Betta splendens HOMEPAGE

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(RIGHT)餌としてのホウネンエビ
  泳ぐホウネンエビの群れ(?)です。一番上の固体がオス、大きな触角が特徴です。下の2匹はメスです。抱卵しているのが判るでしょうか。写りこみしてます。ごめんなさい。そもそもホウネンエビとはブラインシュリンプ(以下ブライン)の淡水版と考えてくださると解りやすいかと思います。生活史はブラインと全く同じです。
 そもそもホウネンエビの飼育は「代用ブライン計画」のメインとして始めたことです。稚魚の餌として大量のブラインを水槽に入れるわけですが、半分以上は食べ残してしまいます。これが腐敗すると水質が悪化して稚魚の大量死を引き起こすこともあります。
 では何故ブラインは大量死するのでしょうか?答えは簡単、ブラインは海水性プランクトンだからです。ベタの住む淡水では彼らは生きてゆけません。そこで淡水性のプランクトンでベタの稚魚の餌として利用出来そうなものは無いかと探しまわった末に見つけたのが、ミジンコとホウネンエビでした。
ミジンコはけっこうその辺の池でも見つかるのですが、ホウネンエビは苦労しました。むかし学研の化学の付録にカブトエビ飼育セットがありまして、その中に偶然ホウネンエビが入っていたのが最初の出会いだったと思います。解説として「カブトエビのほかにもこんな生物がわくことがあります」とある中にホウネンエビがありました。その時はふーんってくらいにしか考えていませんでしたが、同じく学研の付録だった小えびを飼おうという企画がブラインの飼育でした。「あ〜、似てたね〜」と思ったような気がします。(この辺り、実はどちらの付録が先だったか良く覚えていません。入れ代わってたらごめんなさい)
 ホウネンエビが見つかったのは、去年(96年)の夏です。京都の向日市にあるベタ(&グッピー)屋さんで京都ベタ倶楽部会長氏(だったと思う、この辺も曖昧)から「すぐそばでホウネンエビが獲れる」と聞いて狂喜してかき集めてまわったのは鮮明に覚えています。京都ライブベアラーズの羽尻氏に酸素詰めまでしてもらって(お金にならない客ですみません)持ってかえりました。この時採取したのは全て親個体でしたが、すぐに繁殖に挑戦し、その年のうちにF3まで取って一応ブリーディングの感触はつかみました。一枚目のこの写真はP(採取親個体)です。





 ホウネンエビの特徴ですが、非常に鮮やかなグリーンの体に消化器が確認できます。体色がグリーンなのはおそらく食べた植物性プランクトンの色が出ているのだと思います。餌をドライイーストにすると白っぽい肌色に代わるのを確認しています。
 尾は先端が二股に別れていてオレンジ色をしています。この個体はメスです。下腹部(?)に見える茶色の塊が卵です。オスメス問わず大きさは最大で2cmほど(京都府向日市産)。外敵に出会うと水底に潜ってしまいます。交尾の様子は未だ観察されていませんが、オスが大きな触角でメスを固定し交尾をしているようです。飼育水は濁っているため全然見えないのです。この写真は撮影用にある程度透明な水に入れ替えています
 なぜ飼育水が濁っているかと言いますと、いっしょにカブトエビを飼っているからです。向日市でもそうだったのですが、カブトエビとホウネンエビとは生息域がラップしていることが多いのです。なぜでしょう?



 ここからは仮説ですが、多分外れていないと思います。
 "POND CULTIVATION"という飼育法があります。日本語に訳すと「池底耕法」とでも言いましょうか。ざっと解説しますと東南アジアなどでエビを養殖するときに、飼育池の底を撹拌してそこの泥に含まれる有機物やミネラルを水中に溶けこませて、それによって植物性及び動物性プランクトンが発生し、最終的にエビの飼料にするというやり方です。この池の底を耕す役目をカブトエビがやっていると私は考えています。カブトエビが死んだ飼育水槽では後を追うようにホウネンエビも死んでゆきます。
 しかし餌のドライイーストを定期的に与えることでホウネンエビは死ぬことなく活動を続けています。要するに土の中の有機物を食べたいカブトエビが泥をかき回して池底耕法と同じ効果を産んでいると私は考えています。
 ではここで応用なのですが、ベタの初期飼料として使われるインフゾリアですが、「このやり方で発生をコントロール出来ないだろうか?」というところが「代用インフゾリア計画」の終点でした。(代用インフゾリア計画は一部Niftyの旧FAQUA8番会議室で報告済み)インフゾリアの発生にレタスや牛乳を使うのは良いのですが水質管理がけっこう難しく冬などではヒータでうまくコントロール出来るのですが、夏には水を腐らせてしまいには変な虫まで湧いてしまうという失態をやってからはレタス+牛乳のパターンはやっていません。冷凍レタスやきな粉でも上手くいくようですが、私はドライイーストそのものまたは有機汚泥の撹拌でインフゾリアのコントロールをやっています。
 代用インフゾリア計画については後日アップしますが、突然の産卵にも慌てずに対応出来ています。クリアしなければならないハードルはまだ色々ありそうですが、メリットは大きいので本格的にやってみる価値はありそうだ、と考えております。


 触角を広げたオス個体です。何となくアノマロカリスに似ています。ブラインシュリンブ辺りもその遺伝子を受け継いでいるのかもしれませんね。アノマロカリスは原始の海で最強の生物だった大形甲殻類です。以前NHKで放送されていた「生命〜40億年の旅〜」(だったと思う、忘れてしまった。)で詳しく紹介されていましたので興味のある方はどうぞ。
 ホウネンエビのオスもアノマロカリス同様にこの大きな触角を使って小型プランクトンを捕食しているような行動も観察しています。本当のところどうなのでしょうね。






(RIGHT)ショウジョウバエ(Wingless Fruit Fry)
 見てのとおりのウジ虫です。こんなのを餌として飼ってる人はほとんど変人奇人の領域にどっぷりつかっているのかもしれません。しかしショウジョウバエはウジ虫の状態で与えても成虫の状態で与えても喜んで食べてくれる良い餌なのです。しかもいくらでも増えますし。
 種虫は爬虫類を扱っているペットショップで餌として扱われているものを購入してきました。試験管1本で2000円くらいだったでしょうか、ちょっと高いのですが増えることを考えればそれほど高価な餌でも無いみたいです。だいいちこれを与えたときの太り方が違いますから。性格も荒っぽく(ただ単にマナーが悪くなっただけのような気もするのですが)なってたくましいオスが出来ます。日本では魚の餌としてなじみが薄いようですが、海外の文献やホームページでは普通に登場してくる餌です。




ハエのさなぎです。私はやらなかったのですが、小学生だか、中学生の時の理科の教科書にショウジョウバエを育てるような実験があったように記憶しているのですが・・・。そうそう、さくらももこ氏のエッセイの中に小学校時代のエピソードで、そんなのがあったような。中学校時代でしたっけ?(曖昧)
 さくら氏といえば「ももこのいきもの図鑑」でベタのエピソードが紹介されていますね。











 だんだんネタが切れてきてベタとは関係ない話になってきています。しかし、魚を飼っている人には餌の問題はけっこう深刻です。今回紹介した活餌は「性格形成」のための一環として取り組んでいるものです。闘魚とまで呼ばれるベタなのに、根性の入っていない個体がいるもの事実です。ブリーダーによってはそういう個体(特にオス)は放棄してしまう人もおられるように聞いていますが、遺伝的には素晴らしいものを持っているはずなので、性格の改善が可能ならばフレアリングの訓練や繁殖にも十分に使用できると私は考えています。
 以前ベタの稚魚にブラインシュリンプを与えたとき、「食べる」というよりもむしろ「攻撃している」といったほうが良いような行動を目撃したことがあります。よく観察してみると自分の周りの一定距離内に入ったものはベタの稚魚もブラインシュリンプも攻撃の対象になっていることに気づきました。
 稚魚を混泳環境で飼育していると、必ずと言ってもよいのですが、いちばん弱い個体が袋叩きにあいます。もともとが気性が激しい魚ですのでこういうこともあることは解るのですが、面白いのはこういうヒエラルキーの形成でそのトップにたった個体はすごく美しい個体になってゆくことです。このような現象は「自分が強いことを他者を攻撃することで認識している」表れなのではと私は考えています。
 さて、話を活餌に戻します。要するに他者よりも強い自分を自己認識させればよいのです。実際私のところでは「一点飼い」+「活餌を攻撃させること」でかなりの性格改善が見られています。一点飼いをしてある程度のテリトリー意識を持たせておけば、活餌を与えると攻撃しながら食べるようになります。
 最近は活餌が入手しづらくなってきています。アカムシはもちろんの事ですが、イトミミズさえも置いているショップが少なくなってきています。しかし、面白いことに爬虫類や昆虫類を置いているショップにも魚の餌に出来る餌がたくさんあるのです。最近力を入れている親魚用の活餌が今回紹介したショウジョウバエです。海外ではFluit fryと呼ばれています。繁殖が楽で逃げ出しにくいのが特徴です。







(RIGHT)ミジンコ(Daphnia)
 多くの人がご存じのミジンコです。ミジンコは種類が多く素人(私)には同定が困難なため、これが何というミジンコなのかは書きません。しかしミジンコが大変貴重な餌になる事を結果として知っておればそれでいいのです。鯉・金魚をやっている人には絶対必要な餌ですが、熱帯魚関連にも有効です。当然ベタにも。
 朝早くに池にいって網ですくってくるわけですが調子にのって採っていると佃煮にできるほど採れますが、そんなにいらないので1〜2すくいしたら終わりです。酸素詰めして持ってかえったときに撮ったのがこの写真です。
 













 ミジンコはっけっこう簡単に増やせます。この写真の中央に移っているのが親なのですが、移して数時間後にこの個体から周りに小さく写っているような子が誕生しています。たまたま抱卵した個体だったのでしょうが、ちょっと放置しておくと気味が悪いくらい増えつづけます。しかしある一定の個体密度に達すると休眠卵を作って急激に個体数が減ってしまいます。休眠卵は特徴のある形をしていますのでそういう個体が出てきたら間引いてしまったほうが良いかもしれません。餌として冬にでも確保出来るのが便利です。数は少ないのですが。





















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