であるが、市民監視の中で、所属長の自由裁量に任されていたこれらの経費は市民の批判に耐えられるような支出でなければ許されないものになった。
   入試センター試験激励業務も市民の視点を持つのであれば、必要最小限に減らすことを勧告すべきであったと思う。勧告の結果が受験競争を激化させる要因とならないことを望むばかりだ。
 県学労は引き続き各大学への激励、引率指導の実態を明らかにするために、昨年度県外まで教員を出張させた学校5校(豊田西、一宮、西春、岡崎、刈谷北)に対して今年1〜3月までに行われた大学への出張にかかる出張計画書、旅行命令簿、復命書、旅費請求書の開示請求を行いました。
               

VDT作業者検診
従事者に検診票を出させよ! 衛生委員会で問題にせよ!

 今年も5月にはいると、養護教諭から「VDT作業者検診」を希望する者は申し出てくれと連絡があった。
 そもそもこの検診はわたしたちが端末機導入に際し、VDT作業による健康被害を避けるべく、作業者全員を対象に検診を実施するよう要求して実現したものである。
 ところが、一次検診がアンケートに過ぎないものであったため、VDT作業に従事する事務職員から評価されなかった。そして、アンケートに答える事務職員が少なくなってしまった。
 その性格は労働安全衛生に属するものであり、各学校に衛生委員会が設置されたのちは、一次検診受検者に対し、衛生委員会が該当者を選定して、積極的に問診表に答えるよう働きかけるべきだろう。そして、その仕事は衛生推進委員である養護教諭が行なうことであろう。それが、ともすれば養護教諭の仕事と考えられているところに間違いがある。衛生推進委員であるという意識に欠けるために、誰が該当するかを判断しない。様式がアンケートなので、希望者に答えさせれば良いと考えている。
  「情報教育」が高校の授業単位になってくることもあり、再度校内衛生委員会を活用して、職員の意識向上を図ってほしい。

                                              

5月31日は世界禁煙デー
未だに達成されない学校禁煙、分煙

 5月31日は世界禁煙デー。
 県学労は結成当初から職場の分煙問題に取り組んできた。そして現在、各校には喫煙室や喫煙コーナーが作られるようになった。
 しかし、喫煙室を作ったからといって、学校の分煙問題が解決したわけではない。準備室などの小部屋では相変わらず自由に喫煙が行われている。また、職員室の禁煙が勤務時間内だけに限定されているという酷い職場もある。事務室でも流しのところで換気扇をつけて吸っている学校がある。
 平成7年に公衆衛生審議会から「たばこ行動計画検討会報告書」が出され、厚生省は文部省に対してこの報告書の考え方を尊重したたばこ対策の実施を求めた。
 これを受けて、各都道府県教委宛に「喫煙防止教育の推進について」という通知が出された。その中では「学校等の公共の場においては、利用者に対する教育上の格段の配慮が必要とされることから、禁煙原則に立脚した対策を確立すべきことなどが指摘されております」と書かれている。
「たばこ行動計画検討会報告書」では、「不特定多数の人が、社会的な必要のため、否応なく利用せざるを得ない公共の場のうち、病院、保健所等の保健医療機関や学校、児童福祉施設等においては、その社会的使命や施設の性格に照らし、利用者に対する公衆衛生上、教育上の格段の配慮が必要とされることから、禁煙原則に立脚した対策を確立するべきである」とされている。
 しかし、県教委は喫煙室、喫煙コーナーが作られたことでよしとし、県学労の学校禁煙要求に対して何らの対策も講じてきていません。生徒が始終出入りする準備室では、たとえそこにいる教員が全員喫煙者であったとしても禁煙とし、喫煙は喫煙室で行うべきである。
 学校という場所では単に労働安全衛生という観点からだけではなく、教育上の観点からも禁煙を徹底すべきだ。県教委は校長に任せてあると責任逃れをすることなく、校長会等を通じて校内禁煙(もちろん喫煙室を設置した上で)の徹底を指導すべきである。
 一片の文書を出すだけで事足れりとし、現場で徹底されているかどうかを検証しようとしない県教委のやり方は、本気で禁煙教育に取り組もうとする気がないことの現れだ。生徒を受動喫煙の害にさらし続ける責任は重大だ。
 

   
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