県学労ニュース175号      98/10/20発行

 時習館高校の97年度PTAからの寄付に3つの疑問?!

  時習館高校の昨年度のPTA会長からの寄付が総額27,878,000円あったことは9月1日付のニュース
 でお知らせしたとおりです。

 1学年9クラス、計27クラスの時習館高校の生徒は1,080名前後です。この寄付の額を一人あた
りになおしますと、約26,000円になります。これだけの負担を保護者がわかって承諾したとはどう
しても思えません。そこが第一の疑問です。

 私たちはもしこれ(PTAからの寄付)が例年であるのなら父母は疑問をもたないかもしれない
と考え、過去5年さかのぼって、PTAからの寄付を調べました。いくら時習館高校のPTAとい
えども、一度もありませんでした。

 まずPTA会費というものは、生徒の保護者が均等に負担するものであり、基本的にはPTA活
動のみに要する経費を扱うもので、学校の設備や備品等を充実させるために負担を強いることは許
されません。学校教育法第5条及び地方財政法第9条で設置者が整備することになっているからで
す。ですから、本当にPTAからの寄付であったのかも疑問に思えてきます。ひょっとして隠れ蓑
かとも。

 次に、96年度県教委は管理課長名で「物品の寄付受入基準等について」という通知を12月10日
付で出しています。その中で寄付を受け入れるための基本事項として5項目をあげています。

 「(1)寄付を受け入れる物品は寄付申出者の自発的・任意による物品で、・・」とあり、先に
述べたようにここに1番目の疑問があります。

 「(4)寄付受入れ後の維持管理に多額の経費を要しないこと」とありますが、時習館高校のネ
ットワークシステムを維持するために保守料や通話料はかからないのでしょうか。県は維持管理の
ための経費を時習館高校だけ特別に認めたのか。ここに2つ目の疑問があります。

 また、「(5)県において、整備基準を定めているものについては基準を著しく超えないこと。」
とされており、現在県立普通科高校においては順次パソコンの更新が進められており、寄付を受け
る必要がないと思われる。さらに、個別事項として、「PTAからの寄付について、条件として
(1)基本事項を満たしていること、(2)私費軽減の趣旨が十分考慮されていること。」となっ
ているのにどうして、県教委は自分たちが定めた基準を逸脱している時習館高校から出された寄付
申し込みの内申を拒まなかったのか。3つ目の疑問です。

 私たちは、同じ県立高校に通っているのに特定な学校に通う生徒の保護者が多額な負担を強いら
れることに反対します。今回特にこの問題について、真相を知りたいと思い、時習館高校に訪問を
申し入れましたが、今のところ都合がつかないと言うことで、訪問できていません。いろいろな意
見はあるかと思いますが、少しでも詳しいことを知っている方は県学労にお知らせください。



『孤独なひまわり』ファン・ゴッホの告白
                      田代 裕 著   あすなろ書房  1400円  

    この本は、一九九〇年、南仏に渡った筆者が偶然に出会った「フィンセント・ファン・ゴッホ手
紙全集」に引き寄せられ、これをベースにゴッホに関する評論や伝記などを調べた結果、浮かび上
がってきたファン・ゴッホ本人を語らせる形で書かれています。
 
 ゴッホはオランダのズンデントというベルギーに近い寒村に生まれました。父はプロテスタント
の牧師。周囲の多くはカトリックのため、貧乏生活を余儀なくされていました。ゴッホは六人兄弟
の長男です。四歳年下の弟と自然探検に夢中でした。彼の風景画はそんなふるさとに回帰する彼の
心の渇望を表していたのかもしれません。

 ゴッホは学校生活にはなじめず、何校か渡り歩いた末に父親があきらめたのか、一六歳のときに
叔父が元経営していた画商に就職します。

 このころから弟テオとの文通が始まります。やがて、弟テオもおなじ画商のグールビに勤めるこ
とになったのですが、ゴッホはロンドン支店に転勤し、別々の支店で働くことになります。

 ゴッホはロンドンの下宿先の娘にあっさりふられ、ショックで仕事ができなくなって失職します。

 次になろうとした牧師への道も、はじめのうちはよかったのですが、徐徐に彼の行為が常軌を逸
しているということで排斥されます。

 またしても職を失ったゴッホは、九ヶ月の沈黙の後、スケッチをはじめます。画家ゴッホの誕生
です。しかし絵が売れるわけではありませんから父や弟のテオの援助に頼ったのです。この後、ず
っとテオがゴッホの生活を援助していくのですが、ゴッホにとって、弟テオはそれだけの存在では
ありませんでした。

 ハーグに移り住み、本格的な画家生活に入るとすぐに娼婦であるシーンと出会い、同棲。それが
発覚して父からの怒りを買い、援助が絶たれ、シーンとの喧嘩別れ。オランダに戻ることになりま
す。

    やがてゴッホは精神的に破綻して自分の耳をそぎ落としてしまいます。それは精神的な支えを失
った結果でした。テオの結婚が原因でした。ゴッホに成り代わって、筆者はさらに論を進めます。

    私が気にかかった精神病棟からの畑だったかの絵はそんな精神状態で書かれたのでしょうか。こ
の本はゴッホの作品をより深く理解するのにはよい本ではないでしょうか。(わ)
 



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