県学労ニュース192号      99/6/22発行

愛知県は99補正予算を発表
収入見込みは甘いし、      
     職員の給料カットの回復はあるの?
 愛知県は6月17日、6月補正予算案を発表しました。99年度予算は
知事の交代で当初予算が骨格予算であったため6月補正で実質的な99年
度予算が決まることになります。

 財政危機で職員の給与まで削減しているのだから、今年は財政再建元年
になるのだろうと思っていたら、何と借金体質を改善するどころか、ます
ますサラ金地獄への道を突き進む補正予算案を見て驚きました。

 県税収入と地方交付税が当初よりも600億円も増えるという強気の読
みや、過去最高の二八五九億円にものぼる県債の発行などを財源にして、
万博や中部新国際空港のために莫大な予算を組んでいます。

 県債の発行残高は一般会計だけでも2兆8319億円にもなり、県民一
人当り419,800円の借金を背負っていることになります。お金がない
時に借金をしてまで万博や中部国際空港を作る必要があるのでしょうか。

 ちなみに万博と中部国際空港関連の予算の伸びを見てみると、万博では
98年度予算の3倍近い97億円が、中部国際空港では98年度予算の4倍
近い250億円が今年度使われることになります。

 これらの事業は今年で終わるわけではなく、2005年まで更に多くの
予算を注ぎ込むことになるのです。

 また。昨年度の赤字223億円の解消のめどなどとうていつかず、今年
度も赤字決算となる恐れは濃厚です。赤字が540億円をこえると自治省
に事実上の予算編成権を握られる「財政再建団体」となり、県独自の施策
はできなくなり、職員の給与も国と同じ水準に引き下げられます。

 神田知事は、中部財界の支援を得て知事に当選した経緯から、万博、中
部国際空港建設を中止するという勇断を下せず、当て
のないまま借金に借金を重ね、破滅への道を突き進もうとしています。し
かも職員の給与回復のめどすら明らかにできず、来年度以降も更に給与が
削減されるおそれがあります。

 知事は財政再建のためのプログラムを早急に作成し、ふくれあがった借
金の返済計画をたてなければならないにもかかわらず、これらの計画は全
く示されていません。
 
 財政危機の愛知県を救うためには万博、中部国際空港を中止するより他
には道はありません。これらの事業を継続する限り、私たちの給与は削減
され続け、県立学校の予算は削減され続けることでしょう。県学労は万博、
中部国際空港の中止、職員の給与のすみやかな回復とこれまでの削減分の
返還を要求します。


なぜ急ぐ??
住民基本台帳法改正----国民総背番号制

 すべての住民にコード番号をつけた住民票をコンピューターで管理し、
行政の効率化を図ろうという住民基本台帳法改正案が衆議院で採決されま
した。

 改正案が目指す構想は、市町村が住民一人一人にコード番号を付け、住
民票の氏名、住所、生年月日、性別の4情報と番号を市町村のコンピュー
ターネットワークに乗せ、全国センターが管理するというものです。

 これによって転出届がなくても転入手続きができるし、データを内蔵し
たICカードを持っていれば、どこの市町村でも住民票や印鑑証明の交付
を受けられるというのが宣伝文句です。将来、年金支給などの行政事務は、
いちいち市町村に本人照会しなくても、コードの照合で瞬時にできるよう
になると言われています。

 しかし、「プライバシーが犯される」との反対意見が強く、成否は公明
党が施行の条件に提案した包括的個人情報保護法の制定を自民、自由両党
が受け入れるかどうかにかかっていたのですが、小渕首相の口約束だけで
公明党が賛成に回って通してしまいました。

 コンピューターのネットワーク化は急速に進んでおり、93%の市町村
は住民基本台帳をコンピューター管理しているし、厚生省は一昨年、基礎
年金番号制度を発足させました。他の行政分野でもコンピューター管理が
急速に進んでいます。効率いい行政を求めるなら、行政のコンピューター
管理は避けられないでしょうが、効率のよさはプライバシー保護と裏腹の
関係にあることを忘れてはいけません。コードを使って病歴、犯罪歴、所
得、学校の成績などを寄せ集めれば、個人の人格にかかわる部分まで行政
に管理されることになります。それに情報の持ち出しも極めて簡単になり
ます。

 改正案ではプライバシー保護にも配慮し、法で定める16省庁の92事
務以外の使用はできないし、個々の行政機関の情報を一か所に集めること
も禁止されます。秘密保持義務者の違反には加重罰則がもうけられます。
コードの民間利用も全面禁止ということになっています。

 もかかわらず、強い懸念が持たれるのは「いくら法律で禁止しても役人
たちは裏で何をするか分からない」という思いがあるからです。

 先日、京都府宇治市の住民基本台帳データ約21万件が流出した事件が
起きました。「宇治市の乳幼児健診システムを開発したシステム開発会社
(大阪市北区)の男性スタッフが昨年5月に売った」情報が簡単に売買さ
れている現状では、危惧の念を抱くのは当然でしょう。

 あやうい全国民のデータ管理をするよりも、それぞれのサービスに必要
なデータは個人から提出されたものを個別に使う方がいいのではないでし
ょうか。

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