県学労ニュース206号     2000/2/8発行

今年度も一方的に交渉打ち切り
組合との合意もないまま給与カットを強行か

    県学労は昨年10月に出された県人事委員会勧告にもとづく給与改定交渉を行ってきましたが、
県教委は一貫して人事委員会勧告を無視し、平成12年4月1日からの給与改定を提示するなど、
人事委員会制度そのものを否定する態度をとってきました。また、昨年に引き続き、当初平成12
年度以降5年間の給与カットを提案するなど県職員の生活を省みない暴挙に出てきました。

 昨年(99年)、財政再建団体に転落する恐れがあるので、緊急避難的に1年間に限り職員の
給与をカットさせて欲しいと県教委は提案してきました。そのときも県学労を始め多くの組合は、
このような財政危機を招いた責任と原因を明らかにするよう要求し、財政危機にもかかわらず空
港、万博など超大型プロジェクトに金を湯水のごとくつぎ込む現在の県政の誤りを指摘しました。
しかし、何ら納得のいく説明のないまま、議会では組合の同意も得られたなどと嘘をつき、給与
カット条例を制定させました。

 そして、その後もマスコミを利用して財政危機キャンペーンを張りながら、今年度の給与改定
交渉で上のような提案をしてきたのです。昨年の給与カットに対する十分な反省もないまま、さ
らなる給与カットをしようというのだから、当然しかるべき説明や財政再建計画があるのかと思
いきや、全くそんなものはありませんでした。ただ「金がないから給与をカットする」というだ
けの話で、5年後に給与カットが終わるという保障もないのです。

 空港、万博で今後も県債をどんどん発行していきます。将来、県債の償還費がさらに膨らんだ
時、給与を元に戻すことができるでしょうか。元に戻すことなどできず、更なる給与カットを提
案してくることは目に見えています。

 今回給与カットの期間を最終的に1年間という提示に変更しましたが、単に毎年給与カット交
渉を続けるというだけのことで、財政再建計画を立てる気がないことは今も変わりません。

 目先の給与の微々たる改善よりも(あった方が無いよりはましだけれど)、愛知県の財政体質
を根本的に見直し、財政健全化のために何をなすべきかを労使で誠意をもって話し合うことが求
められています。

 毎年毎年、財政難を口実に職員の給与をカットするようなことでは、職員の生活は常に不安定
なものになり、安心して仕事に専念することもできません。すでに源泉徴収票を手にしてわかっ
ていると思いますが、99年の給与は98年よりも減っています。そして来年は更に減る見込み
です。

 人事委員会勧告を完全実施し、4月以降の給与カットを中止し、早急に財政再建計画立案のた
めの労使の協議を進めるよう、県学労は下記の要求書を教育長宛に提出しました。

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              要    求    書
                                     2000年1月28日

 愛知県教育委員会教育長 殿

                            愛知県立学校事務職員労働組合
                             執行委員長 田 口 龍 司

 1999年度人事委員会勧告に基づく給与改定交渉において、県当局は一貫して誠意ある回答を避け、
昨年に続き今年も完全実施を行わないばかりか、昨年をも上回る給与抑制を組合との合意もないま
ま強行しようとしています。昨年の給与抑制については、財政再建団体への転落の危機があるとい
う状況の下で緊急避難的に強行されました。そして県当局は単年度限りのものであると言ってきま
した。にもかかわらず、今年度給与改定交渉の席上、再び来年度以降の給与抑制について、詳しい
財政状況の説明や財政再建計画もないまま提案してきました。一方で財政危機を言いながら職員の
給与を削減し、県民福祉の切り捨てを行い、他方で万博、中部新空港、新住計画などの大型プロジ
ェクトを強行し、借金をますます増やし続けている県当局の施策は県民、県職員の生活を脅かすも
のです。
 
 ついては下記の項目について、早急に誠意ある回答をされるよう要求します。

                   記
1、1999年度人事委員会勧告を1999年4月1日に遡り、完全実施すること。
2、2000年4月以降は職員給与を削減しないこと。
3、財政危機については年度毎の歳入歳出予測を細目毎に明らかにしたうえで労使で協議し、早急
 に財政再建計画を策定すること。
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愛知県財政を見る (その2)

  交渉の最終段階で、当局は「平成十二年度財政状況試算(当初)」という表を出してきた。

    これは、平成十二年度予算編成を議会会派に説明した資料をつじつまが合わないと指摘された
ことに対して用意されたものです。

    介護保険がスタートするので、二百億必要という報道があったが、中期試算から扶助費は百億
円しか増えていない。もともと折込済みではないのか。県税収入のうち、郵便貯金の県民税利子
割が五八二億円も増えることは初めからわかっていたのか。なぜ、歳入のうち県債発行額を減ら
したのはなぜか。投資的経費のうち、万博・空港に費やされる費用はどれほどか(十二年度約二
百十億)。こうしたことが交渉の間全く明らかにされてきませんでした。

    財政難といいながら、万博・空港建設に多額の借金をつぎ込まれてはたまったものではありま
せん。

    万博・中部国際空港建設に給与減額分が使われるのではないか。なぜ、私たちが大型プロジェク
トの犠牲にされなければならないのか、そういう予算はどうなっているのと追及した結果当局から
明らかにされたのが、下のような数字でした。

    あなたは、これらの数字を見せられて納得できますか。
    何も見えてきませんよね。給料を減らされる理由は。


 
 
中部国際空港関係 国際博覧会関係
空港建設事業    37億円
空港連絡鉄道事業  21億円
道路整備事業    32億円
──────────────
   計      90億円

貸付金+出資金=37億円(空港会社)
漁業補償  384億円
漁業振興費  70億円
空港関連埋立事業  458億円
空港関連土砂採取事業  282億円
上2件は空港会社と県事業、補助事業
下2件は(企業債+企業庁の保留資金で対応)
 

 国際博推進事業   1億円
 国際博協会補助   6億円
 道路整備事業   93億円
 ─────────────
   計     100億円

 東部丘陵線関係費  20億円
 (国庫補助金+県債で対応)
 宅地開発事業費65億円(県債)
 会場経費 1800億円
 (うち県が450億円) 

年末カンパをありがとうございました!  64,500円いただきました。
 

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