県学労ニュース213号     2000/6/6発行

豊田西高校学習合宿
監査請求で、6月5日に意見陳述

5月24日に、田口、渡辺、国枝連名で出した監査請求の意見陳述が6月5日に監査委
員会で行われました。視察名義でなされた校長伊藤稔、教頭安藤茂、教頭祖父江義信、
教諭宮本尚道の4名に対する旅行命令については不必要であること、また、自家用車で
行ったと思われるのに、公共交通機関を利用した旅費が4名全員に支払われていること
は、旅費の過払いとなることを以下に示すように、論拠をあげて説明しました。

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            監査追加理由書(田口)
                                2000年6月5日
1、旅行目的の正当性について
 本件学習合宿先への校長伊藤稔、教頭安藤茂、教頭祖父江義信、教諭宮本尚道の4名
に対する旅行命令については、平成11年7月30日に4名全員になされており、用務
は全員「学習合宿視察」となっている。(四号証)ちなみに「視察」とは小学館大辞泉
によれば「現地・現場に行き、その実際のようすを見極めること。」である。しかし、
豊田西高校では1997年から岐阜県荘川村の「オハヨーサンホテル」で第3学年の夏
季学習合宿を実施しており、昨年(1999年)はすでに3年目である。校長、教頭2
名と教諭1名がわざわざ日帰りでちょっと見てくるだけの出張をあらかじめ計画するこ
と自体が問題である。学習合宿の視察という目的で行くのであれば、全期間あるいは5
日間のうち少なくとも2〜3日間は現地にとどまり、生徒の生活を見ることが必要であ
る。更に、どうして4人もの職員が視察に行かなければならないのか。その理由が明ら
かではない。もし仮に、校長伊藤稔、教頭安藤茂、教頭祖父江義信、教諭宮本尚道の4
名が行かなければならない理由があったとすれば、各個人毎にその理由を明らかにされ
たい。

 また、旅行後9月1日に復命記事として「学習合宿連絡及び指導」としか書かれてい
ない復命書が教頭安藤茂、教頭祖父江義信、教諭宮本尚道の連名で提出されている。校
長伊藤稔にあっては復命書すら作成しておらず、当該出張についての報告義務を怠って
いる。8月21日から23日まで3日間出張した教諭白井剛輝始め3名は8月24日に、
また8月23日から25日までの3日間出張した教諭小木曽健治始め3名は8月31日
に、そして全日程出張した教諭太田正樹始め10名は8月30日に復命書を提出してい
る。わざわざ8月22日に日帰りで「学習合宿連絡及び指導」のために出張しておきな
がら、その復命が生徒全員が帰ってきた6日後(当該出張の10日後)になされていた
というのは、校長伊藤稔、教頭安藤茂、教頭祖父江義信、教諭宮本尚道の4名の出張が
不必要であった事を裏付ける一つの証拠である。また、校長伊藤稔にあっては復命書す
ら作成しておらず、このことも当該出張が不必要であったことを裏付けるものである。

 復命書に記載された「学習合宿連絡及び指導」という復命記事では、具体的にどのよ
うな連絡、指導をしたのかが明らかではなく、復命記事の記載について瑕疵があると言
わざるをえない。公務員のカラ出張問題がマスコミ等で報道されたことは記憶に新しく、
県外旅行については出張後速やかに復命し、用務遂行の結果・成果等を報告する義務が
あると愛知県教育委員会は県立学校を指導しているところである(五号証)。にもかか
わらず、復命書の記載がこのように簡単にしか記載されていないというのは、本件出張
については、記載できるような連絡、指導がなかったことを裏付けるもう一つの証拠で
ある。

 また、もし仮に連絡、指導があったとしても、連絡については電話やファックスで用
が済んだのではないか。指導についても現地にいるわずかな時間にどのような有効な指
導がなされたのか疑問である。生徒はスケジュールに従って学習しており、その合間を
ぬって4名がそろって、あるいは個別に指導できたのか、はなはだ疑問である。もし本
当に指導をしたと主張するのであれば、いつ(時間帯)、誰が、どこで、どのような指
導をしたのか、しかもその指導はわざわざ日帰りで往復8時間もかけて行ってまで行わ
なければならない指導内容であったのかを明らかにされたい。

2、自家用車出張について
 校長伊藤稔、教頭安藤茂、教頭祖父江義信、教諭宮本尚道の4名の出張が仮に正当な
ものであったとしても、現地で一定時間滞在し、「連絡及び指導」を行うためには公共
交通機関を利用して往復したとは考えられない。もし公共交通機関を利用して往復した
と主張するのであれば、学校(あるいは自宅)を何時に出発し、どのような経路で岐阜
県大野郡荘川村「オハヨーサンホテル」まで行ったのか。現地に何時に到着し、用務を
済ませた後、何時に現地を出発し、どのような経路で学校(または自宅)に何時に帰っ
てきたのかを明らかにされたい。
 

追加提出した証拠
四号証 校長伊藤稔、教頭安藤茂、教頭祖父江義信、教諭宮本尚道の4名の
    当該出張にかかる旅行命令簿
五号証 「県外出張に関するガイドラインについて」という愛知県教育委員会の通知
六号証 当該学習合宿にかかる復命書(校長伊藤稔、教頭安藤茂、教頭祖父江義信、教
    諭宮本尚道の4名以外の職員のもの)
七号証 「自家用車の公務使用に関する取扱要領の制定について」
八号証 「自家用車の公務使用に関する取扱要領の留意事項について」
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書評
 仮面の国 柳 美里(ユ ミリ)著   新潮文庫438円

 1997年2月、芥川賞受賞を記念して、東京と横浜の4店で受賞作品「家族シネマ」と「水辺の

ゆりかご」のサイン会が行われる予定であった。ところが、「独立義勇軍」と名乗る新右翼の男から

「サイン会は中止しろ、もし中止しなければ客に危害を加える」というきょうはくでんわがかかり、

出版社、書店、所轄の警察署が協議して急遽中止にされた。この事件からさまざまな波紋が広がり、

「新ゴーマニズム宣言」で小林よしのり氏がお門違い批判を彼女にしたところから、作品で表現する

ことを良しとしていた彼女は「新潮45」で社会評論を展開する。その切り口は鋭い。
 
 例えば、第2章の「攻撃すべきは、あの者たちの神だ」では、「神聖にして犯すべからず」の対象

を「天皇」から「アメリカ」に変えてみるとよくわかるという。

 彼女の視点は時として、私の神経を逆なでするが、それでもむむむとうならせる。一度読んでみて

ください。(わ)

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