県学労ニュース223号     2000/11/21発行

  給与削減解消は後回しにして、
ボーナスの0.2ヶ月ダウンの勧告実施
     誰が承知するものかーー撤回を求める

  11月9日の教職員課の給与改定交渉での提示は、これまでのような人事委員会の勧告に基づいた回答(下枠の中1.2)以外に要求への回答という形で、定数内特昇や7・8級昇格基準の改善、扶養手当の扶養基準のうちパート勤務者等の通勤手当を所得から除外
する要求などには現時点では応じられないとする見解が述べられました。

 しかし前年度までは、給与改定交渉に他の要求は聞かないとしていた県教委が最初の提示でなぜ組合からの要望にこたえる形の提示をしたのか。私たち県学労を含めた県関係5組合以外の組合との交渉で強い抗議が出て、交渉は中断してしまいました。

   再度、給与改定交渉のスタイルを今後どうするのかも含めて、追加交渉を持つことになりました。

 11月15日、追加交渉を西庁舎10階で午後5時から行い、県教委は他の組合からの要求を今年度は11月24日の交渉まで受け付け、回答に努めたいとし、今回の事態を招いたことから、今後は混乱が生じないように進めていきたい旨の発言があり、来年からは
県関係5組合と同様な扱いをするということで、9日の提示内容について意見を交わしました。

   11月17日、第2回の給与改定交渉を行いました。

 今回は最初に財政課の財政説明を受けてからの交渉になりました。

 財政課の職員の説明は歳出規模と県税収入の推移から始まり、県税収入が平成四年程度に戻っているが、県税に占める法人二税の占める割合は47.6%(平成四年)33.6%(平成12年)と、回復していないこと。地方交付税は多くなったが、市町村に再配分する分が多くあり、歳入状況はまだ悪いこと。また、取り崩し型基金残高についても、
実質4億円ほどしかなく、融通性が全くないことが語られました。 

 更に、県債の発行残高については平成4年以降バブル崩壊で財源不足を(従前1500億円であったところ、平成四年以降は3000億円を越す)県債の発行によって埋めてきたので、急激に県債残高が増えてきました。前年度比で今年度1000億円発行額を減ら
しましたが、10年償還県債の準備金を減らしたりしてやりくりしているという話でした。しかし毎年増えつづけ、今年度では約3兆円にも達しています。このように県債残高は減らず、平成14年には元本の返済が増えてくるので財政状況は好転しません。現在の財政危機が従前の富裕な自治体であった都市圏で起こっており、これは税制の構造的なものであるので、今日(17日)、今後の財政危機を解消するため大阪府、神奈川県、愛知県の知事が合同で標準課税の見直しを求めて自治省に要望していると報告されました。

 その後質疑応答の形で、県債発行についての質問が集中しました。組合からの質問や要望などが伝えられました。

 休憩をはさんで第2回給与改定交渉に入いりました。今回も口頭提示でした。前回と若干変わったのは、期末勤勉手当の0.2ヶ月カットを13年度からとし、今年度に限って0.05ヶ月カット分を3月期末手当から引き去るというものでした。

   給与減額措置の回復なども約束することもなく、扶養手当の増額はこのボーナスカットとリンクするという提案であり、全く職員をバカにした提案でした。どこの組合もこの提示は撤回するべきであると強く抗議しました。

 地方公務員法の言っている情勢適用の原則から言っても、現に職員が得ている給与と民間比較した上の1万4千円余りの差額を支給すべきところです。

扶養手当増で必要な費用5億円
ボーナス0.05月減18億円

 200億円以上も職員給与をカットしておいて、わずか13億円だけでも削減しようとする県当局の姿勢には憤りを感じます。給与改定はいらない。減額された給与を返してもらいたい。それが職員の偽らざる気持ちではないでしょうか。

 今後の交渉でも強く主張していきたいと思います。
 
11.9 口頭提示(青字部分は11.17提示

1.給与改定について
人事委員会の勧告どおり国に準じて取扱いたい。具体的には
(1) 扶養手当は2人までは500円、3人目以降1000円引き上げたい。
(2) 期末勤勉手当ての年間支給割合について国に準じて改定したい。年間4.95ヶ月を      4.75ヶ月。
(3) なお、これらの改定は12年4月に遡及して実施することとし、12月県議会に改正条   例案を提出したい。

前回、人事委員会の勧告通り完全実施したい旨提示申し上げたところであるが、既に給与削減を実施しているところから、ボーナスの引下げは先送りすべきであるとの意見もあり、十分検討した結果、ボーナスの引下げは本年度限り3月期で0.05月の引下げに止めることとした。これは人事委員会の報告で触れられている「改定にあたっては特例条例により減額されていることから特例条例の趣旨等を勘案の上検討すること」にも配慮した結果である。
 なお、扶養手当についてはボーナスの引下げを前提として、前回提示した通り国に準じて引き上げたい。

2.給与削減問題について
 2年連続の給与削減に対する職員の理解とご協力には大変感謝しております。
 次年度の取り扱いについては、大変厳しい状況に変わりはないと考えているが、職員の給与は当然支払うべき義務的経費であり、また職員が生計を維持するための唯一の所得でもあることから、このことも十分念頭に置き、更には今後の厳しい財政状況や類似府県の取り扱い状況等も見極めながら、慎重に検討を進めていくことにしている。
方向性が出た段階で改めてお話申し上げたい。

2.給与削減及びその他の賃金・権利関係等の要求
 これらについては前回提示のとおりである。なお給与削減問題は12月に入ってから話し合っていきたいと考えているのでよろしくお願いしたい。
 

書評
「GO」金城一紀著 講談社刊1400円

 杉原は通名である。彼は在日韓国人である。しかし彼は「在日」という言葉を嫌っている。特別に住まわせてやっているという恩着せがましい響きを感じるからだ。在日朝鮮人社会の仕組みについて最初に触れているのは作者の意思表明なのだろう。

 小中学校時代腕力だけで生きてきた杉原は、日本の高校に入った。腕に自信がある高校生が彼に戦いを挑むがいまだに負けたことがない。

  ある日、友人の誕生パーティで周囲とは違った光を放つ桜井という女性に惹かれる。桜井は杉原を探していた。気が迷入っていたとき、学校の体育館でバスケットの試合があり、そこで殴り合いが起こっていたのを目の当たりにしたのだが、その張本人が杉原だっ
た。

   二人はお互いの素性を明かさずに付き合っていたが、ある時、杉原が素性を明かすと桜井は動揺する。男と女が付き合うのにいろいろな制約はあるのだろうか。

 ちょっと社会勉強にもなる恋愛小説である。気楽に読めます。(わ)

県学労ニュースのトップページへ戻る| 県学労のトップページへ戻る