県学労ニュース229号     2001/2/20発行

授業料減免制度の改悪企む
県教委は県立高校でも生活困窮者を苦しめるのか

 県教委が来年度の新入生から授業料等の減免制度を大幅に改悪しようといていることが明らかになりました。県教委の案によると10項目あった減免の事由が6項目に減らされ、就学援助受給者や児童扶養手当(一部支給)受給者、国民年金保険料免除者、生活保護法上の要保護者、所得税非課税者などがその事由では減免を受けられなくなります。また市町村民税の所得割の額が五千円以下の者は全額免除から半額免除となり、一万円以下の者は半額免除となり若干免除額が増えて有利になりますが、一方で二万円以下の者が除外されてしまいました。
 長引く不況により県民の生活は苦しく、減免の申請も増えてきています。減免基準を厳しくして減免を受ける生徒の数を減らそうとする県教委のやり方は、県民の生活と子どもの学習権を侵すものです。他方で万博、空港関連予算や、第二の公共事業といわれるIT関連予算には湯水のごとく金を使う神田県政は、大型公共事業により大企業に奉仕する県政であることがますますはっきりしてきました。
 授業料、入学料がこの4月の入学生から値上げされ、経済的に苦しい家庭にとっては二重の負担を強いられることになります。
 事務職員にとっても、授業料等減免者は減るかもしれませんが、毎月の口座振替不能者が増えることが予想されます。減免承認の事務処理は4月当初1回だけですが、口座振替不能者への催促は年間11回もあります。今回の減免制度の改悪で事務職員の仕事は決して楽にはなりません。
 県学労は現在開会中の県会でこの問題が議論されるよう県議会各会派に、下記のような要望書を送りました。
 
 

県立高等学校授業料等減免基準の見直しに関する要望書

                      2001年2月19日

 自由民主党愛知県議員団 殿

                愛知県立学校事務職員労働組合
                  執行委員長  田口龍司

 県立学校事務職員労働組合は県立高校、特殊学校で働く事務職員で構成する労働組合です。私たちは自分たちの働く学校現場でどのような教育が行われ、生徒の学ぶ権利が保障されているかということについても大きな関心をもって組合活動に取り組んできました。
 県立高等学校の授業料減免制度についてもその適用に当たって、生徒の学ぶ権利を保障するという観点から、保護者の負担にならないよう簡便な申請手続きの保障を求めて県教委とも何回か交渉を行ってきました。しかし、今年4月から授業料等減免基準の見直しが別紙の通り行われるという情報を入手し、大きな危惧を抱いています。
 最近の不況で県民の生活は苦しくなり、県立高校でも授業料の免除を申請する生徒が増えてきています。さらにこの4月からは全日制高校の授業料が9000円から9300円に値上げされようとしています。このような時期に県教委は更に授業料等減免基準の改悪を行い、減免制度のハードルを高くし、経済的に恵まれない家庭の負担を更に増やし、高等学校へ通うことが困難になる生徒を新たに生み出そうとしています。
 つきましては、授業料等減免基準の見直しをする場合にあっても、現行制度と同じ水準を維持できるよう議会等を通じてご尽力くださるようお願いいたします。

 


 

万博、空港予算大幅増額
    県債残高3兆円超える!
 二月十三日、二〇〇一年度愛知県予算案が発表されました。私たちの給与をカットして作られた予算案がどんなものか内容を検討してみましょう。
 予算総額は二兆三〇二八億円と二〇〇〇年度予算に比べて2.1%伸びています。歳入が不足すると言って、人事委員会の勧告も無視して職員の給与をカットしておきながら、予算規模が増えている不思議さ。県学労を始めとして中小の組合全てが指摘したように、県は本当に金がないわけではなく、福祉や教育など県民生活に直結する補助金や職員の給与を削減し、万博、空港、ITという大企業のもうけに直結するところには惜しみなく金をつぎ込んでいるのです。
 県民に我慢を強いているから、県職員も給与カットを我慢しろと言い、県民には職員も我慢しているのだからと言い、大型プロジェクトに投資しているのが実態です。
 県債の発行残高は3兆円を超え、県民一人あたり四五万円(4人家族では一八〇万円)の借金を背負うことになります。更に、バブル崩壊後の大型公共投資のために年額三〇〇〇億円を超える県債が平成4年度から財政危機が顕在化した平成12年度まで続けられており、この返済が今後の財政運営に大きな負担となってくることは明らかです。ちなみに今年度の県債発行額は二七七八億円にのぼっています。県学労は本当に愛知県の財政が厳しいのであれば、財政再建計画を立てて、その建て直しをともに検討しようと提案していますが、県当局は財政再建計画は作るつもりはないと強弁しています。
 県当局は、財政再建計画の策定を考えると万博、空港という2大プロジェクトができなくなると考えて拒否しているのです。
 家庭に喩えると家計が大赤字で、サラ金で借りまくって、その返済を子供の代まで残しておいて、やれお祭りだ、自動車だ、パソコンだ、ITショッピングだとどんどん金をつぎ込み、家では妻子がひもじい思いをして生活しているというのが今の愛知県です。
 従来の考え方に基づいて、大型プロジェクトは一度動き出したら止められないと猪突猛進していますが、まだ間に合います。幡豆の企業用地開発も一〇〇億円の損で止めたから良かった。もし計画通り山を切り崩し、土砂を空港埋め立てのために売ったとしても、造成地が売れる見込みはなく、金利ばかりが嵩み、更に大きな赤字を出していたことでしょう。
 万博の採算性について、儲かるという話はとんと聞かなくなりました。万博というのは採算性を度外視してやるものだという論調を新聞等でもよく見かけるようになりました。会場面積の縮小により入場者数は減ることが予想され、かといって入場料をあまりに高く設定するとさらに入場者が減る。企業の寄付金も果たして予定通りに集まるのか疑問です。万博収支は赤字になるのはもう確実です。そうなると最後につけを払うのは愛知県です。さんざん万博開催のために金を使って、さらにその後始末にまた金を使うという万博はできるだけ早く中止、返上するべきです。空港についても、愛知県にお金が有り余るほどあるのなら新空港建設も良いかもしれませんが(現在の場所は伊勢湾の環境破壊という点からも良くない)、台所が火の車だというのに、大阪で失敗した新空港建設をまねようというのですから愚行としか言いようがありません。これらの2大プロジェクトにつぎ込む資金を財政再建に回すなら、鈴木県政の作った莫大な借金を解消した知事として名声を得るかもしれませんが、過去の借金を更に膨らませ、孫の代まで借金地獄を味あわせるようであればその悪政ぶりは鈴木前知事をも凌ぐものになるでしょう。
 ちなみに来年度の空港、万博関連予算は空港で一四七億円、前島の埋立事業費(企業庁)で五〇五億円、万博で一四億円にものぼります。他にも関連する予算がいくつもあります(東部丘陵線の建設や漁協と交わした漁業振興費の増額等々)。総額はもっと大きな金額になるでしょう。
 また、今回の予算案で警察職員が三一五人も増員されているのも疑問です。行政職員が大幅に削減され、第3次行革大綱では更に削減されようとしている時、警察職員の突出した増員ぶりには驚かされます。
 職員の給与をカットしてまで作った予算案は全く愛知県の将来を見越したものではなく、将来に負担と禍根を残す予算案であると言わざるをえません。

県学労ニュースのトップページへ戻る| 県学労のトップページへ戻る