県学労ニュースNo.176      1998/11/2発行

時習館寄付問題で紛糾! --98.10.27県教委交渉--

 10月27日、9月に出した要求書に基づいて、県教委交渉を行いました。以下は、組合が
重点とした要求項目についての、県教委とのやりとりを報告します。

《時習館高校の寄付問題》
   激しく紛糾したのは、18番目の項目「保護者負担の軽減と、寄付の上限を定めること」に
関連した「時習館高校の寄付」問題でした。

(組合)1997年度の時習館高校への寄付が突出していること、特にPTA会長より2800
万円ほどの寄付があり、生徒一人あたりに換算すると、26000円ほどになります。このよ
うな父 母負担を増大させるような寄付のあり方に問題はないのかと問いただしました。また団
体の自主的、任意の寄付とは思えず、強制が働いていないか。さらに多額の経費が必要な物に
ついては受け入れないと言っていた県教委の従前の方針はどうなったのかと質問しました。

 (県教委)まず、2800万円にも上る時習館高校のPTAからの寄付の財源は、多年にわた
って蓄積されたものであり、現在在校する父母が全額負担したのではないと聞いている。

(組合)1990年、私費会計の適正化方針が出たのち、財務指導で私費会計について実地調
査が行れ不適切な会計処理、監査体制の徹底、多額の繰越金のある学校は会費を下げるなど解
消に努めるよう、強い指導があったことは学校事務職員なら知っている。 既に県教委の財務指
導も、その後三巡目になっており、時習館高校では少なくとも二度の財務指導を受けているは
ず。回答通りだとしたら、不要、不急の金を当時の父母徴収してきたということになり、そう
いう金を徴収しないよう指導すべきで、県教委はどんな指導をしてき たのか。300万円(こ
れは100万円の勘違いらしい)を超えたら、県教委は事務長等を呼び出して 強く指導してき
たではないか。時習館高校はそれでも聞かなかったということか。

(県教委)どういう経過で積み立てられたか知らないが、その額が大きくなって困ってきて今
回の寄付になったと聞いている。

(組合)では、県教委の「PTA等の団体の適正化」方針に反する行為をしてきた時習館高校
に対してどういう指導をしてきたのか知りたいので、財務指導の資料が残っているだろうから
見せてほしい。また、適正化方針に反している学校からの多額の寄付などは、かえって受ける
べきで はないのではないか。
 ところで、他の学校からほしいものがあるからといって、意識的に何年か積み立てた後とい
う形で申請があったら、今後は受け入れるということか。従前の方針は変えたのか。

(県教委)PTA等の団体の適正化は平成二年に方針を定めて健全化に努めていて、多額の経
費を要するものについては、これを受け入れない点は変わっていない。
 ただ、質問の点について、多額の経費を要しなければ、整備計画がないものであれば、卒業
生やPTA等の意志があり、金額の多い少ないは関係なく受け入れざるを得ない(エエー、そ
れって、なに)。
  既に時習館高校の情報を知って、申し入れてきた学校があり、迷惑している。(ふざけるな!
許可して受け入れたんじゃないか。)

(組合)システムを維持していくのに、多額の経費を要するのではないか。

(県教委)時習館高校からは、「校内LANシステムの導入で光熱水費の負担増大はない」と
聞いている。だから予算を増やしていない。

(組合)システムが県の財産になったのだから、そのバージョンアップやシステムの保守は県
が支払わなければいけないと思うが、そういう負担をしないということか。

(県教委)役務費のことは考えていなかった。今後、役務費等の経費がいるかどうか聞いてい
ないが、ただ導入によって、需用費等を増やすことは考えていない。

(組合)県にはコンピュータ導入計画があって、毎年3分の1ずつコンピュータの更新をして
いるではないか。県が整備しているのに、何故寄付を受けるのか。

(県教委)整備計画のあるものについては受け入れない。今回の場合は教材作成のためであっ
て、教材用ではない。

(組合)時習館の校内LANをみると、マイコン教室にもつながっており、職員室、各準備室、
保健室などにコンピュータを設置している。これらの学校運営上必要なものは、地方財政法で
設置者である県が負担するべきものといわれているではないか。文部省や、教育センター(で
きるところから、進めてほしいと、校長会等で話されたと聞いています)も校内LANを推進
しようとしており、将来的にこれの整備計画も予想されるので、寄付に頼るべきではないでしょ
う。また、これほどのシステムの構築(LANシステム設置で約1千円、機器その他ソフト 関
係で1800万円)をPTA自主的に、任意に寄付したいと考えることはなく、強制が働いた
と考えるのが、常識的判断ではないか。

(県教委)それはそちら(組合)の考えでしょう。

    こんな具合でした。これなら、県に整備計画がなければ何をやってもOKということじゃな
いか。今まで、(校長も含め)教育職からの様々な要求を、PTAの負担を増やさないため、
現場でくい止めてきた私たち事務職員の努力は何だったんでしょうか。

《VDT作業者二次検診を事務職員全員に》
 (組合)今年10月頃から各職場で、財務端末からネットワーク端末に機器が更新されていま
す。そのため、事務職員のVDT作業がさらに増加します。そこで、作業前に全員に二次検診
を行い、健康状態の基礎データを蓄積しておくべきではないか。

(県教委)週五日、毎日一時間以上のVDT作業に新たに従事する者には全員二次検診を実施
し、従前よりのVDT作業者については、一時検診を行い、医師の診断の元に二次検診を行っ
ているので、現行のままで充分と考えている。

(組合)現行の一次検診は各職場では単なるアンケートであり、あまり意味がないと考えられ
ている。全員に二次検診をして、はじめて労働安全衛生が保てるのではないか。

(県教委)予算の関係もあり、これ以上の事業を行う考えはない。
                    人の身体の健康は、病気になってからでは遅いのです。予防が大切ということがま
だ解っていないらしい、当局も職員も。

《事務職員の増員要求》
(組合)障害児学校においては、12月から翌年の6月まで忙しい状態が続き、残業が日常化
していると聞いている。特に障害児学校においては、教職員定数の見直しが行われ、8人から
6人になったことにより、職員数が大幅に膨らんできた。仕事量が一.五倍単純に増えるとは
言えないが、ずいぶん増えていることは間違えないことです。特に生徒数が200人を越す、
または職員数が100人を越すような大規模校の養護学校の勤務は特にきついので増員はでき
ないか。

(県教委)今年度は行革大綱も出され、職員の削減が至上命令になっている。法定数を確保す
るのも困難な状況にあり、県単の最低保障三名、急減期対策での県単措置を維持するだけで精
いっぱいである。

(組合)それならば、従前より、夜間定時制勤務者にあっては、特に本人の希望がない限り、
三年で転勤させることになっているが、養護学校についても 本人の希望がない限り、三年で転
勤させることはできないか。

(県教委)そういう話ははじめての提案であり、考えさせてほしい。

以上が重点で交渉した内容です。



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