県学労ニュース179号   1998/12/15発行

私費会計を見直そう!
     県費補完の経費を私費で徴収しないが一番
  県立学校ではいろいろな名目で、生徒の保護者からお金を集めています。
その中に、端から見るとおかしなものがいっぱいあります。たとえば教育分
担金(学校によって呼称は若干違う)。金銭的負担は全て父母に強いる構造
であるPTAとは全く関係ない教科研究会の会費や資料代をPTAに負担さ
せています。自分たちの懐が痛むわけではないので、むやみに研究会を増や
していますが、運営費はみんな保護者の負担です。教員は弁明します、「生
徒の教育に役立っているのだから」と。
 もうひとつ、部活動手当があります。大会などで生徒引率をしたとき支払
われる手当です。高体連や高文連の大会や発表会では、基本的に県の基準が
1クラブ引率指導者ひとりとしているため、複数の教員が付き添った場合、
県費で出る一人分を除く他の費用は旅費も含めて全て私費で負担することに
なっています。
  また、授業前、授業後に行われる補習の手当は、表面上は、時間外の奉仕と
いうことで、教師の側からの計画であっても、PTAの企画という言い訳の
ために補習費がPTA役員の手で集められ、そのなかから謝金として教員た
ちに支払われています。これにあわせるように、授業後の部活動も県費報償
費以外に手当が支払われています。さらには、普通科高校で土日に行われる
外部模試では業者から支払われる手数料の中から監督業務をした教員にひと
り1万円程度の手当が分配されています。しかも、それらは税務署にも所得
として届けない手当です。同じ性格の手当が、県費では所得と見なされ、私
費では闇となるこの構造を不思議に思う事務職員も多いでしょう。どこかお
かしいと思うのは、私たちだけでしょうか。
 教員たちが給料以外に所得とならないお金を手に入れているのを横目で見
ていたり、自分が処理している事務職員の中で、不埒な考えを持つ人間が現
れても不思議ではありません。手当は職員に現金で払われるために、実績簿
等に職員の従事印や受領印などがいるのですが、本人からのチェックはなく、
「先生、ハンコください。」といえば、事務職員がどこにハンコを押したか
の確認はしません。会計上細工がしやすく、横領等の温床になります。
  過去そんなことをして、懲戒免職になった人が何名かいます。いずれもが、
ギャンブルに手を出して、少しだけ直ぐに返すから、一時借りておこうとし
て泥沼にはまっていったようです。職員や業者に現金で渡す金が多い職場ほ
ど、不正は発生します。職員などから請求されて、自分のポケットからその
金を立て替えてしまうことからはじまります。そうしたお金のやりとりをな
くすこと、基本的には学校から県費以外の経費を負担する会計等をなくすこ
とが根本的な解決になるでしょう。



ネットワーク端末、ダウンロードでパニック
 11月30日、歳入執行状況照会の出力内容の不具合の修正のために各所
属でダウンロードをするようにとの指示が一斉メールで流された。
 ダウンロードには30分以上かかる場合があると書かれていたが、30分
どころか何と2時間半以上もかかった所属があった。翌12月1日にはダウ
ンロードの注意について一斉メールが流され、ダウンロードにかなりの時間
がかかる(場合によっては1時間程度)と書かれていた。
 さらにこのダウンロードのせいで回線が非常につながりにくくなっており、
12月3日は給与データ収集システムを優先させるため、この日にダウンロ
ードを割り振られた所属は12月8日に変更された。さらに12月2日には
ダウンロードの日程の変更と11月30日及び12月1日にダウンロードで
きなかった所属は報告するようにとのメールが流された。
 この余波で、一般の財務オンラインも非常につながりにくくなっており、
ダウンロードに振り回され通しだった。
 一体どの程度の大きさのデータをダウンロードさせたのか知らないが、今
後のことを考えると、回線を使ってダウンロードさせるのは大きな不安とな
った。
 県学労は今回の事態に対して、このようなダウンロードを頻繁に行わない
ようにするとともに、従前行っていたようなFDやMOなどを配付してプログ
ラムを変更するという方法も考えるよう申し入れた。
 それにしても、旅費請求書の出力に不具合があったり、センター処理トラ
ブルによるデータの入力エラーがあったり、新端末になっていろいろ問題が
おこっている。またトラブル以外にも新端末になって大層不便になったこと
がある。まず端末の起動が遅い。端末の前でぼーっと待っているには長過ぎ
て、スイッチを入れてトイレに行くか、お茶を飲んで一服するとようやく立
ち上がっているといった具合。また今回の騒ぎのようにセンターの回線が混
んでいる時、以前は「センター接続不可、再処理可能」というメッセージが
出てすぐに再送信ができたが、新端末になってからは送信中のまま動かなく
なり、スクリーンセーバーがでるまで待ち、マウス移動すると暗証番号が請
求されるので入力し、しばらく待つとようやく接続できなかったというエラ
ーメッセージが出る。それで、やっと再送信ができるようになる。
 「コンピュータの導入=便利になる」というのは全くの幻想。


書評
「日中アヘン戦争」 江口圭一
  先日、岡崎で「日本の戦後補償の問題点ードイツと比較してー」とい
う講演会があり、東北学院大学の川端純四郎という先生が話されました。
 どういう話かというと、日本がこれからアジアの中でアジアを相手に
経済活動をやっていこうとするとき、過去の戦争を誠実に謝罪しなけれ
ば、アジアの中で相手にされなくなるという話でした。
   何故、アジアの中で相手にされなくなるかというと、日本が一五年戦
争で朝鮮・中国などアジアで何をやってきたのかをアジア諸国から繰り
返し問われ、いつまで経っても政府高官がアジアで行った侵略戦争で、
アジアの人々に迷惑をかけた事実を認めようとしない発言をするため、
日本は信用できない国だとされてしまうからです。
  そうした話の中で、アヘン戦争の話が出ました。アヘン戦争といえば、
英国が中国でのアヘン販売利権を認めさせようとした愚劣な戦争と記憶
しているのに、何故日本が関係するのかと興味を持って聞いたところ、
日本がアヘンを売ることによって、戦費を調達していたことが話され、
故大平正芳首相が当時は大蔵官僚で、仙台財務監督局にいたところ、中
国でアヘンの受給をコントロールしていた興亜院経済課主任として派遣
され、アヘンの増産、蒙彊カイライ政権の財源確保に当たったというも
のです。
  そして、それは岩波新書の「天皇と阿片」とかいう本だというので探
してみたら、本当は江口圭一著「日中アヘン戦争」という本でした。そ
の73ページに大平氏の関与が書かれていました(10年前に発刊)。
 日本はアジアの人を虐殺したり、苦役を強いたり、慰安婦にしたりし
て散々ひどいことをしたなと思っていましたが、その上にアヘンを内蒙
古で生産し、中国人をアヘン中毒患者にして、その人たちから血の出る
ような金(家財を打ったり、家族を売ったりしたあげく、廃人にしてし
まう)を 絞り上げて、戦費としたり、カイライ政権維持に使ったこと
を知り、罪の深さをさらに考えさせられた本でした。是非、一読を!そ
れと、最初に紹介した講演記録が冊子になっています。一冊200円プ
ラス送料で斡旋しますので、ご連絡ください。                         (わ)



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