県学労ニュース221号     2000/10/17発行

人事委員会勧告は給与実態を調査
       勧告するんじゃなかったの?
   国と愛知県では事情がちがうでしょ!

 10月2日、愛知県人事委員会から「職員の給与等に関する報告及び勧告」が出された。
 報告の中では民間給与が本県職員の給与を平均14、607円上回っていることが明らかになっている
としながらも、勧告では給与抑制前の給与などという実際には職員が手にしていない架空の給与との差額
435円の給与の改善しか求めていない。

 県学労は、本来人事委員会制度は労働基本権の代償措置として設けられているものであり、職員の給与
についてきちんと官民格差を解消するよう勧告する義務がある。そこで人事委員会に対し下記のとおり厳
重に抗議をした。

 給与を決定するのは労使交渉が基本であり、人事委員会は官民格差を実態どおり勧告し、後は労使交渉
に委ねるというのが本来のあり方である。

 にもかかわらず、人事委員会は当局の立場を代弁、弁護する形で今回の勧告を出しており、人事委員会
制度そのものの危機とも言える状況にある。

 今回の抗議の際にも、議会が決めた給与減額の特例条例について人事委員会が廃止しろとは言えない。
政治的な判断による特例措置だからと逃げていた。

 しかしこれはまやかしである。もともと人事委員会は議会が決めた給与条例に対して、官民格差の解消
に向けて条例の改正を求めているものであり、特例条例についても特別扱いするのはおかしい。当局と一
体となって職員の給与カットに手を貸す人事委員会のやり方は、自ら人事委員会制度を形骸化するもので
あり、その存在意義すら喪失しかねないものである。給与抑制が今後5年、10年と続いた時、人事委員
会は実態を反映しない官民格差の調査のために税金を使って何をやっているんだという批判が起こってく
ることは必至である。人事委員会がその制度の原点に立ち返って、きちんと機能するよう期待したい。

 次に報告の中で「総実勤務時間の短縮のための取り組みが続けられているが、引き続き事務事業の簡素
化、効率化等を図りながら、時間外勤務の縮減や年次休暇の計画的使用の促進など運用面での一層の努力
が必要である。」と書かれている。

 しかし学校ではそのような取り組みは一切行われておらず、どうなっているのだとの追及に、報告や勧
告は知事と議長宛に出されているが、教育委員会にも同様の取り組みをするように伝わっているというこ
とであった。教育委員会の怠慢が明らかになった。教育職に対して総実勤務時間の短縮のための取り組み
を行うことに腰の重い教育委員会は、行政職に対しても何らの取り組みも行っておらず、人事委員会の報
告を無視した状態が何年も続いている状況である。年間実労働時間数1800時間(年休、家族休暇合わ
せて22日間取得、時間外勤務ゼロで達成可能)という目標を掲げておりながら、その達成のための努力
を怠っている県教委の姿勢を今後追及していきたい。

 過去の公共事業の借金(つまり県知事を始めとする県幹部の責任)のせいで、どうして職員の給与がカ
ットされなければならないのか。現在の県財政の危機を招いたのは県税収入の急激な落ち込みよりも県債
の返済が急激に膨らんできたことの方がより大きな原因である。県税は平成8年度よりも多いのだから。
にもかかわらず、性懲りもなく空港、万博などのために更に借金を重ね、財政再建など口ばかりで実行能
力のない現在の知事を始めとする県当局の責任は重大である。

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               抗  議  文

                          2000年10月10日

 愛知県人事委員会委員長 殿

                愛知県立学校事務職員労働組合
                    執行委員長 田口龍司

 今月2日に貴職名で「職員の給与等に関する報告及び勧告」が愛知県議会議長
及び愛知県知事になされましたが、その内容は県職員の期待を裏切るものであり、
県当局の一方的な賃金カットを合理化し、擁護する最低の内容であると言わざる
を得ません。人事委員会は労使から中立的な立場で公務員給与と民間給与の実態
を調査し、格差がある場合には必要な措置を講じるように議会と知事に勧告する
べき任務を担っており、その役割は公務員の労働基本権制約の代償措置であると
いう重大なものです。しかるに、今回出された勧告においては県当局のバブル期
における県債乱発が招いた財政危機のつけを県職員に押しつける県当局の横暴さ
を擁護、合理化し、特例条例による減額前の給与と民間給与との較差に見合う改
善を図ることとしています。実際に県職員がもらっている給与は減額後の給与で
あり、この給与をもとに民間給与と比較するべきです。そうすれば貴職も認めて
いるように3.4パーセント、14,607円もの較差が民間給与との間に生じています。
減額前の給与などという絵に描いた餅(実際に職員が手にすることができない給
与)と民間給与の実態を比較し、その差額分しか勧告しないという貴職の昨年、
今年と2年間連続の実態無視の勧告で、職員の生活はますます苦しくなっていま
す。県当局は自ら招いた財政危機の最中にありながら、他方で赤字確実と言われ
る愛知万博や中部新空港建設に湯水のごとく貴重な県税をつぎ込んでいます。県
当局は、私たちが労働基本権を制約されていることを良いことに、一方的に職員
の賃金を2年間も続けてカットしています。更に臆面もなく財政中期試算なるも
のを公表し、今後5年以上も財政危機は続く見込みであるとして、賃金を引き続
きカットしようとしています。貴委員会がこれらの一連の動きを見る目を持って
いるならば、そして当局からの独立性を持っているならば、今回のような勧告は
出せないはずです。貴委員会は県職員の生活を左右する大きな責任を担っている
ことを認識し、人事委員会制度の原点に立ち戻って今回の勧告を撤回し、再度実
際の較差を勧告するよう県立学校事務職員を代表して愛知県立学校事務職員労働
組合は要求します。

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非 常 配 備 で 混 乱
旅費と特勤と主任手当と授業料減免と
特殊勤務手当と主任手当の併給はいらないのでは

 9月11日に東海地方を襲った集中豪雨は県内各所で大きな被害をもたらした。そして、その対応に
追われた各県立学校事務職員の仕事にも大きく影響した。

 今回から何度になるかわからないが、感じたままに述べていきたいと思う。

 まず最初は特勤と主任手当の併給についてである。ある事務職員から連絡が入った。「特勤と主任手
当の併給はおかしい。」というものである。制度的には「教育業務連絡指導手当の取扱いについて(昭
和53年教職第170号)」で通知のとおり、「教育業務連絡手当の支給対象となる主任等が勤務した
場合は、勤務の内容及び勤務した時間に関係なく全て『当該担当に係る業務に従事したとき』として取
扱う」となっており、今回の非常配備においても、主任が配備についた場合は日曜日・祝日であっても
支給される。そして出勤簿には出勤印を押せという指示であった。

 非常配備についた職員であっても、たとえば9月23日夜10時から24日の朝5時まで配備につい
ていると主任は旅費(宿泊料2600円+交通費)と特勤(2200円)、それと主任手当2日分400
円がつく。平日の場合のように引き続き勤務に従事した場合はよいとしても、一つの業務に二つの特殊
勤務手当をつけなさいというのはやはりおかしい。本来は疲労回復も考えて、管理職が休日の振替措置
で片付けているように主任、その他の職員も全て振替措置をするべきだろう。

 次に旅費についてである。9月11日非常配備は職員の帰宅後に行われた。配備員は翌日引き続いて
勤務に入った。そこで、非常配備の旅費が支給されることになる。公共交通機関で通勤する者または通
勤手当が支給されない二キロメートル未満の者が自家用車で学校にくれば、宿泊費(2600円)と往
復の車賃。その他の者は宿泊費(2600円)が出る。

 これが、勤務日や勤務日から引き続いている場合、16日(土)夕からの場合、祝日や週休日の場合、
途中解除の場合などさまざまある。そして距離数は往復距離を足したキロ数を小数点以下で切り捨て37
円を掛けることになる。こんな具合だが、みなさんできました?


 

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