県学労ニュース234号     2001/5/8発行

森前首相が提唱したIT革命
IT基礎技能講習振り回される学校現場と生涯学習課
 

煽るIT革命に技能講習会
 森前首相の提唱で始まったIT革命。学校現場にもIT基礎技能講習という形でやって来た。

 そもそもITが国民の生活を便利にし、これからの社会ではこれ無しでは生活できないという考え方自体が間違っている。インターネットは普及してきているが、インターネットをしていない人に何ら不便はない。あれば便利なこともあるという程度のものだ。

 それを、これがなければ情報格差が生じて著しい不利益を蒙るような誤解と強迫観念を植えけ、おじいちゃんもおばあちゃんも家庭の主婦もインターネットが使えるようにIT基礎技能講習会に駆りたてようとしている。

 市町村や都道府県に政府からのヒモ付き予算が配られた。

 愛知県教育委員会では生涯学習課が担当して県立学校70校(OCN接続している学校のみ。使い放題なので通信費がかからない)で252講座(4,848人)を開催することになった。

 そして4月27日、開催校の教員と事務職員を集めて説明会が行われた。

さんざんな応募状況
 各講座の応募状況が配布された。募集は既に4月20日に締め切られていたが、説明会参加者の誰もこのような講座の案内が行われていたのを知らなかった。そして定員に達したのは名瀬地区の9校だけである。東西三河地区で定員に達した講座は一つもなく、参加者が5人未満というところが大半である。

 生涯学習課の職員は盛んに「私達の宣伝不足ですみませんと謝っていた」が、果たしてそうであろうか。

 今、インターネットをやりたいという人はもう既に自分で友達に聞いたり、自分で勉強したりしてやっている。やっていない人は、今さらキーボードを使ってメールを打ったり、慣れないマウス操作を覚えてまでインターネットをやる必要がないと思っている人たちである。このことが参加者不足の大きな原因である。

 このような状況認識もできない森前首相によって全国民がパソコン操作をできるようにと莫大な金がこの講習会に注ぎ込まれた。財政危機で借金が300兆円もあるというのに。

 さて今回のIT基礎技能講習であるが、果たしてどのような効果を期待しているのだろうか。この講習を受けてそのうちの1%の人でもパソコンを買ってくれればということであろうか。現在の不況を脱出するのにIT関連産業への期待が大きいのだろう。しかし、そんなに情勢は甘くない。たった12時間の講習を受けただけでいままでパソコンを使ってなかった人が10万円以上もするパソコンをおいそれと購入するとはとても思えない。

IT基礎技能講習とは?
 さて該当校以外の方は、今回70校で開催されるIT基礎技能講習について、どういうものかご存じないと思うので簡単に紹介しよう。

 各学校に配備されているパソコンを使って一般市民にパソコンの基礎的な操作を習得させ、文書作成やメールのやりとり、インターネットでウェッブページの閲覧を体験させるというものである。

 講師は学校の職員でも良いし、外部の講師を依頼しても良く、メイン講師1人とサブ講師2人の計3人で行う。講習は1講座20名以内とし、平日の夜や土曜日、日曜日、あるいは夏休み期間中の平日に行なわれる。12時間で一つの講座が行われる。
 講師にはメイン講師1時間当たり5000円、サブ講師1時間当たり3000円の報償費が支払われ、学校には1講座当たり3000円の需用費と2000円の役務費、外部講師の旅費も必要な学校には要求に基づき配分される。

バージョンが違うテキスト
 テキストは富士通の市販されているテキスト(1冊1000円で受講者が購入)を使うが、これはウインドウズ98用のテキストである。説明会で「うちの学校はウインドウズ95しか入っていなんだけど、バージョンアップしてくれるのか」との質問が出されたが、「それはできないので、受講者にテキストと違うことを説明してくれ」とのことであった。

 ただでさえわかりにくいパソコンなのに、テキストと実際に使っているパソコンの画面が違っていては初心者は大混乱するのではないか。さらに、やる気になっていまパソコンを買うとウインドウズMEだったりする。ますます分からなくなってしまいそうである。

 結局テキストは各学校で作っても良いということになった。他にも「(参加者が少なくて)講座が開催されるかどうかの決定を早くしてほしい」、「どういう人が参加するのか事前に知って準備をしておきたいので、参加者の名簿を早く学校に送ってほしい」などの意見が出された。

すぐにわかる、IT革命の虚構
 何も知らない森前首相の一声で決まったIT革命だが、砂糖に群がるアリのように関連企業が公共事業並に政府支出を食い物にしようとしている。そして現場には混乱と負担がもたらされ、国民はパソコンを買わされようとしている。もし仕事にパソコンを使う必要のない人だったら、一体何にパソコンを使うというのか。メールを打つ
より、電話やファックスの方が手っ取り早いし、インターネットでネットサーフィンしてもすぐに飽きてくるし、おまけにほしい情報は他の手段でも手にはいるし、その方が早かったりもする。IT革命で生活がバラ色になると宣伝されているが、それが嘘だということは、やがて明らかになるだろう。

                 

 雑談「(岡崎)小豆坂に武者の悪霊」

 わたしの住む岡崎市羽根町の直ぐ隣に「小豆坂」という地名がある。ここは戦国時代2度も戦闘のあった場所だと言う。

 「戦国合戦辞典(PHP文庫)」によれば、「一五三五年守山の戦いで松平清康(家康の祖父)が非業の死を遂げると子の広忠は三河を自力で維持できず、一五三九年に隣の安祥城(安城市)を織田信秀に奪われてしまう。そこで竹千代(のちの家康)を今川の人質に差し出して今川の傘下に入るが、その竹千代を織田側に奪取されてしまった。

  今川義元は安祥城奪還するため、一五四八年岡崎に兵を進め、織田信秀も矢作川左岸(上和田)に四千名の軍を対峙させた。そして争われたのが、「小豆坂の合戦」といわれているものである。その跡地には慰霊碑が建っている。

 話はここからで、この慰霊碑が役にも立っておらず、わたしの住んでいる街区には夜、血を流した武者の鎧の音がして、外の流しで洗っているといううわさが広がっている。近くに赤く染まる血洗池もあったらしい。人が住まないので戦後は草競馬場だったとか。今、分譲住宅に生まれ変わっている。 
                                              

   
県学労ニュースのトップページへ戻る| 県学労のトップページへ戻る