Newton Letter
−2003年11月のテキスト−


031118.火曜日

『スマートモブズ』読書中につき】

電車の中がイチバンの読書空間だったりするので、家族と過ごす週末はほとんど読書から遠ざかってしまう日々。今週に入って、急に文章が頭に入ってこなくなって、ちょっと困っているところ。あと100頁くらいなので、なんとか読み切ってしまいんだけど…。もうちょっと粘れよ、俺。

第5章に突入。評判システムの話。スラッシュドットはけっきょく日本語版って存在しないですよね? 日本では「2ちゃんねる」と「人力検索はてな」と「関心空間」に枝分かれして、それぞれ先鋭化していった感じかな。

【太陽の塔アンコール公開】

なんですとー! 前回の抽選漏れした人から1万人ですとー! すでに14日に発送済みですとー!

…きてないよ(´・ω・`)

来年予定されている第二回に期待するか。


031113.木曜日

『スマートモブズ』読書中につき】

第4章の続き。「スマートダスト」「タンジブルビット」「ペインタブル・コンピューティング」。わお、空気中を舞うホコリくずのようなコンピュータに、ペンキのようにペタペタと塗りたくるコンピュータですか。それぞれが無線による通信手段を持っていて、相互に情報交換しながら現実世界に浸透していく、と。

スティーブ・マンのウェアラブル・コンピューター。

“次の十年は、ウェブ上により多くの無生物が加わり、モバイルのグループ形成ネットワーク技術によってより多くの人々がリンクされるようになることは、明らかなようだ。”

このように世界中がインテリジェントな回路とネットワークによって常に接続されていったときに、その技術はひとりひとりの生活を拡張していくものなのか、それとも何らかの権力や構造によってコントロールされていくものなのか、この拮抗する緊張関係…。

マンはインテリジェントな環境を“われわれを絶えず観察し監視する権利を家や道路や公共空間にしみ込ませようとするものだ。”と批判する。“マンは、個人の力を高める技術として売られてはいるものの、実際には人間を支配したり人間に影響を及ぼしたりしようとしている他の組織や企業の「二重スパイ」となっているウェアコンプに、注意するよう呼びかけている”。彼は、ウェアラブル・コンピューティングによって「スマートピープル」となることを目指しており、“要するに、われわれ一人ひとりが自分を取り巻く環境をコントロールできるようにするのだ”と主張しているのだ。

なんだかスゲー。あのヘッドマウントディスプレイをかけて、マシンとバッテリを背負った珍妙なおっさんの姿は、雑誌か何かで目にしたことがあるけれど、そこまで考えて行動していたとは正直思いもよらなかった(^^;)

「パソコンとディスプレイを背負ったおっさん(しかも常時接続)」にもピンとこなかったけど、最近のファッションショーに登場してくるウェアラブル・コンピューターもピンとこなかったのは、マンが指摘するような企業の意図が見え隠れしていたからなのか…いや、単にカッコワルイと感じたからかも。


031112.水曜日

『スマートモブズ』読書中につき】

第4章突入。ワイザーの『二一世紀のコンピューター』。ヴァーチャル・リアリテイ(仮想現実)と拡張現実(Augmented Reality)。「ユビキタス・コンピューティング」は「ユビコンプ。「パーセプチャル・インテリジェンス(知覚的知性)」、“おおまかに言えば、誰、何、どこ、いつ、なぜの五つを機械がわかるようにすること”

スポーラーの「ワールドボード」、「ジオノート」「インフォスコープ」「気が利く広告看板」「eスクワート」「ウェブサイン」。

マトリックスのようなサイバーワールドがすでに陳腐化していることがよくわかる。攻殻機動隊の世界は…まだなんとか貼り付いているか。物質としての実世界に重なるようにして情報世界を発生させるという現実の拡張方法は、じつに刺激的だ。


031111.火曜日

『スマートモブズ』読書中につき】

週末の遠征でちょっと中断していたけど、第2章続き。UNIXの誕生、GNUプロジェクトとLinuxの誕生。4つの数学的法則「サーノフの法則」「ムーアの法則」「メトカーフの法則」「リードの法則」。不勉強にして、ムーアの法則しか知らなかった。

第3章はP2Pの話。SETI@ホームとグリッド・コンピューティング。ナップスターに始まるP2Pの歴史。グヌーテラ、モジョ・ネーション、オープンCOLA。

ときおり姿をみせる「モバイル機器の雲(クラウド)」というメタファーが最終的な鍵になっていくのだろうか。


031109.日曜日

【名田庄村で天体観測】

土曜日の夜は見事に晴れたんだけど、もうばっちりしっかりとお月様が顔を出していて、お星様なんてまるで見えませんでした(苦笑)

しかたないので持って行っていた『星がとびだす星座写真』をながめて、脳内リゾートにひたりまくりの夜。付属のレンズをのぞくよりも、交差法できるひとは直接ながめたほうが立体感がくっきりします。ときめく写真集です。


031107.木曜日

【丸尻…】

某巨大掲示板の該当スレなどでは、m100〜130は丸尻と呼ばれているらしい。いろいろあって他のマシンに乗り替えた人は、気軽に扱えない(カバンに投げ込んだり、適当にあしらったり)、クレードルにガシッと差し込めないってことで、なかなかなじめなかったりするらしい。なるほど、クレードルのつけはずしなんて、ホントに片手で手軽にできるし、ポリカーボネートの筐体は、キズなんて気にしたこともないし。


031105.水曜日

『スマートモブズ』読書中につき】

フォン・ノイマンの「ゲーム理論」、「囚人のジレンマ」登場。たとえば、日本のムラ社会は、囚人のジレンマによって構築されている典型なのではないかと思う。

「ハッカー倫理」、そしてインターネットの誕生。

【日本HP インクジェットプリンタの Mac OS X v10.3対応一覧】

PSC-2150 は…ダメじゃん。OS内標準添付のドライバで印刷のみ可能、正式ドライバは2003年内リリース予定、ですか。

年賀状をこれで…と思っていた人は、つらいかも。うちはいちはやく“Mac OS X 10.3での基本動作確認済み”と発表したアルプス電気の MD-5000 を使うから問題ないけどね。いえ、修理に出してまだ戻ってきてませんけど。さらに言えば、もともとうちのOSは10.3には上げてないがな!(笑)

iTripのセットアップ完了。アンテナ線やケーブルが車内をうねうねしないというそれだけで、このアイテムはすばらしい。


031104.火曜日

『フル・ムーン』の新装版って、サイズ小さくなってるのか…。ハンディで取り回しはいいかもしれないけど、昔のでっかい版のほうがほしいかも。お値段も2倍だけど。

『スマートモブズ』読書中につき】

第二章突入。「コモンズの悲劇」がでてきた。マーク・A・スミスが言うところの“コミュニケーション・メディアが集合行為のジレンマを解決する費用を引き下げるときはいつだって、より多くの人々が資源をプールすることが可能になるんだ。”という指摘は、コモンズの悲劇を克服するキーになるやいなや。その答えは、もう少し読み進めないと見えてこない。

二年ほど前だったか、結婚前の男女が口論になっているところに出くわしたことがある(食事中にとなりの席のラブラブカップルがだんだんと険悪な雰囲気になっていったのだ)。彼女は、わたしを愛しているなら、メールを送ったらスグに返事を出すぐらいできるはずだと言う。彼氏は、仕事中なんだからできないことだってあると言う。二人は、結婚式を前にして、すでに感情のズレに苦しんでいる。

そんな光景を目にしたこともあったから、ぼくにとってスマートモブズはダークサイドの認識が強かった。この本を読み終わる頃には、何かが変わっているかもしれないし、やっぱり嫌なものはイヤなままかもしれない。さて。


031103.月曜日

iTrip の出品者からは、昨晩連絡があったのでひとあんしん。京都府から奈良県…休み明けの4日に届くといいのだけど。


031101.土曜日

【日本では男性より女性ユーザーが多い――ネット普及率世界調査(HotWIRED)】

携帯電話のようなスマートモブ技術を利用したものとデスクトップベースのネット普及率をいっしょくたに扱うと、現状では誤解をまねくと思う『スマートモブズ』読書中につき。

【最高のマインドアクセラレーター(発想加速器)は今も】

って、御大層な話ではないのですが。会社でメモマシンのつもりで置いていた Newton MessagePad 2100J、来週の天体観測の準備も兼ねて、家に持って帰ることに。で、帰りの電車で久しぶりにアレコレいじくってみました。

TaTeGaKi で梶井基次郎の『檸檬』を読んだり、Mandal-Art で週末の予定を考えてみたり。なによりも、NotePad に思い付いたことをグリグリと書き殴っていく気持ちよさといったら。

毎日持ち歩いていた二〇世紀末のメモを読み返したり。やはりこいつは本当に刺激的で面白く、手に馴染む、PDAであると形容したくなるシロモノだなぁとしみじみ。ジェスチャーコマンドや、ペンでタップしたときの「ポッ」という音、デバイスの手触り、絶妙なサイズ。

全体のまったりした動作は、絶妙なインターフェースのおかげでちっとも気にならない。これで日本語の扱いがもうちょっとスマートだったらなぁとつくづく思う。

思えば、eMateを手放したのも、キーボード搭載マシンとして最高のボディをしていながら、日本語の取り扱いのどうにももどかしいところが原因だった。「?」「!」これらの記号がそのままでは2バイトのものが扱えなくて、ユーザー辞書に登録したりして工夫したことを思い出す。全角スペースもそうだったよなぁ。

夜の大阪近鉄奈良線は、どれだけアナウンスがあろうとも、携帯電話をにぎりしめながら親指をピクピクさせるサラリーマンとOLとクソ学生がたくさんいて、中にはたまーにザウルスとかパームとかをいじっている人がいる。そんな中で、 「二〇世紀末最高の夢のお裾分け」であるユーザーエクスペリエンスを堪能したわけですが、その行為がなんとも奇妙で不思議な感覚を呼び起こしてくれるのでありました。普段は Newton よりもオールドファッションな HP-200LX を使っているのにね。

『スマートモブズ』を読んでいると、常につながっていることがもたらす世界と、それに乗り遅れる人とのデジタル・デバイドがより大きくなっていくだろうことは容易に想像がつく。しかし、自分にとって通勤電車の中などは、自分自身と対話するための貴重な時間なのだ。だから読書をするか、テキストを書くか、そのどちらかに使いたい。メールやウェブなんてのは仕事と趣味とで、それこそ一日中どっぷりなんだから。

Newton MessagePad には、コミュニケーションのツールである、というコンセプトがもちろん盛り込まれていた。「メッセージ」は、それ自身、外側に向けて発信されていこうとする属性を持っている。MessagePad は、メッセージを発するための内面をオーガナイズすることをデジタル的にアシストする、そんなツールなのだ。マインド=自己の意志を定着させるためのテクノロジー、それが Newton だったのではないか。

昨日のiTripのオークション取り引き、入金先の連絡は速攻で送られてきて、こちらもスグに入金して返信したのに、肝心の発送に関する連絡がまったくこないよ(;´Д`)

どっちみち連休中には届かないだろうから、べつにいいんだけど。


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